「10:教えるスキルを向上させるにはどうしたらよいでしょうか」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』177-196
「10 教えるスキル」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』177-196
10
教えるスキルを向上させるにはどうしたらよいでしょうか
あなたは,あなたを受け入れるできるだけ多くの人々に,回復された福音を教えるために召されています。あなたの行動は,すべて教えることが中心となっています。キリストのような特質を伸ばし,宣教師のレッスンを研究し,伝道地の言語で話す能力を向上させ,また説得力をもって教えるために御霊に頼ります。主は約束を伴う一つの戒めとして,非常に簡潔にこのことを述べておられます。
「わたしの言葉を告げようとしないで,まずわたしの言葉を得るように努めなさい。そうすればその後,あなたの舌は緩められる。それから望むならば,あなたはわたしの御霊とわたしの言葉,すなわち人々を確信に導く神の力を受けるであろう。」(教義と聖約11:21)
「また,あなたがたは何を言おうかと,前もって思い煩ってはならない。ただ絶えず命の言葉をあなたがたの心の中に大切に蓄えるようにしなさい。そうすれば,それぞれの者に必要な部分が,必要なそのときに授けられるであろう。」(教義と聖約84:85)
大管長会および十二使徒定員会は次のように言明しています。「わたしたちの目的は,宣教師と教える人々がともに御霊に導かれるような方法によって,回復された福音のメッセージを教えることである。〔宣教師のレッスン〕を学ぶことは必要不可欠であるが,暗記したことをそのまま教えてはならない。御霊によって促されたときに,宣教師は,ためらわずに自分の言葉で話すべきである。暗記した言葉をそのまま言うのではなく,心を込めて自分の言葉で話す。〔相手〕の関心と必要に応じて,レッスンの順序から離れ,霊感を受けたとおりに進めてもよい。自らの確信とともに,自分の言葉で話し,教えていることが真実であると証する。」(「伝道活動に関する声明」大管長会からの手紙,2002年12月11日付)
何を話し,何をなすべきかを知るうえで御霊に頼ることを学んでください。本章に挙げられている教えるスキルを研究し,応用し,活用することによって,あなたはいっそう優れた主の御手に使われる者となることでしょう。培ってきた知識とスキルを使って,いっそう力強く教えられるよう,御霊はあなたを助けてくれます。より質の高く,力強いレッスンができるようになれば,回復された福音が自分にとって重要なものであることを理解し,感じられるように人々を助けることができます。また,あなた自身のふさわしさも,人々の理解力に影響を与えます。さらに,どれほど人々に気持ちを集中させ,耳を傾けているか,どれほど巧みに福音を説明し,聖文を使い,証を分かち合い,質問し,決意をしてそれを貫くよう招くかということも,人々の理解に影響を及ぼすのです。
レッスンを始める方法
人々と出会って最初の数分間は非常に重要なものです。人々からの信頼を得なければなりません。最初の訪問では,相手に敬意を示し,友好的に,誠意をもって接します。相手の宗教的背景,あなたの訪問に対して寄せている期待を理解するために,幾つかの簡単な質問をします。例えばこのように質問します。「あなたの生活の中で,宗教はどのような役割を果たしていますか。」しかし,相手に不快感を与えるような個人的な質問は避けます。
始める前に,その場にいる全員がレッスンに参加するよう求めます。主の御霊が妨げられることのないように,テレビを消し,そのほか気をそらすものを片付けるようお願いします。
毎回のレッスンは祈りによって始め,祈りによって終えることを説明します。あなたが開会の祈りをささげることを申し出てください。あなたの教える人々が生活のあらゆる面で主の祝福を受けられるように,特にあなたの教えることが真理であることを感じられるように,簡潔ながらも熱心な祈りをささげます。
人々に心からの関心と愛を示し,福音の改宗をもたらす力に信仰を寄せます(モロナイ7:43-48参照)。御霊に導かれるままに,以下のような思いを話すとよいでしょう。
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神はわたしたちの天のお父様であるため,わたしたちは皆兄弟姉妹です。わたしたちはあなたを兄弟,姉妹と呼びたいと思います。
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わたしたちが教える人々は,それぞれ個人的な課題や悩みを持っています。あなたがどのような必要や心配事を抱えていても,救い主とその教えは,すなわち福音は,あなたに助けをもたらしてくれます。
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わたしたちのメッセージは,あなたが生活の質を向上できるようにしてくれます。だれもが生活の中で直面する問題やチャレンジに対処するための助けを与えてくれます。
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イエス・キリストを中心とするわたしたちのメッセージは,大変価値のある重要なものです。
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わたしたちは皆,生活の中で過ちを犯します。これらの過ちは罪悪感と羞恥心をもたらします。悔い改めと赦しなくして,こうした気持ちから解放されることはできません。キリストの贖罪を通して,完全な癒しを受けることができます。
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一度聞いただけで,わたしたちのメッセージをすべて学び取ることはできません。祈り,研究し,経験し,神の戒めを守ることによって,徐々に理解を深めていくことができます。
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すべての人と同様に,わたしたちにも弱点があります。言葉を上手に話せなかったり,すべての質問に答えられなかったりすることがあるかもしれません。しかし,わたしたちは知っていることを分かち合うよう,神の預言者から召されています。わたしたちはメッセージが真実であることを知っています。
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メッセージが真実であることを御自分で知っていただくために,わたしたちは案内役を務めているのです。メッセージを受け入れ,実行するかどうかを決めるのはあなたです。ですから,遠慮なくご質問ください。
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わたしたちのメッセージを理解しようと誠心誠意努力するときに,チャレンジに出遭うことがあるかもしれません。しかし,神はあなたを助けてくださいます。
