セミナリー・インスティテュート
第12課:霊的に再び生まれる必要性


第12課

霊的に再び生まれる必要性

はじめに

モルモン書から,わたしたちは「生まれながらの人は神の敵」であることを学びます(モーサヤ3:19)。このレッスンで生徒たちは,悔い改めとイエス・キリストへの信仰を実践することにより,生まれながらの人という状態を克服し,「再び生まれ」,心の中に大きな変化を経験できることを学びます。この変化は神の王国に入るために必要です。

背景となる読み物

教えるための提案

モーサヤ3:1916:2-5アルマ41:10-11

生まれながらの人を捨てる

ホワイトボードに,New Era1986年6月号5ページの“To ‘the Rising Generation,’”から引用されたエズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)の次の言葉を書きます。

「悪いことを行いながら,正しいと感じることはできません。それはあり得ないことです。」(エズラ・タフト・ベンソン大管長)

  • 間違った選択をしているときに幸せを感じることが不可能であるのはなぜですか。

一人の生徒にアルマ41:10-11を声に出して読んでもらい,他の生徒には悪事が生じる結果を探してもらいます。(以下の真理を強調してください。悪事は決して幸福を生じたことがない。

  • 戒めを破ることが幸福につながるとわたしたちを説得するためにサタンが使う策略には何がありますか。

  • 11節によると,「生まれながらの状態」にいるというのはどういう意味ですか。(「この世的な状態」「苦汁の中にあり,罪悪の縄目を受けている」および「この世で神なしに生きている」。)

  • アルマ41:10-11は,罪深さが幸せにつながらない理由を説明するためにどのように役立ちますか。(これは神の性質に反するものであり,「神の性質」は「幸福の本質」である。)

生徒たちに,わたしたちが皆アダムの堕落の影響を受け継いでいることを思い出してもらいます。一人の生徒にモーサヤ16:2-5を声に出して読んでもらい,他の生徒には人類の堕落した状態を表す言葉と句を見つけてもらいます。

  • アビナダイは,人類の堕落した状態を表現するためにどのような言葉と句を使いましたか。

  • 5節にある「とどま〔る〕」という言葉にはどのような重要性がありますか。(注—キーワードを認識することは,ここで強調することができる重要な聖文スキルです。)

  • わたしたちが罪深い堕落した状態から贖われることを可能にするのは何ですか。

生徒たちにモーサヤ3:19を黙読し,わたしたちが堕落した状態を克服できる方法を見つけてもらいます。

  • 「聖なる御霊の勧めに従〔う〕」とはどういう意味ですか。

  • 「生まれながらの人を捨て〔る〕」には何をしなければなりませんか。(生徒たちが次の原則を見いだすようにしてください。聖なる御霊の促しに従い,贖罪の力に頼るとき,わたしたちは生まれながらの人を捨てることができる。

救い主には,わたしたちが自分自身で善い人間に変わろうとするだけでは到達し得ないほどに,わたしたちをよりいっそう善い人間に変えることが可能であるということについて,これまで目にしたことのある証拠を生徒たちに考えてもらいます。数人の生徒にそれぞれの洞察を分かち合ってもらいます。

以下の質問を心の中で答えてもらいます。

  • より完全に「聖なる御霊の勧めに従〔う〕」ためには何ができますか。

  • モーサヤ3:19にリストされた子供の特性のうち,あなたが最も高める必要がある特性はどれですか。

モーサヤ5:1-5,7-827:24-26

再び生まれる

生徒たちに,イエス・キリストの贖罪のために性質に変化が起こるのを経験したモルモン書の人々の名前を挙げてもらいます。

アルマ(アルマの息子)とモーサヤの息子たちが,かつて教会員を迫害したゼラヘムラの不信仰な者たちであったことを生徒たちに思い出してもらいます(モーサヤ27:8参照)。天使の訪れの後,アルマは体の力が弱くなり,話すことができないままとなりました。3日後,アルマは力を取り戻し,彼の中で起こった奇跡的な変化について証しました(モーサヤ27:11-24参照)。

