「第24課:ノーブーにおける教義上の進展」『末日聖徒の歴史:1815-1846年 教師用資料』
「第24課」『末日聖徒の歴史:1815-1846年 教師用資料』
第24課
ノーブーにおける教義上の進展
紹介とタイムライン
預言者ジョセフ・スミスは,1843年5月16日にイリノイ州レイマスのベンジャミンとメリッサ・ジョンソン夫妻の家を訪れたとき,昇栄のためには結婚の新しくかつ永遠の聖約に入らなければならないことと(教義と聖約131:1-4参照),それにより夫婦は永遠に結ばれることを教えました。それから約2週間後,ジョセフとエマ・スミスは,イリノイ州ノーブーにあるジョセフ・スミスの赤れんが造りの店で,永遠に結び固められました。このころジョセフは,多妻結婚を実施するようにという主の戒めも引き続き守っていました。エマはジョセフの多妻結婚の幾つかに同意しましたが,その実施を受け入れるのに葛藤しました。多妻結婚に関してジョセフ・スミスが主から与えられた啓示は,そのときはまだ記録されていませんでした。ハイラム・スミスは,多妻結婚は神から与えられた事柄だとエマを説得できると思い,多妻結婚に関する啓示を記録するようジョセフに言いました。1843年7月12日,ジョセフ・スミスは,現在教義と聖約132章として記録されている啓示を口述しました。そこには,永遠の結婚の原則と多妻結婚の実施について説明されています。
生徒用読書課題
『聖徒たち—末日におけるイエス・キリスト教会の物語』第1巻「真理の旗」1815-1846年,第40-41章
教えるためのヒント
ジョセフ・スミス,永遠の結婚は昇栄に不可欠であることを宣言する
ほとんどのキリスト教宗派では,ジョセフ・スミスの時代も今日も,天に関する二つの概念の内の一つを信じています。一つは,義にかなった人は死後天使になって神を礼拝するが,家族関係は持たないという考え方です。この考え方は,地上での関係は一時的なものであり,死とともに終わるというものです。もう一つは,神を礼拝するのに加え,亡くなってからも家族や友人との関係は続くという考え方です(ジェド・ウッドワース「マーシー・トンプソンと結婚に関する啓示」『啓示の背景』マシュー・マクブライドとジェームズ・ゴールドバーグ編,またはhistory.churchofjesuschrist.org参照)。
1843年,フィービー・ウッドラフが伝道に出ていた夫ウィルフォードと行ったやり取りを要約した以下の段落を,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「ウィルフォードが留守の間,フィービーは彼に手紙を書き,二人の愛が永遠に引き裂かれるようなことがあると思うかと尋ねます。ウィルフォードは,二人の愛は墓を越えて深められるという願いを表した詩で返事を書きました。」(『聖徒たち—末日におけるイエス・キリスト教会の物語』第1巻「真理の旗」 1815-1846年,481)
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フィービーとウィルフォード・ウッドラフのように,多くの人が現世を越えて関係が続くことを望むのはなぜだと思いますか。
生徒に,このレッスンの間,この世を越えた結婚関係に関する真理をより良く理解するために役立つ原則と教義を見つけてもらいます。
掲載されているベンジャミン・F・ジョンソンの写真を提示します。預言者ジョセフ・スミスが1843年5月に,イリノイ州レイマスにあるベンジャミンと妻メリッサの家を訪問したとき,彼らは結婚して約17か月たっていたことを説明します。
ベンジャミン・F・ジョンソンの次の話を提示し,一人の生徒に,声に出して読んでもらいます。
「夜〔ジョセフ・スミスが〕わたしと妻を呼んで座るように言いました。わたしたちが主の律法にのっとって結婚することを望んでいたのです。わたしは冗談だと思い,妻がわたしに求婚しないかぎり,妻ともう一度結婚することはないと言いました。彼は真剣だと述べてわたしの軽率さを叱責すると,実際に,わたしたちは立ち上がり結び固められたのです。」 (Benjamin F. “Johnson, My Life’s Review [1947], 96))
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預言者が語っていることについてベンジャミンがもっと理解していたら,彼の反応はどのように違っていたでしょうか。
ジョセフ・スミスの筆記者であるウィリアム・クレイトンは,預言者が永遠の結婚についてジョンソン家に教えたことを記録しました(マシュー・マクブライド「彼の言葉を聞いて,心に喜びを感じました」『啓示の背景』 マシュー・マクブライドとジェームズ・ゴールドバーグ編, またはhistory.churchofjesuschrist.org参照)。その教えの一部が,教義と聖約131:1-4に記録されています。
一人の生徒に,教義と聖約131:1-4を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,預言者ジョセフ・スミスが永遠の結婚について何を教えたのか見つけるように言います。
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天の御父の救いの計画における永遠の結婚の重要性について,1-2節からどのような原則を見つけることができるでしょうか。(生徒は恐らく次の原則を見つけるでしょう:日の栄えの王国の最高の階級を得るためには,結婚の新しくかつ永遠の聖約に入らなければならない。)
この文脈における「新しく」という言葉は,わたしたちの神権時代にこの聖約が新たに回復されたことを意味し,「永遠の」は,聖約とその祝福が永遠に続くことを意味します。わたしたちは今日,神殿で結婚の結び固めの儀式を受けるときに,結婚の新しくかつ永遠の聖約に入ります。
