「9:教える人々を見つけるにはどうしたらよいでしょうか」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』159-176
「9 人々を見つける」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』159-176
9
教える人々を見つけるにはどうしたらよいでしょうか
見つける信仰を育む
本章の教義と原則を学ぶことにより,あなたと回復された福音とを受け入れるように主が人々を備えておられる,という信仰が強められるでしょう。主はあなたを彼らのもとへ導いてくださるか,彼らをあなたのもとへ導いてくださいます。ファインディングの活動は,世界各地でそれぞれの方法で行われています。宣教師と伝道部会長は周囲の状況に順応することが必要です。違いがあるのは事実ですが,ファインディングの原則は世界共通です。
神の家族—地上にいるすべての人は,前世において神の家族の一員でした(使徒17:26-29;ヘブル12:9参照)。わたしたちはこの世で神の家族に属しており,来世で神の家族の一員としてさらに大いなる祝福にあずかることができます。わたしたちは皆神の家族にあって兄弟姉妹です。この知識により,自分が何者で,何に属しているのかを意識することができます。また,神の前での永遠の命を望むのに十分な理由があることも分かるのです。わたしたちがこの基本的な真理を理解しているのは福音が回復されたおかげです。回復された真理を兄弟姉妹に教えるのはあなたの責任であり,祝福です。背教したゾーラム人を助けることを願い求めたアルマのように,あなたも次のように祈ることができます。「おお,主よ,どうかわたしたちがこの民をキリストにあって再びあなたのみもとに連れ戻すのに,成功を収められるようにしてください。まことに,おお,主よ,彼らは貴い人々で〔す。〕……ですから,主よ,わたしたちが同胞であるこれらの人々を再びあなたのみもとに連れ戻すことができるように,わたしたちに力と知恵をお与えください。」(アルマ31:34-35)
「あなたがたを受け入れる人々を見いだ〔す。〕」—あなたは「〔自分たち〕を受け入れる人々」を見いだすことによって教会を築かなければなりません(教義と聖約42:8)。このような人々は,あなたが主の僕であることに気づくことでしょう。彼らは進んであなたのメッセージにこたえます。多くの人々は「見いだす場所を知らないということだけで真理を得られずにいる」のです(教義と聖約123:12)。
普通,あなたはだれがそのような人々なのかを知りませんし,彼らもあなたが主の僕であることにすぐには気づかないかもしれません。ほかの何にも増して,回復された福音こそが,人生にさらなる平安,導き,目的をもたらしてくれるということをまだ理解していないかもしれません。回復された福音を実際に見いだすまで,それを探し求めているという意識すら持っていないことがしばしばあります。例を挙げると,ある改宗者はこう言っています。「福音について聞いたとき,心に開いていた穴がふさがりました。けれども,心に穴が開いていたことをそれまで知りませんでした。」別の改宗者はこう話しています。「探し求めているものを見つけて初めて,自分がそのようなものを探し求めていたことに気づきました。」
どこで奉仕するよう割り当てられたかにかかわらず,主の次の言葉を忘れてはなりません。 「主なるわたしは,あなたがたがこの場所に来るのを許した。わたしは人々の救いのためにこれを必要としたからである。」主の次の言葉を果たすため効果的に働いてください。「この民に向かって声を上げなさい。〔主が〕あなたがたの心の中に入れる思いを語りなさい。」そうするならば,あなたは次の約束を受けることでしょう。「あなたがたは人々の前で辱められることはないであろう。」そして「あなたがたの言うべきことは,……まことにその瞬間にあなたがたに授けられる……。」(教義と聖約100:4-6)御霊によって見つけることは,御霊によって教えることと同じように大切です。ファインディングをする際の努力は,教えるときの努力と同じように,御霊によって導かれるときに大きな成果を生じます。あなたを受け入れる人々を見つけるために,何を教え,何をすべきかが示されるという信仰を持ってください。
あらゆる人と話す
預言者ジョセフ・スミスが宣教師の一行とともにミズーリ川を旅していたとき,主はこのように教えられました。「川の両岸に住む者たちが不信仰で滅びつつあるときに,わたしの長老たち〔が〕速く進んで行くことは必要ではない。」(教義と聖約61:3)予定している活動に向かって速く移動している間,「不信仰で滅びつつある」かもしれない人々に仕え,教えるための予期せぬ機会に気づくことができるよう祈ってください。霊的な感覚を研ぎ澄ませて,機会を捉えることができるように祈るのです。そうするならば,回復された福音を受け入れる備えのできた神の子供たちを,神があなたの行く手に置いてくださることに気づくでしょう。
伝道活動というものは,教える人を見つけるまでは何も起こりません。毎日できるだけ多くの人々に話しかけてください。人々に話しかけることに多少の不安を覚えることは自然です。けれども,回復された福音を宣言するため,もっと大胆に口を開く信仰と力を祈り求めることができます。出会うすべての人に話しかけるために,以下のアイデアを実行してみてください。
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教えるべきことを心と思いに告げてくださる御霊を信頼してください。
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人々があなたに話していることに誠実に耳を傾けます。
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温かく,親しみやすく,明るく信頼できる人物でありましょう。手伝いを申し出てください。
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その人の家族について話します。回復された福音は彼らの家族にとってどのような祝福となり得るか,彼らが理解できるように助けてください。
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祖父母,曾祖父母をはじめとする先祖の名前を探す助けを申し出てください。神殿・家族歴史相談員に助けてもらいましょう。
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回復された福音について学ぶようあらゆる人に勧めます。
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パスアロングカードを渡します。
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あなたのメッセージに関心がありそうな知人の名前を尋ねます。
この男性がどれほど宣教師を受け入れる備えができていたか,また,突然訪れた福音を教える機会を宣教師たちがどのように活用したか,以下の実話を読みながら見つけてください。