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あなたはわたしたちのメッセージを受け入れるとき,神と聖約を交わす,つまり約束する方法を学びます。神の教えとさらに調和した生活を送るには,どのような変化を遂げる必要があるかを学ぶのです。あなたはイエス・キリストの教えに従って,正しい権能を持つ人からバプテスマを受けたいと思うようになることでしょう(ヨハネ3:5参照)。
レッスンの教義を教える前に,これから教える事柄の簡単な概要を説明するとよいでしょう。自分に直接関係のある事柄だということを理解してもらえるように,人々を助けてください。あなたが教える人々の多くは,主によって備えられています(アルマ16:16-17参照)。最初の集会で霊的な経験を分かち合うことによって,あなたが主の僕であることを知ってもらうことができます。
相手の必要を満たせるよう,教え方を調整する
あなたが教える個人や家族はそれぞれに異なっています。彼らの関心,成し遂げてきたこと,必要,問題をすべては理解できないとしても,彼らが置かれている状況に配慮するよう心がけなければなりません。どのような必要や問題を抱えていようと,だれでも福音を受け入れ,従うことによって最善の助けが得られます。あなたは御霊の促しに耳を傾けるならば,教え方を調整することができます。
レッスンを教える順序については,教える人々の必要や関心,抱いている疑問や置かれている状況に応じて,御霊の導きにより判断します。一つのレッスンに含まれる原則を一度の集会では教えられないことがあるかもしれませんし,二つのレッスン内容を一度の集会で教えられることがあるでしょう。天の御父は御自分の子供たちをよく御存じです。ですから,教える際のこうした判断については霊感に頼ってください。何を教えるべきかについては,識別の賜物を祈り求め,浮かんでくる考えや感じる気持ちに注意を払ってください。
教える相手にとって守りにくい決意事項により意識を向けられるよう,レッスンを調整する必要が生じることでしょう。例えば,ある人はモルモン書を神の言葉として容易に受け入れますが,聖書以外の聖典を受け入れにくい人もいます。たばこをやめることに苦労するものの,什分の一の律法は容易に受け入れられる人もいます。
特定の教義上の原則をいつ教えるか計画するに当たっては,伝えようとしている新しい情報量にも配慮する必要があります。教える相手,一人一人に合ったペースで教えましょう。進歩する速度は人によって違います。あなたが伝えている教義を,一人一人がどれほどの速度で,またどれほどの理解度をもって学び,応用しているかをきちんと把握できるように,必ず十分に質問し,その答えによく耳を傾けてください。
時間的な制約に配慮してください。ほとんどの場合,ティーチング・アポイントメントは45分を超えてはなりません。レッスンの時間は,必要に応じて15-20分で終わらせることができます。相手が15分しか時間を取れない場合は,相手の時間的制約を考慮して,レッスンを調整しましょう。
「あなたがたの言うべきことは,まさにそのときに,まことにその瞬間に」御霊が授けてくださるという約束を信頼してください(教義と聖約100:6)。
同僚と一致して教える
主は「あなたがたはわたしの御霊の力をもって出て行き,二人ずつ組んで……わたしの福音を宣べ伝え」るようにと命じておられます(教義と聖約42:6)。あなたと同僚が一致して働くなら,その教えはより力強く,興味深いものとなります。毎日の計画や学習において,二人が一致し,同じ方向性をもって教えるための方法について話し合ってください。
あなたと同僚がレッスンを短い部分に区切って交代で担当するなら,教えはもっと力強いものとなります。メッセージを伝える際には,機械的にならないように注意してください。同僚が証する真理に対して第二の証人となることにより,同僚を支持してください。何かを言うように御霊の促しを受けたら,その印象に従います。御霊の導きを妨げることのないように,同僚として互いに譲り合うことが大切です。相手の目を見て話すようにしましょう。話していないときは同僚のために祈り,教えている人々の反応を注意深く観察します。
教えるときに会員の助けを求める
可能であれば,いつでも会員にレッスンを手伝ってもらいます。最近の改宗者が望ましいでしょう。教えている人々と同じ宗教に所属していたことのある教会員が同席できれば理想的です。会員にレッスン内容のコピーを見せて,教えてほしい事柄について話し合います。どうすれば力を合わせられるか,話し合ってください。例えば必要に応じて,レッスンにある特定の原則を会員がどのように学び,受け入れ,実践できるようになったか話してもらいます。また,教会に入ることをどのようにして決意したのか教えてもらうとよいでしょう。会員にレッスンに参加してもらうことによって,伝道活動の喜びを感じてもらうことができます。また,教えている人々に友情を築く機会をもたらすことにもなるのです。トーマス・S・モンソン大管長は次のように教えています。
〔人々〕はレッスンを受ける過程にあって,最近バプテスマを受けて会員になった夫婦の力強い証によって強められることがあります。オンタリオとケベックを管轄するカナダ伝道部に家族で住んでいたときのことです。わたしは当時その伝道部を管理していました。住民の大部分は三大宗派に所属していることが分かりました。ローマカトリック教会と英国国教会(聖公会),それにカナダ合同教会でした。わたしたちは伝道部内のすべての都市で,これら三大宗派から改宗して新たにバプテスマを受けた家族が,新しい〔人々〕を教えている宣教師を手伝えるように手配しました。こうした会員は,宣教師の2回目か3回目の訪問に夫婦で同行しました。
例えば,ある宣教師はカナダ合同教会の人々に働きかけていました。そのようなときに,カナダ合同教会出身の〔兄弟姉妹〕が持っている力強い証を生かせたのは,どれほどありがたいことだったでしょうか。〔その兄弟は〕こう言いました。「末日聖徒イエス・キリスト教会に入ったとき,……完全な真理を見いだしました。きっとあなたも何とかなります。あなたも同じように決心できます。ところで,日曜の朝はわたしたちがお迎えに伺いますから,教会で一緒に座りましょう。そこでゆっくりと会員の話を聞いて,御自分で感じ取ってください。わたしたちはそばにいますから。」
アンソニー・ベルフィグリオ,エディス・ベルフィグリオ夫妻は,ローマカトリック教会から導かれた人々のフェローシップを担当しました。同じく成果がもたらされました。そのようなことが実際に起こるのです。こうして改宗した人々は教会に活発です。さらに,この割り当てを果たすよう選ばれた夫婦は,自分たちも福音という豊かな土壌にさらに深く根を下ろすことができたのでした。……ベルフィグリオ兄弟は〔祝福師〕に聖任されました(missionary training satellite broadcast, Apr. 25, 2003)。
聖文を活用する
