「5:モルモン書の役割は何でしょうか」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』109-120
「5 モルモン書」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』109-120
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モルモン書の役割は何でしょうか
深く考えましょう
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モルモン書は,どのような点でわたしたちの宗教のかなめ石なのでしょうか。
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人間が本質的に持つ疑問に対して,モルモン書はどのように答えているでしょうか。
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なぜモルモン書は改宗の過程で大きな力を発揮するのでしょうか。
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信仰を築き,人々が神に近づけるよう助けるうえで,モルモン書をどう活用すべきでしょうか。
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モロナイ10:3-5の約束は,なぜ伝道活動の中心となるのでしょうか。
モルモン書は,御霊を通して用いるときに,改宗をもたらす最も強力な手段となります。モルモン書はキリストの神性に対する力強い証拠です。また,預言者ジョセフ・スミスを通して回復が行われたことを証するものでもあります。聖霊を通してモルモン書が真実であるという証を得ることは,改宗の大切な要素となります。あなたは宣教師として,まずモルモン書が真実であるという証を個人的に得る必要があります。この証は改宗の過程において,モルモン書の持つ力に対する深遠で不朽の信仰へと成長することでしょう。モルモン書を読み,深く考え,この書物が真実かどうかをキリストを信じながら誠心誠意問うならば,聖霊はあらゆる人に証してくださるという確信を持ってください。この御霊の証がもたらされるように,あなたのレッスンの的を絞るべきです。
モルモン書はわたしたちの宗教のかなめ石である
預言者ジョセフ・スミスは,モルモン書が「わたしたちの宗教のかなめ石である」ことを教えました(モルモン書,序文)。別の折に預言者はこう語りました。「わたしたちの宗教からモルモン書と啓示を取り去るとしたら,一体何が残るだろうか。何も残らなくなる。」(Minutes and Discourse, 21 April 1834, Church History Library, The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints, Salt Lake City)
アーチとは,くさび形の石でできた堅固な建造物であり,一つ一つの石が互いに支え合っています。中心部分に置く石であるかなめ石は,通常ほかのくさび形の石よりも大きく,ほかの石を固定してくれるものです。ジョセフ・スミスはモルモン書を「わたしたちの宗教のかなめ石」と呼び,モルモン書がわたしたちの宗教を一つに結び付けるものであることを教えました。エズラ・タフト・ベンソン大管長は,モルモン書は少なくとも3つの意味でかなめ石であると語りました。
キリストの証—「モルモン書はイエス・キリストに対するわたしたちの証のかなめ石であり,キリスト御自身はわたしたちが行うあらゆることの隅石となる御方です。モルモン書は力強く,また明快に,イエスが実在の御方であることを証しています。」
完全な教義—「主は自ら,モルモン書には『イエス・キリストの完全な福音』(教義と聖約20:9〔;27:5〕)が載っているとおっしゃいました。……モルモン書には,救いに必要な教義が完全な形で収められています。それは分かりやすく簡単に教えられており,子供でさえも救いと昇栄の道について学ぶことができるようになっています。」
証の基—「かなめ石を取り外したらアーチが崩れ落ちるように,この教会のすべては,モルモン書が真実かどうかに懸かっています。教会の敵はそれをよく知っています。これこそ,彼らがこのモルモン書の誤りを立証しようとあらゆる手を尽くす理由であり,モルモン書の信ぴょう性を失わせることができれば,預言者ジョセフ・スミスもともに倒れるのです。神権の鍵や啓示,また回復された教会についてのわたしたちの主張もそうです。ところが逆に,もしモルモン書が真実であるならば—これが確かに真実であるという御霊の証を受けたと証言する人は何百万にも上りますが-回復やそれに伴うすべての主張を受け入れざるを得なくなるはずです。」(A Witness and a Warning [1988], 18–19)
モルモン書はこの世で最も正確な書物です(モルモン書,序文参照)。とりわけあなたが人々を教えるレッスンの場で,モルモン書はキリストの教義を分かりやすく教えてくれます。回復された福音を教えるに当たり,これを原典として活用してください。あなたが人々に教える真理に関して,モルモン書で分かりやすく教えられている例を以下に挙げます。