わたしは子供のころから,聖書を読むように教えられたことは一度もありませんでした。日曜日には教会へ行っていましたが,教会に貢献したこともないし,逆に教会から心の糧を得たこともありませんでした。わたしは自分の宗教に幻滅していました。……わたしは……神を探していました。—そもそも神が存在するのかどうか知りたかったのです。神を知りたいとしきりに願い,神の言葉に飢え渇いていました。けれども見いだせそうにありませんでした。
渇きが癒されそうな気持ちを覚えた瞬間がありました。初めて生まれたわが娘を,初めて腕に抱いたとき,神はほんとうにいらっしゃると感じました。何年も後で次の娘が生まれたときも,同じ気持ちを覚えました。……けれども,四六時中,説明のつかないけだるさが心に重くのしかかっていました。霊的に渇いていたにもかかわらず,その渇きを癒す場所を見いだせなかったのです。
1994年4月,メキシコのモンテレー市に住んでいたわたしは,タクシーの運転手をして生計を立てていました。ある日,何時間も雨が降り続いたため,雨水が滝のようになって山腹を流れていました。雨の中を数時間運転した後で,ふと気がつくとモンテレーから8キロ(5マイル)ほど離れた小さな町に来ていました。そろそろ……帰宅する時刻になっていました。すると突然,二人の若い男性が歩いているのが目に入りました。黒っぽいズボンに白いシャツという出で立ちでしたが,二人とも頭からつま先までずぶ濡れになっているようでした。
わたしは二人に近づくと,タクシーのドアを開いて,「さあ乗って!モンテレーまで行くところだから」と声をかけました。
背が高い方の……青年が答えました。「持ち合わせがないんです。」
わたしは「お代はいらないよ」と言いました。
二人はすぐに乗り込んできました。
運転している間に,彼らと会話をしました。二人はイエス・キリストについてのメッセージを紹介してもよいかと尋ねてきたので,わたしは承諾して,住所を教えました。
帰宅すると妻を起こして,二人の青年の話をしました。「何という偶然だろう。一人はメキシコ人で,もう一人はアメリカ人だけど,二人とも下の名前がエルダーっていうんだよ。」
「エルダーっていうのは宣教師のことよ」と妻は言いました。妻はこの教会について多少の知識を持っていたのです。
わたしは心の奥底で,何か強く動かされるものを感じました。二人の青年はわたしの心に心地よい驚きを残していきました。渇きを癒してくれる水がもうすぐ見つかるのでは,すぐそこまで来ているのではないか,と感じました。
宣教師が我が家を訪れたのは6月5日で,わたしは喜んで耳を傾けました。2週間後の6月19日にバプテスマを受けました。妻は〔娘とともに〕,4か月後の10月にバプテスマを受けました。
1995年12月,わたしたちはメキシコ・メキシコシティー神殿でこの世から永遠にわたる家族として結び固められました。今では一致と平安と幸福を家族で満喫しています。わたしたちは礼拝すべき御方を知っています。わたしたちがどこから来て,どこへ行くのかを知っています。神の言葉,特にモルモン書を愛しています。神の教会である末日聖徒イエス・キリスト教会が大好きです。わたしたちはこれらの賜物を通して,救い主がサマリヤの女に言われた生ける水の井戸を見つけました。「わたしが与える水を飲む者は,いつまでも,かわくことがないばかりか,わたしが与える水は,その人のうちで泉となり,永遠の命に至る水が,わきあがるであろう。」(ヨハネ4:14)〔Victor Manuel Cabrera, “Thirsting for the Living Water,” Ensign, Aug. 2001, 60–61〕
見つけながら教え,教えながら見つける
ファインディングと教えることとの間には密接な関係があります。人々と出会うときに回復された真理の概要を簡潔に教えられるように備えてください。そうするならば,聖霊はあなたが主の僕であることを証することがおできになります。多くの場面で,メッセージを1分以内で伝える必要に迫られるでしょう。人々は簡潔で力強い言葉に慣れ親しんでいるからです。例えば,次のような短い文で回復のメッセージについて証することができます。
神から直接与えられた真理(イエス・キリストの福音)は何世紀にもわたって失われていましたが,愛にあふれる神が生ける預言者を通して真理を回復してくださいました。わたしたちにはその証拠があります。あなたはそれを手に取って読み,心の中で深く考え,真実であるかどうか自分で知るために祈ることができます。もしよろしければ,……させていただけますか。
もう少し時間があれば,次のように言うことができます。
わたしたちのメッセージは簡潔です。神はわたしたちの御父です。わたしたちは神の子供です。わたしたちは神の家族の一員です。神はわたしたちを愛しておられます。神は世の初めから,人々に愛と関心を寄せてこられました。神は幾度となく愛の御手を差し伸べ,イエス・キリストの福音を明らかにしてこられました。それは御自分の子供たちに,御自分のもとへ戻る方法を知らせるためです。神はアダム,ノア,アブラハム,モーセなどの預言者に福音を啓示されました。けれども人々は繰り返し福音を拒んできました。2,000年前には,イエス・キリスト御自身が福音を教えられました。ところが驚いたことに,人々はイエスさえも拒みました。人々がまことの教義と儀式を軽んじたり,ゆがめたりするとき,神は教会を管理する権能を取り去られます。
わたしたちがお勧めしたいのは,すでに大切にしておられる真理に新たな真理を付け加えていただくことです。天の御父は再び御自分の子供たちに愛の手を差し伸べ,一人の預言者にまことの教えと儀式を明らかにされました。これに関して,わたしたちがご紹介する証拠を検討していただきたいのです。この預言者は,ジョセフ・スミスといいます。このすばらしい真理の証拠はモルモン書と呼ばれる書物の中にあります。この書物を手に取り,読み,それが真理かどうか,頭と心で深く考えることができるのです。
人々に出会ったら,すぐに教え,証する習慣を身に付けてください。証をし,人々が聖霊の力を感じられるような状況を作ることによって,教える人々をさらに多く見つけることができます。
どのようなきっかけから話し始めるのであれ,福音の回復について素早く手短に話す必要があります。 なぜなら,これは世界に向けて伝えるわたしたちの特別なメッセージだからです。あなたが教える人々には,往々にして,回復された福音を受け入れる備えのできた友人や親戚がいます。ファインディングを行う,人々に教える,会員たちとともに働くなど,伝道のあらゆる場面で,次のように問いかけてください。「このメッセージに関心のありそうな方や,このメッセージから益を得られると思われる方をどなたか御存じですか。」リフェローを受けたら,次のように尋ねます。「このメッセージを聞いたらいいと思う方が,ほかにいらっしゃいませんか。」会う度に,この問いかけをためらわず何度も行ってください。あなたの教えている人々は福音の祝福を経験すると,それを分かち合いたいと願う気持ちが強くなります(1ニーファイ8:12参照)。福音を学んでいる間にも新しい友人ができます。この原則を応用している宣教師は,たいてい多くの人を教えています。
家族の大切さについて話す
回復されたイエス・キリストの福音は家族と個人に祝福をもたらします。回復された福音の原則に従って生活することにより,家族と個人は強められ,平安と喜びを得ます。また,居場所と存在理由があると感じることができます。
