第14課
神の解放する力
はじめに
モルモン書には,何らかの形で捕らわれの身となった個人と民についての数多くの記述が含まれています。これらの記述の多くは,イエス・キリストが偉大な解放者であり,脱出や救出が不可能に思えるときの救いの源であることを説明しています。悔い改め,謙遜,そして祈りを通してわたしたちが主に近づくとき,わたしたちは神の解放の力を求め,それを受けるための霊的な準備をよりよく整えることになります。
背景となる読み物
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L・トム・ペリー「解放する力」『リアホナ』2012年5月号,94-97
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ダリン・H・オークス「主は重荷を負っている人を癒される」『リアホナ』2006年11月号,6-9
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デビッド・A・ベドナー「容易に重荷に耐えられるように」『リアホナ』2014年5月号,87-90
教えるための提案
1ニーファイ1:20;アルマ36:1-3,27-29
神は偉大な解放する力をお持ちである
生徒たちに,大きな難題や苦難に直面した人の勇気と力に感動したときのことを考えてもらいます。彼らが目にしたことを簡単に発表してもらいます。
生徒たちに1ニーファイ1:1を黙読し,人生の中で経験した困難についてニーファイが言った事柄を探してもらいます。
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ニーファイは,「多くの苦難」を経験した後の気持ちをどのように要約していますか。
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難題や苦難を経験しているときでさえも,人が「主の厚い恵みを受け〔た〕」と感じることができるのはなぜだと思いますか。
生徒たちに1ニーファイ1:1と1ニーファイ1:20とを相互参照して,ニーファイが「主の厚い恵みを受け〔た〕」と感じたことを説明した理由を探してもらいます。
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この節にあるどのような原則が,難題や苦難を経験するときに人が望みを抱く助けとなりますか。(生徒たちが次の原則を見いだすようにしてください。イエス・キリストへの信仰を実践するとき,わたしたちは神の憐れみと解放を受けることができる。)
「わたしニーファイはあなたがたに示そう」という句が,神の解放する力の例を記録するというニーファイの意図を表していることを説明します。生徒たちに1ニーファイ1-8章と16-18章をざっと読んでもらい,ニーファイの人生から神の解放する力を表している例を見つけてもらいます。生徒たちに,見つけた例を簡単に発表してもらいます。例を見つけるのが難しい場合は,次の節の幾つかを紹介してもよいでしょう。1ニーファイ3:23-31;4:1-18;7:16-19;8:7-12;16:10,18-31,36-39;17:48-55;および18:1-3,11-21
十二使徒定員会のL・トム・ペリー長老(1922-2015年)による次の言葉を声に出して読みます。
「モルモン書に記されている話の多くは,解放に関する話です。リーハイが家族とともに荒れ野へ立ち去ったのは,エルサレムの滅亡から救い出されるためでした。ヤレド人の話は解放についての話であり,ミュレク人の話もそうです。息子アルマは罪から解放されました。ヒラマンの若い兵士たちは戦いで救われました。ニーファイとリーハイは獄から救い出されました。解放というテーマは,モルモン書の至る所に見ることができます。」(「解放する力」『リアホナ』2012年5月号,94)
霊的な解放の例として,アルマが息子のヒラマンに罪からの解放について説明したことを伝えます。一人の生徒にアルマ36:1-3を声に出して読んでもらい,別の生徒にアルマ36:27-29を声に出して読んでもらいます(アルマ5:1-12にも同じような勧告が含まれていることに留意してください)。他の生徒には,一緒に黙読しながら苦痛や苦難に苦しむ人の助けとなる可能性がある洞察を探してもらいます。
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これらの節の中で,身体的,または霊的な苦難に直面している人の助けとなり得るどのような洞察を見つけましたか。
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今日,人々はどのような身体的または霊的な束縛に直面しますか。(例には,健康上の問題,麻薬およびポルノグラフィーへの依存,貧困,虐待,差別,罪,不信仰,および反抗などが含まれます。)
十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老の次の言葉を見せて,それを読みます。
「たばこや麻薬,ギャンブル,または人を滅ぼす現代の疫病であるポルノグラフィーなど,中毒という魔物と闘っている人はいませんか。結婚生活がうまくいっていない人,子供が危険にさらされている人はいないでしょうか。性同一性の問題で悩んでいる人はいませんか。自分に自信が持てなくて困っている人はいませんか。病気やうつ状態,死に直面している人はいないでしょうか。……こうした悩みにどのような解決策を取る必要があるにせよ,まず最初に,キリストの福音に照らして考えてください。天与の約束を信頼してください。この点に関してアルマの次の証はわたしの証でもあります。『神に頼る者はだれであろうと,試練や災難や苦難の中にあって支えられ……るとういことをわたしは知っている……。』〔アルマ36:3〕」(「壊れたものを元どおりに」『リアホナ』2006年5月号,70)
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ホランド長老は,何がわたしたちの悩みや難題を解決し始める助けとなると言いましたか。