宣教師のレッスン |
教義 |
参照聖句 |
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イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ |
背教,回復,ジョセフ・スミス,神権の権能 | |
救いの計画 |
アダムとエバの堕落,イエス・キリストの贖罪,復活,裁きを含む「永遠の神の偉大な計画」 | |
イエス・キリストの福音 |
キリストを信じる信仰,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物,最後まで堪え忍ぶ | |
戒め;律法と儀式 |
バプテスマ,確認,神権の聖任,聖餐などの儀式 |
活動:個人学習
以下の質問の答えを学習帳に書いてください。
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モルモン書を研究することによって,イエス・キリストに対するあなたの証はどのような影響を受けてきたでしょうか。
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人々の証を強める助けとして,モルモン書をどのように活用できるでしょうか。
聖文研究
救い主はモルモン書について何と言っておられるでしょうか。
モルモン書はキリストを証する
写真/C・ハリソン・コンロイ社の厚意により掲載。複写不可。
モルモン書の第一の目的は,イエスがキリストであることをあらゆる人に確信させることです(モルモン書,タイトルページ参照)。キリストについて証するモルモン書は,主の生涯,使命,力が現実のものであることを確信させてくれます。また,救いの計画の根底を成すキリストの贖罪に関するまことの教義を教えています。モルモン書に収められている幾つかの書の著者は,キリストにまみえました。ヤレドの兄弟,ニーファイ,ヤコブは,この世に来られる前のキリストの御姿を目にしました。モルモンとモロナイは復活されたキリストにまみえました。さらに,ニーファイ人の中で救い主が短期間ながら力強く教え導かれたときには,多くの人がその場にいました(3ニーファイ11-28章参照)。救い主についてほとんど,あるいはまったく知らない人々は,モルモン書を読み,深く考え,祈ることにより,救い主を知るようになります。
モルモン書の証は,イエスが神の独り子であり,世の救い主であるという聖書の証を確認するものです。あなたはイエス・キリストの完全な福音を教える中で,世の救い主,贖い主についてしばしば証することでしょう。あなたは聖霊の力によって,このメッセージが真実であるという自分の生きた証を加えるのです。
聖文研究
モルモン書の預言者たちは,どのような理由から記録を書いたのでしょうか。
モルモン書と聖書は互いに支え合う
人々の聖書に対する信じ方は実に様々です。ある人は,聖書は完全で誤りがなく,救いを得るために必要なすべてのことが記されていると信じています。聖書は文学的に研究する価値のある書物であるとしながらも,それがキリストの神性,奇跡,また神による直接的な啓示についての証拠だということは否定する人々もいます。また聖書に関心を示さない人,聖書を見たことのない人,これまで読む機会のなかった人もいます。
末日聖徒は「正確に翻訳されているかぎり,『聖書』は神の言葉であると信じ」ています(信仰箇条1:8)。モルモン書は聖書に対抗するどころか,聖書を支え,聖書を読むようわたしたちに勧め,聖書のメッセージが真実であることを証しています。モルモン書と聖書は,互いに支え合うものとして活用しなければなりません。
モルモン書には,神が御自身の子供たちと交わされた古代の聖約について記されています。そして聖書には,偉大な預言者たちもまた信仰によってこれらの聖約を受けたことが記されています。モルモン書はキリストとその贖罪について証し,一方聖書は主の誕生,教導の業,死,贖罪,復活について語っています。このように聖書とモルモン書は互いを補い,豊かなものにしているのです。
末日聖徒版の欽定訳聖書(英語)とモルモン書には,相互参照聖句と研究資料が付されています。これによってユダの木(聖書)とヨセフの木(モルモン書)はわたしたちの手の中で一つとなるのです(エゼキエル37:15-17参照。1ニーファイ13:34-41;2ニーファイ3:12;29:8も参照)。教える際はモルモン書の聖句を優先的に使いつつ,モルモン書と聖書が同じ原則を教えていることを示しましょう。
モルモン書を使って,聖書の聖句の意味を明らかにし,説明してください。例えば新約聖書には,キリストがバプテスマを受けられたのは「すべての正しいことを成就する」ためであったと記されています(マタイ3:14-15)。モルモン書は,すべての正しいことを成就するとはどのような意味かを説明しています(2ニーファイ31:5-9参照)。
対を成す聖典としてモルモン書と聖書を使うことにより,争いを鎮め,偽りの教義を正すことができます(2ニーファイ3:12参照)。
聖書は証人の律法について次のように教えています。「すべての事がらは,ふたりか三人の証人の証言によって確定する。」(2コリント13:1)この律法に従って,モルモン書と聖書はともにイエス・キリストを証しているのです。