毎日出会う人々に家族の大切さを話すことは,教える人々を見つける助けとなります。ほとんどの人は普通,家族に関心を持っています。多くのファインディングの場面で,家族についての常識を回復のメッセージに結びつけて話すことができます。ファインディングをする際に,次のようなことを言うとよいでしょう。
家族ほど大切なものはありません。家族は人を結びつけ,人に名前を与え,自分が必要とされ,愛された存在であると感じさせてくれます。家族から受け継いだ個性,資質,身体的特徴のおかげで,人は各自が唯一無二の存在となっているのです。
世界中の多くの人々が,固く結ばれた,幸福な家族を築くことをいちばん大切にしています。これを達成するのがとても難しいことも多々あります。悪がはびこる今の世の中では,子供を育て,堅固な夫婦関係を築くことは,ほとんど不可能なことにすら思われます。
それから回復のメッセージへと移ります。
家族に抱く愛と関心は永遠のものであって,わたしたちの心の奥深くに根ざしています。それは神とわたしたちの関係を土台としています。あなたはこの世に生まれる前から神の家族の一員として生活していました。神はわたしたちのお父様です。ですから,わたしたちは兄弟姉妹なのです。天の御父はわたしたちに,戻って来て,家族の一員としてともに生活することを望んでおられます。この世のすべての家族は神の家族とつながっています。この世の生活を終えた後も,家族はともに住むことができます。わたしたちがそのことを知っているのは,水に沈めるバプテスマなど,何世紀もの間失われていた真実の教義と儀式が,愛にあふれる天の御父によって,一人の生ける預言者を通して地上に回復されたからです。この真理が回復されたことによって,神の家族とわたしたちの関係が理解できるだけでなく,この世において固く結ばれた幸福な家族を築くうえで,大きな希望を得ることになります。……について,さらに詳しくお教えしてもよろしいでしょうか。
このほか幸福,逆境,人生の目的,死といったテーマについても,同じように話を展開することができます。ファインディングのアプローチがどのようなものであれ,すぐに,教会が世に発している,他に類を見ないメッセージにつなげることを忘れてはなりません。
会員たちの重要性
教会員と力を合わせて,教える人々を見つけてください。レッスンを受けるよう会員が人々を招いて,教える場に同席してくれるのが理想的です。会員がこのように行うと,バプテスマを受けて,その後も教会に活発であり続ける割合が高くなります。会員とのつながりが重要である理由は,その方が人々の心が和らげられ,回復された福音を学んでみようと考えることが多いからです。こうすることにより,しばしば教会員の友情の輪(活発な会員,戻りつつある会員,最近の改宗者,パートメンバーの家族を含む)の中に人々を招き入れることができます。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこのように教えました。「宣教師の活動とは単にチラシを配ることだと考えている会員が大勢います。しかし,宣教師の活動を知っている人は,もっと良い方法があることを知っています。それは教会員を通じて行う方法です。教会員が〔だれか〕を紹介すると,そこには即座に対応できる支援体制があります。教会員はこの業が真実であることを証します。……友達の幸せを心から願っています。そして,友達が福音を学んで進歩するのを見て,感動するのです。
実際に教えるのは専任宣教師かもしれませんが,教会員は,宣教師が教える際に家庭を提供することによって支援することができます。教会員はこの業が神の業であることについて心からの証を述べます。会員は宣教師が近くにいないときに,〔人々〕の質問に答えます。会員は,大きな,時には難しい変化を遂げようとする〔改宗者〕の友達になるのです。……新しい人を教会に連れてくるのは宣教師だけの責任ではありません。教会員が中心になって新しい〔人々〕を見つけるときに,宣教師は最大の成功を収めることができます。」(「子羊を見いだし,羊を養う」『リアホナ』1999年7月号,121-122)
会員たちとの間に強いきずなを築くための第一歩は,ビショップです。支援を申し出て,ビショップから求められる義にかなった奉仕は何でも行ってください。いつも次のように自問してください。「わたしはビショップにとって祝福となっているだろうか,それとも重荷となっているだろうか。」「お手伝いさせてください」という姿勢を育んでください。愛し,仕え,教える機会を探し求めているならば,ビショップとワードの会員があなたを信頼して自分の家族や友人を紹介する可能性が高まるでしょう。
ある宣教師が伝道部会長に送った以下の手紙の抜粋を読んで深く考えてください。
愛する伝道部会長,
本日伝道部会長補佐から,わたしの転勤について電話で連絡を受けました。このエリアへ送ってくださったことに対して感謝の気持ちをお伝えすべきだと感じたので,ペンを取りました。待ち受けているチャレンジについて伝道部会長が話されたのが,まるで昨日のことのように感じられます。
任地で迎えた最初の日曜に,伝道部会長のおっしゃった意味が分かりました。ワードから気のない歓迎を受けました。最初の日曜に見つけた希望の光は,ワードの新しい伝道主任,スコットだけでした。1か月前に空軍基地に配属された彼は,2週間前からワードの伝道主任として働いていました。最初の日曜の夕べはスコットの家で夕食の招待を受け,伝道を進める方法について話し合いました。食事を終えてから,わたしたちはひざまずいて祈り,天の御父に導きを願い求めました。祈っている間に一人一人が平安を感じ,決意が固まりました。祈りを終えると,御業を前進させる最も良い方法は会員たちの信頼を得ることだという結論に達しました。そこで,アンモンの模範に従って,会員たちに仕えることに決めました。
まずはビショップに働きかけることにしました。しばらくバプテスマがありませんでしたし,以前の宣教師たちが力を尽くさなかったので,わたしたちが話をしたいと言っても,当然ですが,ビショップはあまり乗り気ではありませんでした。しかし,そのうちわたしたちを夕食に招待してくれました。ビショップは居間のカーペットをはがして,木の床を修繕するために準備をしているところでした。手伝いを申し出たところ,受け入れてくれました。作業が終わるころ,ビショップはわたしたちに聖餐会で話をするように言ってくれました。ビショップがわたしたちを信頼し始めている証拠だと感じました。
ほかの会員たちにも,このような方法で奉仕をしました。様々な方法でささやかな助けをする機会に恵まれました。会員と会っていないときは戸別訪問をして,できるだけ多くの人々に回復された福音について話しました。祝福されて,教える人々を見つけることができました。ワードの会員たちは,わたしたちが自分たちで見つけた人々を教会へ連れて来るのを目にしました。ワード全体の雰囲気が変わり始めました。伝道活動にどんどん活気が出てきました。いったん会員の信頼が得られたら,伝道活動は急速に進展し,多くの人がバプテスマを受けました。
