「4:御霊を認識し,理解するにはどうしたらよいでしょうか」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』95-108
「4 御霊を認識する」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』98-108
4
御霊を認識し,理解するにはどうしたらよいでしょうか
個人の啓示
ジョセフ・スミスはこのように語りました。「啓示なしに救いはありません。啓示を受けずに教え導いても,それは何の益ももたらしません。」(Discourse, between circa 26 June and circa 4 August 1839-A, as reported by Willard Richards, Church History Library, The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints, Salt Lake City)あなたの働きを成功させるためには,個人の啓示を受けて,それに従うことを学ばなければなりません。ジョセフ・スミスはまた,啓示はあなたが毎日携わる業において,なくてはならないものであると教えました。「これは天の政体をつかさどる原則です。すなわち啓示は,王国の子供たちが置かれている状況に応じて与えられるのです。」(History, 1838–1856, volume D-1 [1 August 1842–1 July 1843, Church History Library, The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints, Salt Lake City])
神はあなたとすべての子供たちを愛しておられます。神は,現実の場面で個々にチャレンジを受けているあなたを支えたいと,切に願っておられるのです。あなたはなすべき事柄を知るための霊感を受けると約束されており,それを行う力を与えられています(教義と聖約43:15-16参照)。聖文を熱心に研究することによって御霊を認識し,理解しようとするときに,神はあなたを助けてくださいます。神は,回復のメッセージを受け入れる人々のもとへあなたを導いてくださいます。メッセージを伝え,キリストとキリストの福音について証する力を与えてくださいます。神は聖霊の賜物を通してあなたにあふれるばかりの祝福を注いでくださいます。神があなたに求めておられるのは,自分をこの祝福にふさわしい状態に保ち,願い,求め,たたくことです(教義と聖約4:7;マタイ7:7-8参照)。
わたしたちはモルモン書の預言者たちが預言した時代,すなわち人々が「互いに言い争って,自分の学識で教え,語る言葉を与えてくださる聖霊を否定する」時代に生きています(2ニーファイ28:4。3ニーファイ29:6;モルモン9:7-8も参照)。けれども,霊的なものを求めている人は大勢います。あなたは個人の啓示を受けることを学ぶとき,力と権能をもって教えることができます(アルマ17:3参照)。 なぜなら,聖霊が語る力を授けてくださるからです(1ニーファイ10:22参照)。
バプテスマと確認を受けるよう人々を助けるとき,あなたは聖霊を通して個人の啓示を求め,それを受ける必要があります。毎日の生活の中で,導きとなる個人の啓示を受けられるという信仰を持ってください。聖霊はあなたの働きのあらゆる面について助けを与えてくださいます。
キリストの光
バプテスマと確認を受ける前から,人は霊的な導きを受けることができます。この霊的な影響力はキリストの光を源としており,「善悪をわきまえることができるように,すべての人に……与えられている」(モロナイ7:16。14-19節も参照)ものです。
「キリストの光とは,その言葉が意味するとおり,啓発,知識,また高め,気高くし,励ます影響力を指しており,イエス・キリストにより人類にもたらされる。……
キリストの光を聖霊と混同してはならない。キリストの光は人格的な存在ではない。キリストの光がもたらす影響力は,人が聖霊を受ける予行演習,備えとなるものである。キリストの光は『その声を聴く』誠実な人がまことの福音とまことの教会を見いだし,それにより聖霊を受けられるように導くものである。」(『聖書辞典』「キリストの光」〔英文〕より和訳教義と聖約84:46-47も参照)
ボイド・K・パッカー会長はこのように語りました。「聖霊はキリストの光を通して働くことがおできになると知ることは,宣教師にとって重要です。福音の真理の教師は,まったく未知のものや新しいものを大人や子供の心に植え付けるわけではありません。宣教師や教師はすでにそこにあるキリストの御霊に彼らを引き合わせているのです。彼らにとって,福音は聞き慣れた『鐘の音』なのです。」(“The Light of Christ” [address given at the seminar for new mission presidents, June 22, 2004], 2, Church History Library, Salt Lake City)
聖霊