回復されたイエス・キリストの福音を教える際の基本となる資料は,教会の標準聖典です。生ける預言者の言葉も活用することができます。レッスンの基盤として聖文を用いることが大切な理由はたくさんあります。例えば,次のようなことが挙げられます。
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主と主の預言者は,わたしたちにそうするよう指示しておられます(教義と聖約42:12,56-58;71:1参照)。末日の預言者は次のように勧告しました。「わたしたちは主がモルモン書の中で示された言葉や方法を基に,……福音の原則を教えなければなりません。」(エズラ・タフト・ベンソン「モルモン経と教義と聖約」『聖徒の道』1987年7月号,95参照)
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聖文はあなたのレッスンに聖霊を招きます。聖文は神の言葉を力強く教えています(アルマ31:5参照)。
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聖文は人生の重要な問題について答えています(2ニーファイ32:3;モルモン書ヤコブ2:8参照)。
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聖文は,キリスト教が一般的ではない地域の人々に対しても,あなたの教えに権威と正当性を与えてくれます。
聖文を使って力強く教えられるかどうかは,大部分,あなたがどれほどの時間を聖典の研究に注ぎ込んでいるかに懸かっています。毎日聖文の言葉をよく味わっているならば,聖文を使って教える力は増し加えられます。さらに,聖典を研究し,深く考えるよう招くあなたの言葉に力強さが加わってきます。なぜなら,あなたはそれを生活の中で実行しているからです。聖典,特にモルモン書を学ぶことにより,人々がイエス・キリストに対する信仰を抱けるよう助けてください。明らかにされている真理の源となっているのは聖典です。人々がそのことについて証を得られるように助けましょう。人々が聖典を信じるようになれば,教義を正しく理解できるよう助けるのはもっと容易になります。以下の提案を参考にしてください。
聖句を紹介する—採り上げる聖句の背景と前後関係を簡潔に説明してください。教える人々に,聖句の中から要点を見つけてもらうようにします。聖典の知識が乏しい人々に教える場合,相手に理解してもらえる言葉を使って聖句の内容を説明することから始める必要があるかもしれません。聖句を紹介する方法を,以下に例を挙げて説明します。
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「ジョセフが祈るために森へ入ったときの出来事について,自ら述べた言葉がジョセフ・スミスの歴史の中に記されています。ジョセフはこのように語りました。『わたしは……光の柱を見た。』」
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「預言者アルマはこの聖句の中で,神の言葉に対して信仰を働かせるよう貧しい人々に教えています。アルマは神の言葉を,わたしたちの心に植えることのできる種にたとえています。……節から読んでくださいますか。」
聖句を読む—あなたか教えている人が,聖句を声に出して読みます。読むことがあまり得意でない人には,配慮が必要です。聖句が難解であれば,ゆっくりと一緒に読んで,難しい箇所を理解できるように助けます。あるいは,教えている人々には簡単な聖句を読んでもらいます。また,難解な語句については意味を説明してください。
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「その人は,とがめもせずに〔『とがめもせず』とは,神は非難したり,あら捜しをしたりしないという意味です〕惜しみなくすべての人に与える神に,願い求めるがよい。そうすれば,与えられるであろう。」(ヤコブの手紙1:5)
内容が明確で,説明の必要がない聖句もありますが,そうでない聖句については,読んだ箇所を説明する時間を取ってください。
聖句を応用する—ある原則が今日のわたしたちとどう関連しているのかを説明することによって,聖文を自分と教えている人々に「当てはめて」ください(1ニーファイ19:23参照)。教えている人々に,生活の中で原則をどのように応用できるか示します。彼らはそうすることによって,教えが正しいことを知るようになるのです。原則について証を述べ,祝福を約束してください。例えば,次のように話します。
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「アルマの民は,あなたと同じように大きな重荷を背負っていました。 それは耐えられないほどの重荷でした。しかし信仰を行使して『神に熱烈に叫び求めた』ところ,神は人々を強めて,彼らがチャレンジに耐え,試練から救い出されることができるようにしてくださいました。神はこれらの人々になさったのと同じく,あなたが……するときに,試練にあって助けてくださると知っています。」
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「アルマがモルモンの泉で人々に与えた教えは,今日のわたしたちにも当てはまるものです。佐藤さん,あなたは進んで,……してくださいますか。」
神聖な書物に対してどのような考えを持っているか,聖書にどれほど親しんでいるか,聖典の言葉をどれほどよく理解しているか,聖書に神の言葉が記されていることをどれほど深く信じているかは,教える人によって大きく異なります。すべての人々が聖文に正しい認識を持てるよう助けてください。レッスンの中で聖文を効果的に用いることによって,人々が自分で聖文を研究し始めるきっかけを与えることができます。訪問を終える度に,課題として特定の章や節を読むよう提案してください。読むときに考えてほしい質問を提案してもよいでしょう。 次回の集会では,その質問について話し合います。このようにすれば,家庭で日々聖文を研究するよう,また聖文を用いる教会の集会やクラスに参加するよう奨励することができます。
理解できるように教える
メッセージそのものを理解できれば,人々は福音の回復のメッセージをいっそう信じやすくなります。ジェームズ・E・ファウスト管長は次のように述べました。 「聖文,特に『モルモン書』と『新約聖書』を学び,深く考え,教えてください。はっきりと伝えられるように,真理に精通してください。B・H・ロバーツ長老はこのように記しました。 『真理を知らせるには,宣べ伝えなければならない。より明確に,より完全に伝えることができれば,聖なる御霊が人の心にこの御業の真実性を証されるのに,いっそう好都合である。』〔New Witnesses for God, 3 vols. (1909), 2:vii〕自分自身が改宗せずに人々を改宗させることはできません。」(「伝道に出る前に息子に知ってほしいこと」『聖徒の道』1996年7月号,49)