多くの教会員は伝道活動を行うことに恐れを感じています。何から始め,何を話したらよいか不安を感じているのです。福音を分かち合うことによって親しい友人を失くすのではないかと考えています。会員たちを助ける方法はたくさんあります。例えば,回復のメッセージをはじめとするレッスンの教義を会員に教えて,彼らが信仰を築くのを助けることができます。会員が御霊を感じ,宣教師のメッセージの力を感じられるように助けてください。キリストの教義に対する会員の理解を補強すること,これこそが,会員から強い信頼を得る最も効果的な方法です。 またそれは,会員に伝道活動のすばらしさを味わってもらう最も効果的な方法でもあります。回復された福音を伝える機会は,家族や友人を愛し,仕えようと関係を築く中で,より自然な形で訪れます。このことを会員たちが理解できるように助けましょう。「善い働きをしながら巡回する」の項にある原則を会員に教えてください(1章参照)。「神を知らない者たちの幸いのためにともに断食し,熱烈に祈る」ように会員を励ましてください(アルマ6:6)。会員に働きかけるときはいつでも,彼らの信仰を増し加え,堅固なものとする努力をし,彼らが伝道活動に携われるように助けましょう。
活発な会員と力を合わせること以外に,パートメンバーの家族,長老見込み会員,戻りつつある会員,新会員を通して教える人々を見いだすよう努力します。友人の多くがほかの宗教を信じているという会員たちもいます。 家族や友達に回復された福音を分かち合うことで,彼らに祝福がもたらされるでしょう。
会員を訪ねる際はいつでも,彼らが以下の事柄を行えるようあらゆる方法を尽くして励ましてください。
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祈り,御霊に従う。
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奉仕する。
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友情を育む。
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口を開いて,回復された福音を分かち合う。
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キリストを信じる信仰を強めるのに役立つことを行うよう人々を招く。
会員から受けるリフェローは,すべて大切に扱ってください。会員が友人の名前を渡して電話か訪問をするよう頼んできたら,すぐに対応して,結果をその会員に報告します。教える際には,力を貸してくれるよう会員を誘いましょう。
会員,宣教師,教会本部からのリフェロー
リフェローは,回復されたイエス・キリストの福音を学ぶ備えのできた人々を見いだすうえで重要なリソースの一つです。リフェローは会員やほかの宣教師,教会本部などから寄せられます。教会は様々な方法を用い,神の子供たちに積極的に手を差し伸べています。メディア広告,訪問者センター,史跡地,福祉および人道支援,インターネットといった取り組みが挙げられます。
リフェローを受けたら,リフェローを寄せてくれた会員または宣教師とコンタクトを取り,どのようにその人を助けられるか尋ねます。リフェローを送った会員または宣教師を誘い(伝道部会長の承認の下),利用可能なテクノロジーを介して,リフェローされた人を教える場に参加してもらうこともできます。
福音をさらに学ぶことに関心を示しながらも,あなたが割り当てを受けているエリア外に住んでいる人に出会ったら,その人に福音を紹介し,彼らの居住地で会員および宣教師に会う準備ができるよう助けます。リフェローを送った後は,リフェローを受け取った宣教師たちと連携し,レッスンを始められるように助けましょう。伝道部会長の承認の下,あなた自身がリフェローした人々を引き続きサポートおよびフェローシップし,福音を受け入れられるように助けることも可能です。
そのほか,知人に福音を分かち合えるよう会員たちを助けることもできます。宣教師に会うよう友人を備え,招こうとしている会員たちについては,リフェローを送り,宣教師と連絡を取り,教える場面に参加する方法を伝えます。レッスンの同席により,自分のリフェローした人が前向きな経験を得られるよう助けることになります。
教会のメディアキャンペーンに反応を示した多くの人々は,教会の代表者による訪問を受け,福音についてさらに話を聞くことを承諾しています。あなたはこのようにして得られた教える機会を,神聖な責任と捉えるべきです。
時には,リフェローとして紹介された人をきっかけにして,神が備えておられるほかの人々に出会えることがあります。紹介された人々にコンタクトした結果,相手が関心を示さなければ,興味のありそうな人を知っているかどうか尋ねます。また,その家のほかの家族や近所の人々にも話をしてください。あなたのメッセージに関心を抱きそうな人に心当たりがあるか,一人一人に尋ねましょう。あなたがその人に導かれたのは,その人の家族,あるいは隣人に福音を聞く備えができているからかもしれません。
リフェローに対応する際には,以下の事項を記憶にとどめてください。
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リフェローされた人を助ける最善の方法が分かるように,リフェローを送った会員または宣教師と連絡を取ります。リフェローを送った会員または宣教師は(伝道部会長の承認の下),リフェローを受けたあなたの相談に乗る,あるいはテクノロジーを介したレッスンの場に参加することができます。
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リフェローされた個人に初めてコンタクトする際は,電話,携帯メール,電子メールその他の手段により,迅速に応じることを心がけます。できるだけ早く,訪問の予定を組みましょう。相手から反応がなければ,伝言を残し,時間を空けて再度連絡してみます。
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直接,またはテクノロジーを介して会う時間を決めます。
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請求された資料があれば,それを渡します。
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相手の直面している困難や必要,関心を明らかにしたら,福音のどのような側面がそうしたニーズにこたえてくれるかを見極めます。
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宣教師のレッスンから,福音の真理を分かち合います。
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相手がキリストを信じる信仰を築くのに役立つような事柄を勧めてください。
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他の人々を紹介してくれるよう依頼します。
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次回訪問する予定を決めてください。
