セミナリー・インスティテュート
第9課:「神の王国を求めなさい」


第9課

「神の王国を求めなさい」

はじめに

モルモン書の預言者ヤコブが,神の王国を求めるよう人々を励ましたのは(モルモン書ヤコブ2:18参照),その当時,高慢,富への執着,不道徳が深刻な問題であったからでした。これらの罪は,地上における神の王国の一致と進歩に対する脅威でした。神の王国を求めるとは,生活の中で福音に従った生活を最優先することです。このレッスンは,生徒たちが罪を捨て,神の王国をより完全に求める助けとなります。

背景となる読み物

  • ディーター・F・ウークトドルフ「高慢と神権」『リアホナ』2010年11月号,55-58

  • 「『あなたはわたしのほかに,なにものをも神としてはならない』」『歴代大管長の教え—スペンサー・W・キンボール』第14章,145-153)

  • 「一番大切な戒め-主を愛する」『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン』第1章,33-40

教えるための提案

アルマ7:14-16,19,21-24

モルモン書は,神の王国に通じる道に従う方法を教えています。

生徒たちに,彼らが「良好な動作状態」を保つために定期的にチェックする必要がある事柄を考えてもらいます(例えば,エンジンオイルや煙探知機の電池のチェック,医者や歯医者の検診を受けるなど)。

  • これらを定期的にチェックすることの利点は何ですか。(問題を修正し,将来の問題や危険を避けることができる。)

これと同様に,わたしたちも弱点を見極め,危険を避けるために自らの霊的な生活の状態を常に見直す必要があります。

アルマ(アルマの息子)が大祭司として奉仕していたときに,ギデオンの教会の人々を訪問し,それぞれの霊的な状態を見直すように勧めました。生徒たちにアルマ7:19を黙読し,ギデオンの民の霊的な状態を探してもらいます。

  • アルマは,ギデオンの民の霊的状態についてどのように説明していますか。(民が「神の王国に通じる道にいる」。)

「神の王国」には,少なくとも二つの異なる意味があることを説明します。一つはこの世での王国,もう一つは日の栄えの王国です。一人の生徒に,十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老(1915-1985年)による次の言葉を声に出して読んでもらい,アルマ7:19では「神の王国」が日の栄えの王国を指すことを生徒たちが理解するように助けます。

〔ブルース・R・マッコンキー長老の画像〕

「末日聖徒イエス・キリスト教会は,今日この世の神の王国として構成されています。……永遠の世界では,日の栄えの王国が神の王国です。……福音は,人を日の栄えの王国での受け継ぎに対して備えさせるように設計されています。」(Mormon Doctrine, 第2版〔1966年〕,415-17)

生徒たちにアルマ7:14-16を読み,アルマが永遠の命を受け継ぐためにしなければならないと人々に教えた事柄を探してもらいます。

  • アルマが,人々が既に義の道にいるにもかかわらず悔い改めるよう勧めたのはなぜだとますか。(ギデオンの民は,義の道にとどまる必要があった。)

数人の生徒に交代でアルマ7:21-24を声に出して読んでもらいます。他の生徒には,神の王国を受け継ぐ助けとなる行動および特性を見つけてもらいます。

  • 神の王国に通じる道に従うには,何をしてどのようになる必要がありますか。(次の原則をホワイトボードに書くことによって,生徒の答えを要約します。わたしたちは,福音の原則に従って生活することによって,神の王国に通じる道に従う。

生徒たちに,各自の行動が,どのようにイエス・キリストのようになり,神の王国に近づくための助けとなっているかを考えてもらいます。生徒たちに,現在の進歩の度合いについてどのように感じているかを考えてもらいます。

1ニーファイ10:212ニーファイ9:39モルモン書ヤコブ2:12-14,20-283:10-12モーサヤ2:20-254:13,21-263ニーファイ12:27-30

富への執着,高慢,不道徳はわたしたちが神の王国を求める妨げとなる

モルモン書の全体を通じて,神の預言者が罪について人々に警告していることを説明します。例えば,ヤコブは「神にとっても忌まわしく思われる」罪のために彼の民を叱責するよう主から命じられました(モルモン書ヤコブ2:5)。

ホワイトボードに次の参照聖句を書きます。モルモン書ヤコブ2:12-14モルモン書ヤコブ2:20-21,およびモルモン書ヤコブ2:23-28生徒たちにこれらの節をざっと読んでもらい,ヤコブが言及した特定の罪を見つけてもらいます。これらの罪を説明する言葉または句に印をつけるよう生徒に提案します。十分な時間を取った後,各節でヤコブが採り上げた罪を生徒に発表してもらいます。ホワイトボードの参照聖句の上に,生徒が見つけた罪を次のように書きます。

富への執着

高慢

不道徳

モルモン書ヤコブ2:12-14

モルモン書ヤコブ2:20-21

モルモン書ヤコブ2:23-28

一人の生徒にモルモン書ヤコブ3:10-12を声に出して読んでもらい,他の生徒には,ヤコブが人々の罪の深刻さを表現するために使った言葉や句を探してもらいます。

  • どのような言葉または句が人々の罪の深刻さを表現していますか。

  • ヤコブは,罪の「恐ろしい結果」という句を使いました(12節)。生徒たちにモルモン書ヤコブ3:12と,2ニーファイ9:39および1ニーファイ10:21とを相互参照してもらいます。一人の生徒に,これらの節それぞれを声に出して読んでもらいます。他の生徒には,その他の罪の結果を探してもらいます。生徒たちに,高慢,不道徳,および富への執着などの罪が神の王国を求める者にどのように影響するかについて,これらの節から真理を見いだしてもらいます。(生徒たちが次のような真理を見いだすようにしてください。罪は霊的な死につながり,神の王国に入る妨げとなる。