あなたは教える際に,聖文に基づいて論じ,解き明かすよう命じられています(教義と聖約68:1参照)。解き明かすとは,詳しく述べ,はっきりと説明することです。福音を解き明かすとは,語るべきことを御霊に導かれながら,教義と聖文の意味を簡潔明瞭に説明することです。人々が教義上の原則を理解できるように,堂々と,同時に親しみを込めた口調で伝えてください。人々が原則について考えるのを促すため,また教わったことを理解し,受け入れているかどうかを確かめるために,質問をしましょう。
第3章のレッスン3までの各末尾には,教える人々にとってなじみがないと思われる言葉のリストが載っています。理解できるように教えることには,人々があなたの話をもっとよく理解できるように,語句や考えを確実に説明することが含まれます。以下の方法によって,福音を説明する能力を高めることができます。
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自分が使う言葉についてよく理解する。
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人々が理解できないかもしれない言葉を定義する。教会員にとって特別な意味を持つ言葉の多くは,教会により承認されたリソースにおいて簡潔に定義されている。
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次のような質問をする。「……の意味が分かりますか。」「今お伝えしたことを自分の言葉で言い換えてくださいますか。」
第3章の教義を研究する中で,人々にとって理解しにくいと思われる言葉を見つけるようにします。第3章の教義をレッスンする際には,教えている人々にとって理解が難しかった語句や概念をメモしておきましょう。上記のリソースを活用し,それらの言葉の定義を確認します。教えている人々や最近の改宗者に,あなたの定義を理解してもらえるかどうか試してください。
質問する
イエス・キリストは,原則について人々が深く考え,それを応用できるようにしばしば質問を投げかけられました。主の質問は,熟考し,内省し,決意するよう促すものでした。
優れた質問は,人々の関心や心配事,疑問を理解するうえで役立ちます。質問を適切に用いることによって,レッスンの深みを増し,御霊を招き,人々の学びを助けることができます。
これに対して質問の用い方を間違えると,人々をおじけづかせ,いら立たせ,気分を害する結果になり得ます。不適切な質問は,教え学ぶ環境を収拾のつかないものにしてしまう可能性があるのです。以下のような質問をするように努めてください。
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簡潔で理解しやすい。
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人々があなたの教えている事柄について考える助けとなる。
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あなたが教えている事柄に対する人々の理解度を見極める助けとなる。
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学んでいることを応用する助けとなる。
こうした質問に答えていく中で,あなたの教えている人々は心を開いて話せると感じるようになるでしょう。優れた質問をすることによって,人々は理解できないとき,心配事があるとき,どうすべきかを知りたいとき,あなたに尋ねるようになります。また,あなたが教えている人々は自分の気持ちを打ち明けるようになり,それによって自分の証が強くなっていることに気がつくことでしょう。効果的な質問には,次のようなものがあります。
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これまで学んできたことの中で,何か質問がありますか。
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あなたは天の御父から愛されていると思いますか。どうしてそう感じるのですか。
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わたしたちはどうしてこの物語の人々のように,時々同じ間違いを犯してしまうのでしょうか。
教えている人々が質問に答えられるように,このような言葉をかけるとよいでしょう。「これまで安息日を聖く保つことの大切さを説明してきました。そこで『この戒めはわたしにとってどのような意味があるだろうか』と自問してみてください。」しかし,次のような質問は避けてください。
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複数の概念を含んでいる。
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まだ教えていない教義に関連している。
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明確な目的がない。
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不必要に尋問調で,詮索がましい。
特に初めての訪問であまり多くの質問をすると,「尋問」しているような印象を相手に与えます。大切でないことや明らかに細かすぎることについて,限定的な答えを求めるような質問はしないでください。このような質問は,教えるための適切な状況を単なるなぞ解きゲームの場にしてしまいます。特定の答えを求める場合は,事実に基づいた質問をするか,ほかの方法で情報を提示するようにするとよいでしょう。答えを知らなかった場合に,相手が恥ずかしい思いをするような質問をしてはなりません。大切な原則を教え,証した後に質問するのが最も有効です。以下に挙げるのは,効果的でない質問の例です。
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最初の預言者はだれでしたか(神権時代について教える前に質問した場合)。
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御霊を受けるために,また神の預言者に進んで従うことを表すために,体を清い状態に保つことはどのような助けとなるでしょうか(複数の概念を含んでいる)。
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神の戒めについて知ることは大切でしょうか(「はい」か「いいえ」で答えられる質問であり,答えがあまりにも明白である)。
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モルモン書についてどう思いますか(相手が読む前にこの質問をした場合)。