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相手との約束が取りやめになった場合,周辺地域で働きます。その区域で近隣の人々と話をする際,リフェローされた個人の名前や,その人との約束については言及しないでください。
家族歴史と神殿の儀式
家族歴史すなわち系図は,教える人々を見つけるもう一つの手段となります。家族歴史は現在,世界で最も広く行われている趣味の一つです。わたしたちは時に,エリヤの霊について話します。「聖霊のこの独特の影響力は,先祖と,過去と現在の家族を確認し,記録し,彼らを大切にするよう人々に促しています。」(デビッド・A・ベドナー「子孫の心は向かうであろう」『リアホナ』 2011年11月号,25。ラッセル・M・ネルソン「新たな収穫の時」『聖徒の道』1998年7月号,38も参照)世界中において,御霊は何百万もの人々に影響を与え,先祖の探求を促しています。家族について話すとき,人々は御霊を感じられることが多いものです。親戚とのつながりを強めたいと考えている人はたくさんいます。そのような人々は,神の家族の一員としてのつながりや,存在意義を見いだしたいと望むようになる可能性があります。自分の儀式が行われることを切に願っている先祖たちは,地上にいる子孫たちがあなたの教えを受け入れ,神殿で身代わりの儀式を執行してくれるよう祈っているのです。
あなたのエリアにどのような家族歴史資料施設があるか調べてください。例として,『わたしの家族』の小冊子を渡す,教えている人々を神殿・家族歴史相談員に紹介する,あるいはFamilySearch.orgについて学ぶのを助けてくれるほかの会員に紹介する,といった助けができます。会員に携わってもらうことで,教えている人々が会員と親しくなる機会ももたらされることでしょう。FamilySearch.org上のサービスは無料で提供されていることを説明しておきます。
多くの人々にとって,家族歴史とは,家族にまつわる話や写真を見つけ,保存すること,また生涯で重要な出来事のあった日付を記録することです。こうした情報をFamilySearch.orgまたは小冊子『わたしの家族』に記録できるよう,教えている人々を助けることができます。適切な場合,出会う人々や教える人々に,あなた自身の家族にまつわる話や写真を分かち合ってもよいでしょう。
愛する人々の思い出を分かち合うよう招かれる中で,人々は神の計画における家族の大切さについて,聖霊が証してくださるのを感じるはずです。こうした機会により,人生の目的,神の幸福の計画,その計画における救い主の役割といった話題へと,会話が自然に移っていく可能性が高まるのです。
まず,以下を実行することについて深く考えてください。
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毎日,出会う人々に家族歴史の手伝いを申し出たいと思っていることについて,ビショップおよびワード評議会と話し合う。
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この取り組みを調整する最善の方法について,ワードの指導者と話し合う。
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ワードの会員から家族歴史に関する助けが得られると,あなたが出会う人に申し出ることについて,ビショップは快く思っているでしょうか。
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どの会員が神殿・家族歴史相談員として奉仕しているでしょうか。
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こうした会員に助けを求めるうえで,最善の方法は何でしょうか。
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エリア内に家族歴史センターがある場合,そこで奉仕している会員たちを把握し,伝道活動においてセンターを活用する最善の方法を学ぶ。
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FamilySearch.orgでアカウントを作っておき,自分自身の家族歴史についてよく理解しておくようにする。
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人々が家族歴史を始められるように助けを申し出る。彼らが自分の家族歴史についてさらに学んだり,家族にまつわる話や思い出を記録したり,FamilySearch.org上にある無料のリソースを活用して情報や写真を整理したりできるように助ける。
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小冊子『わたしの家族』,あなたの家族写真,またはFamilySearch.orgといったリソースを活用して,教える人々を見いだす。
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可能であれば,公共の場で家族歴史のクラスを教えるか,一対一で相談に乗る。
あるシニア宣教師が語った以下の物語を読んでください。この夫婦の改宗において,家族歴史が果たした役割に注目してください。
ミルドレッド・シュルツは,自分の教会を固く信じていました。宣教師が家のドアをノックすると,すぐに招き入れ,彼女が信じていた「真理」を教えようとしたのも当然のことでした。宣教師の教えを聞いた彼女は,回復された福音の真理に心を動かされ,バプテスマを受けました。妻へのレッスンがどんどん先に進んでいく間,夫のフランクは参加しようとしませんでした。
ここでわたしの出番が来ました。長老たちはわたしたちにシュルツ姉妹を紹介してくれました。わたしたちは彼女が家系図作りを始められるように助けました。 そして,家族歴史センターで会いましょうと誘いました。約束した日になりました。フランクが自分も先祖を調べについて行っても構わないかと尋ねました。もちろん,彼女は期待に胸を膨らませました。そうして,二人そろってセンターへ向かったのです。
長老たちはその日の午後,わたしたちに合流する計画でした。長老たちが来る前に,わたしたちはフランクとミルドレッドを図書室に案内し,ライト姉妹を紹介しました。ライト姉妹は家族歴史スペシャリストで,フランクの父親に関する情報を見つける手伝いを申し出ました。ライト姉妹は資料の中から父親の名前を見つけ,さらに父親の出生地を示すドイツの地図を出してくれました。こうした発見に胸を躍らせたフランクは,長老たちがやって来ると彼らを夕食に招き,写真を見せ,自分の家族歴史を紹介したいと言いました。エリヤの霊は彼の心に触れ,和らげ,生活を福音で満たすための扉を開いたのでした。
その日の晩,ミルドレッドはフランクにどんな言葉をかけたら,もっと福音に興味を示すようになるだろうかと深く考えていました。一つの質問が心に浮かんできました。「フランク,この世の生涯が終わった後も,永遠にわたしと一緒にいたいと思っている?永遠の家族を持ちたい?」フランクはすぐに答えました。「おお,ミルドレッド,もちろんさ。どうすれば永遠の家族を持てるんだろう?」この質問こそ,彼女が祈り求めていた言葉でした。「宣教師のお話を聞くのよ。」フランクは承知しました。長老たちが教えると,回復のメッセージのぬくもりが彼の疑いと恐れを溶かしていきました。フランクは教えられた真理をすぐに受け入れました。そうしてバプテスマの勧めを受け入れました。フランクとミルドレッドはそれ以来,ずっと信仰深く活発な会員です。