活動:個人学習または同僚との勉強会
以下のテーマについてモルモン書と聖書から相互参照聖句を見つけます。各テーマの後に,括弧付きで参照聖句の例が記されています。自分で考えたテーマとその参照聖句も付け加えましょう。
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預言者(アモス3:7とモルモン書ヤコブ4:4-6)
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神の子(使徒17:29と1ニーファイ17:36)
聖文研究
聖書には,モルモン書についてどのように記されていますか。
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『聖句ガイド』「エフライム」,エフライムまたはヨセフの木の項
モルモン書には,聖書についてどのように記されていますか。
両書はどのようにキリストを証しているでしょうか。
モルモン書は人間の本質に関する問いに答えてくれる
エズラ・タフト・ベンソン大管長は,宣教師は「人間の本質に関する問いに対して〔モルモン書が〕どのように答えてくれるかを示さなくてはなりません」と語りました(「モルモン経で洪水のごとく地を満たす」『聖徒の道』1989年2月号,5)。
「人間の本質に関する問い」には次のようなものが含まれます:神はほんとうにおられるのですか。わたしはこの世に生まれる前から存在していたのですか。わたしは死んだ後も生きるのですか。人生の目的は何ですか。イエスはほんとうに救い主ですか。
より現実的な必要に即した問いかけもあります:どうすれば伴侶との関係を改善できるでしょうか。10代の子供たちが薬物を避け,不道徳から離れるように助けるにはどうすればよいでしょうか。家族を養えるような仕事を見つけるにはどうすればよいでしょうか。
どちらの類であっても,イエス・キリストの福音は問いかけに答えるうえで助けとなるものです。モルモン書が真実であるという信仰が深まるにつれ,人生の目的や永遠の命への希望に関する問いに答えられるようになります。モルモン書は幸福の計画について説明しています。これは人生に意味と展望を与えてくれるものです。モルモン書では,以下のような問いへの答えがはっきりと教えられています。
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神は存在するのですか(アルマ22章)。
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イエス・キリストはわたしに何を期待しておられるのですか(2ニーファイ9章)。
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イエス・キリストを信じることは,どのような助けとなりますか(アルマ36章)。
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死後の世界は存在するのですか(アルマ40章)。
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人生の目的は何ですか(アルマ34章)。
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神はなぜ邪悪や苦しみを放置しておかれるのですか(2ニーファイ2章;アルマ14:9-11;60:13)。
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わたしの赤ちゃんはバプテスマを受ける必要がありますか(モロナイ8章)。
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神はわたしのことを御存じですか(アルマ5:38,58)。
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神は祈りにこたえてくださいますか(エノス1章)。
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どうすれば平安や喜びを見いだせますか(モーサヤ2章,4章)。
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家族がもっと幸せになり,一致するにはどうすればよいですか(モーサヤ2章)。
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どうすれば家族と仕事を両立させることができますか(3ニーファイ13章)。
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どうすれば伴侶との関係を強めることができますか(3ニーファイ14章)。
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どうすれば家族を脅かす邪悪な影響を取り除くことができますか(アルマ39章)。
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罪を犯さないためにはどうすればよいですか(ヒラマン5章)。