聖霊という御方—聖霊は神会の第三の御方です。聖霊は霊の御方であって,骨肉の体は持っておられません(教義と聖約130:22参照)。聖霊とは,救い主が御自分に従う者たち約束された慰め主のことです。聖霊はすべてのことを教え,救い主が教えられたことをことごとく思い起こさせてくださいます(ヨハネ14:26参照)。
聖霊の力—バプテスマを受ける前であっても,誠実に真理を探求する人々には聖霊の力を通して証が与えられます。「〔聖霊〕の力は,まだバプテスマを受けていない人にも及ぶものであり,福音が真実であるという確証をもたらす。聖霊の力によって,人はイエス・キリストとその業と,地上における主の僕の働きについての証を受ける。」(『聖書辞典』「聖霊」〔英文〕より和訳)聖霊は真理を証されます。人は皆,聖霊の力によってモルモン書が真実であることを知ることができます。「聖霊の力によって,あなたがたはすべてのことの真理を知るであろう。」(モロナイ10:5)
聖霊の賜物—人々は証を受けても,バプテスマと確認を受けていなければ,聖霊を絶えず伴侶とする約束を授かってはいません。ジョセフ・スミスはこのように語りました。「聖霊と聖霊の賜物は別個のものです。コルネリオはバプテスマを受ける前に聖霊を受けました。それは福音が真実であることを確信するために与えられた神の力でした。しかし,コルネリオはバプテスマを受けるまで聖霊の賜物を授かることはできませんでした。もしコルネリオがこのしるし,すなわち儀式を受けなかったとしたら,神の真理について確信を与えた聖霊は離れて行かれたことでしょう。」(“Sabbath Scene in Nauvoo,” Times and Seasons, Apr. 15, 1842, 752)
「〔聖霊の〕賜物は,正しい方法と権能によるバプテスマを受けた後にのみ,按手によって授けられる。……聖霊の賜物は,ふさわしいときにはいつでも,聖霊を伴侶とする権利である。」(『聖書辞典』「聖霊の賜物」〔英文〕より和訳)
あなたは教会員として,神権の権能により聖霊の賜物を授かっています。この賜物は,ふさわしい状態を維持するならば,絶えず聖霊を伴侶とする権利を与えます。御霊の導きを祈り求め,また受けた促しに雄々しく従ってください。
約束の聖なる御霊—聖霊は約束の聖なる御霊とも呼ばれます(教義と聖約88:3参照)。約束の聖なる御霊によって結び固められるとは,人々の義にかなった行い,儀式,聖約を神に受け入れられるものとして聖霊が確認してくださるという意味です。約束の聖なる御霊は,救いの儀式が正しく執行されていること,儀式に関連する聖約が守られていることを御父に証されます。約束の聖なる御霊によって結び固められた人々は,御父の持っておられるすべてを受けます(教義と聖約76:51-60;エペソ1:13-14参照)。すべての聖約と履行がこの世の後まで効力を持ち続けるには,約束の聖なる御霊によって結び固められなければなりません(教義と聖約132:7,18-19,26参照)。聖約を破ると,結び固めは取り消されることがあります。
御霊の賜物—御霊の賜物とは,主がふさわしい個人に与えてくださる特別で霊的な祝福のことで,自らの益のために,また人々に祝福をもたらすために用いるものです。例えば,新たな言語を学ぶ必要のある宣教師は,言語を学習するに当たって,神からの助けをもたらす異言の賜物を受けることができます。幾つかの御霊の賜物については,モロナイ10:8-18;教義と聖約46:11-33;1コリント12:1-12に説明されています。これらは数多くある御霊の賜物の一例にすぎません。主はあなたの忠実さ,必要,またあなたが仕える人々の必要に応じて,これら以外の方法でも祝福を与えてくださいます。あなたは霊の賜物を願い,熱心に求める必要があります(教義と聖約46:8;1コリント12:31;14:1,12参照)。これらの賜物は神の御心に基づいて,祈りと信仰と行いによって授けられます(教義と聖約63:9-12;84:64-73参照)。
改宗における御霊の力
改宗するには聖霊の力が不可欠です。教義と改宗の経験を理解するように努めてください。ボイド・K・パッカー会長は,改宗において御霊の果たす大切な役割について次のように説明しています。
「人が改宗するとき,そこには御霊の力があります。伝道活動を成功させるには次の3つの状態が起きていなければなりません。
わたしたちは,〔人〕が改宗するうえで何を感じなければならないかを理解していなければなりません。
わたしたちは,御霊から与えられる改宗の力によって教えるために,宣教師が何を感じなければならないかを理解していなければなりません。
さらにわたしたちは,会員が改宗を実現させるためにどのような思いを抱いていなければならないかを理解していなければなりません。」(mission presidents’ conference, Apr. 3, 1985)
教える人々,宣教師,会員が御霊の証を受けるときにどのように感じるかを理解すればするほど,あなたは次のような自分の役割をよく理解できるようになります。
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聖文を研究し,教義を教えるときに,霊的に強められ,思いが照らされるようにします。