一人の生徒にモーサヤ27:24-26を声に出して読んでもらい,他の生徒にはアルマがこの奇跡的な変化をどのように説明したかを探してもらいます。

  • これらの節の中で,再び生まれるという意味を定義する助けとなる言葉と句はどれですか。

  • 26節は,どのようにわたしたちが再び生まれる必要がある理由を説明する助けとなりますか。(生徒たちが次の真理を理解するようにしてください。わたしたちは,キリストにおいて新たな者とならない限り,神の王国を受け継ぐことはできない。

霊的に再び生まれると何が起こるかを生徒たちが理解する助けとするため,一人の生徒にモーサヤ5:1-5,8を声に出して読んでもらいます。他の生徒には,ベニヤミン王の民が霊的に再び生まれることを経験したことを示す言葉または句を探してもらいます。

  • ベニヤミン王の民が霊的な変化を経験したことについて,どのような証拠を見つけましたか。(答えには次のことが含まれるようにしてください。悪を行う性癖がなくなった,絶えず善を行う望みを持っていた,知識を与えられた,喜びに満たされ,進んで主と聖約を交わした。)

  • 2および4節によると,「心の中に大きな変化」を生じさせるには何が必要ですか。(生徒たちがこの原則を見いだすようにしてください。わたしたちがイエス・キリストへの信仰を働かせ,聖なる御霊を受けるとき,心の中に大きな変化を経験することができる。

十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老が語った次の言葉を見せます。一人の生徒にこれを声に出して読んでもらい,他の生徒にはベドナー長老が心の中の大きな変化をどのように説明しているかを見つけてもらいます。

〔デビッド・A・ベドナー長老の画像〕

「心に留めてほしいのは,〔モーサヤ5〕が指す改心が小さなものではなく,大きなものであるという点です。すなわち,霊的に新しく生まれること,そして感情,願望,思考,行動,人格そのものが本質的に変化することを指すのです。実のところ,イエス・キリストの福音の真髄には,わたしたちの性質の根本的で永続的な変化が伴います。この変化は『聖なるメシヤの功徳と憐れみと恵み』に頼ることによって可能となります(2ニーファイ2:8)。主に従うことを選ぶとき,わたしたちは自分が主によって変えられること,すなわち霊的に新しく生まれることを選んでいるのです。」(「あなたがたは再び生まれなければならない」『リアホナ』2007年5月号,20)

  • 心の中の大きな変化についてのベドナー長老の説明で,特に印象に残った箇所はどこですか。

生徒たちに,心の中の大きな変化を経験し続けるには何ができるかを話し合ってもらいます。

生徒たちにモーサヤ5:7を黙読し,わたしたちが再び生まれることによってイエス・キリストとわたしたちの関係がどのように変わるかを見つけてもらいます。

  • わたしたちはどのようにイエス・キリストの子となりますか。

生徒たちに「キリストの子」となる重要性について考えてもらい,これがどのように再び生まれることを求めるときの動機となるべきかを発表してもらいます。

アルマ5:14,26-27エテル12:27

霊的に再び生まれるには時間と努力が必要である

一人の生徒に十二使徒のD・トッド・クリストファーソン長老の次の言葉を読んでもらい,他の生徒にはクリストファーソン長老が改心を得る過程をどのように説明しているかを聞き取ってもらいます。

〔D・トッド・クリストファーソン長老の画像〕

「皆さんは,こう尋ねるかもしれません。『なぜその大きな変化はもっと早くわたしに起きないのでしょうか。』ベニヤミン王の民やアルマ,聖文に登場する他の人々の目覚ましい例もありますが,それは驚くべきことであり,全てがそうではありません。多くの人にとって,その変化は少しずつ時間をかけて起こります。再び生まれるとは,肉体的な誕生とは異なり,一つの出来事ではなく一連の過程です。その過程を踏むことが,現世における最も大切な目的なのです。