御霊の導きを受けながらモルモン書を読むことは,個人的な問いに対する答えを見いだすうえで助けとなるものです。特定の問題を解決するには,祈りと啓示が鍵になるとモルモン書は教えています。モルモン書は,神が祈りにこたえてくださるという信仰を持てるよう助けてくれます。
またモルモン書は,神の戒めに対する理解を助けてくれます。神の戒めは,すべきこととすべきではないことを挙げた制限の取り決めリストではなく,幸福で豊かな生活への道しるべなのです。福音の第一の原則と儀式が豊かな生活に至る道であることを理解し始めると,これらの原則がどのような疑問にも答えてくれる,必要を満たすための助けとなることを知ります。例えば,伴侶との関係を改善するには,悔い改めと赦し,人に仕えるという聖約が欠かせないことを理解します。また,10代の子供たちが自分を取り巻く大きな誘惑を退けるうえで,キリストを信じる信仰を持ち,聖約を受け入れて守り,御霊の促しに従うことが助けになると気づきます。
福音によってほとんどあらゆる疑問を解決し,必要を満たすことができます。「『聖書』と完全な福音が載っている『モルモン書』の中にあるわたしの福音の原則を教え」るよう命じられているのはそのためです(教義と聖約42:12)。
活動:個人学習または同僚との勉強会
人々から尋ねられた「人間の本質に関する問い」を幾つか書き出してください。それらの問いの答えとなる聖句をモルモン書から見つけます。答えを学習帳に書き出しておき,教えるときに活用します。
モルモン書は人を神に近づける
預言者ジョセフ・スミスはモルモン書について「人はその教えを守ることにより,ほかのどの書物にも増して神に近づくことができる」と語りました(モルモン書,序文)。モルモン書は,人が証と個人の啓示を受けるための出発点となります。人々が霊的な経験,特にこの書物が真実であることについて聖霊の証を得られるようにモルモン書を活用してください。モルモン書に記されている原則に従うよう絶えず勧めることで,人々がイエス・キリストを信じる信仰を育み,神に近づけるよう助けてください。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長は次のように宣言しました。「祈りの気持ちで〔モルモン書〕を読む人は,貧富の差や学問の有無に関係なく,その力によって成長することができます。……わたしは皆さんにはっきりと約束します。これまで何度読んだかに関係なく,祈りの気持ちをもってモルモン書を読むなら,皆さんの心に……主の御霊が注がれるようになります。そして,主の戒めに従って歩もうとする決意が強められ,神の御子が確かに生きておられることがさらにはっきりと分かるようになるでしょう。」(「モルモン経」『聖徒の道』1988年10月号,7参照)
反対意見に答えるためにモルモン書を活用する
多くの人はあなたが教えるすべてを信じないかもしれません。エズラ・タフト・ベンソン大管長は,そのような状況に対処するうえでモルモン書が最大のよりどころとなることを教えました。
「教会に反対する人々に対処するときにも,モルモン書を使わなければなりません。……
……それが堕胎の問題であれ,多妻結婚であれ,7日目に礼拝することであれ,あらゆる異論は基本的に,ジョセフ・スミスとその後継者が神から啓示を受ける神の預言者か否かという点に帰着します。……
「わたしの僕ジョセフ」© 2004 Liz Lemon Swindle.この絵は,84003ユタ州アメリカンフォーク,ファウンデーション・アーツ社の許可を得て複製しました。
……反対者が自分で解決しなければならない問題は,モルモン書が真実かどうかということに集約されます。モルモン書が真実の書物であるならば,イエスはキリストであり,ジョセフ・スミスは主の預言者であり,末日聖徒イエス・キリスト教会はまことの教会であって,今日も啓示を受ける預言者によって導かれていることになるからです。
わたしたちの第一の務めは福音を宣べ伝えることであり,それを効果的に行うことです。わたしたちはすべての反論に答える義務はありません。人は皆,いずれ信仰の壁に行き詰まり,自分の主張をはっきりさせなければならないのです。」(A Witness and a Warning, 4–5)
例を挙げると,懸命に学んでいる人々の中には,あなたが教えた知恵の言葉に対して反対意見を唱える人がいるかもしれません。その疑問の本質は,この戒めが現在の神権時代に改めて与えられたとき,ジョセフ・スミスが神の預言者として語っていたかどうかにあります。このことを相手に理解してもらうために,次のように言うことができます。 「この教えを受け入れる信仰を持つには,この戒めが神の啓示によって預言者ジョセフ・スミスに与えられたことを確信する必要があります。ジョセフ・スミスが神の預言者であることを知るにはモルモン書を読んで,祈る必要があります。」
人々はそれぞれの懸念や反論を自分で解決しなければなりません。イエス・キリストを信じる信仰を強める事柄,すなわちモルモン書を読み,祈ることに焦点を当ててもらうことで,人々を助けることができます。人々は回復に対する証を深めることによって,反論や懸念を克服する力を得るのです。