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聖霊が証されるような雰囲気を作り出し,その中で教えます。そのような雰囲気は,回復のメッセージを教え,証することによって醸し出されます。御霊によって導かれるままに教え,また教えていることが真実であると聖霊の力によって知っていることを証してください。
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あなたのメッセージを各人の必要に合わせるに当たって,御霊の導きに従います。
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行動を起こすよう人々を招きます。悔い改め,戒めに従い,聖約を交わして守るときに,彼らの信仰は強められます。
M・ラッセル・バラード会長は御霊の力について次のように語っています。「真の改心は,御霊の力を通じてもたらされます。御霊が心の琴線に触れるとき,心に変化が生じます。人は御霊の働きかけを感じるとき,または生活の中で主の愛と憐れみが現れているのを目にするとき,霊的に高められ,強められて主への信仰が増していきます。御霊を伴うこれらの経験は,人が喜んで御言葉を試そうとするときに自然に起こる事柄です。そしてわたしたちは福音が真実である,と感じるようになるのです。」(「今が,その時である」『リアホナ』2001年1月号,89)
聖霊は人々の心に働きかけてこれらの変化を生じさせてくださいます。人々は決意を貫こうとするときに,聖霊の力をいっそう強く感じ,キリストに従う信仰を養うのです。このように,あなたは働きかけている人々に悔い改め,決意をしてそれを貫くよう勧めることにより,彼らが信仰にあって成長するよう助けなければなりません。
信仰をもって祈る
御霊の力によってのみ,主の方法で教えることができます。御霊を受けるには信仰の祈りが必要です。主は言われました。「御霊は信仰の祈りによってあなたがたに与えられるであろう。 そして,御霊を受けなければ,あなたがたは教えてはならない。」(教義と聖約42:14)教えるに当たって,助けを祈り求めるなら,聖霊の力はあなたの教えを「人の子らの心に」(2ニーファイ33:1)伝えてくださいます。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長は自らの伝道中の経験を引き合いに出し,この原則を次のように説明しています。
「わたしは伝道中に一緒に働いた二人の青年を忘れることができません。一人はスーパースターでした。教養があり,頭が良く,動作が機敏でした。しかし,それを多少鼻にかけているところがありました。もう一人の宣教師は伝道に出る前,看板のペンキ塗りをしていました。ほとんど教育を受けていませんでしたが,彼は自らの至らなさを実感していたため,主にすがっていました。彼が祈るのを聞いた人は,彼が主と語り合っているということが分かりました。それは決まり文句を並べるのではなく,まさに対話でした。その青年はすばらしいことを成し遂げたのに対して,もう一人の青年は求められたことを漫然と行っただけでした。一人の青年には力があり,もう一人にはなかったことが明らかでした。主を呼び求めてください。主は招いておられ,そしてこたえてくださいます。」(Teachings of Gordon B. Hinckley [1997], 469)
誠心誠意で,十分に固い決意をもって,「熱意を込めて」(モロナイ7:48)祈るように努めてください。望んでいるような祈りの結果を得るには,大きな努力が求められます(モロナイ10:3-4;教義と聖約8:10;9:7参照)。あなたの態度や用いる言葉について,真剣に考えてください。祈るときには,以下のことについて考えてみましょう。
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天の御父を愛し,尊敬していることを表す祈りの言葉を使ってください。いずれの言語で祈る場合も,適切かつ敬意を表す言葉を用います。例えば,あなた,御父,御名,御業などの聖文で用いられている言葉を使います。
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受けている祝福について常に感謝を表してください。意識的に感謝するよう努めることは,主があなたの人生の中でどれほど憐れみをかけてくださったかを理解する助けとなります。
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特に聖霊の導きと助けを求めて祈ってください。霊的な促しに敏感であり,よく注意を払うことによって,この祝福を重んじていることを示してください。それから,受けた促しに勇気をもって従います。
