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第5課:神権の回復とモルモン書の証人たち


「第5課:神権の回復とモルモン書の証人たち」『末日聖徒の歴史:1815-1846年 教師用資料』

「第5課」『末日聖徒の歴史:1815-1846年 教師用資料』

第5課

神権の回復とモルモン書の証人たち

紹介とタイムライン

1829年5月15日,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリはペンシルベニア州ハーモニーで森に入り,「バプテスマと聖なる御霊の祝福にあずかる」にはどうしたらよいかを主に尋ね求めました(オリバー・カウドリ,『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』79から引用)。祈りにこたえて,バプテスマのヨハネが現れ,二人にアロン神権を授けました。それからしばらくして,使徒ペテロ,ヤコブ,ヨハネがジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにメルキゼデク神権を授けました。迫害が激しさを増したのでペンシルベニア州ハーモニーを離れ,ジョセフとオリバーはニューヨーク州フェイエットに赴き,ピーター・ホイットマー・シニアの家に滞在し,モルモン書の翻訳を続けました。主の約束が成就して,フェイエットに天使モロナイが現れ,オリバー・カウドリ,デビッド・ホイットマー,マーテン・ハリスに金版を見せました。後に,ジョセフ・スミスはニューヨーク州マンチェスターでほかの8人に金版を見せました。

1829年5月15日バプテスマのヨハネが,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにアロン神権を授けた。

1829年5-6月ペテロ,ヤコブ,ヨハネがジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにメルキゼデク神権を授けた。

1829年6月上旬ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリはニューヨーク州フェイエットのピーター・ホイットマー・シニアの家に到着し,モルモン書の翻訳を続けた。

1829年6月モロナイが三人の証人に金版を見せる。

1829年6月ジョセフ・スミスが八人の証人に金版を見せる。

生徒用読書課題

『聖徒たち—末日におけるイエス・キリスト教会の物語』第1巻「真理の旗」1815-1846年第7章

教えるためのアイデア

アロン神権とメルキゼデク神権が回復される

次の質問を掲示します:もし神権の力と祝福を用いることができなかったならば,あなたの生活はどのように違っていたでしょうか。

生徒たちに,この質問について深く考えてもらいます。自分の答えを分かち合える生徒がいれば,一人か二人に分かち合ってもらうとよいでしょう。

  • 『聖徒たち』第1巻第7章を読んだことを基にすると,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリが神権の権能を主に祈り求めるきっかけとなったものは何でしょうか。

ペンシルベニア州ハーモニーの森

1829年5月にモルモンを翻訳していたジョセフ・スミスとオリバー・カウドリは,救い主ご自身がニーファイ人を教え導かれたところにさしかかっていました。必要に応じて,このことを生徒たちが理解できるように助けます。ジョセフとオリバーは,罪の赦しのためのバプテスマの儀式を執り行うために,主が弟子たちに権能を授けられたことを学びました。この権能は,背教のために久しくこの地上から失われていました。

資料にある画像を見せ,それがペンシルベニア州ハーモニーにあるジョセフ・スミスの家の近くにある森であることを説明します。そこにジョセフとオリバーは祈るために入っていきました。

一人の生徒に,オリバー・カウドリの次の言葉を声に出して読んでもらいます。オリバーとジョセフが特に祈り求めたことを聞くように言います。

オリバー・カウドリ

「神の位に従ってバプテスマと聖なる御霊の祝福にあずかる方法を知るために,わたしたちは心を込めて力強い祈りをささげました。また先祖たちの権利と聖なる神権の権能,およびその神権によって管理する力を熱心に求めました。」(オリバー・カウドリ『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』79-80から引用)

数人の生徒に,交代でジョセフ・スミス—歴史1:68-74を読んでもらいます。ほかの生徒には,聞きながら,ジョセフとオリバーの祈りがどのように答えられたかを見つけてもらいます。

