リアホナ
いつまでも残る実
2024年5月号


11:39

いつまでも残る実

約束された祝福を永遠に得たいのであれば,わたしたちの儀式が聖霊によって結び固められることは必要不可欠です。

幼少期,わたしは熟した生の桃が大好きでした。今でも,甘酸っぱくてみずみずしい,熟れた桃をかじることを想像するだけでよだれが出ます。完熟した桃は,収穫して2日から4日たつと腐ってしまいます。キッチンで母やきょうだいと一緒に,収穫した桃を瓶に詰めて冬に備えて保存したのは良い思い出です。桃は正しく保存すれば,そのおいしさが2日から4日どころか,数年はもちます。適切に処理し,加熱すれば,瓶の封を切るまで保存できます。

キリストはわたしたちに,「行って実をむすび,その実がいつまでも残る」1ようにと指示されました。しかし,主は桃の話をしておられたわけではありません。神の子供たちに対する神の祝福について話されていたのです。もしわたしたちが神と聖約を交わして守るならば,聖約に伴う祝福は現世を超えて,永遠にわたしたちの上に結び固められる,つまり永遠に保存され,永遠にわたっていつまでも残る実となるのです。

聖霊は,約束の聖なる御霊という神聖な役割をもち,各儀式が死後も有効となるよう,聖約に忠実である人々を結び固められます。2約束された祝福をいつまでも残る実として永遠に得たいのであれば,わたしたちの儀式が聖霊によって結び固められることは必要不可欠です。

これは,わたしたちが昇栄したいのであれば,特に重要なことです。3ラッセル・M・ネルソン大管長はこのように教えました。「終わりを思い描くことから始めましょう。……確かに,わたしたち一人一人にとって,最も達成したい『終わり』は,天の御父であられる神と御子イエス・キリストの御前で,家族とともに昇栄した状態で永遠に生きることでしょう。」4ネルソン大管長はこのようにも述べています。「日の栄えの結婚は,永遠の命への備えの中心です。そのためには,正しい相手と,正しい場所で,正しい権能により結婚し,神聖な聖約に忠実に従う必要があります。そうすれば,神の日の栄えの王国における昇栄を確信できるのです。」5

昇栄のもたらす祝福とは何でしょうか。それには,夫婦として神の御前に永遠に共に住み,「王位,王国,公国,および力……を受け継〔ぎ〕,……とこしえにいつまでも子孫が満ちて続くこと」6,父なる神が持っておられるすべてを受けることが含まれます。7

主はジョセフ・スミスを通して次のことを明らかにされました。

「日の栄えの栄光には,三つの天,すなわち三つの階級がある。

その最高の階級を得るためには,人はこの神権の位(すなわち,結婚の新しくかつ永遠の聖約)に入らなければならない。

そうしなければ,その人はそれを得ることができない。

その人は他の階級に入ることはできるが,それは彼の王国の終わりであって,その人は増し加えることができないのである。」8

このことから,人は独身であっても日の栄えの王国,つまり神の御前に住むことができると分かります。しかし,日の栄えの王国の最高の階級に昇栄するためには,正しい権能によって結婚し,その結婚で交わされた聖約に忠実でなければなりません。それらの聖約に忠実であれば,約束の聖なる御霊はわたしたちの結婚の聖約を結び固めることができます。9そのように結び固められた祝福は,いつまでも残る実となります。

結婚の新しくかつ永遠の聖約を忠実に守るために求められていることは何でしょうか。

ラッセル・M・ネルソン大管長は,わたしたちがこの永遠の結婚の聖約に入るとき,2種類の結びつきがあると教えています。夫婦間の横の結びつきと,神との縦の結びつきです。10昇栄の祝福をわたしたちの上に結び固め,現世の後にも残すためには,聖約の横の結びつきと縦の結びつきの両方に忠実でなければなりません。

