第17課
ノーブーでの福音の教え
はじめに
聖徒がイリノイ州ノーブーで過ごした最初の数年間は平和で豊かな生活でした。このとき預言者ジョセフ・スミスは,啓示を受け,末日聖徒イエス・キリスト教会に特有の幾つかの教義を教え,明らかにしました。これらの啓示には,神殿の目的,天父のようになるというわたしたちの神聖な可能性,信仰箇条の中の幾つかの教義が含まれます。この課では,生徒たちが預言者ジョセフ・スミスの偉大さとわたしたちの神聖な可能性について理解するのを助けます。
背景となる読み物
教えるための提案
信仰箇条
福音の教義についての重要な教え
イリノイ州ノーブーにおいて,ジョセフ・スミスは,モルモンについての情報を要請してきた『シカゴ・デモクラット』紙の編集者ジョン・ウェントワース氏宛てに書簡を書きました。この書簡の中で,預言者は末日聖徒の歴史を述べるとともに,後に「信仰箇条」として知られるようになる教義の簡潔な箇条書きを記しました。(書簡の全文は『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』437-445に載せられています。)
十二使徒定員会のL・トム・ペリー長老が語った次の言葉を見せて,それを一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「〔信仰箇条〕は教会における最も重要で,確かに最も簡明な教義の声明の一つです。イエス・キリストの福音の研究に方向づけを与えるガイドとしてこれらを用いるならば,回復された真理についての証を世に述べる備えができることでしょう。末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として大切にしている基本的な心情を易しく,率直に,心を込めて宣言できるようになるでしょう。」「信仰箇条に含まれている教義と原則」『リアホナ』2013年11月号,48
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ペリー長老はどのようなことを教えているでしょうか。(生徒たちがペリー長老の教えについて話しているときに,次の真理が理解できるように助けます。信仰箇条が教えている教義を学ぶなら,他の人にわたしたちの信条を述べるための備えがもっとよくできるようになる。)
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信仰箇条を使って,他の人が福音を理解するのを助けたことがありますか。
生徒たちに信仰箇条を静かに読んでもらいます。時間を十分に取ってから,次の質問について話し合います。
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信仰箇条のどの箇条が特に好きですか。それはなぜですか。
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信仰箇条の中の教義はあなたをどのように導き,ジョセフ・スミスが神の預言者であったという証を強める助けとなっていますか。
教義と聖約124:25-28,37-42
神殿の儀式の回復
聖徒たちがイリノイ州ノーブーに定着した後,預言者ジョセフ・スミスは神殿を建てるように命じられました。オハイオ州カートランドで神殿が建てられたときと同様に,神殿建設には末日聖徒の多大な犠牲が必要でした。
数人の生徒に,教義と聖約124:25-28,37-42を順番に声に出して読んでもらいます。他の生徒たちに目で追って読んでもらい,聖徒たちにとって神殿が必要であった理由についての主の教えを見つけてもらいます。これらの節を分析する前に,モーセとその民によって建てられた天幕について話します。モーセの民は死者のためのバプテスマは行っていませんでした。救い主がお亡くなりになった後に霊界で教えを施すまで,死者のための業はなされていませんでした。その後,生徒に質問します。
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これらの節の主の教えによれば,ノーブーの聖徒たちにとってなぜ神殿が必要だったのでしょうか。(生徒が答えている間,次の教義を強調します。幾つかの救いの儀式は,神殿で施される限り主に受け入れられる。)
カートランド神殿は,おもに権能の鍵の回復のために建てられたことを生徒に伝えます(ジョセフ・フィールディング・スミス,Doctrines of Salvation, ブルース・R・マッコンキー編,全3巻〔1954-1956年〕第2巻,242)。ノーブー神殿では,これらの神権の鍵が,生者と,死者の身代わりのためのバプテスマといった救いの儀式のために行使されました。ジョセフ・スミスは亡くなる前の2年間,少数の忠実な会員にエンダウメントを授けました。ジョセフはまた,夫婦が永遠にわたって結ばれる結び固めの儀式について教えました。
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教義と聖約124:39には,どんな神殿の儀式について述べられていますか。
一人の生徒に,以下の文章を声に出して読んでもらいます。他の生徒たちに神殿の儀式が天父の計画でなぜ重要なのかについて耳を傾けるように勧めます。
「主の〔ノーブーに神殿を建てるという〕命令に応えて,預言者と聖徒たちは可能な限り速やかに行動を起こし,主の宮の建設に取りかかった。しかし預言者は,建設には何年も要することを理解していた。また同時に,聖徒たちが神殿の全ての祝福を必要としていることも承知していた。そこで,1842年5月4日,神殿は完成していなかったが,ジョセフ・スミスは少数の忠実な兄弟たちにエンダウメントを執行した。
兄弟たちは,預言者の赤れんが造りの店の2階にある大きな部屋に集まった。 ……
預言者の記録には次のように記されている。『店の2階で一日を過ごしました。……スプリングフィールドのジェームズ・アダムズ将軍,祝福師のハイラム・スミス,ニューエル・K・ホイットニービショップとジョージ・ミラービショップ,そしてブリガム・ヤング会長,ヒーバー・C・キンボール長老,ウィラード・リチャーズ長老とともに評議会を開き,彼らに神権の原則と位を教え,洗いと油注ぎとエンダウメントを行い,アロン神権に属する鍵からメルキゼデク神権の最も高い位に属する鍵を授けました。また,日の老いたる者に関する位と,人が長子の教会のために用意されている祝福の全てを手にし,上って行って永遠の世でエロヒムの前に住むことを可能にする,全ての計画と原則を示しました。古代の物事の秩序が再び地上に設けられたのは,この評議会においてでした。』」『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』413-414
生徒に質問します。
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神殿の儀式が回復されることはなぜ必要だったのでしょうか。