  • この出来事とバプテスマのヨハネの言葉から,アロン神権についてどのような真理が分かりますか。(生徒の答えには次のような正しい答えが含まれているでしょう:バプテスマのヨハネはジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにアロン神権を授けた。アロン神権には,「天使の働きの鍵,悔い改めの福音の鍵,そして罪の赦しのために水に沈めるバプテスマの鍵が含まれる。」ジョセフ・スミス—歴史1:69教義と聖約13:1も参照〕)

〔サスケハナ川の画像〕

資料の画像を見せ,それが,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリがバプテスマを受けたサスケハナ川近くの岸辺であることを説明します。

  • ジョセフとオリバーは,アロン神権を受け,正当な権能によりバプテスマを受けた直後に,どのような祝福を経験したでしょうか。(ジョセフ・スミス—歴史1:73-74参照)

一人の生徒に,次の文章を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,聞きながら,アロン神権の回復直後に何が起こったかを見つけてもらいます。

「〔ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリ〕はモルモン書の翻訳の仕事を進めていった。しかし預言者は一つの重要な祝福,すなわち,教会を組織し,神権の職と定員会を確立し,聖霊の賜物を授けるのに先だって必要であった祝福をまだ受けていなかった。メルキゼデク神権を受けなければならなかったのである。

バプテスマのヨハネが約束したように,この祝福はジョセフとオリバーがアロン神権を受けた後,間もなく二人に与えられた。昔の使徒であるペテロとヤコブとヨハネが,サスケハナ川の近くの人目につかない場所で二人に現れて,彼らにメルキゼデク神権を授けた。後にジョセフは,『王国の鍵と時満ちる神権時代の鍵を持っていると自ら宣言した,サスケハナ川沿いのサスケハナ郡ハーモニーとブルーム郡コールズビルの間の荒れ野におけるペテロとヤコブとヨハネの声』を聞いたと宣言している(教義と聖約128:20)。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』101

  • なぜメルキゼデク神権が回復されることが不可欠だったのでしょうか。

一人の生徒に,教義と聖約27:12-13を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,聞きながら,ペテロ,ヤコブ,ヨハネがジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに現れたことについて主が宣言されたことを探してもらいます。

  • 主は,ペテロ,ヤコブ,ヨハネがジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに現れたことについて何を宣言されたでしょうか。(必要に応じて,メルキゼデク神権の授与に関して述べられた12節,「わたしが……遣わして,あなたがたを聖任し……たペテロとヤコブとヨハネ」という語句を指摘してください。生徒が次の真理を見つけられるように助けてください:ペテロ,ヤコブ,ヨハネがジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにメルキゼデク神権と王国の鍵を授けた。

ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリが,ペテロ,ヤコブ,ヨハネからメルキゼデク神権を授かったことを,正確な日付は記録していませんが,繰り返し証していることを指摘してください。しかしながら,歴史的な経緯からその出来事は1829年の5月か6月に起こったと推測されます。時間的には1829年の5月半ばから下旬の間に起きたことを示す幾つかの証拠があります。」(see Larry C. Porter, “The Restoration of the Aaronic and Melchizedek Priesthoods,” Ensign, Dec. 1996, 30–47; see also The Joseph Smith Papers, Documents, Volume 1: July 1828–June 1831, ed. Michael Hubbard MacKay and others [2013], xxxviii–xxxix

時間を取って,神権の回復が生徒やその家族にもたらした祝福を書いてもらいます。生徒に書いたことを発表してもらいます。アロン神権とメルキゼデク神権の回復とその重要性について,あなたの証を簡単に述べてもよいでしょう。

