第11課
教義と聖約における主の声
はじめに
教義と聖約は,末日の預言者に神が語られること,および神がイエス・キリストの再臨のためにこの世を備えておられることの証拠です。教義と聖約に記録された啓示を読むときに,わたしたちはイエス・キリストの声を聞くことができます。教義と聖約の重要さを理解するとき,わたしたちは地球上のあらゆる富よりもその教えを重んじるようになります。
背景となる読み物
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エズラ・タフト・ベンソン「モルモン書と教義と聖約」『リアホナ』2005年1月号,8-12
教えるための提案
教義と聖約の序文
教義と聖約における主の声
エズラ・タフト・ベンソン大管長による次の声明を掲示します。一人の生徒にそれを声に出して読んでもらい,他の生徒には一緒に黙読してもらいます。
「モルモン書は人々をキリストのもとへ導き,教義と聖約は神の王国,すなわち末日聖徒イエス・キリスト教会,『全地の面に〔ある〕唯一まことの生ける教会』に人々を導きます(教義と聖約1:30)。わたしはそのことをはっきりと知っています。
モルモン書はわたしたちの宗教の『かなめ石』であり,教義と聖約は,末日に続けて与えられる啓示とともに,『かさ石』と言うことができます。主はこのかなめ石とかさ石の二つに承認の印を押しておられます。」(「モルモン書と教義と聖約」『リアホナ』2005年1月号,8-10)
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教義と聖約では,教会,そして個々の会員に対するこの書物の重要性を示されているどのような記述を見つけましたか。
生徒にそれぞれの聖典で,教義と聖約の最初の部分にある教義と聖約の序文を開いてもらいます。二人の生徒に1および3段落目を順番に声を出して読んでもらい,残りの生徒には一緒に黙読してもらいます。クラス全員に,教義と聖約が他の聖典とは異なる点を探してもらい,序文が主の声に耳を傾けることに重点を置いていることに注意を向けてもらいます。その後,次の質問をします。
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教義と聖約は,他の標準聖典とはどう違いますか。
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序文では,「主イエス・キリストの声」について何が書かれていますか。(生徒たちが,教義と聖約を研究するときに,主イエス・キリストの声を認識することを学ぶことができるという点を理解するように助けます。「主の声」という表現,またはその変形が教義と聖約で40回以上繰り返されること〔例えば,教義と聖約1:2;18:35-36;76:30を参照〕,および「主なる神は,このように言う」という表現が教義と聖約で60回以上繰り返されること〔例えば,教義と聖約36:1;56:14〕を説明します。)主の声を聞くことは,教義と聖約の重要なテーマです。
生徒に十二使徒定員会のニール・A・マックスウェル長老(1926-2004年)による次の声明を掲示します。一人の生徒にそれを声に出して読んでもらい,他の生徒には一緒に黙読してもらいます。
「主が語られるのを『聞く』機会が最も多い聖典はどれかと尋ねられたら,多くの人はまず最初に新約聖書を思い出すでしょう。新約聖書は,メシアの偉業と多くの教義がまとめられたすばらしい書物です。しかし,教義と聖約では,わたしたちは主の御言葉だけでなく,主の声も受けるのです。まるで主が語られているのが「聞こえて」くるようです。」(「教義と聖約:主の声」,Ensign, 1978年12月号,4)
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教義と聖約を研究することによって主の声を聞き,認識することを学ぶことは,あなたの生活にどのような違いを生じるでしょうか。
生徒に,教義と聖約の序文の第8段落を数分調べてもらいます。生徒に,教義と聖約に記録されている教義を見つけてもらいます。十分な時間を取ってから,次の質問をします。
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教義と聖約を「教会にとって全地の富よりも価値あるもの」としているものは何ですか。
七十人のスティーブン・E・スノー長老の教義と聖約に記録された啓示についての話を生徒に教えることを検討します。
「これらの霊感を与える啓発的な啓示を通して,教義と聖約は重要な教義を教え,繰り返します。……ジョン・A・ウィッツオー長老(1872-1952年)は,『末日聖徒イエス・キリスト教会によって教えられた全ての教義は,教義と聖約で説明されているか,予表されています。わたしが知る限りでは,教会によって教えられた教義で,この書の中で何らかの方法または形で記述されていないものはありません。』と書いています。また,教義と聖約は『我々の神聖な書物の中でも,教会の全ての教義の完全な概説であると主張できるものは他にない』〔“The Message of the Doctrine and Covenants”(1969),117〕ため,必要不可欠であるとも述べています。」(“Treasuring the Doctrine and Covenants,” Ensign, 2009年1月号,52)