こうした懸念に応じる際,わたしたちが理解している事柄は現代の預言者,すなわちジョセフ・スミスとその後継者から来ていることを忘れてはなりません。彼らは神から直接啓示を受ける者です。したがって,人が最初に答えを見つけなければならないのは,ジョセフ・スミスが預言者であったかどうかという問いです。この答えはモルモン書を読んで祈ることにより得ることができます。
ジョセフ・スミスとモルモン書
ジョセフ・スミスが神の預言者であることを知る方法の一つは,モルモン書を読み,それについて祈ることです。
活動:個人学習
ジョセフ・スミスとモルモン書に焦点を当てることで,以下の反論や懸念にどのように応じることができるか,学習帳に書き出してください。
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「神がいまだに人に語られるとは思えません。」
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「わたしは,宗教団体に加わらなくても,自分の方法で神を礼拝できると信じています。」
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「教会に入ることで,どうして食事のときのワインをやめなければならないのですか。」
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「なぜ宗教が必要なのでしょうか。」
モルモン書をどのように活用するべきか
あなたが教える多くの人は,モルモン書を読んでいないか,読んだ内容を理解していません。モルモン書を読もうとしない人や理解していない人は,この書物が真実であるという証を受けるのが難しくなります。
教える人々とともにモルモン書を読む
一緒にモルモン書を読むときに,この書物が真実であることを聖霊が人々に証してくださるよう祈ってください。
モルモン書を一緒に読むことによって人々を助けることができます。彼らの心配事や問題にこたえてくれる聖句を選ぶに当たっては,助けを祈り求めてください。ティーチング・アポイントメントや,フォローアップの訪問の際にモルモン書を一緒に読むとよいでしょう。会員たちと一緒に読む機会を手配することもできます。
特に大切な箇所は,タイトルページ,序文(とりわけ最後の2段落),モロナイ10:3-5です。これらの聖句は,人々がモルモン書に対する証を得る方法を理解するうえで助けとなります。三人の証人の証と八人の証人の証,預言者ジョセフ・スミスの証を含め,冒頭からモルモン書を読むよう勧めてください。
短い聖句(1ニーファイ3:7やモーサヤ2:17など),および長い聖句や章全体(2ニーファイ31章,アルマ7章,または3ニーファイ18章など)を読んでから話し合います。
人々と一緒に読む際には,時折中断して,読んだ内容について話し合ってください。ともに読み進めながら,注意を向けるべき大切なメッセージや教義を指摘します。適切な見解や感じたこと,証,個人的な経験を伝えてください。モルモン書の持つ霊的な力を感じることができるように助けてください。このようにして,モルモン書から直接,まことの教義を教えることができます。あなたの教えている人々が自分で読み,自分で祈る方法を身に付けられるように,訪問時に続けてこれを行いましょう。
モルモン書の預言者が用いている言葉やフレーズを使って,教義と原則を教えてください。聖句の背景と前後関係を説明するとともに,分かりにくい語句の意味を説明します。
あなた個人にふさわしい応用方法を見いだすことによって,読んだ内容をあなた自身と教えている人々に「当てはめ」てください(1ニーファイ19:23参照)。「当てはめる」とは,教義を理解することと教義に従って生活することとの間に心の架け橋を築くことです。誠心誠意で読むために,あなたとあなたの教える人々は教えを進んで実行し,それを日常生活に取り入れなければなりません。 また,必要であれば悔い改めなければなりません。教えに従うことによって,それが真実であるという確信を得ることができるのです。例えば,相手に次のように言うことができます。
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「ニーファイはあなたと同じように難しい問題に直面しました。けれどもニーファイは信仰を行使して主が命じられたことを『行って,……行〔った〕』ため,それを成し遂げることができました(1ニーファイ3:7を読む)。神はあなたが知恵の言葉を守れるように道を備えておられます。」
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「山口さん,罪悪感から解放されたいと願っているのはすばらしいことです。救い主がニーファイ人に約束されたように,悔い改めて,バプテスマと聖霊を受けるなら,『父の御前で罪のない者』となることができます。」(3ニーファイ27:16を読む)
モロナイ10:3-5の約束に信頼を寄せてください。モルモン書を真心から読んで祈る人はだれでも,この書物が真実であることを聖霊の力によってはっきりと知ることができます。人々が以下の事柄を実行できるよう,力を尽くしてください。
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モルモン書を読み,イエス・キリストに関するモルモン書のメッセージを深く考える。
