ライブラリー
第8課:末日におけるイスラエルの集合


第8課

末日におけるイスラエルの集合

はじめに

教会を設立してから1年以内に,主は聖徒たちがオハイオ地域に集まるよう命じられました(教義と聖約37:3)。そのときから,末日聖徒は,生ける預言者に従い,生きるための安全な場所を築くために,別々の場所に集合していました。このレッスンでは,生徒たちは,主が御自身の民を強めるために彼らを集め,神殿の祝福を含むさらに大きな祝福を受ける備えをさせたことを学びます(教義と聖約84:4参照)。

背景となる読み物

教えるための提案

教義と聖約38:31-3339:1595:8110:9

オハイオに集まるように告げられる

教義と聖約の後ろにある地図「アメリカ合衆国のニューヨーク,ペンシルベニア,オハイオ州地域」(教会歴史の地図3),またはこの地域の別の地図を掲示します。

地図,合衆国北東部

生徒たちに,回復に関する次の重要な出来事の大まかな場所を認識してもらいます。最初の示現(ニューヨーク州マンチェスター),神権の回復(ペンシルベニア州ハーモニー),および教会の設立(ニューヨーク州フェイエット)。

その後で,数人の生徒に次の言葉を順番に読み上げてもらいます。

「カートランドで新たに改宗した牧師,シドニー・リグドンとその友人でまだ新会員ではないエドワード・パートリッジは,預言者ジョセフ・スミスに会って教会の教えをさらに詳しく聞こうと思っていた。1830年12月,二人は250マイル以上の道のりをニューヨーク州フェイエットに出向き,ジョセフ・スミスと会った。二人はジョセフに,自分たち並びにカートランドの聖徒たちへの主の御心を知りたいと願った。その答えとして,主は彼らに『オハイオに集まる』ようにとの啓示を授けられた(教義と聖約37:3)。1831年1月2日にホイットマーの農場で開かれた教会の3回目の,そしてニューヨーク州での最後の大会で,主は〔オハイオに集まるようにとの〕聖徒たちへの指示を繰り返された。……これが今の神権時代になって初めての集合の呼びかけである。 ……

……約68人のコールズビル支部の会員が1831年の8月中旬,オハイオへと向かった。主の命令に対して同じように従順であったのが,フェイエット支部からの80人の聖徒と,マンチェスター支部からの50人の聖徒である。彼らは1831年の5月に家を離れた。……5月中旬までにニューヨーク州の教会の支部の全てがエリー湖を渡り,オハイオ州のフェアポート港に到着,同胞である聖徒たちの出迎えを受けて目的地であるカートランドとトンプソンの町に向かった。これが末日におけるイスラエルの集合の始まりである。」(『わたしたちの受け継ぎ—末日聖徒イエス・キリスト教会歴史概観』16-18

一人の生徒に,教義と聖約38:31-33を声に出して読んでもらいます。他の生徒たちには一緒に黙読してもらいオハイオに集まるという命令に従うならば,聖徒たちがどのように祝福されることになっていたのか確認してもらいます。生徒たちは4つの祝福を見つけるはずです。 (1)「敵の力から逃れ」る。(2)「義にかなった民として〔神〕のもとに集められる〔。〕」(3)神の律法を与えられる。(4)「高い所から力を授けられる〔。〕」生徒たちに,聖句の中のこれらの4つの祝福に番号をつけるように勧めるとよいでしょう。(注—聖句のリストを見つけることは,生徒が主と預言者が強調している主要点を見つけ出すために役立つ。)

ホワイトボードに,主は,主の民を保護し,霊的に強めるために彼らをお集めになると書く。聖文の中の集合の教義は,しばしば保護することに関連していることを述べてもよいでしょう。「関連性とは,概念,人物,事柄,出来事などの関係やつながりのことです。聖文には関連性のある事柄がたくさんあります。」(デビッド・A・ベドナー「生ける水の源」〔ブリガム・ヤング大学ファイヤサイド,2007年2月4日〕,4,https://www.lds.org/broadcasts/archive/ces-devotionals/2007/01?lang=jpn

