「レッスン5:律法と儀式」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』86-94
「レッスン5」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』86-94
レッスン5
律法と儀式
教える備えをする
このレッスンは,レッスン4と同じように進めます。教えている人々の必要や関心,状況により,また御霊の導きによって,どのようなアプローチを取るか判断するべきです。人々が福音に従って生活するのを助ける方法について,常に考え,祈り求めるようにしてください。教えている人々の抱いている質問や理解度に気を配りましょう。以下のアイデアを参考にします。
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「イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ」「救いの計画」「イエス・キリストの福音」の各レッスンを振り返りつつ,このレッスンから一つまたは複数の律法と儀式を教えます。例えば,回復のメッセージのレッスンをしながら神権と伝道活動について教え,救いの計画をレッスンするときに永遠の結婚,神殿・家族歴史の奉仕,教会で教え学ぶことについて教えるとよいでしょう。イエス・キリストの福音のレッスンをしながら,細くて狭い道と,教会で奉仕することについて教えることもできます。
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二つか三つの律法と儀式を単独のレッスンとして教えます。
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一つの律法または儀式を単独のレッスンとして教えます。
教えている人々がこれらの律法と儀式を受け入れ,実践し始めるように,会員たちと力を合わせて支援しましょう。神の律法を守ることで,罪の赦しを保ち,昇栄へと至る道を歩み続けられるということを理解できるよう,人々を助けてください。神の律法を守ることによって,大きな平安と喜びを感じるようになります。また,人生の疑問に答えを見いだし,自分がイエス・キリストのまことの教会に属しているという事実に安心感を覚えることでしょう。律法と儀式は,イエス・キリストを信じる信仰,また天の御父とともに昇栄にあずかるという確かな希望を持って,喜びあふれる人生を歩むための指針となるのです。
律法,儀式,決意事項について学ぶ
「律法と儀式」を研究するときに,以下のパターンに従うとよいでしょう。
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教義を説明している項を研究し,3つから5つの要点を含めた,簡単なレッスンプランを書き出します。
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同僚を相手に,2,3分の短いレッスンを教えます。どのように相手を招き,その懸念を解消できるか,練習してください。
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教えている人々が受け入れた各決意事項を,効果的にフォローアップする方法について話し合います。
神権と補助組織
神権とは,神の子供たちの救いのために,神の御名によって行動できるよう人に与えられた力と権能です。神権の力はわたしたち全員に祝福をもたらします。神権を通して,男女は救いの儀式だけでなく,癒しや慰め,勧告といった祝福を受けるのです。
末日聖徒イエス・キリスト教会は,使徒と預言者を通してイエス・キリストが導いておられます。使徒と預言者は,神から召され,神権を授けられた義にかなった人々です。いにしえの時代に,キリストは使徒たちを聖任し,神権をお与えになりました。人々が福音を拒み,キリストと使徒たちを死に至らしめたことで,この権能は失われてしまったのです。
神権の権能は,1829年,バプテスマのヨハネが預言者ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリのもとを訪れたことで回復されました。バプテスマのヨハネはこの二人の頭に手を置いて,アロン神権を授けました(教義と聖約13章参照)。その後間もなく,最初の十二使徒であったペテロ,ヤコブ,ヨハネが,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリの頭に手を置き,メルキゼデク神権を授けました。この神権は,ペテロ,ヤコブ,ヨハネがイエス・キリストから授けられていたものです(教義と聖約27:12-13参照)。