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愛と慈愛を込めて祈ってください。名前を挙げて人々のために祈ってください。人々の必要を理解し,満たすことができるよう霊感を祈り求めてください。教えている人々,新しい改宗者,戻りつつある会員の幸福のために祈ってください。働くエリアの会員と神権指導者,補助組織指導者のために祈ってください。故郷にいるあなたの家族のために祈ってください。同僚やほかの宣教師,伝道部会長のために祈ってください。人々を助ける方法が分かるよう祈り,それから彼らのために進んで犠牲を払ってください。
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どこへ行き,何をなすべきかが示されるように祈ってください。回復のメッセージを受け入れる備えのできている人々のもとへ導かれるよう祈ってください。そして,彼らに気づくことができるように祈ってください。
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天の御父は,あなたが必要としていることをあなたよりもよく御存じであることを心に留めてください。何について祈るべきかを知るために御霊にすがってください(3ニーファイ19:24;教義と聖約46:28,30参照)。
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夜の祈りでは,あなたの一日の働きについて主に報告します。それから,翌日の計画を主とともに検討します。御霊の促しに耳を傾けてください。
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誘惑に打ち勝つことができるよう祈ってください。誘惑に負けると御霊を受けられなくなるからです。
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特別な祝福を求めて祈り,適切であれば断食してください。
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聖文について祈り,深く考えてください。聖文は啓示の窓を開きます。
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神があなたの祈りにこたえてくださることを信じてください。神の思いはあなたの思いと異なることを認め(イザヤ55:8-9参照),神は御自身の時と方法によって祈りにこたえられることを信じてください。
御霊の促しを認識することを学ぶ
御霊はいつでもあなたを導き,指示を与えてくださいます。けれども,御霊はあなたの心と思いを通して静かに語られます。あなたとあなたが働きかけている人々にとって大きなチャレンジの一つは,聖霊の静かで,かすかな促しを認識することです。
ボイド・K・パッカー会長はこのように教えました。「聖典には,御霊の声は『大きな声』でも『耳障りな声』でもなく,また,『雷のような声ではなく,大きな騒々しい音でも』ないと書かれています。むしろそれは,まるで『ささやきのような,まったく優しい静かな声であり』,それでいて『心の底までも貫〔き〕』,『心を燃え上がらせ』る声です(3ニーファイ11:3;ヒラマン5:30;教義と聖約85:6-7)。エリヤが,主の声は風の中にも,地震の中にも,火の中にもなく,『静かな細い声』(列王上19:12)であると認めたときのことを思い起こしてください。
御霊は叫んだり,大きな手で揺すったりして注意を引くことはありません。ささやきかけてくるのです。そのささやき方は,非常に静かで,ほかのことに気を取られているとまったく気がつきません。
時には,強い訴え方をして,気づかせることもあります。しかし,ほとんどの場合,その静かなささやきに耳を傾けていないと,御霊は離れ去ります。わたしたち自らが熱心に求め,聞く耳を持つまで訪れなくなります。いにしえのサムエルが言ったように,わたしたち自身の言葉で『しもべは聞きます。〔主よ〕お話しください』(サムエル上3:10)と言うまで待っておられるのです。」(「主のともしび」『聖徒の道』1988年12月号,35参照)
世の中では,あなたの注意を引こうとして多くの声が競い合っています。注意していないと,霊的な印象はそれらに押し流されてしまいます。
活動:個人学習または同僚との勉強会
以下の表を研究してください。聖句の中で述べられている感覚,思い,印象を経験したときのことを考えてください。聖文を研究し,経験を重ねる中で,このリストにほかの聖句を書き加えていきましょう。人々が御霊を感じ,認識できるよう助けるために,これらの原則をどのように生かせるか考えてください。
御霊は愛,喜び,平和,忍耐,柔和,温厚,信仰,希望といった感覚をもたらす。 | |
思いに考えを,心に感情をもたらす。 | |
心を占め,気持ちに重くのしかかる。 | |
聖文が強い影響を及ぼすようにする。 | |
正しければ,心に良い気持ちを感じさせる。 | |
思いを照らす。 | |
暗黒の思いを光に置き換える。 | |
悪事をやめて,戒めに従う望みを強める。 | |
真理を教え,思い起こさせる。 | |
平安と慰めの気持ちを与える。 | |
真理に導き,来るべきことを知らせる。 | |