主が古代のイスラエルをシナイ山に連れて行かれて,主の律法を授けられたのと同様に,主は,この神権時代に末日の聖徒たちが主の律法を受けることができるように,聖徒たちがオハイオに集合するよう指示されたということを説明します(教義と聖約38:32参照)。オハイオで,主は御自身の律法を教会に明らかにされました(教義と聖約第42章前書き参照)。その後,次の質問をします。

  • 同じ信仰と標準を共有している人々との集合は,あなたがサタンの力から自分自身を守るうえで,どのような助けとなりますか。

  • 神の律法を与えられることは,わたしたちが霊的に強められるために,どのような助けとなりますか。

  • オハイオで聖徒たちが「高い所から力を授けられる」ということは,何を意味していると思いますか。

「高い所から力を授けられる」という約束された祝福は,オハイオでの聖徒たちの集合の5年後にカートランド神殿が完成されたときに,成就し始めたことを説明します。天の使者たちは,完成された神殿に訪れて,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに神聖な儀式を執り行うために必要な鍵と権能を回復しました。神殿の奉献のときに,多くの聖徒たちに御霊が注がれました。そして神殿の中で,少数の聖徒たちが,神殿の洗い清めと油注ぎを受けました。数年後にノーブーで神殿のエンダウメントの儀式が聖徒たちに執り行われたときに,力が授けられるという約束がさらに果たされました。ノーブーで与えられた預言者ジョセフ・スミス(1805-1844年)の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

〔預言者ジョセフ・スミスの画像〕

「世のさまざまな時代に,神の民が……集められたのはどのような目的のためだったのでしょうか。……第一の目的は,主のために宮を建て,それによって,主がその民に主の宮の儀式と主の王国の栄光を明らかにし,救いの道を教えることがおできになるようにすることでした。」(『『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』416

  • 主がお命じになったとおりに,末日の聖徒たちが集合して神殿を築くときに,神は末日の聖徒たちをどのように祝福したことが分かりましたか。

教義と聖約45:62-67

主が新エルサレム,またはシオンについて説明される

ニューヨークの聖徒たちがオハイオに集合してから程なく,多くの誤った新聞記事やうわさが,教会について中傷したり不正確な説明をしたりしました。この頃に,預言者ジョセフ・スミスは,平和で安全な集合場所が定められているという啓示を受けました。

一人の生徒に,教義と聖約45:62-67を声に出して読んでもらいます。他の生徒には,聴きながら,主が「西の地」に集まるよう聖徒に命じた理由を探してもらいます(教義と聖約45:64)。以下の質問をすることを考えます。

  • 主は何が「あなたがたの戸口まで近づいている」とおっしゃったのですか。「あなたがたの戸口まで」という言葉は,あなたにとって何を意味するでしょうか。

  • 西の地へと集合するとき,主が聖徒たちに行ってほしいことは何でしたか。

  • 聖徒はなぜ富を集めなければならなかったのでしょうか。(「受け継ぎ」とは,聖徒が住み,主を礼拝する場所を指すことを説明します。)

  • 聖徒の受け継ぎの地は何と呼ばれることになっていたのでしょうか。

聖典の中でシオンという言葉は,幾つかの意味を持っていることを説明します。時にはこの言葉はシオンの民を指し,その民は「心の清い者」と説明されています(教義と聖約97:21)。他の箇所では,シオンは全世界に広がる教会全体とそのステークを指します(教義と聖約82:14参照)。シオンという言葉は具体的な地理上の場所を指すこともあります。教義と聖約45:66-67の中で,シオンは聖徒たちが築いて集合する具体的な町を示し,また新エルサレムをそう呼ぶこともあります(3ニーファイ20:2221:23エテル13:1-8;『聖句ガイド』「シオン」も参照)。次の質問について話し合う。

  • 主は新エルサレム,またはシオンについてどのように説明されましたか。生徒は異なった言葉を使うかもしれませんが,おそらく次の教義を見つけるでしょう。新エルサレムは平和と安全の地であり,主の栄光がそこにある。