生徒たちに,教義と聖約の研究がそれぞれの生活をどのように祝福したかを分かち合ってもらいます。
教義と聖約1:1-17;5:10
教義と聖約の背景
教義と聖約第1章に記録されている啓示は,もともとジョセフ・スミスの啓示の最初の集大成であった『戒めの書』の序文として主から与えられたものであることを説明します。この啓示の一群は後に,さらに多くの預言者の啓示,およびLectures on Faith(信仰講話)とともに教義と聖約として出版されました。第1章では,わたしたちの時代におけるこの聖典の必要性について書かれています。一人の生徒に,教義と聖約第1章の前書きを声に出して読んでもらいます。次の質問をして,生徒たちがこの章の前書きを分析できるよう助けます。
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長老たちの特別大会では何が決議されましたか。(その時点までにジョセフ・スミスが受けた啓示を書物として出版すること。この書物はもともと戒めの書と呼ばれていたが,後に教義と聖約と呼ばれるようになったことを思い出してもらいます。)
数人の生徒に,教義と聖約1:1-5を声に出して順番に読んでもらいます。その後,次の質問をします。
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これらの節では,イエス・キリストは誰に語っておられますか。
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あなたなら,これらの節に記録された主なメッセージをどのように要約しますか。
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主はどのような方法で全ての人々に警告を与えると言われましたか。(生徒は,主は御自分が選んだ弟子たちを通じて全ての人々に警告されるという教義を見いだすだろう。)
一人の生徒に,教義と聖約1:12を声に出して読んでもらいます。その後,次の質問をします。
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12節によると,主がこの世に備えるよう求めておられるのは,どの出来事に対してでしょうか。(「主は近い」とはイエス・キリストの再臨を意味していることを説明するとよいでしょう。)(生徒が答えた後,聖文を明確にし,理解を深めるため,常に脚注を参照するように勧めてもよいでしょう。)
生徒に,わたしたちが住む世界についての主の描写を探しながら教義と聖約1:14-16を黙読してもらう。見つけた事柄を生徒に発表してもらってから,17節を読み,主が14-16節で描写されている問題に対応するために何をされたかを説明してもらいます。
一人の生徒に,教義と聖約5:10を声に出して読んでもらい,クラスには一緒に黙読してもらいます。その後,次の質問について話し合います。
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ジョセフ・スミスの特別な召しについて,この文章から何を学ぶことができますか。(生徒は,主は,御自身の言葉をこの世に伝えるためにジョセフ・スミスを召されたという真理を見いだすでしょう。)
一人の生徒に,十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老による次の声明を読んでもらいます。
「ジョセフ(スミス)の残した最大の偉業は,変わることのない啓示の遺産です。一度限りの,証拠も結果も見えないような啓示ではありません。「あらゆる善良な人の心にゆっくりと浸透する穏やかな霊感」でもありません。……忠実な末日聖徒の学者である友人が簡潔に述べたように,『古い価値観を打ち破ろうとした啓蒙思想家の合理的な考え方によって,キリスト教の土台が攻撃されたときに,ジョセフ・スミスは〔完全に,独りで〕近代のキリスト教を啓示によって本来あるべき姿に戻したのです。』「〔リチャード・L・ブッシュマン,“A Joseph Smith for the Twenty-First Century,” Believing History〔2004年〕,274〕」(「預言者,聖見者,啓示者」『リアホナ』2004年11月,6)
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このレッスンは,教義と聖約の目的と重要性に対する理解をどのように深めましたか。
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教義と聖約は,ジョセフ・スミスの神の預言者としての神聖な召しについてのあなたの証をどのように強めましたか。
教義と聖約に記録された教義,原則,および真理について証を述べたい生徒がいるかどうか尋ねてから,クラスを終了します。
生徒用資料
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エズラ・タフト・ベンソン「モルモン書と教義と聖約」『リアホナ』2005年1月号,8-12