モルモン書の翻訳を継続するために,ジョセフとオリバーはニューヨーク州フェイエットに移り住む

ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリがモルモン書の翻訳を続けているとき,ペンシルベニア州ハーモニーの人々は二人に対してますます敵対するようになったことを説明してください。オリバーは友人のデビッド・ホイットマーに,この業に対する証と,オリバーとジョセフが翻訳中に遭遇した困難について手紙を書きました。デビッドは父親であるピーター・ホイットマーの励ましを受けて,ジョセフとオリバーが翻訳を完成させるまで,ニューヨーク州フェイエットの自宅に一緒に住むように二人を招きました。ジョセフとオリバーが(後にエマも)ニューヨーク州フェイエットのホイットマー家に移り住んだとき,それはデビッドの母,メアリー・ホイットマーにストレスを与えてしまいました。彼女はすでに忙しく一家を切り盛りしていたのですが,滞在者によってその負担は増大しました。

  • 『聖徒たち』第1巻を読んだことを基にすると,メアリーの重荷を軽くした経験は何だったでしょうか。(モロナイが彼女に現れて,金版を見せた。)

  • この神聖な経験は,メアリーが重荷とストレスに耐えるのにどのように役立ったと思いますか。

預言者が翻訳する能力を失ったときの様子を記録した,デビッド・ホイットマーの次の記事を見せます。一人の生徒に,この記事を声に出して読んでもらいます。

デビッド・ホイットマー

「ある朝〔ジョセフが〕翻訳を続ける準備をしていたときのことです。家で何かうまくいかないことがあり,ジョセフはそれに腹を立てていました。妻のエマがしたことでした。オリバーとわたしは2階に上がり,間もなくジョセフも上がってきて,翻訳を続けようとしたのですが,何一つできませんでした。ただの一言も翻訳できなかったのです。ジョセフは下に降りて行き,果樹園の中で,主に嘆願しました。1時間ほどしてからでしょうか,ジョセフは家に戻ってきてエマに赦しを求め,その後,わたしたちがいる2階に上がって来たのですが,翻訳は順調に進んでいきました。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』116

  • エマに腹を立てていたとき,ジョセフが翻訳ができなかったのはなぜだと思いますか。

以下のデビッド・ホイットマーの記事の締めくくりを見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

デビッド・ホイットマー

「〔ジョセフ・スミス〕は謙遜で忠実でないかぎり何一つ行うことができませんでした。」(David Whitmer, quoted in B. H. Roberts, A Comprehensive History of the Church, 1:131).

  • この記事は,モルモン書が神の賜物と力により翻訳されたというあなたの証をどのように強めてくれたでしょうか。

三人と八人の証人が,金版を見てモルモン書が真実であることを証する

ジョセフ・スミスがニューヨーク州フェイエットに来てから1ヶ月もたたないうちに,「オリバー・カウドリと,デビッド・ホイットマーと,マーティン・ハリスは,3人の特別な証人となる望みを持つよう霊感によって促され〔ました〕。」(教義と聖約17章前書き)3人は金版の見証者となる機会を預言者に懇願しました。彼らはモルモン書を翻訳しているときに,以前から3人の証人が版を見るように定められていることを知っていました(2ニーファイ27:12エテル5:2-4参照。教義と聖約5:11-15も参照)。預言者は主に尋ね,教義と聖約第17章に記録されている啓示を受けました。

数人の生徒に,教義と聖約17:1-6を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,聞きながら,主がこの3人に言われた事柄を見つけてもらいます。

  • 3節によると,版を見た後この3人にはどのような責任があるでしょうか。

  • 3節の主の命令に基づき,真理について証を得た後わたしたちにはどのような責任があるでしょうか。(真理の証を手にいれたら,それについて証する責任がある。ホワイトボードにこの原則を書きます。)

生徒に『聖徒たち』第1巻第7章を開いてもらいます。数人の生徒に,73ページを順番に声に出して読んでもらいます。「その日のうちに,ジョセフは……」で始まる段落から74ページの「それで十分です!それで十分です!……」で始まる段落までを読みます。ほかの生徒には,聞きながら,この3人の男性が受けた証を見つけてもらいます。

  • この時,オリバー・カウドリ,デビッド・ホイットマー,マーティン・ハリスは,モルモン書が真実であるという確認の証をどのようにして受けたでしょうか。

このすばらしい経験の後に,ジョセフ・スミスと三人の証人はホイットマー家に戻ったことを生徒に伝えます。一人の生徒に,預言者の母ルーシー・マック・スミスが書いた記事を声に出して読んでもらいます。