伴侶との横の結びつきを保つために,神はわたしたちに「心を尽くして妻〔あるいは夫〕を愛し,妻〔あるいは夫〕と結び合わなければならない。その他のものと結び合ってはならない」11と忠告しておられます。結婚している人にとって,妻や夫と結び合い,そのほかのものと結び合わないということは,愛をもって相談し合い,互いを愛し,思いやり,外部の関心事よりも伴侶との時間を優先し,自分の弱さを克服するために神に助けを求めることを意味します。12不適切な交流やデートを含め,結婚相手以外とのいかなる感情的な親密さや性的関係がないことや,欲望をかき立てるポルノグラフィーへの関与がないことも意味します。13

聖約における横の結びつきを保つためには,パートナーが互いに結婚関係に留まることを望まなければなりません。ダリン・H・オークス管長は,最近このように教えました。「わたしたちは,御父がだれにも,本人の意思に反して結び固めの関係を結ぶよう強いられることはないことも知っています。結び固められた関係による祝福は,聖約を守る人すべてに保証されますが,ふさわしくない人や望まない人に,結び固めの関係を強いることは決してありません。」14

ネルソン大管長が言及していた,縦の結びつきとは何でしょうか。縦の結びつきとは,神との結びつきです。

神との縦の結びつきを保つために,わたしたちは従順,犠牲,福音,純潔,奉献の律法について交わす神殿の聖約に忠実でいます。わたしたちはまた,永遠の伴侶を受け入れ,義にかなった伴侶や親となることを神と聖約します。縦の結びつきを保つことで,わたしたちはアブラハムの聖約を通して,子孫,福音,そして神権の祝福を含む,神の家族の一員であることの祝福を受ける資格を得ます。15これらの祝福もまた,いつまでも残る実です。

わたしたちは,新しくかつ永遠の聖約に入るすべての人が忠実であり続け,祝福が永遠に彼らの上に結び固められることを願いますが,その理想がわたしたちの手の届かないところにあるように思えることもあります。わたしは自分の務めを通じて,自身は聖約を交わし,守っているものの,伴侶はそうではない会員に出会ってきました。また,独身であり,現世で結婚する機会をまだ得ていない方もいます。結婚の聖約に忠実でない方もいます。それぞれの状況において,このような個人はどうなるのでしょうか。

  1. もし,皆さんがエンダウメントを受けたときに交わした聖約に忠実であれば,伴侶が聖約を破ったり,結婚から身を引いたりしても,皆さんはエンダウメントで約束された個人的な祝福を受けることができます。もし結び固められた後に離婚した場合,そして結び固めが取り消されていない場合,皆さんが忠実であり続けるなら,その結び固めに伴う個人的な祝福は皆さんに有効であり続けます。16

    時には,裏切られたという感情や非常に深く傷付いたために,誠実な配偶者が不誠実な伴侶との結び固めを取り消し,地上でも永遠でも,できるだけ相手から遠く離れたいと思うかもしれません。もし皆さんが,悔い改めていない元伴侶と何らかの形で結ばれるのではないかと心配しているのであれば,覚えていてください。そうはなりません!神は,だれに対しても,本人の意思に反して永遠に結び固められた関係に留まることを要求されることはありません。天の御父は,わたしたちの望みと選択が許す限り,わたしたちがあらゆる祝福を受けられるようにしてくださいます。17

    しかし,結び固めの取り消しを希望する場合は,選択の自由が尊重されます。取り消しには一定の手続きが必要となります。しかし,これは軽率に行われるべきではありません!大管長会は,地上でも天でもつなぐ鍵を持っています。大管長会が一度結び固めの取り消しを承諾すると,その結び固めに伴う祝福は効力を失います。すなわち,横と縦の両方の結びつきが取り消されます。昇栄の祝福を受けるためには,それが現世であれ来世であれ,この新しくかつ永遠の聖約に入り,忠実に守る意思があることを示さなければならないと理解しておくことが重要です。