  • 教会員であることは,シオンにある安全と平和を,あなたにどのようにもたらしてきましたか。

1831年6月にオハイオ州カートランドで開かれた教会の第4回大会の終わりに,主はジョセフ・スミスと他の長老たちに,二人一組で福音を宣べ伝えながら,ミズーリへおよそ900マイルの旅をするようにお命じになったことを説明します(教義と聖約52章,節の要約参照)。到着した後,預言者は,ミズーリ州のインディペンデンスを「中心の場所」として,ミズーリ州を「約束の地〔そして〕シオンの町のための場所」として定めているという啓示を受けました(教義と聖約57:1-3)。その後2年ほどの間に,何百人もの末日の聖徒たちが熱心にシオンを建設し,ミズーリ州のジャクソン郡地域に移住しました。残念なことに,教会員と地域の他の市民との間の紛争が増し,ついに暴力的な状況になりました。1833年11月から12月に,聖徒たちはジャクソン郡の家を離れることを余儀なくされました。

教義と聖約115:5-6

神の民は今日,シオンのステークに集っている

さらに加えられた安全と平和の地に集うために,聖徒たちが力を尽くしていたことを説明するに当たって,教義と聖約の後にある地図「西部への教会の移動」(教会歴史地図6)を表示してください。

地図,西部への教会の移動

西部のミズーリ州同様に,聖徒たちがついにはオハイオ州のカートランドを離れることを余儀なくされたことを説明します。1839年,聖徒たちはイリノイ州のノーブーに集合し始めました。彼らはそこで大きな町を築き上げたのです。しかし預言者ジョセフ・スミスの死の後で,教会員たちは再び自分たちの家を離れることを余儀なくされました。彼らは,ロッキー山中を越えて,北アメリカ西部に広がる定住地を築き上げ,ソルトレークシティーに教会本部を設立したのです。

生徒に,教義と聖約115:5-6を黙読してもらいます。その後,次の質問をします。

  • これらの聖句によると,シオンのステークに集う人々には,どんな祝福が約束されていますか。(答えは次の真理を含んでいることが望まれます。わたしたちは邪悪なものからの防御そして避け所としてシオンのステークに集合している。

  • シオンのステークは,教会員の自国における防御と避け所をどのように提供することができますか。

  • あなた自身のワードや支部で聖徒たちと集うときに,強められている,または守られていると感じるのはどんなときですか。

シオンのステークに集うことが今日の教会員にとってどんな意味があるのかを,生徒たちがさらに理解する助けとなるように,ダリン・H・オークス長老の次の言葉を表示して,生徒の一人に読み上げてもらいます。

〔ダリン・H・オークス長老の画像〕

「この最後の神権時代の初期には,カートランド,ミズーリ,ノーブー,山々の頂など,合衆国のさまざまな場所でシオンの集合が行われました。これらの集合は全て将来建てられる神殿を目指していました。多くの教会員がいるほとんどの国においてステークが誕生し神殿が建設されている今,わたしたちは一つの場所に集合するのではなく,自国のステークに集合するよう命じられています。忠実な人々はそこで,主の宮における永遠の祝福にあずかることができます。……このようにして,シオンのステークは『防御のためとなり,また嵐と激しい怒りが全地にありのままに注がれるときに,その避け所となる〔。〕』」(教義と聖約115:6)」(「再臨への備え」『リアホナ』2004年5月号,7-8)

一人の生徒に,スペンサー・W・キンボール大管長(1895-1985年)が述べた次の言葉を声に出して読んでもらいます。

〔スペンサー・W・キンボール大管長の画像〕

「さて,イスラエルの集合は,真実の教会に加わり真実の神の知識にあずかることでなされます。……ですから,回復された福音を受け入れる人,また自分が住んでいる国の聖徒たちとともに自国の言語で今主をあがめ求める人は誰でも,イスラエルの集合の律法に従っており,この末日における聖徒たちに約束された祝福の全てを受け継ぐ者なのです。」(The Teachings of Spencer W. Kimball, エドワード・C・キンボール編〔1982年〕439)

  • あなたのこれまでの人生の間に教会が建設した神殿の数に,何が起こっているか考えたことがありますか。

  • 会員であることによって,ステークや地域のシオンで,どのように祝福されてきましたか。聖なる神殿によって,どのような祝福を受けましたか。

信仰を持ってシオンのステークに加わり,聖なる神殿で礼拝することで得られる霊的な守りや強さを,隣人が受けられるよう助けるためにできることを,生徒たちに考えてもらうことで締めくくります。生徒たちが受けることのできる,御霊の導きに従って行動するように勧めます。

生徒用資料