テレビゲームの信号
ネイサンはどうすれば信号を青にできるでしょうか?
ネイサンの指はコントローラーのボタンをはげしくおしていました。もう少しでこのレベルをクリアできそうです!ロケット船が緑色の爆風をよけていく間,ネイサンはテレビをじっと見つめていました。
「ネイサン,夕食の時間よ!」ママがよびました。
バーン!ネイサンの船がぶつかりました。ネイサンはうなりました。これで,もう一度やり直さなければなりません。でも,あと1回やれば,このレベルをクリアできると分かっていました。
パパが部屋に入って来ました。「ママの声が聞こえたかい?夕食の時間だよ。」
ネイサンはため息をつき,ゲームを一時停止しました。ネイサンとパパは,残りの家族と一緒に席につきました。ネイサンはご飯を大急ぎで食べました。早くゲームにもどりたかったのです。
「ごちそうさま!おいしかった。」ネイサンはテーブルから飛び出しました。
「こらこら,落ち着いて」とパパが言いました。「ママとパパから話があるんだ。」
大変です。ネイサンはしかられるのでしょうか?
みんなが食べ終わると,ママとパパはネイサンと一緒にテーブルに残りました。
「ネイサンは,テレビゲームにたくさんの時間を使っているね」とパパが言いました。
ネイサンはもじもじしました。「すごく楽しいんだよ。」
「そうね」とママは言いました。「でも,楽しいことはほかにもあるでしょう。昨日,家族でゲームをしていたときに,あなたがいなくてさびしかったわ。あなたが一緒だと,みんないつももっと楽しいのよ!」
ネイサンは昨晩,すばらしいボーナスレベルに取り組んでいました。クリアするころには,家族のゲームは終わっていました。少しさびしく感じました。
ネイサンはしかめっ面をしました。「それは,もうテレビゲームをしてはいけないってこと?」
「そう言っているわけではないんだ」とパパは言いました。「ゲームにどれだけの時間を使っているか,もっと気づいてほしいんだ。そしてゲームのために,お手伝いや宿題,聖文研究など,ほかの大切なことができなくならないようにしてほしいんだ。」
ネイサンはうつむきました。「できていなかったことはいくつかあると思う。」
「ネイサンなら,もっとうまくバランスを取る方法を見つけられると信じているよ」とパパは言いました。
「助けてくれる?」ネイサンはたずねました。
ママはにっこりしました。「もちろんよ。」
ネイサンとママとパパは一緒に,ネイサンがテレビゲームに毎日どれくらいの時間を取るのがよいか決めました。そして,ある計画を思いつきました。テレビの横に信号のポスターをはるのです。ママとパパがよんだときに,ネイサンがゲームをやめることができたら,信号は黄色です。2回以上よばなければならなかったときは,赤になります。そして,よばれる前に自分でやめられたら,青になるのです。
毎晩ねる前に,ネイサンがその日どうだったかを親子で話し合います。もし信号が赤だったら,次の日は遊ぶ時間が少なくなります。でも,もし青が続いたら,ママとパパが宇宙博物館に連れて行ってくれるのです!
ネイサンは,自分の習慣を変えるのはむずかしいことだと分かっていました。でもネイサンは挑戦する用意ができていました。
最初の数日間,信号は黄色のままでした。その後,ネイサンは失敗してしまい,赤になりました。次は一生懸命がんばりたいと思いました。そこで次の日,どれくらい長くゲームをしているか分かるように,アラームをセットしました。そしてついに,青がついたのです!
青信号が何日か続いた後,ママとパパが宇宙博物館に連れて行ってくれました。ネイサンは巨大なロケットをじっと見上げました。ゲームに出てくるロケットみたいでしたが,もっとかっこいいものでした。ネイサンはにっこり笑いました。ママとパパと一緒に博物館ですごすのは楽しいことでした。ネイサンは自分がどのくらい青信号を続けられるか見てみたいと思いました。