  2. 教会の独身会員の皆さん,「主御自身の方法と時から見れば,忠実な聖徒に対して祝福が差し控えられることはありません。主は行いだけでなく心の望みに応じて一人一人を裁き,報いてくださ〔る〕」18ことを覚えていてください。

  3. 神殿の聖約に忠実でいなかった場合,希望はあるのでしょうか。もちろんです!イエス・キリストの福音は希望の福音です。その希望はイエス・キリストを通して,心からの悔い改めとキリストの教えに従順に従うことによってもたらされます。わたしは,個人が神聖な聖約を破って重大な過ちを犯すのを見てきました。また,日常的に心から悔い改め,赦され,聖約の道に戻る人々も目にします。神殿の聖約を破ったのであれば,イエス・キリストに立ち返り,ビショップと相談し,悔い改め,イエス・キリストの贖罪のおかげで得られる力強い癒しの力に皆さんの心を開くよう強くお勧めします。

兄弟姉妹の皆さん,愛する天の御父は,わたしたちが御父が備えておられるすべてのものにあずかることができるように,聖約を与えてくださいました。神からのこれらの神聖な祝福は,地上のどんな実よりもおいしいのです。聖約に忠実であれば,それらの祝福はいつまでも残る実となり,永遠にわたしたちのために保存されます。

神は天と地上でつなぐ権能を回復されたことを証します。その権能は,末日聖徒イエス・キリスト教会にあります。大管長会と十二使徒定員会により保持され,ラッセル・M・ネルソン大管長の指示の下で行使されています。結婚の新しくかつ永遠の聖約に入り,聖約を守る者は,自分の力ではどうにもならない状況でも,完全な者となり,やがて御父の完全な栄光を受けることができます。19

聖約に付随するこれらの約束された祝福は,約束の聖なる御霊によってわたしたちの上に結び固められ,永遠にいつまでも残る実となります。イエス・キリストの御名により証します,アーメン。

  1. ヨハネ15:16

  2. デール・G・レンランド「聖約を通して神の力にあずかる」『リアホナ』2023年5月号,35-38;教義と聖約132:7参照

  3. 儀式は,権能を持つ者によって行われ,聖霊によって批准されるため,天においても地上においても有効とされるときに結び固められます。

    「わたしたちは,結び固めの権能が特定の神殿の儀式にのみ適用されると考えがちですが,その権能はあらゆる儀式を有効にし,死を超えてつなぐ力を持つために必要です。結び固めの力は正当性の証,例えば,バプテスマが地上と天で認められる証となります。結局のところ,すべての神権の儀式は,教会の大管長の鍵の下で執行されます。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は,次のように説明しています。『〔教会の〕大管長は,わたしたち神権者に権能を与えました。そして彼は,わたしたちの持つ神権の中に,結び固めの権能を含めました。そのようなことができるのは,大管長がその鍵を持っているからです。』〔Conference Report, Oct. 1944, 75でのハロルド・B・リーによる引用〕」(D・トッド・クリストファーソン「結び固めの力『リアホナ』2023年11月号,20)

    「約束の聖なる御霊によって結び固められた行為は,聖霊によって批准された行為であり,主によって承認された行為です。……だれも聖霊にうそをついて,見破られずにやり過ごすことはできません。……この原則は,教会のほかのあらゆる儀式や行事にも当てはまります。このように,〔結婚の〕両当事者が「正しくかつ真実」〔教義と聖約76:53〕であり,ふさわしければ,神殿での結婚に批准の印が押され,ふさわしくなければ,御霊によって義とされず,聖霊の批准は保留されます。その後,ふさわしさがあれば結び固めは有効となり,不義があればいかなる結び固めも解かれます。」(Bruce R. McConkie, “Holy Spirit of Promise,” in Preparing for an Eternal Marriage Student Manual [2003], 136)