ホワイトボードに次の参照聖句を書き加えます。

富への執着

高慢

不道徳

モルモン書ヤコブ2:12-14

モーサヤ4:13,21-26

モルモン書ヤコブ2:20-21

モーサヤ2:20-25

モルモン書ヤコブ2:23-28

3ニーファイ12:27-30

生徒たちに書き加えた節の一つを選んで読んでもらいます。富への執着,高慢,不道徳の罪を避ける方法を探してもらいます。十分な時間を取った後,見つけた事柄を発表してもらいます。

  • これらの節にある勧告に従うことは,どのように教会員が神の王国を求め,地上にある主の教会を強めるための助けとなりますか。

マタイ6:33モルモン書ヤコブ2:17-19

他の関心事の全てに優先して神の王国を求めるべきである

富への執着,高慢,および不道徳についての民に対する警告に加え,ヤコブは彼らの義に反する望みを克服するために役立つ勧告をしました。一人の生徒にモルモン書ヤコブ2:17-19を声に出して読んでもらい,他の生徒にはヤコブの勧告を探してもらいます。

  • ヤコブの勧告から,罪を避けるために役立つどのような事柄を学ぶことができますか。(生徒たちが次の事柄を見いだすようにしてください。神は,その他全ての関心事に優先して神の王国を求めるように命じられた。

  • まず最初に神の王国を求めるとは,あなたにとってどのような意味があるでしょうか。

エズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

〔エズラ・タフト・ベンソン大管長の画像〕

「神を第一にするとき,他の全ての事柄は正しい位置に落ち着くか,またはわたしたちの生活の中から消えていくかのどちらかです。主への愛が,感情の欲求や時代の要求,興味,物事の優先順位を左右するのです。」(『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン』36

  • 神を最優先するときに「正しい位置に落ち着くか,またはわたしたちの生活の中から消えていく」事柄の例を幾つか挙げてください。

  • あなたの生活の中で天の御父と神の王国を最優先したことから,物事が正しい位置に落ち着くか,生活の中から消えていった事柄の例を一つ挙げてください。

  • 高慢,富への執着,不道徳,またはその他の罪に誘惑されたときに神を第一にすることは,わたしたちにどのように影響しますか。

一人の生徒に,マタイ6:33を声に出して読んでもらいます。ジョセフ・スミス訳には次のように書かれていることを生徒に説明します。「だから,この世のものを求めないで,まず,神の王国を築き,神の義を打ち立てることを求めなさい。そうすれば,これらのものはすべて添えて与えられるであろう。」(「聖書のジョセフ・スミス訳〔抜粋〕」マタイ6:38『聖句ガイド』307)

十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の言葉を見せます。

〔ダリン・H・オークス長老の画像〕

「『まず,神の王国を築〔く〕ことを求め〔る〕」という言葉の意味するところは,神とその業を優先順位の第一に置く,ということです。神の業とは,神の子供たちの永遠の命,およびそれに伴う全ての事柄をもたらすことです(モーセ1:39参照)。……それ以外のことは全て,優先順位の下位の方に位置します。……誰かが言ったように,もし神の王国を第一に選ばなかったなら,その代わりに何を選んだとしても,最後には大した違いはなくなってしまうでしょう。」(「的を絞ることと優先順位」『聖徒の道』2001年7月号,101参照)

  • 教会のヤングアダルトの会員が「神の王国を築く」方法には何があるでしょうか。

一人の生徒に,十二使徒定員会のロバート・D・ヘイルズ長老の次の言葉を声に出して読んでもらいます。

〔ロバート・D・ヘイルズ長老の画像〕

「神の王国にあることを選ぶことにより,わたしたちは自分を世から区別します。隔離するのではありません。わたしたちは慎み深い服装をし,清い思いを持ち,きれいな言葉遣いをします。わたしたちが見る映画やテレビ,わたしたちが聴く音楽,わたしたちが読む本,雑誌,新聞は,どれも霊を鼓舞してくれるものです。わたしたちは永遠の目的の達成を励ましてくれる友人を選び,優しさをもって人と接します。不道徳,賭博,タバコ,酒,および法で禁じられている薬物を遠ざけます。わたしたちが安息日に行う活動は,安息日を覚えて聖とするようにという神の戒めを反映したものです。人と接するときにはイエス・キリストの模範に従います。主の宮に入るにふさわしい生活をします。」(「バプテスマの聖約—王国にあって王国のものとなる」『リアホナ』2001年1月号,8-9)

  • 神の王国を求めることは,どのようにわたしたちの生活における全ての面に大きな影響を与えますか。

  • 神の王国を求めることは,あなた,または家族や知り合いの生活にどのように影響しましたか。

これからも神の王国を求めていくため,何をすることができるかを生徒たちに深く考えてもらいます。御霊の促しに耳を傾け,これからの計画を書き留めるよう生徒たちを励まします。わたしたちの生活の中で神を第一とすることによってもたらされる祝福について証します。

生徒用資料