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モルモン書が真実であり,ジョセフ・スミスが回復の預言者であるという証を得るために,イエス・キリストを信じる信仰をもって神に祈る。
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誠心誠意で祈る。誠心誠意とは,神から受ける答えに従って行動する意思があるという意味である。
モルモン書に対する自分の証を強め,新たにするために,あなたも定期的にこの約束を実行しなければなりません。モルモン書の証を新たにすることによって,この約束を実行する人はだれでも答えを得られるという確信を持ち続けることができます。
あらゆる面でモルモン書を活用する
モルモン書は改宗をもたらす強力な手段です。回復された真理を教えるに当たり,モルモン書を第一の原典としてください。
記憶にとどめましょう
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わたしたちのキリストに対する証,教義,自らの証に関して,モルモン書はかなめ石である。
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モルモン書は,宣教師のレッスンで採り上げられている教義を分かりやすく教えている。
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人間の本質に関する問いに答え,教会への反論に応じるに当たって,モルモン書を活用する。
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教える人々とともに継続してモルモン書を読む。人々が毎日自分でモルモン書を読み,学んだことを生活の中で応用できるように,あらゆる手助けをする。
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モルモン書を真心から読んで祈る人は,聖霊の力によってそれが真実であると知ることができるという主の約束を信頼する。
研究と応用のためのアイデア
個人学習
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2ニーファイ2章,9章,30章,31章,32章を読んで,イエス・キリストについて語っているすべての箇所に印を付けてください。これらの章で使われているキリストの様々な名称と称号を書き出してください。キリストが語られた言葉に傍線を引きます。キリストの特質と行動に印を付けてください。モルモン書全体を通してこの活動を行うとよいでしょう。
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モルモン書が真実であることについて,初めて霊的な証を受けたときの気持ちを学習帳に記してください。
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教義と聖約20:17では,モルモン書が教え,明らかにしている教義を説明するに当たって,「これらのことによって……知っている」というフレーズを使っています。教義と聖約20:15-35を読んで,採り上げられている教えをリストにしてください。一つの教えを選んだら,『聖句ガイド』を使って,それについて聖書が教えている事柄と比較してみましょう。
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マタイ5-7章の山上の垂訓と3ニーファイ12-14章の神殿におけるキリストの説教とを比較してください。モルモン書を通して回復された,分かりやすくて貴い真理のリストを作ってください。
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人々から受けた質問のリストを作ってください。それらの質問の答えとなる聖句をモルモン書から見つけて,必要に応じて日々のレッスンで活用します。
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あなたの人生を変えた聖句をモルモン書から見つけて,この聖句について感じることを学習帳に書き留めてください。
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だれかの祈りの言葉が記されている箇所をモルモン書から見つけてください。それらの祈りに共通する事柄を学習帳に書き出します。
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2ニーファイ33:10-15とモロナイ10:27-29,34を読んでください。裁きの法廷に立つときに,あなたはモルモン書の扱いについてニーファイとモロナイに何と報告するでしょうか。答えを書き出して,それを改善するための目標を設定してください。
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モーサヤ11-16章の前書きから,アビナダイが教えたことを要約してください。これらの章を読んで,要約した内容をさらに充実させてください。