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神を身近に感じるために,日常生活の中でどのようなことができるでしょうか(「祈り」という具体的な答えを求める場合には曖昧な質問である)。
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ノアの次の預言者はだれでしたか(推測を求めている)。
御霊に導かれるままに質問することを学んでください。適切なときに適切な質問をすることは,教えている人々が福音を学び,御霊を感じるうえで大きな助けとなります。これに対して,不適切な質問をしたり,不適切なタイミングで質問したりすることは,学習の妨げとなります。適切なときに適切な質問をするには,あなたが御霊に波長を合わせ,教えている人々の話に耳を傾け,教えている間意識を集中していなければなりません。効果的に教えることは大変な務めであり,心を注ぎ,力を尽くすことがあなたと同僚に求められます。
耳を傾ける
人々の話に注意して耳を傾けるなら,その人々をよく理解することができます。彼らは自分の考えや気持ちが大切にされていることが分かると,あなたの教えを受け入れようとする気持ちになり,個人的な経験を話し,決意を固めようとするものです。あなたは耳を傾けることによって,レッスンを彼らの必要と関心に合わせて効果的に教えることができます。
特に御霊のささやきに耳を傾けてください。人々から気持ちを打ち明けられているときに,御霊によって導かれた思いや考えがあなたの心に入り込んで来るかもしれません。また,人々が伝えようとしていることを理解することができます。
ほかの人が話しているときに,自分が次に話す事柄について考える傾向を避けてください。相手の話によく集中するようにし,返答の仕方をあれこれ考えることのないようにします。ジェフリー・R・ホランド長老はこのように教えました。「話すよりもはるかに大切なのは聞くことでしょう。これらの人々は,バプテスマの統計のためにいる命なき存在ではありません。彼らは神の子供であり,わたしたちの兄弟姉妹であり,福音を必要としている人々なのです。誠実に接してください。心から手を差し伸べてください。この友人たちに,彼らが最も関心を持っていることについて尋ねてください。彼らが最も大切にしているもの,彼らが愛おしいと思っているものについて尋ねてください。それから,耳を傾けてください。適切であれば,恐れていることや切に望んでいること,生活の中で欠けていると感じているものについて尋ねてもよいかもしれません。お約束します。彼らの話を聞くうちに,皆さんが証を伝えたり,もっと分かち合ったりすることのできる福音の真理が,常に,浮き彫りになることでしょう。……わたしたちが愛をもって耳を傾けるなら,何を言うべきか悩む必要はありません。御霊,そして友人自らが,語るべき言葉を教えてくれることでしょう。」(「わたしの証人」 『リアホナ』2001年7月号,16参照;強調部分は原文のまま)
人々は座り方,顔の表情,手のしぐさ,声の調子,目の動きによっても意思を伝えます。こうした言葉によらないメッセージを観察してください。あなたが教えている人々の気持ちを理解する助けとなります。また,あなた自身の身ぶり(ボディーランゲージ)についても意識しておきましょう。心から耳を傾けることによって,関心と熱意のメッセージを送ってください。
沈黙を恐れてはなりません。人々は質問と答えについて考え,自分の気持ちを表現するために時間を必要とする場合があります。質問をしたり,霊的な経験を分かち合ったりした後,あるいは人々が自分の気持ちをうまく表現できないときには,少し間を取ります。あなたが次の言葉を話す前に,相手に考えをまとめる時間を与えてください。相手が話しているときに,話の腰を折るようなことをしてはなりません。
相手の話を理解したと感じたら,「つまりあなたのおっしゃることは……ですね」あるいは「あなたは……と感じているということでしょうか」などと,あなたが理解していることを表す言葉を述べます。自分の理解に不安があれば,分からない部分を説明してもらうようにします。
また,相手が会話を独占しがちなために,回復された福音を教えられないことがあります。そのような状況を上手にコントロールする術を身に付ける必要があります。例えばこのように言います。「あなたのご意見に感謝していますが,その件については後で話し合うことにしましょう。別の訪問の機会にそれについてお話しするのを忘れないように,同僚に書き留めておいてもらいます。」イエス・キリストの福音を教えることが,彼らにとっていちばんの助けになることを忘れてはなりません。
注意深く耳を傾けていると,御霊があなたの言うべきことを知らせてくれます。耳を傾けるには努力と集中力が必要です。一人の宣教師は次のような実経験を紹介しています(以下,仮名を使用)。
わたしは同僚とともにサンチェス家族を教えていました。室内がとても暑かったのに加えて,子供たちがひどく騒いでいました。わたしはサンチェス姉妹にモルモン書を読んでいるかどうか尋ねました。彼女が説明し始めると,男の子が同僚のノートをつかみ,手にかざして部屋中を走り出しました。わたしはサンチェス姉妹に視線を向けていましたが,うわの空でした。考えていたのは,「とても暑い。あの子,静かにしてくれないかな。これではレッスンができやしない」ということでした。そのようなことを考えている間にふと気がつくと,サンチェス姉妹は何とかして話そうとしていました。わたしは,耳を傾けなさいという静かな促しを心に感じました。暑さと騒音から心を切り離すよう努力し,話そうとしているサンチェス姉妹の顔に注目しました。彼女はうつむいていましたが,それからわたしと同僚に目を向けました。御主人は子供たちを静かにさせるのに手を焼いていました。しばらく間を置いてから,彼女は声を震わせながら言いました。「あなたたちから言われたことを実行してみました。言われた聖句を読んで祈ったのです。」彼女は再び沈黙し,視線を落としました。子供たちをちらっと見てから,わたしと目を合わせます。そして,笑みと涙を浮かべながら,「答えを受けました」と言ったのです。「これは真実です。確かに真実です。」御霊が部屋中にあふれました。わたしは自分が耳を傾けたことに心から感謝しながら,「はい,そのとおりなのです」とほほ笑んだのでした。
人々が問題を解決できるよう助ける
あなたが教えている人々の中には決意したことを貫くだけの信仰がない人,反対に遭っている人,あなたが話すことすべてを必ずしも受け入れていない人がいます。彼らは最終的に,自分で選択しなければなりません。しかし,あなたは彼らの疑問に答え,彼らが問題を解決し,障害に打ち勝てるよう助けるためにできるかぎりのことをしたいと思うことでしょう。
人々の問題を,氷山にたとえることができる場合があります。水面上に見えるのは,ほんの一部にすぎません。複雑で解決が難しい問題もあります。そのため,あなたは御霊の導きに従い,また状況に最も適した方法で対応する必要があります。識別の賜物を祈り求め,心に感じるものに従ってください。天の御父はあらゆる人の心と,経験していること(氷山全体)を御存じであり,その人にとって最もよいことをあなたに知らせてくださいます。