1ニーファイ6:4;モーサヤ21:2-5,14-16;23:23-24;24:13-15,21;アルマ34:9;ヒラマン5:9
イエス・キリストは解放の源である
生徒たちに,作家が本を書こうという動機を持つ異なる理由を考えてもらいます。(例えば,物語を語りたい,ある題材における専門的な意見を述べたい,または生計を立てたい,など。)何人かの生徒にアイデアを発表してもらった後,生徒たちに1ニーファイ6:4を黙読し,ニーファイが記録を書き記す動機を得た理由の一つを見つけてもらいます。
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預言者ニーファイは,記録を書き記す目的が何であったと言っていますか。(ニーファイは,人々が神のもとに来て救われるように説き勧めたいと願った。)
神の救いの力は,解放する力であることを生徒に証します。
次をホワイトボードに書き写し,これらの節が解き放たれることを必要とする人々を説明していると生徒に伝えます。
リムハイの民 |
アルマの民 |
全ての人々 |
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ホワイトボードにある節を生徒たちに黙読してもらい,それぞれの節が難題や困難からの解放の源について何を教えているかを探してもらいます。
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これらの節から,解放の源について何を学びますか。(生徒が答えたら,次の教義を強調します。イエス・キリストは,迷い堕落した状態,および現世におけるその他の難題からわたしたちを解放する力をお持ちである。)
大管長会ヘンリー・B・アイリング管長の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「神の解放する力について証を述べたいと思います。わたしたちは皆,人生の中でいずれはその力を必要とするでしょう。生きている全ての人が試しのさなかにいるのです。……わたしたちは皆,二つの共通点を持つことになります。これらは,現世における人生のための設計の一部です。
まず一つ目は,時折直面する試練によって,わたしたちは自分自身の能力を超える助けの必要性を感じるに十分なほど力を出し尽くしてしまうという点です。二つ目は,慈愛と英知をお持ちである神が,わたしたちが解放の力を受けることを可能にしてくださったという点です。」(“The Power of Deliverance”〔ブリガム・ヤング大学ディボーショナル,2008年1月15日〕1,speeches.byu.edu〔英語〕)
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苦難のさなかで「自分自身の能力を超える助け」を受けたことはありますか。
時間があれば,モーサヤ24:13-15にあるアルマの民の記述を参照して,神による解放は重荷が取り除かれることを必ずしも意味しておらず,その代わりに神は度々重荷を負うわたしたちの力を強めることによってわたしたちを解放してくださる,という見解を説明してもよいでしょう。生涯続く健康の問題など,これらの状況には辛抱強さと忍耐が必要となります。解放は,神御自身の方法で,かつ神の時間表に従って与えられます。
モーサヤ7:33;29:20;アルマ58:10-11;3ニーファイ4:33
解放する力を受ける
自分が脱出や救出が不可能に思えるような状況に置かれたときでも,わたしたちそれぞれのために望みがあることを証します。聖文には救い主の解放の力を受ける方法についての手順が記載されていることを生徒に思い出してもらいます。
ホワイトボードに次の参照聖句を書きます。(括弧内の内容は書かないでください。これらは教師が使用することを目的とする情報です。)生徒たちに,各節を読み,救い主の解放の力を受けるために役立つ行動を調べてもらいます。
十分に時間を取ってから,生徒たちに見つけた行動を発表して話し合ってもらい,生徒の答えをホワイトボードに書きます。以下の原則を強調します。わたしたちが固い決意をもって主に立ち返り,悔い改めと謙遜の気持ちを持って神の助けを祈り求めるならば,神の解放の力を受けることができる。
ヘンリー・B・アイリング管長の次の言葉を見せます。
「主は常に,わたしたちが義の状態を高めることを通じてわたしたちを解放に導きたいと願っておられます。これには悔い改めが必要です。謙遜になることが必要です。主がわたしたちの手を取って導いてくださることを可能にするため,解放には常に謙遜さが必要とされるのです。主はわたしたちが悩みを切り抜け,清くなるよう手助けすることを望んでおられるのです。」(“The Power of Deliverance”〔ブリガム・ヤング大学ディボーショナル,2008年1月15日〕,4,speeches.byu.edu〔英語〕)
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悔い改め,謙遜,および祈りは,主の解放する力を受けるためにどのように役立ちますか。
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あなた,または知っている人が解放のために主に立ち返り,それを受けたことはありますか。その経験は,イエス・キリストへの信頼をどのように高めましたか。
生徒たちに,それぞれの生活の中で主の解放する力を経験したときのことを深く考えてもらいます。将来覚えておくために,それらの経験を記録しておくよう生徒に勧めます。神聖すぎたり,個人的すぎない経験を生徒に分かち合ってもらってもよいでしょう。
生徒用資料
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1ニーファイ1:20;6:4;モーサヤ7:33;21:2-5,14-16;23:23-24;24:13-15,21;29:20;アルマ34:9;36:1-3,27-29;58:10-11;ヒラマン5:9;3ニーファイ4:33
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L・トム・ペリー「解放する力」『リアホナ』2012年5月号,94-97