セミナリー・インスティテュート
『モルモン書の教えと教義教 師用手引き』(宗教275)について


『モルモン書の教えと教義 教師用手引き』(宗教275)について

宗教教師に求められること

教える準備をするときは,宗教教育セミナリー・インスティテュートの目的を理解することが重要です。

「わたしたちの目的は,以下のことができるよう,青少年とヤングアダルトを助けることです。イエス・キリストの教えと贖いについて理解しそれに頼る。神殿の祝福を受ける資格を得る。天の御父とともに永遠の命にあずかるため,自分自身と自分の家族と周りの人々を備える。」(『福音を教え学ぶ—宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』x

この目的は,イエス・キリストの福音に従って真摯に生活し,生徒に福音を効果的に教え,クラスまたはプログラムを適切に管理運営することによって達成できます。これらの方法によって備え,福音を教えるとき,聖霊の影響を受けるにふさわしい状態となります(教義と聖約42:14参照)。

これは,信仰を強め,改心を深めることができるように,生徒が御霊によって学ぶことを助ける機会です。イエス・キリストの福音の真理と重要性を明確にし,理解して感じ取るとともに,その偉大な教義と原則を生かすように生徒を導くとき,生徒がこれらを達成する援助をすることができます。

『福音を教え学ぶ』手引きは,教育過程を理解し,教室で効果的に教える方法を学ぶための必要不可欠な資料です。

このコースの目的

インスティテュートの年齢に達した生徒たちの多くは,以前にセミナリー,家庭,または伝道で,モルモン書を最初から終わりまで順序だてて学んだことがあると思われます。本コース,モルモン書の教えと教義(宗教275)は,生徒たちがモルモン書を研究するために異なるアプローチを使用することが意図されています。コース内のレッスンは,モルモン書の霊感を受けた著者たちによって強調された代表的な教義テーマに焦点を当てます。

エズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)は,モルモン書に含まれる教義に注目するようモルモン書の読者に勧めました。

〔エズラ・タフト・ベンソン大管長の画像〕

「モルモン書はわたしたちの時代のために書かれました。……わたしたちは,それにどのような歴史と信仰を高める物語が記録されているのかを知るだけではなく,その教えを理解しなくてはなりません。わたしたちが十分に準備を整えて,モルモン書の教義的な面に取り組むならば,誤りを露呈し,真理を見いだして,今日の偽りの理論と人生哲学の多くに立ち向かうことができるのです。」(“Jesus Christ—Gifts and Expectations,” Ensign, 1988年12月号,4)

本コースの全体を通して,生徒はモルモン書にある預言的な記述と教えを,天の御父の計画と御父の独り子であるイエス・キリストの中心的な役割に焦点を当てながら研究していきます。生徒は,イエス・キリストについてのもう一つの証としてモルモン書をよりよく理解し,キリストへの愛と証を深めるでしょう。彼らは福音の教義をそれぞれの聖文の文脈において研究する能力を高めることから,より深い理解と個人的に主の弟子となることにつながります。また,モルモン書とそれに記載された教義の重要さと神聖な起源について説明し,証するための準備も整えます。

生徒に求められること

インスティテュート卒業のための単位を取得するには,生徒は各レッスンの生徒用資料セクションにリストアップされている聖文,総大会の話,およびその他資料を読む必要があります。生徒は出席規定を満たし,課題を提出することによってコース内容についての高い理解度を示さなければなりません。

この手引きのレッスン構成

本コースは,2学期制コース向けに考案されたもので,28のレッスン(1クラス50分)で構成されています。1週間に2回クラスがある場合は,1回のクラスで一つのレッスンを教えます。1週間に90-100分のクラスが1回のみ開講される場合は,1クラスで2回分のレッスンを行います。各レッスンは大まかに4つの項から成っています

  • 導入

  • 背景となる読み物

  • 教えるための提案

  • 生徒用資料

はじめに

このセクションには,レッスンのトピックと目的についての簡単な紹介が記載されています。

背景となる読み物

このセクションでは,末日の預言者,およびその他の教会指導者からのメッセージなど,レッスンの対象となる教義,原則,および福音の真理をよりよく理解するために役立つリソースが提案されています。

教えるための提案

教えるための提案セクションには,何をどのように教えるかを知るために役立つ資料が含まれています(『福音を教え学ぶ』手引きのセクション4.3.3および4.3.4も参照)。提案されている学習活動は,生徒が神聖な真理を見いだして理解し,その真実性と重要性を感じ取って,応用することを助けるために考案されています。これらの提案は,各自の教え方,および生徒たちの必要や状況に応じて適応させていくため,提案の全てを使用,または一部のみの使用にとどめてもよいでしょう。レッスン資料をどのように適応させるかを検討するときは,十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の勧告に従うようにします。

〔ダリン・H・オークス長老の画像〕

「パッカー会長は度々,まず最初に身につけてから適応させるようにと教えてくれました。生徒に教える規定のレッスンをしっかりと学んでおけば,それを御霊に従って適応させていくことができるようになります。しかし,この柔軟性について話すとき,身につけるよりも先に適応することから始めてしまうという危険が存在します。バランスが必要です。これは頻繁に起きるチャレンジです。しかし,まず最初にしっかりと身につけてから,状況に合わせて適応させるというアプローチは,正しい見解を維持するよい方法です。」(「ダリン・H・オークス長老とのパネルディスカッション」〔宗教教育セミナリー・インスティテュート衛星放送,2012年8月7日〕si.lds.org〔英語〕)