問題を解決できるよう助けるには,まず質問し,耳を傾けることによって,彼らの問題を理解しようと努めてください。彼らが問題を解決するのを助ける方法が分かるように御霊に頼りましょう。例えば,バプテスマの必要性に懸念を抱いているのであれば,聖文を活用して応じることができますし,預言者ジョセフ・スミスに対する証を分かち合ってもよいでしょう。
多くの場合,問題となっているのは,教義上のことよりも人間関係の問題です。例えば,教会に入ることで家族の反対を受けることを不安に思っている人々がいるでしょう。あるいは職場の友人から否定されるのを恐れているかもしれません。どのようなことを懸念しているとしても,人々にはあなたの知らない過去の経験や受けている影響力があり,それが原因の一部となっていることもあります。多くの場合,彼らの問題を理解し,助けるうえで会員の力を借りることができます。
個人が抱えている問題への対処の仕方は,その問題がどのような性質のものかによって異なります。人々の心の葛藤が,回復された福音が真実であるという霊的な確信を受けられないことに起因しているのか,真の原則に従って生活する決心がつかないためなのかを見極めてください。このような方法で問題の核心を理解することにより,証または決意事項のどちらに焦点を絞ったらよいか知ることができます。
悔い改めと依存症からの立ち直り
悔い改めは霊的な過程であり,謙遜になり,罪を告白し,償い,罪から遠ざかることが求められます。それは,思いと行いを絶えず改善していくという決意であり,救い主のようになろうとする過程でもあります。罪を繰り返してしまったとしても,癒しを得る方法としての悔い改めが備えられています(モーサヤ26:30;モロナイ6:8;教義と聖約1:31-32参照)。
悔い改めるうえで,情緒と肉体の両面における変化が求められる場合があります。現在も行われていて,深く身に付いてしまった不適切な行動は,やめなければなりません。望ましくない行動を,健全で適切な行動に切り替えなければならないのです。
誠意ある改宗者であっても,さらなる自制心を身に付けられるよう進歩していく過程で,誘惑に屈してしまうことがあります。そのため,悔い改めと克服に相当な時間が必要とされることもあるでしょう。そのような場合,誘惑を克服し,完全な悔い改めを行うために,新しい改宗者はまず主に助けを求めます。必要であれば,(宣教師ではなく)神権指導者の助けを仰ぐべきです。
人々はバプテスマと確認を通して,聖霊の賜物を受けます。聖霊の賜物は,こうしたチャレンジに打ち勝つ力を強めてくれます。しかし,バプテスマと確認を受けたとしても,こうした行為に伴う感情的,肉体的衝動が完全に払拭されるには至らないかもしれません。最初の段階である程度の成功を収めたとしても,完全に悔い改めて立ち直るには,さらなる情緒的な癒しを必要とすることもあるでしょう。
人々が悔い改めと依存症からの立ち直りについて理解できるよう助ける
依存症にかかわる質問や懸念に応じるように求められることがあるかもしれません。あなた自身,人々がこうした問題に関連する難しい質問の答えを見いだせるように彼らを助けたいと思うことでしょう。あなたができる最善のことは,彼らを地元の神権指導者に紹介し,教会がオンラインで提供する『依存症立ち直りプログラム』について調べるよう勧めることです。同じくこのリソースにアクセスするよう,地元の教会指導者に勧めてもよいでしょう。地元の指導者は,教会のProvident Living(賢明な生活)ウェブサイトを確認することもできます。
依存症を克服しようと苦心している人々に愛を示し,彼らをサポートするにはどうしたらよいか,以下の提案を参考にしてください。
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キリストのもとへ向かおうとする人々の努力を支えます。天の御父とイエス・キリストは,立ち直り,癒しを受けようとする人々の努力を認め,価値あるものと思っておられること,また救い主と主の贖罪を通して力を受けられることを理解できるように助けましょう。主は,人々の心に善を行おうとする意思があることを完全に御存じです。
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そのような人々のために,個人的に,また本人と一緒に祈ります。必要に応じて,地元の神権指導者から神権の祝福を受けるよう勧めましょう。
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イエス・キリストの福音を教え続けます。天の御父と救い主,聖霊は彼らを愛しておられ,その成功を願っておられることを教えてください。
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日ごろから教会に出席し,会員たちと友情を育むよう勧めます。
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逆戻りしてしまっても,必ずできるという態度で励ましてください。
末日聖徒は新会員の友人となることにより,彼らが活発であり続けるうえで何よりの手助けをすることができます。会員たちは温かく積極的な態度で,レッスンを受けている人々や新しい改宗者たちに手を差し伸べるべきです。ほほえみをもって歓迎され,心からの関心とともに近況を尋ねられるとき,また集会の間人々が隣に座ってくれ,夕食や家族で過ごす夕べに招いてもらうとき,訪問者や新しい改宗者は,それらを好意的に受け止めることが多いものです。
一部の人々は再び依存症に陥ってしまう可能性もあります。しかし,神権指導者と会員たちは,あなたの教えている人や新会員がそのような問題に苦しんでいることを知っても,ショックを受けたり,落胆したりしてはなりません。皆が愛を示すべきであって,たとえその人がかつての欲求に屈してしまったとしても,批判的になってはなりません。それは一時的な,無理からぬ後退と受け止めてください。レッスンを受けている人や新しい改宗者を非難しても,決して助けにならないどころか,彼らが落胆と失意に陥り,教会から遠ざかってしまうことにつながるだけです。突然教会に来なくなった新しい改宗者は,かつての依存症に戻ってしまい,自分はふさわしくないと肩を落としてしまっているのかもしれません。すぐさま訪問して励ましを与え,支援することにより,立ち直る手助けをすることができます。会員たちは言葉と行いにより,教会がキリストの愛を見いだせる場であることを示す必要があるのです(3ニーファイ18:32参照)。デール・G・レンランド長老はこのように勧告しています。「他の人々がそれぞれの霊的な病に取り組んでいるときに,わたしたちは寛容でなければならないだけでなく,親切で,忍耐強く,支えとなり,理解を示さなければなりません。」(「末日聖徒は努力し続ける民です」『リアホナ』2015年5月号,58)
人々が依存症を克服しようとする中で,教会に活発であって,忠実に生活しようと努めることが重要となります。