フランクとミルドレッドは,家族に救いの儀式を執行するうえで必要な作業を熱心に行いました。二人が家族の身代わりとしてバプテスマを受けた日は感動的でした。神殿の儀式を終えようとしていたときのことです。シュルツ兄弟は父親の夢を見ました。その中で,父親はフランクが子供のころに暮らしていた牧場にいました。父親は白い服を着て,玄関先の揺り椅子の横に立ち,フランクに両手を差し出していました。フランクは泣きながら目を覚ましました。フランクはそのとき,自分たちが行った儀式を父親が受け入れていると知ったのでした。
家族歴史は,回復された福音を受け入れるよう主が備えておられる人々を見つける強力な手段です。ファインディングに取り組む際に,家族歴史を生かす機会に気づくことができるよう祈ってください。人は家族について話すとき,霊的な気持ちになるものです。家族歴史活動の根拠となる教義を学ぶときにも,人々は御霊を感じます。それに加えて,新会員が皆,家族のルーツを探求し,先祖のために身代わりの神聖な儀式を行うことができるならば,改宗者の定着率は高まります。
以前にレッスンを受けていた人
教える人々を見いだすうえで,以前にレッスンを受けていた人々は貴重な源となります。人々が宣教師に会うのをやめてしまう理由は様々です。宣教師が転勤する,人々が長期休暇で不在になる,人々は訪問を望んでいるにもかかわらず宣教師が訪問を中止する,人々が宣教師の教えに新しいものを感じない,といった原因が挙げられます。以前にレッスンを受けていた人の多くは,もう一度宣教師と話したいと言います。
「エリアブック」にしばしば目を通して,以前にレッスンを受けていた人々を把握してください。「エリアブック」にある情報について,祈りの気持ちで深く考えます。彼らは最初,どのようにして教会と出会ったのか,何についてレッスンを受けたのか,どのような反応を示したのか,なぜレッスンを受けるのをやめたのか,といった記録に注目します。もし,こうした人々のレッスンやフェローシップに携わっていた会員が見つかれば,その会員に当時の様子を尋ねます。こうした情報を基にして,再び人々にコンタクトする計画を立てます。
あなたの教えている人が福音を学ぶことをやめる選択をした場合,将来コンタクトを取る宣教師にとって有益な情報を「エリアブック」に記録しておいてください。
以下の経験を読んで,以前レッスンを受けていた人々にコンタクトを取ることの大切さを考えてください。
驚いたことに,わたしが召されたのは,1年前に姉が働いていた伝道部でした。伝道部に着任してから数か月後,姉が働いていたことのあるエリアに配属されました。わたしの転勤を知った姉は,手紙を書き送ってくると,同僚とともに教えたある家族を訪問するよう頼んできました。ノーマン家族に愛と親しみを感じたこと,また彼らが教会について学ぶのをやめてしまったときに味わった失望について書かれていました。
同僚とともにノーマン家を探して訪れたところ,温かい歓迎を受けました。回復された福音をもう一度聞いてほしいという勧めを受け入れてくれました。以前とどのような違いがあったのかは分かりませんが,彼らはメッセージを受け入れる備えが完全に整っていました。そして,家族全員がバプテスマと確認の儀式を受けました。
この経験をしてから,わたしは姉が働きかけたほかの〔人々〕にも関心を持ちました。「ノーマン家で成功したのだから,姉が教えたほかの人々への働きかけもうまくいくかもしれない」と思いました。そこで,姉が教えたほかの人々にも接触を図りたいと思っていることを手紙に書きました。姉は当時の日記を調べて,エリア内に住むほかの〔人々〕の名前を送ってくれました。
同僚とともに,翌週その人々に連絡を取りました。うれしいことに,約半数の人々がもう一度回復された福音について聞くことを承知してくれました。その中の数人がバプテスマと確認の儀式を受けました。こうした〔人々〕と会う際には,わたしたちのメッセージに関心を持つかもしれない友人や知人を紹介してくれるよう頼みました。これによって,さらに教える人々を得ることができました。わたしの伝道期間中,最も忙しかったのはこの時期でした。
自分の努力によってファインディングを行う
回復のメッセージを受け入れられるよう,神が御自分の子供たちを備えておられるという信仰を強めるよう努力してください。聖霊の導きの下で,教える人を見つけるために全力を尽くすとき,主はあなたを受け入れる人々をあなたの行く手に置かれるでしょう。
回復された福音に対して備えのできた人々を見つけるうえで,ふさわしい方法はたくさんあります。準備されている人々の行く手に導かれるために,できるかぎりのことを行う必要があります。自分の努力によって教える人々を見つける以下のアイデアは,宣教師たちが実際に試して有効であることが分かっています。リストに目を通して,まだ試したことのないアイデアを実行する計画を立ててください。このリストは,教える人々を見つけるのに適したその他の方法を考えるきっかけとして活用することもできます。
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子供が生まれたばかりの家族や引っ越して来たばかりの家族,身内に不幸があった家族について知り,接触を図るために,ビショップやワード評議会と協力して働く。
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簡単な奉仕を行う機会を探す。
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活発会員,戻りつつある会員,最近の改宗者,パートメンバーの家族など,会員たちに回復のメッセージを教える。あなたがレッスンを教えることのできる人々を紹介してもらうようにする。
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会員が友人を誘えるような,会員によるディボーショナルを手配する。この機会を利用して福音を教え,リフェローを求める。
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家族で過ごす夕べを開く方法を教えることを申し出る。
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出会う人々に,地元の集会所を案内することを申し出る。
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ビショップとの面会を手配することを申し出る。
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教会により承認されたウェブサイトおよびオンラインリソースにアクセスするよう人々を招く。
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聖文研究クラスを提供する。
