2021年
誕生日のかんむり
2021年5月号


誕生日のかんむり

このお話を書いた人は,アメリカ合衆国コロラド州に住んでいます。

boy wearing paper crown

「ただいま!」パパの大きな声がしました。ワイアットの誕生日のために,早く帰ってきたのです。ワイアットは今日で5才になります!

ワイアットはパパのところへ走っていきました。パパがワイアットをギュッとだきしめます。「お昼を食べたら,パパと一緒に公園に行こう」とパパが言いました。

「二人だけで?」ワイアットが聞きました。ワイアットはママと妹のマリアのことが大好きでしたが,時々,パパと二人だけで何かをしたくなることがあるのです。

「二人だけだ」とパパが言いました。

ママが,ワイアットの大好物を全部使ったお昼を作ってくれました。それからママは,金色の紙と,キラキラ光るラメで作ったかんむりもくれました。

「これ,ぼくの?」ワイアットは目をくりくりさせて聞きました。

「そうよ」とママが言いました。

なんて特別な誕生日でしょう!

dad pushing boy on swing

ワイアットはかんむりをかぶって公園へ行きました。かんむりは何度も頭からすべり落ちましたが,ワイアットは気にしません。「パパ,誕生日のかんむりをかぶってると,ぼくは特別になれるかな」と,ワイアットは聞きました。

パパはにっこりと笑いました。「誕生日のかんむりは楽しいけれど,それのおかげでワイアットが特別になるわけじゃない。ワイアットが特別なのは,神の子だからだよ!ほかの子たちもみんな同じだ。つまり,だれもが特別なんだ。」

パパとワイアットは遊具があるところで遊びました。ワイアットがすべり台をすべります。

「パパもすべり台をすべれるかな?」パパが聞きました。

ワイアットはクスクスと笑います。「パパは大きすぎるよ。」

boy and girl on slide

ワイアットはもう一度すべろうと,はしごをのぼりました。ワイアットの前に女の子が一人います。女の子はすべるのをこわがっていました。天の御父にとってはだれもが特別だという考えが,ワイアットの心にうかびました。

「大丈夫だよ,できるよ!」とワイアットは言いました。

女の子はすべり台をすべりおりました。それから,ワイアットもすべりました。

「やったね!」ワイアットは言いました。女の子がにっこりとほほえんでくれたので,ワイアットもにっこりしました。

人に親切にすることで,ワイアットは幸せな気持ちになりました。だれもが特別なのだということが,ワイアットには分かっていました。誕生日のかんむりをかぶっていても,いなくてもです。

イラスト/カイル・ベケット