何かを残してからレッスンを終える
訪問してレッスンを終えるとき,次回の集会の準備として,教えている人々に読んで,深く考えてもらう資料を毎回渡してください。モルモン書から数章を研究する割り当てを与えてもよいでしょう。あるいは福音ライブラリーなどの教会により承認されたリソース(印刷版およびデジタル版)を活用するように勧めることもできます。関心事への答えを見つけたり,特定のテーマを調べたり,ビデオを視聴したりするのに役立ちます。必ず何かについて考え,深く思い巡らし,祈るよう,教えている人々にチャレンジしてください。次回の訪問の際,それを最初に話題にすることができます。
キリスト教の背景を持たない人々に回復された福音を教える
あなたが教える人々の中には天の御父とイエス・キリストを信じていない人や,キリスト教的な伝統を持たない人がいるかもしれません。しかし,こうした人々の多くは神聖なものと見なしている信条や慣習,場所を持っているものです。あなたは神の僕として,彼らの宗教上の信条や伝統に適切な敬意を払うことが大切です。何であれ,人々が大切にしているものに対して不敬な態度を執ってはなりません。
あなたはこれらの人々にどのような切り口から教えたらよいか戸惑うかもしれません。どのような生い立ちかにかかわらず,神のすべての子供たちは改宗するうえで,イエス・キリストを信じる信仰を育み,悔い改めて,バプテスマと確認の儀式を受け,戒めを守り,奉仕を行うことによって最後まで堪え忍ばなければなりません。イエス・キリストを信じる信仰を築くための原則は,文化の違いを越えてあらゆる人に共通するものです。こうしたキリスト教の背景を持たない人々を教えるに当たって有益なリソースは,福音ライブラリーの「福音を分かち合う」の項にあります。
人々が神を天の御父として正しく理解し,イエス・キリストを信じる信仰を育むようにするには,神の属性について単に教えることよりも,個人的に霊的な経験をしてもらうことの方が有効です。例えば,人々に以下のような経験をしてもらうとき,天の御父についての正しい理解が得られるよう助けることになります。
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父なる神と御子イエス・キリストが預言者ジョセフ・スミスに御姿を現されたことについて霊的な確信を得る。
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福音についてあなたが心を込めて伝える教えと証に耳を傾ける。その際,あなたがイエス・キリストに従うことを選んだ理由も伝える。
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あなたや会員たちが素朴ながらも心からささげる祈りによって天の御父と話している様子にしばしば耳を傾ける。
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あなたの力強い証を聞く。
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あなたと一緒に,また個人として祈る。
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あなたが聖文を読み,話し合うときに,聖文に対するあなたの気持ちを感じ取る。
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毎日聖典から神の言葉を読む(特にモルモン書)。
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教会に出席して,わたしたちがどのように主を礼拝しているか見聞きする。
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教会員と会って,彼らがどのようにして天の御父とイエス・キリストを信じるようになったかについて説明を受ける。
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戒めを守る。
以上はあなたが教えるすべての人々にとって有益ですが,キリスト教の背景を持たない人々を教える際は必ず経験してもらう必要がある事柄です。彼らは過去にこのような経験をしたことがないと思われるからです。
キリスト教の慣習とは無縁の生活を送っていた多くの改宗者は,宣教師の話をあまり理解していませんでしたが,御霊を感じて,宣教師から勧められたことを実行したいと思ったと報告しています。人々が福音の教義を理解できるように,あなたは全力を尽くさなければなりません。人々が自分の心の奥底にある気持ちに気づき,それを表現するまでには多少の時間がかかるかもしれませんが,忍耐し,励ましてください。彼らの理解に応じて教えるペースや内容を調整する必要があるかもしれません。キリスト教の背景を持たない人々に教える準備をする際,以下の提案が役立つでしょう。
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各レッスンについて簡単な概要を説明し,復習をします。
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彼らが理解したこと,経験したことを話してもらいます。
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基本的な言葉と原則について分かりやすい言葉で説明する時間を取ってください。教える場面であなたの使う言葉の多くは,人々にとってなじみが薄いかもしれないからです。
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以前に教えたレッスンに戻って,教義をもっと分かりやすく教えます。教える過程で,このことは常に必要です。
研究と応用のためのアイデア
個人学習
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仮にあなたは以下の状況に置かれているとします。あなたは本章で学んだ原則とスキルをどのように使ってこれらの人々の進歩を助けるでしょうか。それぞれの状況でどのように応用するかを計画してください。
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公園を歩いていると,小さな男の子を連れた一人の女性が,ベンチに座って泣いているのが見えました。
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バプテスマの準備をしている人の家を訪れたところ,もう訪問してほしくないと言われました。
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これまで2年以上,複数の宣教師からレッスンを受けてきた人を訪れています。これがあなたにとって7回目の訪問となります。進歩している様子はほとんど見られません。
