「学習経験 14—マスター教義の紹介」,新しい教師のための訓練資料—『福音を教え学ぶ—教師改善手引き』
「学習経験 14」,新しい教師のための訓練資料
学習経験 14
マスター教義の紹介
概要
この学習経験は以下の概念を取り上げています:
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マスター教義の原則と望まれる成果について理解する
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「マスター教義」について霊的な知識を得るために神の原則を学び,応用する
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イエス・キリストの福音の教義に精通する
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クラスルームで「マスター教義」を実施する
注—この学習経験を通して「マスター教義」の原則と実践方法について概要を把握します。より詳しく見るには,『マスター教義に関する基本文書』,「マスター教義の概要」配布資料,およびdoctrinalmastery.churchofjesuschrist.orgを参照してください。
重要な概念
なぜ「マスター教義」でしょうか
宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師として,わたしたちは生徒がイエス・キリストの教義を理解し,信じ,その教義に従って生活するよう助けることにより,彼らがイエス・キリストを基とした土台を築けるように生徒を助けます(ヒラマン5:12参照)。しかしながら,今日,教師も生徒と同様にイエス・キリストに対する信仰を築くうえで大きな困難に直面しています。皆さんや生徒が人生の中で直面するこうした困難の例を幾つか考えてください。十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード長老は生徒や教師が直面する困難な状況の幾つかを次のように説明しています。
「生徒が教会を攻撃する人々から守られていた時代は終わりました。 ……
…… 皆さんの生徒が全員,前途に待ち受ける困難に立ち向かうために必要な信仰を持っているわけではありません。 ……
生徒が教会についてあらゆる視点からの実質上あらゆる情報を即座に入手できる〔時代にわたしたちは生活しています〕。今日の生徒は,モバイル機器で,信仰を鼓舞するものだけでなく,信仰に疑問を抱かせるようなものも目にします。 ……
このようなチャレンジを踏まえて,教育管理会は,最近,セミナリーで『マスター教義』と呼ばれる取り組みを承認しました。この新しい取り組みは,イエス・キリストを信じる生徒の信仰を築き,強めること,また生活の中で福音を実践し応用する彼らの能力を増し加えることによって,彼らを強化することに焦点を当てます。 ……
この取り組みは,霊感に基づく,時宜にかなったものです。これは皆さんの生徒にすばらしい影響を与えるでしょう」(M・ ラッセル・バラード 「21世紀においてCES教師に与えられている機会と責任」教会教育システム宗教教育者向けの説教,2016年2月 26日)
マスター教義とは何でしょうか
「マスター教義」の取り組みをより良く理解できるように,ビデオ「マスター教義とは何でしょうか」(3:53)を視聴してください。ビデオはchurchofjesuschrist.orgで入手できます。視聴する際,以下の質問を心に留めてください:
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なぜ「マスター教義」は霊感に基づく,時宜にかなった,今日の青少年のために与えられたものでしょうか。
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「マスター教義」から得られる望まれる成果は何でしょうか。
「マスター教義」から得られる望まれる成果
マスター教義は,二つの成果に焦点を当てています:
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霊的な知識を得るために神の原則を学び,応用する
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イエス・キリストの福音の教義とその教義を教えている聖句に精通する
この二つの成果は補完的なものであり,生徒がイエス・キリストとその教義を基とした土台を築くうえで助けとなります。生徒がこれらの成果を達成すると,彼らは改心を深め,ほかの人々が同じように行えるよう助けることができます。
この学習経験の中で,わたしたちは「マスター教義」の各成果をより詳細に調べ,それがクラスルームにおいてどのように実施されるのかを理解し,また,生徒がどうすればイエス・キリストとその教義を通してもっと完全に祝福を受けることができるかをさらに良く理解します。
霊的な知識を得る
一番目の成果は生徒が霊的な知識を得るために神の原則を学び,応用するのを助けることです。神はすべてのことを御存じであり,あらゆる真理の源です。神はわたしたちを愛しておられるので,わたしたちが神の教義を知り,理解するために努力するとき,また,わたしたちが抱く疑問や懸念に対する答えを求めるとき,神はわたしたちが真理を見つけることができるように助けたいと願っておられます。
このセクションに取り組む際,生徒が抱くかもしれない疑問や懸念の幾つかを考えてみてください。例えば—「なぜ世の中にはそれほど多くの苦難があるのか」「ジョセフ・スミスは多妻結婚をしたのか」,あるいは「神はわたしを愛してくださっているのだろうか」。
以下の霊的な知識を得るための3つの原則は,教師にとっても生徒と同様に,彼らが永遠の真理を学び,理解できるように求め,疑問や懸念を解決し,日常生活において決断をする際に,指針となります:
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信仰をもって行動する
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永遠の視点から概念や疑問について調べる