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この真理を知っていることは,わたしたちの結婚観にどのような影響を与えるでしょうか。
一人の生徒に,十二使徒定員会のパーリー・P・プラット長老(1807-1857年)が述べた次の言葉を声に出して読んでもらいます。プラット長老は永遠の結婚の教義について早ければ1839年に知りました。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,プラット長老が婚姻関係が永遠であることを学んだときにどのように感じたかを表す語句を見つけてもらいます。
「最愛の妻とこの世においても永遠の世においても固く結ばれること,またお互いを結びつける純粋な思いやりと優しさは,神聖な永遠の愛の泉から生まれると教えてくれたのも〔ジョセフ・スミス〕でした。この愛情は育てることができ,その愛情の中で永遠に進歩成長できると教えてくれたのも,二人が永遠に結ばれるので,子孫が天の星のように,海辺の砂のように数限りなく増えると教えてくれたのも,彼でした。……
昔からわたしには愛情がありましたが,その訳は知りませんでした。しかし今やわたしは,純粋な心,卑俗な世界のはかない事物からわたしの心を高め,大洋のように広くしてくれる,高められた強い気持ちで愛するようになりました。……今のわたしは,一言で言うと,御霊と理解をもって愛せるようになったのです。」((Autobiography of Parley P. Pratt, ed. Parley P. Pratt Jr. [1938], 297–98)
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永遠の結婚の教義を知ったことは,プラット長老にどのような影響を与えたでしょうか。
ノーブー神殿が完成したらすべてのふさわしい教会員が結び固めの儀式を受けられることを,預言者ジョセフ・スミスは知っていたことを説明します。主は神殿の完成に先立ちジョセフに,幾人かの忠実な教会員に永遠の結婚の教義を教えて,彼らを結び固める権能を与えました。1843年5月28日,ジョセフとエマ・スミスは,ノーブーにある赤れんが造りの店の2階の部屋で永遠に結び固められました。
ジョセフ・スミス,永遠の結婚と多妻結婚に関する啓示を口述する
預言者ジョセフ・スミスは永遠の結婚について教えたのに加えて,一部の教会員には多妻結婚についても教えたことを説明します。ジョセフは,天使からの警告を何度も受けた後に,多妻結婚を実施するようにという主の命令にやむを得ず従ったことを,生徒に思い出させてください(「福音のテーマ」「カートランドとノーブーにおける多妻結婚」の項,topics.churchofjesuschrist.org。第21課も参照)。多妻結婚の実施はジョセフ自身と妻エマにとって受け入れ難いものでした。エマはジョセフの多妻結婚の幾つかに同意しましたが,その実施を受け入れるのに葛藤しました。1843年7月,預言者の兄ハイラムは,エマと話して,多妻結婚の原則が真実であると説得することを申し出ました。多妻結婚に関してジョセフ・スミスが主から与えられた啓示は,そのときはまだ記録されていませんでした(see William Clayton, affidavit, Salt Lake City, Utah Territory, Feb. 16, 1874, in Affidavits about Celestial Marriage, Church History Library, Salt Lake City)。
生徒に『聖徒たち』第1巻の第41章を開くように言います。数人の生徒に,474ページの「7月12日の朝……」で始まる段落から読み始め,476ページの「ジョセフが啓示の口述を終えると……」で始まる段落まで,順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,結婚の聖約に関して主が明らかにされたことを見つけるように言います。この啓示は教義と聖約132章に記録されていることを説明してください。
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結婚が死を越えて続くために,必要な条件は何でしょうか。(夫婦は,正しい神権の権能により結婚し,約束の聖なる御霊により結び固められ,聖約に忠実であり続けなければならない〔教義と聖約132:19参照〕。)
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主は,これらの条件を満たす人にどのような祝福を約束しておられますか。(昇栄の祝福を受ける。それには,神のようになって永遠に増し加えられることが含まれる〔教義と聖約132:19-20参照〕。)
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預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示によると,主が多妻結婚を命じられた理由にはどのようなものがありますか。(義にかなった家族の中で子供を育て,彼らに昇栄をもたらすため〔教義と聖約132:63参照〕。啓示で述べられている多妻結婚のほかの理由には,「万事を元どおりにする」ためと〔教義と聖約132:40,45参照〕,アブラハムに行ったように聖徒を試すため〔教義と聖約132:51参照〕が含まれていることを指摘する。)
数人の生徒に,『聖徒たち』第1巻476ページの「その日の遅く,……」で始まる段落から,477ページの「ジョセフとエマは泣きながら話し……」で始まる段落まで,順番に声を出して読んでもらいます。ほかの生徒には,その箇所を目で追いながら,ハイラムがエマに啓示を提示した際,エマがどのように答えたか見つけるように言います。