ルーシー・マック・スミス

「〔ジョセフと三人の証人がホイットマー家に〕入ってくると……ホイットマー婦人,夫とわたしは寝室で座っていました。すると,ジョセフは入って来るなりわたしのそばにどかっと座り,大声で言いました。『お父さん,お母さん,わたしがどんなにうれしいか分かりますか。主があの版を,わたしのほかに3人の人にお見せになったのです。彼らも天使を見たのですから,わたしが話してきたことが真実であると証しなければならないのです。わたしは人々を欺こうとしているのではないことを,彼らは身をもって知ったのです。自分にはとても堪えられない,大きな重荷を取り除かれたような気分です。これからは彼らがその一部を負うことになるのです。もう自分がこの世でまったくの一人きりではないことが,心からうれしいのです』と語りました。」(Lucy Mack Smith, “Lucy Mack Smith, History, 1844–1845,” book 8, page 11, josephsmithpapers.org; capitalization and punctuation standardized)〔訳注—『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』127も参照〕

  • ジョセフ・スミスは,どのようにして「この世でまったくの一人きり」ではなくなったのでしょうか。

  • ほかに3人の証人ができたことが,ジョセフにとってそれほど救いとなったのはなぜだと思いますか。

「〔彼らは,版を〕見たことを証する」という主の命令に従順に従い(教義と聖約17:5),三人の証人は「三人の証人の証」を発行しました。そして,それは,1830年にモルモン書が出版されて以来,すべてのモルモン書に含まれていることを説明します。後に,この3人は自身の背教により,それぞれ教会から波紋されています。結局,オリバー・カウドリとマーティン・ハリスは再度バプテスマを受けて教会に戻りましたが,デビッド・ホイットマーは戻りませんでした。

一人の生徒に,大管長会のヘンリー・B・アイリング管長の次の話を読んでもらいます。

ヘンリー・B・アイリング

「三人の証人はモルモン書の証を決して否定しませんでした。真実であると知っていたからです。想像を絶するような犠牲を払い,困難な目に遭いました。……教会やジョセフから離れていた長い年月の間も,直接目にし,耳にしたあの驚嘆すべき経験を証し続けました。 そのためいっそう,彼らの証は力強いのです。」(ヘンリー・B・アイリング「預言者ジョセフの使命への不朽の証」『リアホナ』2003年11月号,90)

  • 三人の証人が教会から破門された後も,自身の証を確固として保ったことを知ることにより,彼らの証をさらに力強く感じるのはどうしてでしょうか。

ほかの8人も版を見て証をするように任命されたことを説明します。一人の生徒に,『聖徒たち』第1巻の「八人の証人の経験」を読んで要約してもらいます。必要に応じて,一人の生徒に,モルモン書の冒頭にある「八人の証人の証」を声に出して読んでもらうとよいでしょう。

  • 八人の証人の経験は,三人の証人の経験とどのように違っているでしょうか。

  • 主が,八人と三人の証人に,二種の異なる経験を与えられたのはなぜだと思いますか。(教会を批判する人々が,示現で見ただけだと三人の証人を非難したとしても,八人の証人が版に触った経験を説明しきれず,それとは逆に,批判家たちが,八人の証人を欺くためにジョセフ・スミスが金版を鋳造しただけだと非難しても,三人の証人が経験した神聖な現れを説明することができないことを,生徒が理解するように助ける。)

ホワイトボードに書いた原則を参照してください:真理の証を手にいれたら,それについて証する責任がある。

  • モルモン書が真実であることが,どのように理解できましたか。

  • 最近,モルモン書の証を人々に分かちあうために何をしましたか。

モルモン書の証を人々に分かち合う機会を探すように生徒を励ましてください。

生徒に,次のレッスンのために『聖徒たち』第1巻第8-9章を読んで準備してくるように勧めます。