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教会員の家族に福音のメッセージを教え始めました。すると家族からこう言われました。「わたしたちはすべての知人に宣教師と会ってくれるよう頼みましたが,ことごとく断られてきました。」
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宣教師のレッスンから,いずれか一つを選んでください。主要な原則それぞれについて,一つか二つの聖句を選びます。本章の「聖文を活用する」の項で説明されている方法を使って,これらの聖句を基にして教える練習をしてください。
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数週間をかけて,四福音書(マタイ,マルコ,ルカ,ヨハネ)と3ニーファイに記されている救い主の教えを復習してください。救い主が質問されたことを学習帳に書き出します。あなたのよく問いかける質問と,救い主の質問とを比較してください。
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アルマ18章からアンモンとラモーナイ王の出来事を,アルマ22:4-18からアロンの出来事を読んでください。アンモンとアロンは以下をどのように行ったか,明らかにし,書き出してください。
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御霊に従い,愛を込めて教えた。
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教え始めた。
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相手の必要を満たすために教え方を調整した。
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証を述べた。
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聖文を用いた。
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質問し,耳を傾け,問題を解決した。
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教える人々に決意するよう励ました。
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理解するように教えることについて,ハロルド・B・リー大管長が語った以下の言葉を読んでください。あなたがどれほど明確に福音の教義を教えているかを評価してください。学んだ事柄を学習帳に書き留めます。
「聖文の意味するところから離れることなく,文章を分かりやすい言葉に言い換えてください。」(The Teachings of Harold B. Lee, sel. Clyde J. Williams [1996], 444)
「さて,教師である皆さんは,新しい教義を教えるために遣わされているのではありません。昔からある〔教義〕を教えるのです。それは簡単に理解できるほど平明ではありません。しかし,だれからも誤解されることのないように,はっきりと分かりやすく教会の〔教義〕を教えなければなりません。」 (The Teachings of Harold B. Lee, 458)
同僚との勉強会
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最近教えたレッスンのレッスンプランを見直してください。レッスンプランに書かれているおもな原則それぞれについて,質問を一つ考えます。それから,あなたの質問が本章で教えられている事柄と一致しているかどうか検討します。次に,教えられる側に立って各質問に答えます。必要に応じて,質問を書き直してください。それらの質問事項について同僚と話し合い,一緒に評価します。
現在教えている一人の必要について考えます。その人は,あなたの質問にどう答えると予想されるかを話し合ってください。さらに,御霊を招き,人々が福音を学ぶのを助けるうえで,これらの質問がどのように役立つかについても話し合います。
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新たに教えている人々について考えます。彼らが進歩するよう助けるうえで何ができるか話し合います。あなたのアイデアを学習帳に書いて,デイリープランナーに計画を記入します。
ディストリクト評議会,ゾーン大会,および伝道部リーダーシップ評議会
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会員または現在教えを受けている人々を集会に招待します。宣教師が大切なメッセージを分かち合う能力を改善したいと考えていることを,招いた人たちに伝えます。レッスンとスキルをそれぞれ一つ選びます。あなたが指定するスキルを中心にして,一人または複数を相手に,指定されたレッスンを20分間で宣教師たちに教えてもらいます。20分後に同僚と交代してもらいます。宣教師たちのレッスンが終わったら,全員に集合してもらいます。 レッスンを受けた人々から,最も効果があった教え方について意見を求め,改善の余地がある教え方を一つ挙げてもらいます。
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レッスンを行っている宣教師や人々に話しかけている宣教師の様子を描いたビデオを見せます。採り上げるスキルを一つ選んでから,ビデオの中の宣教師はそのスキルの原則をどれほど上手に応用していたかについて話し合ってください。
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一つのスキルまたはスキルの大切な一面を選び,そのスキルの裏付けとなる教義または聖文を見つけてください。そのスキルの教義的な根拠を宣教師に教えます。
伝道部会長夫妻と顧問
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時々宣教師のレッスンに同行してください。あなたがどのようにレッスンに参加できるか,宣教師と計画してください。
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神権指導者および補助組織指導者に,レッスンを行う宣教師に同行して,フィードバックしてもらえるよう勧めてください。
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ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会,面接,レッスンの場面で宣教師に教える際,聖文と質問の効果的な使い方,上手に耳を傾ける方法を実際にやって見せます。