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モーサヤ2-5章の前書きから,ベニヤミン王が教えたことを要約してください。これらの章を読んで,要約した内容をさらに充実させてください。
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毎日モルモン書を読むとき,感銘を受けた聖句を学習帳に記録します。それらを生活の中で応用する方法を書き出してください。
同僚との勉強会
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モルモン書の聖句を一緒に読んでください。あなたが学び,感じたことを伝えます。それから,互いの証を分かち合ってください。
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あなたはモルモン書のどの預言者や宣教師のようになりたいですか。それはなぜですか。答えを同僚と分かち合ってください。
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アルマ26章と29章を同僚と一緒に読んでください。自分の伝道について感じていることを伝えます。感じていることを学習帳に書き出してください。
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アルマ37:9を読んで,アンモンと同僚にとって聖文はどれほど大切だったかを話し合います。彼らがどのように聖文を使ったかを説明している箇所を探してください。
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一人がアルマかアミュレクの役を,もう一人が中傷する人々の役を受け持って,アルマ11-14章を同僚と一緒に読んでください。これらの宣教師が難しい質問にどう対応したかに注目してください。
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以下の実話を読み,モルモン書の大切さとその力について,学んだことを話し合ってください(登場人物の名前は仮名)。
「スナイダー家族にバプテスマと確認の儀式を受けるよう勧めたとき,スナイダー姉妹は準備ができていました。けれども,スナイダー兄弟はこう言いました。『長老たち,あまり期待しないでください。準備できるかどうか分かりませんから。』スナイダー兄弟はわたしたちが教えたことを受け入れ,またいつも温かく,親しみを込めて迎えてくれましたが,もしほかの教会に移るとしたら家族から何と言われるだろうかと非常に心配していました。
それから数週間,スナイダー兄弟が苦しむ様子を見守っていました。そして,わたしたちはスナイダー夫妻とともにもう一度,第三ニーファイ11章を読むべきだと強く感じました。その晩に起きたことを忘れることができません。モルモン書を開くと,同僚がこのように説明しました。『覚えていらっしゃるでしょうが,この章には,モルモン書の民に救い主が訪れられたことが記されています。救い主がこれらの人々を愛しておられたこと,そしてお教えになった事柄が書かれています。』わたしたちは1節か2節ずつ順番に読んでいきました。5節を読み終えると,同僚は中断して言いました。 『わたしは彼らが聞いた声についての記述を読む度に感動を覚えてきました。その声は耳障りな声でも,大きな声でもありませんでした。 それは小さいながらも,人々の心を貫く力を持つ声でした。この声は人々の耳に聞こえただけでなく,心に語りかけました。』わたしは同僚の説明にじっと聞き入っているスナイダー夫妻を見ていました。
祈ることと御霊に耳を傾けることについてしばらく話し合いました。次はスナイダー兄弟が読む番でした。『すると見よ,三度目には,彼らは自分たちに聞こえたその声の告げる意味が分かった。その声は彼らに語った。「わたしの愛する子を見なさい。わたしの心にかなう者である。わたしは彼によって,わたしの名に栄光を加えた。彼に聞きなさい。」』スナイダー兄弟はここで読むのを中断して,じっとモルモン書を見ていました。それからわたしに視線を移して言いました。『天のお父様は御子をほんとうに誇りに思っておられたのですね。』『そうです』とわたしは言いました。スナイダー兄弟は再びモルモン書に視線を戻すと,考え込む様子で開いたページをじっと見つめていました。そしてついにこう言いました。『わたしも天のお父様から誇りに思われたいです。わたしのことをお父様はどのように紹介されるでしょうか。たぶん,……もしお父様から誇りに思われたければ,お父様の望んでおられることを行う方がいいですね。』『そうです。それはとても大切なことです』とわたしは答えました。『ええ』と,スナイダー兄弟は続けて言いました。『わたしは周りのみんなからどう思われるだろうかということばかりに心を奪われて,神様がどう思われるかについてはあまり考えていなかったと思います。』少し間をおいてからスナイダー兄弟はうなずき,意を決したような表情を見せると,こう言いました。『わたしはバプテスマを受けるべきだと思います。』予期しなかったスナイダー兄弟の反応に,同僚とわたしはあっけにとられていました。それから同僚は口を開いて言いました。 『そうです。それは正しいことです。実際,この章の後の方で,救い主は教えておられます。…… 』同僚が話している間,わたしは胸が熱くなるのを感じるとともに,モルモン書の力に感謝しました。」