本コースには,複数の言語で読むことができると思われる教会指導者による声明が含まれています。教える準備を行うときは,トピックに沿った教会指導者によるその他の利用可能な声明を使用することによってレッスンを適応させてもよいでしょう。

教えるための提案セクションには,教義または原則についての記述が少なくとも一つ太字で記載されています。生徒がこれらの教義や原則を見いだし,学んだ事柄を分かち合うときに生徒が使う言葉は,手引きに書かれているものとは異なる場合があります。使う言葉が異なる場合でも,答えが間違っていると思わせないように気をつけましょう。しかし,生徒の発言をより正確にできる場合は,生徒が理解したことを明確にできるように注意深く助けましょう。

このカリキュラムは,福音を教え学ぶことの基本をテーマ別コースに組み入れる方法を実証するものです(『福音を教え学ぶ』1023-3138-41参照)。

十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は,福音をテーマ別に学ぶことによってもたらされる幾つかの恩恵について次のように説明しています。

〔デビッド・A・ベドナー長老の画像〕

「全体を通読する方法は基本的な知識を得るのに,そして,トピック別に研究する方法は知識を深めるのに役立ちます〔。〕霊的な知識をさらに加えてくれるのが,関連性,パターン,テーマを探しながら聖文を注意深く調べる〔ことです。これによって〕,救いの計画の理解と捉え方が広がります。

わたしの見解では,聖文の中から関連性,パターン,テーマを熱心に探すことは,キリストの言葉を『よく味わう』ことでもあります。この方法を実践するなら,霊の貯水池の水門が開き,主の御霊が理解に光を注ぎ,聖文への感謝の念が増し,他の方法では到達できない高いレベルの霊的な決意が心に生じてきます。この方法で聖文を注意深く調べていくと,贖い主という岩の上に築き,この末日の悪の嵐に堪える力が得られるのです。」(「生ける水の源」〔ブリガム・ヤング大学ファイヤサイド,2007年2月4日〕,2-3,https://www.lds.org/broadcasts/archive/ces-devotionals/2007/01?lang=jpn

生徒用資料

このセクションには,レッスンで強調されているトピックに対する生徒の理解を深める聖句,教会指導者の話,およびその他資料がリストアップされています。クラスに来る前にこれらの資料を読んでおくことを課題とし,読むように励まします。これらの霊感を受けた資料を研究するとき,生徒はクラスの話し合いに参加する準備が整うだけでなく,コースのトピックについてさらに幅広く,深く理解できるようになります。学期の最初,生徒に『生徒用資料』の全リストを配ります。

教える準備をする

主は,教える準備をするための助けを与えてくださいます。準備をするときは,自分に対して次の質問を尋ねると役に立つ場合があります。

  • 準備し教えるに当たって御霊に敏感になることができるように,福音にふさわしい生活をする努力をしているだろうか。

  • 聖霊の導きを受けるために祈ったか。(教義と聖約42:14参照)

  • 割り当てられた聖文と背景となる読み物を研究したか。

  • カリキュラムを読み,生徒たちの必要を満たすように適応させたり調整する箇所があるかどうか判断したか。

  • 生徒が課題の生徒用資料を最大限に生かしていることを確実にするために,どのようにフォローアップできるか。

  • レッスンに十分に参加できるよう各生徒を助けるには何ができるか。

以下の推奨案も役に立つ場合があります。

  • クラスの前に課題の聖句や記事を読むように生徒を励ます。

  • 生徒が学習者としての役割を果たすことを期待する。

  • 教義と原則を自分の言葉で説明し,それに関する経験を分かち合い,知っていることや感じたことを証する機会を生徒たちに頻繁に与える。

  • 各クラス,および日々使用する学習活動やアプローチに変化を持たせる。

  • 生徒が互いに教え,学び合う特権と責任を持つ,御霊を招く学習環境を作る(教義と聖約88:78,122参照)。

  • 本コースの全体を通して,聖文研究スキルに対する参照が記載されています。生徒が聖文研究についてより自立し,聖典を生涯にわたってさらに熱心に学習するようになるために,これらの機会を活用してください。

十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は次のように教えています。

〔リチャード・G・スコット長老の画像〕

「生徒による選択の自由は聖霊による導きを受け入れるため,御霊が十分に関与してくださることをお約束します。……生徒が真理を言葉にするとき,彼らの魂の中でその真理が立証され,個人の証が強められるのです。」(“To Understand and Live Truth”〔リチャード・G・スコット長老との夕べ,2005年2月4日〕,3,si.lds.org〔英語〕)

障がいを持つ生徒のためにレッスンを適応させる

教える準備をするときは,特定の必要性がある生徒に配慮します。活動や想定を調整して,彼らが成功できるようにします。彼らが,愛され,受け入れられ,仲間であると感じられるように助ける方法を見つけてください。信頼関係を育ててください。

さらにアイデアやリソースを入手するには,https://www.lds.org/topics/disability?lang=jpnの障がいに関するリソースページ,および宗教教育セミナリー・インスティテュートのポリシーマニュアルにある「障がいを持つ生徒のための適応クラス」というタイトルのセクションを参照します。