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多妻結婚に対するエマ・スミスの態度に対して,彼女を裁かないようにすることは,なぜ大切だと思いますか。
預言者に結び固められたヘレン・マー・キンボール・ホイットニーによる次の回想を提示し,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「預言者は,〔多妻結婚の〕実践は聖徒たちにとって,自分の信仰を試される最も過酷な試練となるだろうと言いました。」(Helen Mar Whitney, “Scenes and Incidents in Nauvoo,” Woman’s Exponent, Nov. 1, 1881, 83〔訳注—「福音のテーマ」「カートランドとノーブーにおける多妻結婚」の項参照〕)
ほとんどの人にとって多妻結婚は従うのが難しい戒めであり,預言者ジョセフ・スミスは,従うように求められた人々が多妻結婚は神による戒めであるという霊的な確信を求めるときに,それを受けるだろうと約束したことを説明します。
生徒を少人数のグループに分け,付属の配付資料「多妻結婚は神による戒めであるという証」のコピーを配ります。この配付資料には,多妻結婚の実施が命じられたことにより影響を受けた,フィービー・ウッドラフ,ジーナ・ダイアンサ・ハンチントン・ヤング,ロレンゾ・スノーの話が載っています。生徒に,これらの話を一緒に読み,配付資料にある質問について話し合うように言います。
生徒が話し合いを終えたら,数人の生徒に配付資料の質問に対する答えを分かち合ってもらいます。
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これらの人たちから,教会の教えや歴史に関連した難しい質問に直面したときに何ができるかについて,どのような原則が学べるでしょうか。(生徒は次のような原則を言うでしょう:わたしたちが祈りながら主の導きを求めるとき,信仰を持って前進できるよう主は確証を与えてくださる。)
一人の生徒に,十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老の次の言葉を声に出して読んでもらいます。
「信仰は決して,すべての疑問への答えを求めたりはしません。しかし信仰は時折,『すべてのことを知っているわけではないが,主の弟子としての道を歩み続けるのには十分な知識が確かにある』ことを認識しつつ前進するための確信と勇気を求めます。」(ニール・L・アンダーセン「信仰は偶然ではなく,選びによって与えられる」『リアホナ』2015年11月号,66)
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この言葉は,初期の教会における多妻結婚の実施に対して疑問を持っている人にとって,どのように役立つでしょうか。
多妻結婚の実施は,ウィルフォード・ウッドラフ大管長に与えられた啓示によって,最終的には終わりを告げたことを説明してください(公式の宣言1参照)。わたしたちは今日,多妻結婚の律法に従って生活するように求められてはいませんが,ジョセフ・スミスがその難しい戒めに従い,教えたときに,主の御心に従っていたという確証をわたしたち自身が得ることは大切です。
一人の生徒に,十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老の次の言葉を声に出して読んでもらいます。
「預言者ジョセフ・スミスに関する疑問は目新しいものではありません。……21世紀の色眼鏡を通して,約200年前の預言者ジョセフについての出来事や語られた言葉について,正直なところ疑問を抱いている信仰ある人々に,幾らか友人として次のような勧告をしてもよろしいでしょうか。 ジョセフ兄弟をそんなに責めないでください。将来,皆さんは今日のインターネットのあらゆる検索エンジンを駆使した場合よりも100倍の情報を得られるようになるでしょう。 そしてそれらは, すべてを御存じの天の御父からもたらされるのです。ジョセフの人生全体について考えてみてください。 すなわち,貧しい家に生まれ,正式な教育はほとんど受けず,90日足らずでモルモン書を翻訳したのがジョセフです。何万人という正直で献身的な男女が回復の大義を受け入れました。38歳で,ジョセフは自らの血をもって自分の証を結び固めたのです。わたしはジョセフ・スミスが神の預言者であったこと,そして現在もなお預言者であることを証します。このことを心に留めて,前に進んでください。」(ニール・L・アンダーセン「信仰は偶然ではなく,選びによって与えられる」『リアホナ』2015年11月号,66-67)
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ジョセフ・スミスが霊感を受けた神の預言者だったことを心に留めておくことは,わたしたちにとってなぜ大切だと思いますか。
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ジョセフ・スミスの預言者としての召しと使命について信仰を強めるために,何ができるでしょうか。
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ジョセフ・スミスの預言者としての使命に対するあなたの証と確証は,難しい質問に直面したときに信仰を持って前進するうえで,どのように助けとなりましたか。
ジョセフ・スミスが霊感を受けた神の預言者であったことと,主の戒めに忠実であったことを証してください。信仰を持って前進できるように,主からの確証を求めるよう生徒を励ましてください。
生徒に,次のレッスンのために『聖徒たち』第1巻の第42-43章を読んで準備してくるように勧めます。