真理を明らかにする。 | |
わたしたちを導き,欺きから守る。 | |
父なる神とイエス・キリストをたたえ,証する。 | |
語るべき言葉を謙遜な教師に悟らせる。 | |
罪を明らかにして,正す。 | |
御霊の賜物を与える。 | |
人々の思いを見抜き,識別できるように助ける。 | |
何について祈るべきかを告げる。 | |
なすべきことを告げる。 | |
義人が力と権能によって語れるよう助ける。 | |
真理を証する。 | |
聖めと罪の赦しをもたらす。 | |
耳を傾ける人々の心に真理を届ける。 | |
スキルと能力を高める。 | |
促したり(駆り立てたり),制止したり(引き止めたり)する。 | |
説く者と学ぶ者を教化する。 | |
慰めを与える。 |
ゴードン・B・ヒンクレー大管長は「どのようにして御霊の促しを認識できるか」という問いに答えるために,モロナイ7:13,16-17を読んでから,次のように語りました。「それはあらゆることが語られ,行われた後に実施される,最終的なテストです。その促しは善を行い,立ち上がり,背筋を伸ばし,正しいことを行い,親切であり,寛容であるよう人に勧めているでしょうか。そうであれば,それは神の御霊から与えられたものです。……
善を行うよう促すものであれば,それは神から与えられているものです。もし悪を行うよう促すものであれば,それは悪魔から出ているものです。……もしあなたが正しいことを行い,正しい生活をしているならば,御霊が語りかけていることを心の中で察知できることでしょう。
あなたは御霊の促しを,御霊のもたらす実によって識別することができます。すなわち啓発し,築き上げるもの,積極的,肯定的であり,心を高め,より良い思いと言葉と行いに導くものは,神の御霊によるのです。」(Teachings of Gordon B. Hinckley, 260–61)
神は個人的な霊感と啓示を通して,あなたの祈りにこたえてくださいます。ファインディングを行うとき,回復された福音を教えるとき,戻りつつある会員や新会員を強めるとき,神は聖霊を通してあなたを導かれます。あなたがなすべきことは,ふさわしい生活を送り,熱心に祈ることです。そして御霊の導きを認識し,勇気をもって従う力を身に付けることです。
御霊に頼る
主の僕であるあなたは,主の方法と力によって主の業を行わなければなりません。ある宣教師は成功する方法を知っていると自負しています。そのような自信を持ち合わせていない宣教師もいます。けれども,あなたの自信と信仰はキリストに対して向けられるものであって,自分に対してではないことを忘れてはなりません。自分の才能や能力ではなく,御霊に頼ってください。あなたの働きのあらゆる面について導いてくださる御霊にすがってください。預言者ジョセフ・スミスは,御霊は教え,宣べ伝える際の基本となるものであると教えました。
「いかなる人も,聖霊なくして福音を宣べ伝えることはできません。」(History, 1838–1856, volume B-1 [1 September 1834–2 November 1838], 756, Church History Library, The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints, Salt Lake City)
「多くの人が啓示と預言の御霊によって召され,聖任され,御霊から与えられる言葉を宣べ伝えています。彼らは弱き者たちですが,神の力によって強められているのです。」(Orson Pratt, A[n] Interesting Account of Several Remarkable Visions [Edinburgh: Ballantyne and Hughes, 1840], 24)
「〔ジョセフ・スミスは〕福音を宣べ伝えることについて長老たちに指示を与えました。そして,天から降られる聖霊とともに宣べ伝えるには,御霊を得る必要があることを強調しました。」(History, 1838–1856, volume C-1 [2 November 1838–31 July 1842], 969, Church History Library, The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints, Salt Lake City)
毎週の計画会と毎日の計画会で,幾つかの基本的な質問を自分に問いかける必要があります。 それは毎日,そして一日に何度となく問いかけるべき質問です(質問の例については以下の「聖文研究」の項を参照)。それぞれの状況に合った方法でこれらの質問に答えられるように霊感を求めてください。導き出した答えを計画に反映させます。しかし,予定にない機会が訪れたときには御霊の導きに積極的に従って,計画を変更する必要があります。
以下の聖句を研究して,あなたが毎日問いかけるべき大切な質問に,これらの聖句がどのように答えているかを考えてください。ファインディングの活動,計画会,個人学習と同僚との勉強会にとって,これらの聖句はどのような意味を持っているかを考えます。また,レッスンを教えるとき,決意するよう人々を招くとき,決意のフォローアップを行うとき,新会員や戻りつつある会員を強めるとき,会員たちと協力して働くときに,これらの聖句がどのような意味を持つかを考えましょう。