神権の権能は,権能を持つ人が按手し,正しい方法で聖任して初めて受けることができます。神権を受ける人は,すばらしい機会にあずかります。神権者は,神聖な務めを果たし,人々に仕え,教会を築き上げる助け手になるという聖約を交わします。そのためには,神に仕えたいと望み,この力を有する職に聖任されなければなりません(教義と聖約4:3;63:57参照)。神権者はまた,バプテスマや確認といった神聖な儀式を執り行う必要があります。ふさわしい状態で神権の権能を行使するなら,神の力が現れます。神権の権能は,義によって,また愛と忍耐によってのみ,行使できるものなのです。
これは女性にどのように当てはまるでしょうか。ダリン・H・オークス管長が教えたように,教会において宣教師,役員,教師として任命される女性たちは「神権の働きをなす神権の権能を与えられる」のです(「神権の鍵と権能」『リアホナ』2014年5月号,51)。
神権は,すべて神から与えられます。教会には二つの神権,アロン神権とメルキゼデク神権があります。アロン神権は,バプテスマや聖餐などの儀式を執行します。適齢のふさわしい男性は,バプテスマと確認を受けると,間もなくアロン神権を受けます。
ふさわしい成人男性は,後にメルキゼデク神権すなわち大神権を授けられます。教会員はこの神権の力を通して,霊的,物質的に多くの祝福を受けます。ふさわしいメルキゼデク神権者は,聖霊の賜物を授け,割り当てを受けた場合にほかの人を神権に聖任し,聖別された油を病人に注いで,癒しと慰めの祝福を与えることができます。メルキゼデク神権を持つ,ふさわしい夫と父親は,伴侶や子供たちをはじめとする親族に特別な祝福を授けることができます。ミニスタリングブラザーは,教会員の各家庭における個人と家族を見守ります。ミニスタリングシスターは,教会の女性たちを見守ります。ビショップおよびステーク会長は,教会における判士です。彼らは罪を犯した聖徒が悔い改め,教会員としてすべての祝福にあずかることができるように助ける権能を持っているのです。また,人々が神殿に入るにふさわしいことを確認するために面接を行います。
扶助協会に向けた話の中で,ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は,次のように教えています。「姉妹たちには神権が与えられておらず,神権は姉妹たちに授けられていないとはいえ,主が姉妹たちに権能を与えておられないという意味ではありません。……わたしたちの救いにかかわる,救いに絶対不可欠な特定の事柄を教会内で行うために,男性あるいは姉妹に与えられている権能があります。姉妹たちが主の宮で行う業などがそれに当たります。彼女たちには幾つかの大いなるすばらしい事柄を行う権能が与えられています。それは主にとって神聖なものであり,神権を持つ男性によって与えられる祝福と同様に完全な拘束力を持っています。」(Joseph Fielding Smith, “Relief Society—an Aid to the Priesthood,” Relief Society Magazine, Jan. 1959, 4)
教会の補助組織は神権の権能によって組織されるものであり,会員たちを強める役割を果たします。ファインディングを行い,教え,新しい改宗者をフェローシップするという伝道活動を支えるうえで,男性と女性の双方が大きな力を発揮します。18歳以上の女性が属する扶助協会は,家族や個人,地域社会に奉仕の手を差し伸べます。11歳から18歳までの少女は,若い女性プログラムの一員となります。同年代の少年は,若い男性プログラムに参加します。3歳から11歳までの子供は,初等協会の組織に入ります。11歳以上のすべての会員は,日曜学校のクラスに登録されます。
伝道活動
福音を分かち合う会員は,喜びを経験し,主の御霊をいっそう豊かに受けることができます。福音を分かち合う中で,わたしたちは福音が自分にとってどれほど貴く,意義深いものであるかを知ります。また神と人々に対していっそうの愛を感じるようになるのです。主は御自分に従う人々に向けて,全世界に福音を宣べ伝えるよう命じられました。福音を受け入れるか拒むかどうか,あらゆる人に選ぶ機会をもたらすためです。人はバプテスマを受けるときに,いつも神の証人になることを聖約します。まだ福音を受け入れていない人々に福音を分かち合うよう命じられているのです。福音に従って忠実に生活するとき,そこからもたらされる大いなる祝福を,模範を通して家族や友人に示すことができます。また様々な機会を生かして,質問に答えたり,福音に関する印刷物やデジタルメディアを分かち合ったり,回復された福音のメッセージをさらに学ぶよう人々を招いたりする必要があります。会員たちは,教会員でない人のために祈るべきです。また,伝道の機会を求めて祈り,自分たちと同じ信仰を持たない人々に仕え,信じていることを分かち合うべきです。会員たちが福音を伝えるに当たって,語るべきことや行うべきことが分かるように助けてくださると,主は約束しておられます。