宣教師たちはモルモン書をどのように活用したでしょうか。モルモン書を伝道活動においてもっと効果的に使うために,あなたは同僚と何ができるでしょうか。
ディストリクト評議会,ゾーン大会,および伝道部リーダーシップ評議会
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本章の冒頭の見出しに記されているそれぞれの方法で,モルモン書を活用する練習を行ってください。
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教えている人々から挙がった反対意見や質問を書き出しましょう。自分ならモルモン書を使ってこうした疑問にどう応じるか,互いに説明してください。
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モルモン書の聖句を一緒に読んでください。学んだ事柄や感じていることを伝え,証を述べてください。
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モルモン書を使って回復のメッセージを確認する方法を練習してください。
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モルモン書から偉大な宣教師を一人選んでください。この宣教師が持っていた特質について話し合い,それらを書き出します。宣教師一人一人に,そうした特質の一つを生活の中で応用する目標を立ててもらいます。モルモン書の宣教師を採り上げるこの活動を定期的に行ってください。
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教える人々が改宗の過程を歩む中で,モルモン書が助けとなった経験を分かち合うよう宣教師たちを招いてください。
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人間の本質に関する問いについて,モルモン書に記されている最善の答えを宣教師たちに分かち合ってもらいます。
伝道部会長夫妻と顧問
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モルモン書を使って回復のメッセージが真実であることを確認する方法を宣教師に教えてください。
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宣教師とともに1ニーファイ1章を読んで,ジョセフ・スミスの経験と比較してください。
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宣教師たちに書き込みのないモルモン書を準備しておきます。以下の箇所に色別に印を付けさせてください。
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イエス・キリストについての記述(キリストの名称や代名詞など)
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キリストの言葉(キリストが語られた言葉,または「主はこのように言われる」で始まる預言者の言葉)
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モルモン書に記されている教義と原則
引用されている各項目の合計を各ページの下に記入させます。面接やディストリクト評議会の場で,2,3か月ごとにこの活動を行い,宣教師たちが学んだことを互いに分かち合えるようにします。イエス・キリストを信じる信仰,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物,そのほか福音の基本的な原則への言及に印を付ける活動を,伝道部全体で実施してもよいでしょう。
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面接や会話の中で,自分の人生に変化をもたらしたモルモン書の聖句を分かち合うよう宣教師に勧めてください。
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モルモン書では,各レッスンで採り上げられている教義が教えられていることを宣教師が理解できるように助けてください。例えば,テーマがイエス・キリストの贖罪であるとすれば,モルモン書で教えられているキリストの贖罪の主要な内容を,参照聖句とともに一つの欄に書き出します。それから次の欄に,同じ内容について聖書で教えられている事柄を並べて書き出します。その内容が聖書から失われている場合や教えられていない場合は,空白にしておきます。モルモン書がわたしたちの教義のかなめ石となっていることが,宣教師たちにもはっきりと分かるでしょう。宣教師が教えるその他の教義についても,同じ活動を行うことができます。
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伝道部内の人々が抱えている人間の本質に関する問いを把握します。宣教師たちに,モルモン書から答えを見つけてもらいましょう。