警告の言葉
霊感を求めて祈るときに,自分がどのような思いを抱いているかを確かめておく必要があります。例えば,あなたが決断したことを聖文や生ける預言者の教えと比べてみてください。抱いている思いが自分の務めと調和していることを確かめてください。 これは例えば,地元のビショップがどのように召しを果たすべきか,本人に告げる啓示をあなたが受けることはないということです。あなたの判断や決定について,同僚やディストリクトリーダー,適切であれば伝道部会長と話し合います。
ハワード・W・ハンター大管長はこのような勧告を与えています。「このテーマについて,一言警告させてください。……わたしたちは注意をおろそかにしていると,……ふさわしくない,ごまかしの方法を使って,主の御霊のまことの影響力を受けているかのようなふりをし始めます。大きな感動や涙を流す出来事が,御霊の現れと同じように扱われているのではないかと懸念しています。確かに主の御霊は涙を流すような大きな感動をもたらすことがありますが,そのような表面的な現れを御霊の現れと混同してはなりません。」(The Teachings of Howard W. Hunter [1997], 184)主の御霊は常にわたしたちを啓発してくださいます。
啓示や霊的な経験は神聖なものです。これらは当事者の間だけにとどめておくべき事柄であり,適切な状況においてのみ話し合われるべき事柄です。あなたは宣教師として,以前よりも霊的な経験に対する関心が高まっていることでしょう。これらの経験について制限なく話そうとする誘惑を退けてください。
ボイド・K・パッカー会長は次のように勧告しています。「霊的に強い印象を残す出来事は,そう何度もあるわけではありません。多くの場合,霊的な体験は,わたしたちを教え導き,指示を与え,誤りを正すために与えられます。わたしたちは正当な権能を持つ人からそのような職に召されないかぎり,勧告を与えたり,誤りを正したりする立場にはありません。
わたしはまた,特に霊的な体験を四六時中話すのは賢明なことではないと信じています。そういう体験は慎重に扱い,ほかの人々の祝福のために用いるようにと,御霊のささやきがあったときだけに話すべきものです。」(「主のともしび」35)
研究と応用のためのアイデア
個人学習
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あなたの霊的な経験を学習帳に記録してください。例えば,次のような質問の答えです。「聖文を研究することによって理解が深められた事柄はあるだろうか。」「またとない機会が訪れて人々に出会い,メッセージを分かち合えたことはあるだろうか。」「必要としていたその瞬間に,語るべき言葉が与えられた経験はあるだろうか。」「出会った人々に強い愛を感じたことはあっただろうか。」「わたしの祈りはこれまでどのようにこたえられてきただろうか。」
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学習帳の1ページを二等分して,片方の欄に見出しとして「主が行われたこと」,もう片方の欄に「リーハイまたはニーファイが行ったこと」と書きます。リアホナの物語と折れた矢の物語(1ニーファイ16:9-30),またはニーファイが船を造った物語(1ニーファイ17:7-16;18:1-6)を読んでください。読み進めながら,該当する欄に出来事を書き出してください。この話から霊感の本質についてどのようなことを学べるか考えます。
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学習帳に目を通し,御霊によって導かれた経験,または啓示や御霊の賜物を経験した出来事を探してください。それらの経験がいつ,どこで,なぜ起きたのかを考えます。そのような経験をするために,何か特別な準備をしていたでしょうか。その経験の中で,主の手はどのように現されていたでしょうか。あなたはその出来事をどのように感じたでしょうか。どうすれば同じような経験を繰り返せるでしょうか。これらの経験を心に留めておくことは,再び御霊を認識し,受けるための備えとなります。
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聖書の使徒行伝は「使徒たちを通して行われた聖なる御霊の働きの記録」と呼ばれています。使徒行伝全体にざっと目を通し,なぜこの標題が適切であるかを説明してください。説明の裏付けとなる証拠を見つけてください。
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以下の助言を研究し,深く考えてください。この助言はあなたの日々の伝道活動にどのように応用できるでしょうか。