永遠の結婚
教会の基本的な単位は家族です。人は,人生の最大の喜びと悲しみの多くを家庭で経験します。男女の間の結婚は神によって定められたものであり,御自分の子供たちの救いのために神が立てられた永遠の計画の中心を成すものです。この世に命をもたらす行為は神によって定められたものであり,結婚というきずなの中で守られなければなりません。神の幸福の計画は,家族関係が肉体の死後も続くことを可能にします。しかし,結婚が永遠に続くものとなるのは,権能を持つ神権者から聖なる神殿で結び固めの儀式を受け,結び固められた夫と妻が自分たちの交わした聖約を守るときだけです。夫婦は,互いに愛し合わなければなりません。戒めを守り,福音の原則に従って生活する夫婦は,互いに対する完全な貞節によって結婚の誓いを尊ぶのです(「家族—世界への宣言」『リアホナ』2017年5月号,145参照。教義と聖約42:22も参照)。
家族生活の幸福は,家庭をイエス・キリストの教えの上に築き,両親が家族を何よりも大切にするときに見いだされます。「神の計画により,父親は愛と義をもって自分の家族を管理しなければなりません。また,生活必需品を提供し,家族を守るという責任を負っています。また母親には,子供を養い育てるという主要な責任があります。これらの神聖な責任において,父親と母親は対等のパートナーとして互いに助け合うという義務を負っています。」(「家族—世界への宣言」145)両親は力を合わせて子供たちにイエス・キリストの福音を教え,子供たちが福音に従って生活できるよう助ける必要があるのです。
サタンは,家族に集中攻撃を加えています。教会指導者は何年も前に,毎週ある日の夕べを,家庭で過ごす夕べの時間として定めました。両親はこの時間を活用し,子供たちに福音を教え,子供たちとのきずなを強め,ともに楽しい時間を過ごすようにすべきです。そのほか家族を強める方法には,毎日の家族の祈り,家族の聖文研究,家族として教会で礼拝すること,家族歴史をすること,人々に奉仕することなどが挙げられます。天国は,理想的な家庭の延長線上にあります。わたしたちは神権の儀式により,また義にかなった生活を送ることによって,神の御前で家族とともに永遠に暮らすことができるのです。
神殿と家族歴史
神は,その民に神殿を建てるよう命じてこられました。わたしたちは神殿で神聖な聖約を交わし,高い所からの力と知識の賜物を授けられます。この力は,日々の生活において助けをもたらし,わたしたちが神の王国を築けるようにしてくれるものです。わたしたちは神殿の中で,この世と永遠にわたって結婚することもできます。こうして家族は,神の御前で永遠に一緒に暮らすことができるようになるのです。会員となってから,少なくとも1年以上が経過したふさわしい成人は,自身のエンダウメントを受けるためにビショップから推薦状を受けられるようになります。既婚の男女は,自身のエンダウメントを受けた後に結び固めを受けることができます。すなわち永遠の結婚をするのです。
救い主はすべての人を愛しておられ,彼らの救いを願っておられます。けれども,回復されたイエス・キリストの福音のメッセージを聞く機会のなかった人や,救いの儀式を受けることなくこの世を去った人は大勢います。主は,その愛にあふれる恵みと憐れみにより,この世にいる間に福音を受け入れ,理解し,従う機会のなかったすべての人にも救いへの道を開いておられます。すでに他界した人々には,霊界で福音が伝えられているのです。地上にいる教会員は,先祖をはじめ亡くなった人々に代わって救いの儀式を執り行います。霊界で過ごす死者たちは,自分たちのために執行された儀式と福音の真理を受け入れるか拒むか,選択する機会が与えられます。
このため,教会員は自分の先祖に関する情報を探求します。見つけた情報に関しては,FamilySearch.orgを通じて教会のデータベースに記録を追加することができます。自分一人でも,あるいは神殿・家族歴史相談員の助けを得て行うことも可能です。続けて教会のデータベースは,教会員が亡くなった親族の名前を共有し,印刷し,神殿に持って行くことができるようにしてくれます。聖なる神殿で身代わりの救いの儀式が執行されるのを必要としている人々です。これは,家族歴史を行ううえで重要な側面です。新会員を含め,適齢のふさわしい会員は,こうした亡くなった先祖のためにバプテスマと確認を執り行う儀式に参加するため,ビショップから限定推薦状を受ける資格があります。