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第2言語として英語を教える。
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該当する年齢の人々にセミナリーやインスティテュートへの出席を勧める。
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戸別訪問または街頭伝道をする。
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心を高めてくれるメディアを含め,教会により承認された印刷版およびデジタル版リソースを活用する。
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現在教えている人々,以前にレッスンを受けていた人々,戻りつつある会員,パートメンバーの家族,長老見込み会員,出会うすべての人々にリフェローを求める。
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教会の集会,活動,オープンハウスに人々を招待する。
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バプテスマ会に人々を招待する。これは教会を紹介する絶好の機会であり,人々に御霊の影響力を感じてもらう良い機会ともなる。
努力は決して無駄にならない
回復された福音を学ばないことを選ぶ人々がいても,あなたの働きが無駄になるわけではありません。できるかぎり多くの人々に奉仕し,教えようと絶えず努力することです。神はそのようにして,いつか主の僕を受け入れるよう御自分の子供たちを備えておられるのです。神はしばしば,あなたを通して人々に手を差し伸べられます。たとえ人々が福音を学ぶ機会を受け入れなくても,あなたの奉仕と言葉は,神が彼らを愛しておられることの証であり,将来の宣教師や教会員が刈り取るためにまく種となるのです。
福音が受け入れられなくても,やる気をなくしてはなりません。あなたは警告の声を上げました。人々に明確な選択の機会を与えました。キリストの弟子は人々が悔い改めを決意しないときに悲しみを覚えますが,自分が何者であって,何を行っているかについて見失うことはありません。キリストの弟子は,熱心に前進し続けるのです。
研究と応用のためのアイデア
個人学習
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一人の宣教師が両親にあてた以下の手紙を読んでください。「バスの中ですばらしい女性に教えました。ディストリクト〔評議会〕の帰り道,わたしは唯一空いていた席に座って,手紙を読み始めました。もちろん,赤ちゃんのエバンの写真が入っていたお父さんとお母さんからの手紙を最初に読みました。隣に座っていた人が写真に見入っているのに気がつきました。 横を向くと,年配の婦人と目が合いました。彼女は少しほほえむと,窓の外に視線を向けました。それから目を閉じました。眠ろうとしているようでした。わたしは『天のお父様,彼女とお話ししたいのです。どうか助けてください』と祈りました。1分ほど過ぎると,彼女は目を開けて,座り直しました。わたしはすぐに言いました。『かわいらしいと思いませんか。』赤ちゃんのエバンの写真を見せると,家族について話し始めました。子供たちについて尋ねると,彼女は涙ぐみ,娘から嫌われていて,かかわりたくないと言われていることを話してくれました。彼女は泣き,わたしも一緒に泣きました。わたしは救いの計画について話し,天のお父様は彼女を御存じであり,つらい経験も知っておられると言いました。わたしは泣きながら,娘さんはあなたを愛しているに違いないと言いました。なぜなら,わたし自身母から愛されている娘であり,母を愛しているからです。人は時に間違った選択をしてしまうこと,娘さんには選択の自由があることを説明しました。彼女は笑みを浮かべながら言いました。 『あなたがいなくてお母さんはきっと寂しいでしょうね。あなたが戻ったら,もう決して手放さないでしょうね。』彼女は話しかけてくれたことに感謝すると,住所を教えて,福音について話を聞くと言ってくれました。そしてバスを降りるときに,こう言いました。 『実はバスを間違えて乗ってしまったのだけど,降りなかったの。あなたが来るまでだれも隣に座らなかったのよ。……そしたら,こんなすばらしいことが起きたの。』神の計画は完全です。」
この話には,本章で採り上げているどの原則が含まれているでしょうか。章を復習し,この話から見つけた原則を学習帳に書き出します。その原則の中から,今日,どれを応用してみることができるでしょうか。
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ヨハネ15:12-13;21:15-17;1テサロニケ2章;モーサヤ18:8-10を読んでください。人々を愛し,人々に仕える責任を,あなたはどれほどよく果たしているでしょうか。どうすれば改善できるでしょうか。答えを学習帳に書いてください。
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人々はあなたが主の僕であることを,どのようにして理解するでしょうか。この質問について考えながら,モロナイ7:3-5;マタイ7:20;ヨハネ13:34-35を研究します。あなたの考えを学習帳に書いてください。
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3ニーファイ18:31-32;アルマ8:16;アルマ24:7-8;アルマ32:41を読んでください。以前にレッスンを受けていた人々に働きかけることについて,これらの聖句はどのようなことを教えているでしょうか。学んだことを学習帳に書き留めて,それを同僚に教えてください。
同僚との勉強会
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デイリープランナーを使って,最近の改宗者と会う計画を立てます。福音を受け入れるうえでどのように備えられていたかを,彼らに尋ねてください。次のような質問をします。「教会との最初の出会いはいつのことでしたか。」「どのようなことから,宣教師と話す決意をしましたか。」学んだことを学習帳に書き留めてください。
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以下の各話題を検討してください。レッスンを使いながら,ファインディングの簡単なアプローチを考えます。ファインディングの場面を設定して,教えながらそれぞれの話題を回復に結びつける練習をしてください。
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人生にさらなる方向性や目的が必要であると感じている。
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神に近づきたいと願っている。
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大切な決断を下すために助けを必要としている。