    約束の聖なる御霊とは,すべての儀式,すなわちバプテスマ,確認の儀式,聖任,結婚等に承認の印を押す聖霊である。この約束とは,忠実であれば数々の祝福が得られるというものである。人が聖約を破るなら,それがバプテスマであろうと,聖任,結婚,あるいはその他の儀式であろうと,御霊は承認の印を取り下げ,祝福は得られない。すべての儀式は,忠実を条件に報いが与えられるという約束をもって結び固められる。しかし聖約が破られた場合,聖き御霊は承認の印を取り下げる。」(ジョセフ・フィールディング・スミス『救いの教義』,Bruce R. McConkie (1954), 1:45と比較)

  4. Russell M. Nelson, Heart of the Matter: What 100 Years of Living Have Taught Me (2023), 15.すべての聖約が死者の復活後も効力を持つためには,約束の聖なる御霊によって結び固められなければならない。(教義と聖約132:7参照)

  5. ラッセル・M・ネルソン「日の栄えの結婚『リアホナ』2008年11月号,93

  6. 教義と聖約132:19

  7. 教義と聖約84:38参照

  8. 教義と聖約131:1-4

  9. 教義と聖約132:19-20参照。「その至高の行く末,すなわち日の栄えの王国における昇栄こそが,末日聖徒イエス・キリスト教会が重点を置いていることなのです。」(ダリン・H・オークス「栄光の王国『リアホナ』2023年11月号,26)

  10. 「結婚や家族が,特別な愛を生み出す独特の横の結びつきを共有しているのと同じように,結婚の新しく永遠の聖約に入り,わたしたちが聖約によって自らを神に縦につなげるときに新しい関係も形成されます。」(Russell M. Nelson, Heart of the Matter, 41–42)

  11. 教義と聖約42:22『総合手引き―末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』38.6.16も参照。ここで言う結婚について,わたしは神の律法に従った結婚を指しています。そこでは,結婚を男女の間の合法的かつ適法な結びつきと定義しています。(「家族—世界への宣言」「福音ライブラリー」参照)

  12. 家族—世界への宣言」「福音ライブラリー」参照

  13. 教義と聖約42:22-24参照

  14. ダリン・H・オークス「栄光の王国」29,強調付加

  15. 教義と聖約86:8-11教義と聖約113:8アブラハム2:9-11参照

  16. 『総合手引き』38.4.1参照。

    スイスで専任宣教師として奉仕していたとき,わたしと同僚は60歳のすばらしいスイス人夫婦に福音を分かち合いました。この夫婦にイエス・キリストの回復された教会について教えていたとき,奥様がわたしたちが教えていることに大きな関心を示しました。それから数週間,彼女は,イエス・キリストの教会が神からの正しい権能をもって回復され,イエス・キリストが生ける預言者や使徒たちを通して教会を導いていることが真実であるという証を得ました。わたしたちはこの夫婦に,回復の最も崇高な教義の一つである,永遠の結婚の機会について教えることを楽しみにしていました。ところが驚いたことに,この夫婦に永遠の結婚の教義を教えたとき,そのスイス人女性は,夫と永遠に一緒にいることに興味はないと言いました。彼女にとっての天国には,結婚して36年になる夫と一緒にいることは含まれていなかったのです。この姉妹はバプテスマを受けましたが,夫は受けませんでした。彼らが神殿で結び固められることはありませんでした。

    しかし,多くの人にとって,結婚相手と一緒にいなければ天国は天国ではないでしょう。愛する伴侶と永遠に一緒にいられるというのは,ほんとうに天国のようです。ジェフリー・R・ホランド長老が愛する妻のパットについて分かち合ったように,「彼女なしに天国は天国ではないのです。」(“Scott Taylor: For Elder Holland, Heaven without His Wife and Children ‘Wouldn’t Be Heaven for Me,’” Church News, July 22, 2023, thechurchnews.com参照)

  17. ダリン・H・オークス「栄光の王国」26参照

  18. ラッセル・M・ネルソン「日の栄えの結婚」94

  19. ヨハネ15:16参照