奉仕
教会の会員となることで受ける大きな祝福の一つは,奉仕する機会です。人々に愛をもって仕えるとき,わたしたちは神に仕えているのです。バプテスマを受けるとき,わたしたちは,そのように奉仕すると聖約します(モーサヤ18:8-10参照)。そのためには,人々の物質的および霊的な必要を知らなければなりません。それから時間や才能といった持てるものをささげて,その必要を満たす助け手となります。人々に仕えるためにこの世に来られた,救い主の模範に従うのです。わたしたちはイエスがなされたことを行い,イエスのようにならなければなりません。
新会員はバプテスマを受けてから間もなく,教会で人々を助けるために,責任という祝福を神権指導者から与えられます。これは召しと呼ばれています。教会のすべての働きは,奉仕によって行われます。そのような奉仕をすることで,金銭的な報酬を受ける人はだれもいません。召しを引き受けると,教会の集会で公に支持を採ります。ほかの会員たちが,わたしたちの召しを知って,支援できるようにするためです。わたしたちはまた,神権指導者から任命され,召しを果たす助けとなるよう特別な祝福を受けます。召しは非常に多岐にわたるため,教会ではすべての会員の才能と能力を必要としています。すべての召しは重要なものであり,神の王国を築く助けとなります。わたしたちはこういった召しを受け入れ,熱心に働いて自らの務めについて学び,その義務を果たす必要があります。召しを果たす中で信仰が増し加えられ,奉仕するための新たな才能が身に付き,奉仕する能力も向上します。そのほか,数えきれないほどの祝福が注がれるのです。
姉妹および神権指導者は,人々にミニスタリングを行う割り当てを受けるでしょう。ミニスタリングを行う会員は,やり取りや霊感を通して,見守る相手にどれくらいの頻度で,どのような方法で働きかけるかを決めます。ミニスタリングブラザーは,各家庭における個人と家族を見守ります。ミニスタリングシスターは扶助協会に代わり,割り当てを受けた成人の姉妹一人一人を見守ります。
助けを必要としている人々を支援する機会は,教会の召しを通じてもたらされることもあります。そのほか,奉仕の機会は会員の家庭や近隣,地域社会に存在し,JustServe.org(承認されている場合)によって調整が図られるものもあります。会員は,教会の人道支援活動を支援することや災害支援に参加すること,困っている人々に仕えるために個人的な努力を払うことによって,世界中のあらゆる宗教を信じる貧しい人々や助けの必要な人々に手を差し伸べることができます。
教会で教え,学ぶ
教会は,会員を完全な者とし,その生活に祝福をもたらすために組織されています。互いに福音を教える機会や,友情を深め,仕え合う機会,救いを得られるよう助け合う機会があります。各会員は家族の中で,また教会を通じて,福音の教義を教わります。会員が教える割り当てに召されると,その召しにおいて実りある働きができるように必要な資料や助けが提供されます。
最後まで堪え忍ぶ
わたしたちは福音に従って生活していく中で,成長して次第に天の御父に近づいていきます。救い主の贖罪を享受し,感謝の念をさらに深めていきます。また,家族のきずながさらに強められます。わたしたちは救い主に従い,贖罪を生かすことによってもたらされる愛と喜びと平安を,より強く感じるようになります。わたしたちの心は変わり,回復された福音に従って生活することに安らぎを覚えるようになるのです。
わたしたちが引き続きキリストを信じる信仰を働かせ,悔い改め,聖約を新たにしていくなら,聖霊の導きを絶えず受けるようになります。また自分が交わした聖約に忠実であり,生涯の最後まで堪え忍ぶなら,昇栄を受けるのです。
ラッセル・M・ネルソン大管長はこのように教えています。「聖約の道にとどまってください。……主と聖約を交わして救い主に従う決意をし,それらの聖約を守るとき,世界中の男性,女性,子供たちのために備えられた,あらゆる霊的な特権と祝福を享受する門戸が開かれるのです。……わたしたちの目標とは,主の宮で力を授けられ,家族の結び固めを受け,神殿で交わした聖約に忠実であるよう努力することです。そうすることで,神の最も大いなる賜物,永遠の命を受けるにふさわしくなることができるからです。」(live telecast from the annex of the Salt Lake Temple, Jan. 16, 2018)
堪え忍ぶことができなかったり,活発であり続けることができなかったりする教会員もいます。しかし,最後まで堪え忍ぶことは個人の責任です。わたしたちは「自分の救の達成に努め〔る〕」のです(ピリピ2:12)。そして活発でないために信仰が弱くなった人々に奉仕し,彼らに愛を示します。