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神が定められた情報源を通してさらに理解を深める
これらの各原則について以下のセクションの中で,さらに詳しく説明と描写がなされています。
信仰をもって行動する
信仰をもって行動するとき,わたしたちは神を信頼し,心からの祈りと学習および従順を通して,まず神に助けを求めます。わたしたちは真実であるとすでに知っていることに頼り,引き続き答えを求めます。わたしたちは抱えている疑問や懸念について主の時に答えが与えられ,解決できることを信じています。
ビデオ「信仰をもって行動する—石工」(4:58)を視聴します。このビデオはchurchofjesuschrist.orgから視聴できます。このビデオを視聴する際,信仰をもって行動し続けることにより,抱えている疑問や懸念がやがてどのように解決できるのかを見つけてください。
永遠の視点から概念や疑問について調べる
疑問や懸念,社会問題,および歴史的な出来事を救いの計画と救い主の教えに照らして調べることにより,わたしたちは主と同じような視点から物事を見ることができるように助けてくださる聖霊を招くのです。福音の重要な点に焦点を当てて,あまり重要でない細かなことで気が散らないようにします。
ビデオ「永遠の視点から疑問について調べる」(2:56)を視聴します。このビデオはchurchofjesuschrist.orgで視聴することができます。このビデオを視聴する際,世の中の前提や推論を受け入れるのではなく,主の真理の標準に基づいて,疑問や懸念をどのように見直す(あるい視点を変えて見る)ことができるか,また,概念を捉えることができるかを見つけてください。視聴する際,以下の質問を心に留めてください:
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天の御父の救いの計画と御父の教義を理解すると,生徒が永遠の視点から自分の疑問や懸念をより良く捉えるうえでどのような助けとなるでしょうか。
これらの質問に対する自分の答えを学習帳または後で参照できるところに記録し,訓練指導者やグループと分かち合ってください。
神が定められた情報源を通してさらに理解を深める
神が定められた情報源を通してさらに理解を深める際,聖霊,聖文,預言者,両親,教会の指導者およびそのほかの信頼できる情報源を通して,わたしたちは霊的な知識を得ます。これらの情報源から学ぶ際,わたしたちは真理と誤りを認識し識別することを学びます。
皆さんと生徒が知識を深めるために活用できる神が定められた情報源,例えば,聖文や総大会の説教について考えてみてください。また,活用できるそのほかの信頼できる情報源についても考えてみてください。例えば,「福音のテーマ,論文,そのほかのリソース」ページがあります。それはchurchofjesuschrist.orgの中にあります。
教義に精通する
「マスター教義」の二番目の成果はイエス・キリストの福音の教義に精通することです。教義に精通することにより,生徒は真理を探求する際に霊的な知識を得るための原則を使いこなせるようになります。
以下は教義に精通するうえで重要な3つの要素です:
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教義のテーマおよび教義の鍵となる文を理解する
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マスター教義聖句を知る
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教義を説明し応用する
教義のテーマおよび教義の鍵となる文を理解する
霊的な知識を得るための原則に加えて,生徒は9つの教義のテーマを学習します。それぞれの教義のテーマには,生徒が理解し,信じ,応用することが大切な教義の説明が含まれています。『マスター教義に関する基本文書』にあるこれらの教義の説明の幾つかは,教義の鍵となる文と呼ばれます。これらの教義の鍵となる文には,それに関連したマスター教義聖句があり,その教義の持つ側面を教えるのに役立ちます。
マスター教義聖句を知る
各学習コースには25のマスター教義聖句(合計で100の聖句)があります。これらの聖句は各教義のテーマと関連した教義の鍵となる文の様々な側面を教えるのに役立ちます。例えば,次の教義の鍵となる文は教義のテーマとなるマスター教義聖句と関連しています。「イエス・キリストの贖罪」—「イエス・キリストの犠牲はわたしたち一人一人に益をもたらします。また,天の御父のすべての子供たちに無限の価値があることを示しています。(教義と聖約18:10-11参照)」(『マスター教義に関する基本文書』〔2016〕, 6)生徒にこれらの聖句を覚え,聖句の場所を見つけ,聖句が救い主の教義を教えるうえでどのような助けとなるかを理解できるように助けることは,教師としての皆さんの重要な業の一部です。
教義を説明し応用する
イエス・キリストの福音の教義に精通することの重要な点は,各教義の鍵となる文を明確に説明できるようになり,また,マスター教義聖句がそれらの鍵となる文を教えるうえでいかに助けになるかを理解できるようになることです。生徒が教義を理解し,マスター教義聖句とそれに関連する教義の鍵となる文の場所を見つけ,覚えることができると,教義をより良く応用し,ほかの人々にうまく説明できるようになります。十二使徒定員会のボイド・ K・パッカー会長(1924-2015)が教えたように,「まことの教えを理解すれば,人の態度や行動は変わります」(「幼き子ら」『聖徒の道』1987年1月号, 18)。
クラスルームでの「マスター教義」
皆さんは「マスター教義」の成果とその成果が生徒にとってイエス・キリストを基とした土台を築くうえでいかに助けになるかを理解したので,これからそれをクラスルームでどのように活用し教えるかを調べます。
「マスター教義」のカリキュラムは,教師と生徒が霊的な知識を得ることと9つの教義のテームに関連する原則を学び,応用するのに役立ちます。このカリキュラムの重要な要素として次の要素が含まれます:
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教義を理解する—一連の学習活動またはセグメントから構成されており,生徒が各教義のテーマ,関連する教義の鍵となる文,および関連するマスター教義聖句の理解を深めるのに役立ちます。
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実践練習—ケーススタディ,ロールプレイ,シナリオ,および質問から構成されている練習メニューで,生徒が霊的な知識を得るための原則や教義を現代の状況や関連する疑問に応用するうえで役立ちます。
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「マスター教義」の復習—生徒が教義の鍵となる文と関連するマスター教義聖句の場所を見つけ,覚え,精通するうえで役立つ活動です。
皆さんの生徒はマスター教義の原則と実践を生涯を通じて取り入れることで,祝福を受けるでしょう。
ビデオ「霊的な知識を得る—マディソンの経験」(8:36)を視聴します。ビデオはchurchofjesuschrist.orgから視聴できます。このビデオの中で,若い女性であるマディソンが自分の疑問に対する答えを受けるため,また,ほかの人々を教え,彼らが真理を知ることができるよう助けるために,霊的な知識を得るための原則を活用します。視聴する際,以下の質問を心に留めてください:
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「マスター教義」は生徒がイエス・キリストとキリストの教義を基とした土台を築くうえでどのように役立つでしょうか。
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霊的な知識を得るための原則は生徒が真理を学び,自分の疑問に対する答えを見つけるよう導くうえでどのように役立つでしょうか。
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ほかの人々が霊的な知識を得られるように生徒が手伝うときに,マスター教義の原則はどのような助けとなるでしょうか。
「マスター教義」の追加検討項目
以下の項目を検討することは,クラスルームにおいて「マスター教義」を最大限に活用するうえで役立ちます。あなたが責任を果たすうえで,また生徒のために,最も良く「マスター教義」を実施する方法を決めるために,主の助けと地元のコーディネーターの導きを求めてください。
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本手引きの付録として提供されている「マスター教義の概要」配布資料を活用して,「マスター教義」の各構成要素を覚え,それぞれの要素がどのように補完し合っているのかを復習し覚えてください。
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「マスター教義」と配列順聖文教授法は別々の異なったものですが,どちらもセミナリーの生徒が経験する重要な要素です。両方をうまく教えるためには,推奨学習進度ガイドを活用し,地元の必要とバランスを取り,入念にレッスンの準備をする必要があります。
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しかしながら,「マスター教義」の概念と原則はクラスの中で疑問や懸念が出てきた際,年間を通じて配列順聖文レッスンやそのほかのレッスンで依然として応用することができます。配列順に聖文を研究する際に目にするマスター教義聖句を強調することにより,生徒が各聖句の文脈と内容をより深く理解するのを助けるとともに,各聖句が教える真理の重要性を増大させる助けになります。
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「マスター教義」は「マスター聖句」プログラムに基づいており,それに取って代わるものです。以前に出版された「マスター聖句」の内容は,マスター教義活動とマスター教義聖句に取って代わる必要があります。
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さらに詳しい情報と説明を得るには,doctrinalmastery.churchofjesuschrist.orgにアクセスしてください。
まとめと応用
覚えておくべき原則
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「マスター教義」は生徒が進歩し困難な問題に直面する際に,生徒にとって祝福となるよう霊感を受けた取り組みです。
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「マスター教義」は次の二つの成果に焦点を当てます:(1)霊的な知識を得るための神の原則を学び応用すること,(2)イエス・キリストの福音の教義とその教義を教えている聖句に精通すること。
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生徒が「マスター教義」の成果を達成できるよう助けることは,彼らがキリストの教義を理解し,信じ,その教義に従って生活するようになる際,イエス・キリストに基づいた土台を築くうえで助けとなります。
「『マスター教義』は3つの目的を持ったセミナリーのプログラムです:1つ目は,生徒が霊的な知識を得る方法を学べるよう助けること;2つ目は,生徒が救い主の教義を知り理解できるよう助けること—つまり,それは真の教義を思いの中で知り,真の教義を心の中で理解するという両方の意味を持っており,わたしたちはそれを彼らの心の奥底に深く刻みたいのです;3つ目は,生徒が生活の中で教義を応用する方法を学べるように助けること,すなわち,生徒自身がそれに従って生活するだけでなく,友達が抱いている疑問に答えるために活用したり,あるいは,ほかの人々が真理を知ることができるように教えたり,助けたりすることなどです」(キム・ B・クラーク「マスター教義と深い学習」(教会教育システム宗教教育者に向けた説教,2017年2月 17日)。
「それで,どうしますか?」
この学習経験を完了するために,今日学んだ原則に基づいて行おうと思うことを幾つか書き留めてください。