生徒が答えるとき,次の十二使徒定員会ロバート・D・ヘイルズ長老の言葉を読んで,よく理解できるように助けます。
「神殿の第一の目的は日の栄えの王国における昇栄に必要な儀式を行うことです。神殿の儀式はわたしたちを救い主へと導いてくれ,イエス・キリストの贖罪を通してもたらされる祝福を与えてくれます。」(「神殿の祝福」『リアホナ』2009年10月号,14)
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あなたの生活は神殿の儀式の回復によってどのような祝福を受けてきましたか。
来週1週間どのようにすれば主の宮での礼拝を生活の中でもっと優先することができるかについてよく考えるように生徒に勧めます。
詩篇82:6;マタイ5:48;ヨハネ10:32-34;ローマ8:16-17;2ペテロ1:3-4;1ヨハネ3:2-3;教義と聖約93:11-20;132:20
わたしたちの神聖な可能性
聖書には古代の預言者がわたしたちの神聖な可能性について書いた言葉が記録されていることを説明します。次の参照聖句をホワイトボードに書き,生徒にそのうちの幾つかを読んでもらい,永遠の可能性について教えていることを探してもらいます。詩篇82:6;マタイ5:48;ヨハネ10:32-34;ローマ8:16-17;2ペテロ1:3-4;1ヨハネ3:2-3これらの聖句を研究する間,相互参照したり,関連づけたりすることを生徒に勧めます。
十分な時間を取ってから,次の質問をします。
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わたしたちの可能性についてこれらの聖句からどんなことが学べるでしょうか。(生徒たちの表現のしかたが違っても,次の教義を理解するべきである。天父の子供として,わたしたちは天父のようになる可能性がある。)
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わたしたちの神聖な可能性について説明しているのは,これらの聖句のどの語句ですか。
わたしたちの神聖な可能性について,現代の聖典でも教えられていることを伝えます。一人の生徒に次の聖句を声に出して読んでもらいます。教義と聖約93:11-13,19-20;教義と聖約132:20生徒が次の教義を理解できるように助けます。救い主のように,わたしたちは恵みに恵みを受けて成長し,御父の全てを受けることができるようになる。
1844年4月の総大会におけるジョセフ・スミスの最も重要な説教の一つについて話します。この説教の中で,預言者はその頃亡くなったキング・フォレット兄弟について思いをはせました。この説教は後に「キング・フォレット説教」として知られるようになりました。配付資料「キング・フォレット説教からの抜粋」を全ての生徒に配ります。この説教の抜粋を読んで,なぜわたしたちが神の性質について理解しようと努めなければならないかを説明している語句に下線を引いてもらいます。
次の質問をして,生徒がこれらの教えを分析できるように助けます。
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神の特質や性質について,また,天の御父である神とわたしたちの関係について学ぶことは,なぜ重要なのでしょうか。
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天父のようになる過程はどのようなものですか。
生徒たちが自分たちの神聖な可能性をより深く理解するために,ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)の次の言葉を見せます。一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「福音の全ての目的は,わたしたちがより高いレベルまで前進し,向上し,ついには神のようになることです。預言者ジョセフ・スミスはキング・フォレット説教の中で,この偉大な可能性について明確に述べています〔History of the Church, 第6巻,302-317参照〕。後にロレンゾ・スノー大管長も強調しています。つまり,神が今日あられるごとく,人もいつの日か神のごとくになるという雄大で比類ない教義です〔The Teachings of Lorenzo Snow, クライド・J・ウィリアムズ編(1984年),1参照〕。
教会に敵対する人々は,わたしたちがこの教えを信じていることを批判してきました。それに対するわたしたちの答えは次のとおりです。つまり,この高尚な教えが永遠の父なる神の偉大さを少しも損なうわけではありません。神は全能の御方です。また,世の創造主であり統治者であられます。神は全てのものの中で最も偉大であり,その事実はいつのときでも変わりません。地上の父親がその息子や娘たちが人生で成功してほしいと願っているように,天の御父は子供たちが御自分のようになり,神のような強さと知恵をもって御自分の横に輝き立つことを望んでおられます。」(「ボールを落とさないように」『リアホナ』1995年1月号,55-56)
この教えを理解するために,生徒に次の質問をします。
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天父とわたしたちの神聖な可能性について知っていることによって,わたしたちの生活にはどのような違いが生じるでしょうか。
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今日話し合ったこと(信仰箇条,神殿の儀式,わたしたちの神聖な可能性)について考えるとき,これらの真理を理解することによって,預言者ジョセフ・スミスへの感謝の気持ちはどのように増すでしょうか。これらの真理を理解することは,神の性質と,天の御父である神とわたしたちの関係を理解するのにどのように役に立つでしょうか。(生徒が感じたことを書く時間を取ります。)
あまりにも個人的なことでなければ,書いたことについて少し証したり,分かち合ったりしてもらいます。この課で教えていることやジョセフ・スミスが偉大な啓示者であることについての証を述べて,レッスンを終わります。
生徒用資料
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詩篇82:6;マタイ5:48;ヨハネ10:32-34;ローマ8:16-17;2ペテロ1:3-4;1ヨハネ3:2-3;教義と聖約93:11-22;124:25-28,37-42;132:20-24
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「永遠の父なる神」『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』第2章,37-44