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FamilySearch.orgから,家族歴史に携わる方法に関するビデオを一つ視聴します。家族歴史活動についての簡潔なメッセージを準備して,同僚に分かち合ってください。
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同僚とともに新しいエリアへ赴任したと仮定します。「エリアブック」はきちんと記されているのですが,教える人が一人もいません。できるだけ早く,ティーチングプールに人々を加えるにはどうすればよいでしょうか。アイデアの幾つかを,今日実行する計画を立ててください。
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以下のアイデアは,多くの宣教師と会員が成果を挙げているものです。同僚とともに読んで検討してください。
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福音を分かち合うことのできる友人,親戚,知人のリストを会員たちに作ってもらう。会員とともにそのリストを検討し,福音を聞く備えができるようにと願う人を祈りの気持ちで選んでもらう。
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会員が次の(a)と(b)をいつまでに実行するか決めるのを助ける。(a)会員の選んだ個人や家族が,会員の家で福音を学ぶ備えができるように働きかける,(b)その個人や家族を備えるために,そのほかのフェローシッピング活動を行う。期日を決めることによって,会員たちは目標を持ち,信仰を行使することができる。
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会員が今からその期日までに行うことを計画するのを助ける。
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支援し,励ますために定期的にフォローアップを行う。うまくいっている事柄や心配している事柄を話してもらう。
あなたが働いているエリアでこの方法をどのように応用できるかを話し合います。
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ディストリクト評議会,ゾーン大会,および伝道部リーダーシップ評議会
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「自分の努力によってファインディングを行う」の項を読んで,話し合ってください。
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これらのアイデアが,宣教師たちが教える人々を見つけるのにどのように役立ってきたかについて話し合います。
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教える人々を見つけるほかのアイデアを黒板に書き出します。宣教師たちにアイデアを実演してもらいます。
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ファインディングの活動を改善するために,宣教師に個人の目標を立ててもらいます。
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ファインディングの状況のリストを作成します。
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各宣教師に一つの状況を割り当てます。その状況で回復のメッセージを教える方法を5分間で考えてもらいます。必要であれば,「イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ」のレッスンを参照させます。
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状況に合わせてメッセージの長さを調節することの大切さを強調してください。例えば,店の中で教えるよりも会員の家で教えるときの方が,宣教師はより多くの時間をかけてレッスンすることでしょう。
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時間の許すかぎり,できるだけ多くの宣教師に,指定された状況の中で回復のメッセージを教えさせてください。
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「見つけながら教え,教えながら見つける」の項で説明されている原則を教えてください。
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ファインディングの場面で分かち合える1分間のメッセージを準備するように,各宣教師に割り当てます。そのメッセージは,宣教師のレッスンにある教義に基づいたものでなければなりません。
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宣教師同士で,1分間でメッセージを伝える練習をさせます。会員の家で教える,玄関口で教える,道端で教える,リフェローとして紹介された人にコンタクトするなど,様々なファインディングの場面を設定するとよいでしょう。これら一つ一つの場面で,教える練習をさせます。
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伝道部会長夫妻と顧問
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あなたの家族の中で,会員伝道活動の模範を示してください。あなたが経験したことを宣教師や会員たちに紹介してください。
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あなたの伝道部において教える人々を見つける最善の方法について,神権指導者および補助組織指導者と評議してください。
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伝道部内で教えている人々に向けて話ができるような,宣教師のディボーショナルを計画してください。地元の神権指導者と調整し,友人を連れて来ることのできる会員も参加できるようにします。集会の中で,あなたの話の前に,最近改宗した人から証と改宗談を分かち合ってもらいます。あなたは回復のメッセージを中心に話してください。
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宣教師にあなたの家系図,家族写真,家族歴史にまつわる話を紹介して,ファインディングの取り組みにあってこれらのリソースを活用する方法を説明してください。
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時折,教える人々を見つける宣教師に同行し,彼らを助けてください。