「謙遜で忠実であり,主の御霊を常に伴侶とするように兄弟たちに告げてください。そうすれば道を誤ることはないでしょう。静かな細い声を聞き逃さないように注意してください。その声は何をすべきか,またどこへ行くべきかを教えてくれるでしょう。そして,王国の実りをもたらすでしょう。兄弟たちに,常に強い信念を持つことを心がけるよう告げてください。そうすれば聖霊の訪れを受けたとき,すぐにそれを受け入れられるでしょう。主の御霊はそのほかの霊と区別することができます。それは心に平安と喜びを与えるささやきです。悪意や憎悪,争いなど,すべての悪を心から取り除き,善を行うことを心から望むものです。」(quoted in Juvenile Instructor, July 19, 1873, 114)
この助言は預言者ジョセフ・スミスが亡くなってから約3年後に,夢の中でブリガム・ヤングに与えたものです。もしあなたがブリガム・ヤングの立場にあり,ジョセフ・スミスからこの助言を受けたとしたら,どうしたでしょうか。
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アルマ33:1-12;34:17-29,38を研究してください。アルマはどのような質問に対して答えたのでしょうか(アルマ33:1-2を復習する)。アルマはこれらの質問に対してどのように答えたでしょうか。神が祈りを聞いてこたえてくださるということについて,アルマはどのような約束を与えたでしょうか。
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御霊がそのほか多くの大切な方法によってわたしたちを導かれることを,主は約束されました。以下の聖句を読んで,あなたの働きの中で御霊の導きを必要とする様々な分野を見つけてください。これらの聖句に含まれている戒めと約束は,個人学習や同僚との勉強会においてどのような意味を持つでしょうか。 ディストリクト評議会,ゾーン大会,バプテスマ会,そのほかの集会ではどうでしょうか。
祈る
集会を開く
書き留める
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以下の聖句を読んでください(章の前書きを含む)。
ここで,主にとって非常に大切なことは何だったでしょうか。
主にとって大切でないことは何だったでしょうか。
ダリン・H・オークス管長が語った以下の話について深く考えてください。
「主の御霊によって導かれたいという強い願望を持つ人が,愚かにもすべてのことに導きを受けたいと願うまでにその願望を暴走させてしまうことがあります。主によって導かれたいと願うこと自体は力のよりどころとなるものですが,同時に,天の御父は多くの決断をわたしたち自身の個人的な選択に任せておられることも理解する必要があります。個人的な決断は,わたしたちの成長のためにこの世で経験するよう定められた方法の一つです。すべての決断を主に委ね,どんな選択にも啓示を願う人たちは,やがて,導きを求めて祈っても答えを受けないという状況に直面するでしょう。そのような状況として考えられるのは,選択が取るに足りない場合や,いずれの選択でもよいという場合です。そのような状況は幾らでもあります。
わたしたちはまず,造り主が与えてくださった理性を働かせ,心の中でよく思い計らなければなりません。それから導きを求めて祈り,導きを受けたならそれに従って行動するのです。もし導きが与えられなかったなら,可能なかぎりの最善の判断に従って行動すべきです。主が指示を与えようとなさらなかった事柄について執拗に啓示を求める人たちは,自分の空想や偏見から答えをでっち上げたり,偽りの啓示によって答えを受けたりするかもしれません。」(「強さが堕落を招くとき」『聖徒の道』1995年5月号,15参照)
自分の判断に従うことと,御霊に頼ることとの間にはどのような関係があるでしょうか。
同僚との勉強会
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同僚とともにささげている祈りについて話し合ってください。それは聖霊によって導かれている祈りでしょうか。あなたは祈りの答えを受けてきたでしょうか。同僚とともに祈るとき,あなたは—
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義にかなって願い求めることを神がかなえてくださると信じていますか。
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祈りの答えに気づき,そのことに感謝していますか。
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人々の名前を挙げて祈り,彼らの必要について考えていますか。
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互いのために,また御霊があなたを導いてくださるよう祈っていますか。
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祈りの答えを受けていますか。
もっと熱心に御霊を求める方法について同僚と話し合ってください。