また同時に,いいかげんな努力を正当化しないようにしましょう。悪を行おうという性癖をいささかでも持つことのないようにしましょう。毎週,聖餐を頂くにふさわしい者となり,心の中に汚れた部分が少しでもあるなら根絶できるよう引き続き聖霊に頼りましょう。霊的に再び生まれるという道を歩み続けるときに,イエス・キリストの贖いの恵みが皆さんの罪と罪の汚れを取り去り,誘惑はその力を失うことを証します。そしてキリストにより,皆さんはキリストや御父が聖なる御方であられるように,聖くなることができると証します。」(「再び生まれる」『リアホナ』2008年5月号,78)

  • クリストファーソン長老によると,再び生まれるということが一つの出来事ではなく一連の過程であるのはなぜですか。

  • 霊的に再び生まれる過程は,どのようにわたしたちが天の御父と御子イエス・キリストのように神聖になる助けとなりますか。(生徒たちが次の真理を見いだすように助けてください。イエス・キリストの恵みを通じて,わたしたちは赦され,霊的に生まれ変わる過程を進む助けを受ける。

生徒たちが恵みの意味をよりよく理解することを助けるため,『聖書辞典』(Bible Dictionary)からの記述を分かち合うことを検討してください。

「主の恵みによって,またイエス・キリストの贖いに対する信仰と罪の悔い改めを通じて,一人一人が自分の力だけではできないような善い業を行う力と助けを受けます。誰であろうと最善の努力をするなら,この恵みによって永遠の命と昇栄を得ることができます。」(Bible Dictionary, “Grace”

生徒たちにアルマ5:14,26-27を黙読し,アルマが霊的に再び生まれる過程を既に始めており,心の変化を経験した人に教えた事柄を探してもらいます。アルマの質問にどのように答えるかを生徒たちに深く考えてもらいます。

  • 27節によると,わたしたちが心の変化を受けた後でしなければならないことは何ですか。(罪のない状態で神の前を歩み,謙遜になり,罪の赦しを求める必要がある。)

  • 謙遜さが心の変化を維持するために非常に重要な部分であるとアルマが教えたのはなぜだと思いますか。

わたしたちが心の変化を求めるときに謙遜の力が非常に重要である理由を主がエテルにお教えになったことを生徒たちに伝えます。聖文の原則には…ならば,…となるという言葉が頻繁に使用されることを生徒に思い出してもらい,エテル12:27を黙読して「…ならば,…となる」原則を探してもらいます。生徒たちが発表するときに,次の原則を話し合います。イエス・キリストのもとに来るならば,主は各々の弱さを示される。へりくだり,主を信じるならば,主は弱さを強さに変えてくださる。

  • 自分の弱さを認めることが大切なのはなぜだと思いますか。

  • 「へりくだる全ての者に対して,わたしの恵みは十分である」という句は何を意味すると思いますか。

七十人のブルース・C・ヘーフェン長老の次の言葉を見せて,生徒の一人に声に出して読んでもらいます。

〔ブルース・C・ヘーフェン長老の画像〕

「問題があっても,自分が悪いのだと決めつけないでください。問題に遭うことは,根本的な人生の目的だからです。神に近づくにつれ,人は神から弱さを示され,それによってさらに賢く,強くなれるのです。自分の弱さがたくさん目に入るのは,神から離れているからではなく,少しずつ近づいているからかもしれないのです。」(「贖い-すべてを受けるためにすべてをささげる」『リアホナ』2004年5月号,97)

  • わたしたちが自分の弱さを認識するときに落胆しないようにするには何ができるでしょうか。

わたしたちが霊的に再び生まれようとするとき,イエス・キリストの恵みがわたしたちの弱さを克服するための助けとなることについての証を述べます。

生徒用資料