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人々が聖霊の影響を説明している様々な方法について話し合ってください。教えている人々が福音を学び,決意を貫く努力をする中で,御霊を感じた経験について語った言葉を書き留めておきます。この神聖な力を認識するよう人々を助けるために,あなたはどのようなことができるでしょうか。どうすれば導きを受けているふりをするのを避けることができるでしょうか。
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以下の勧告をどのように自分に当てはめることができるか考え,話し合ってください。 「霊的な事柄に無理強いは効きません。強制,強要,束縛,圧力,要求などは,わたしたちが御霊を受ける特権とは無縁の言葉です。豆に無理に芽を出させたり,卵にひなにかえるように命じたりすることができないように,無理に御霊の答えを引き出すこともできません。わたしたちにできるのは成長を促す環境作りをし,育み,守ることであり,無理強いはできません。成長を待たなければならないのです。」(ボイド・K・パッカー「主のともしび」36)
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以下の文を読んで,これらの原則によってあなたの祈りと働く方法をどのように変えることができるかについて話し合ってください。毎日の計画や目標設定,働き,活動は祈りによってどのような影響を受けるでしょうか。
「わたしたちの行いは,大部分,わたしたちの祈りの結果です。わたしたちは祈ったとおりに行動します。わたしたちの正しい祈願は,わたしたちの行いを義にかなった方向に導く効果を生みます。」 (ブルース・R・マッコンキー「主はなぜ祈りを定められたか」『聖徒の道』1976年10月号,488参照)
「心を込めて祈るということには,祝福や徳を願い求めるとき,その祝福を得るために努力し,徳を養わなければならないという意味が含まれています。」(David O. McKay, Secrets of a Happy Life [1968], 114–15)
「〔神〕があなたにどこで,何をするよう望んでおられるかを尋ねてください。そしてあなたは,それを行う用意ができていることを心の中で確かめてください。」(Brigham Young, Discourses of Brigham Young, sel. John A. Widtsoe [1954], 46)
ディストリクト評議会,ゾーン大会,および伝道部リーダーシップ評議会
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祈りの中で適切かつ敬意ある言葉を用いることについて,レッスンを実施してください。
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適切であれば,最近の証会,レッスンその他で聞いた話や経験を宣教師たちに分かち合ってもらいます。ほかの人たちが語る霊的な話と経験は,あなたが信仰を強める助けとなります。また,御霊の影響力は広範囲かつ頻繁に現れることを理解するうえで役立ちます。
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あなたの働きの中に主の御手が現れていることへの感謝を述べてください(教義と聖約59:21参照)。主があなたに注いでおられる,ささやかながらも非常に大切な祝福を認識するうえで,感謝の気持ちを表すことがどのような助けとなるか話し合ってください(エテル3:5参照)。
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伝道と聖霊の力について宣教師に話をしてもらいます。
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最近改宗した人に,教会について学ぶ中で御霊の影響力を受けた経験について話してもらいます。
伝道部会長夫妻と顧問
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毎週の手紙の中で,適切であれば霊的な経験について記すよう,折に触れて宣教師に求めてください。
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面接や会話の中で,宣教師に朝と晩の祈りについて時々尋ねてください。自分の祈りが意義あるものだと感じているかどうかを尋ねます。
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教えている人々が御霊を感じ,認識できるよう,宣教師としてどのように助けているかを尋ねてください。
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適切であれば,転任の決定について,従順でない宣教師について,助けを必要としている宣教師について,また教える教義について,あなたがどのように啓示を受けているかを宣教師に話してください。