「はじめに—『わたしの福音を宣べ伝えなさい』を最大限に活用するにはどうしたらよいでしょうか」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』vii-xii
「はじめに」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』vii-xii
はじめに—『わたしの福音を宣べ伝えなさい』を最大限に活用するにはどうしたらよいでしょうか
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』
イエス・キリストの弟子としてさらに深く献身し,宣教師として直面する必要に対応するうえで,『わたしの福音を宣べ伝えなさい』を活用してください。学習時間のすべてを費やして二つか三つの段落を研究することもできますし,一つの章全体を研究することもできます。書かれている順序に従って研究することもあるでしょうし,あなたの必要をもっと満たすように順序を変えることもあるでしょう。こうして柔軟に取り組めば,必要なときに必要な箇所を研究し,また伝道部会長の指示に従って研究することができます。
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』のすべての章は,あなたが宣教師として目的を達成するために準備するとき助けてくれます。けれども第3章を開くと,文章の違いに気づくことでしょう。ほとんどの章はあなたに向かって語りかけていますが,第3章は対象を一般の人々に広げています。あなたは第3章で教義を学び,それによって(a)福音に関する知識と証を強め,(b)人々に教え,彼らが決意して,聖約を交わし,それを貫くように準備させるのです。
ほかの章に記されている教義も,人々を教える際に助けとなるでしょう。例えば,第4章の「御霊を認識し,理解するにはどうしたらよいでしょうか」は,聖霊の力によって証を得る方法を人々に教えるうえで役立ちます。第5章「モルモン書の役割は何でしょうか」は,モルモン書を読むことに関して,だれかの懸念を解決する助けとなるでしょう。第2章の「効果的に研究し,教える準備をするにはどうしたらよいでしょうか」で説明されているアイデアは,新しい改宗者がモルモン書の研究からさらに多くのことを学ぶための助けとなります。
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』は,伝道活動において不可欠となる事項に焦点を絞っています。あなたが出遭う質問や状況のすべてに答えてはいません。あなたは御霊に従い,聖文を探求し,戒めを守り,学んだことを応用するときに,最大の効果をあげることができるのです。
伝道期間中はいつも,各章を研究してください。学んだことを応用し,自分の働きを評価してください。毎日自分を備え,改善しようと励んでいる宣教師は聖霊の導きを受けて,生活の中に祝福がもたらされることに気づくでしょう。
宣教師のレッスン
人々をバプテスマと確認の儀式に十分に備えさせるために,最善の方法でレッスンを教える柔軟性があなたにはあります。あなたの目的は,レッスンの内容を教えることにとどまりません。人々が福音の第一の原則,すなわちイエス・キリストを信じる信仰,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物を受けること,最後まで堪え忍ぶことによってキリストのもとへ来るよう助けることなのです。レッスンは通常,45分を超えることがないようにすべきです。相手の予定や宣教師側の時間的制約のために,教える訪問を早く切り上げればならないこともあるでしょう。そのような場合,教える内容を幾つかに分けて,短いレッスンを何度も行う必要があるかもしれません。
レッスンは様々な方法で教えることができます。どのレッスンを,いつ,どれだけの時間を取って教えるかは,教える相手の必要と御霊の導きに基づいて,最善の決定が下されます。レッスン全体を暗記してはなりません。
個人学習,同僚との勉強会,ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会
熟考し,御霊の促しに耳を傾けることを含め,伝道中に効果的な学習を行うならば,宣教師として目的を成し遂げ,イエス・キリストの福音に対する証を強めるうえで助けとなります。重要な学びの機会としては,個人学習,同僚との勉強会,ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会(指導者対象)が挙げられます。宣教師のスケジュールには,個人学習と同僚との勉強会のための時間がほぼ毎日組み込まれています。
個人学習で学ぶ事柄は,同僚との勉強会やディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会で「互いに王国の教義を教え合〔う〕」うえで役立ちます(教義と聖約88:77)。あなたが学習の機会を通して得る事柄は,霊的な力をもって教える助けとなるのです。
個人学習
個人学習の目的は,回復された福音について知識と証を強め,あなたが教える人々の必要を満たす準備をすることです。個人学習では標準聖典に加え,伝道部で承認された適切なリソースを集中的に学んでください。
以下のような方法によって,個人学習を効果的なものとすることができます。
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モルモン書とそのほかの聖典を読む。
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宣教師のレッスンで採り上げられている教義を研究する。
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『わたしの福音を宣べ伝えなさい』のほかの章を研究する。
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学んでいる事柄について深く考え,聖霊の促しに耳を傾ける。
同僚との勉強会
同僚との勉強会の目的は,(1)御霊によって教えるために同僚との一致を築き上げること,(2)教える人々の進歩に焦点を当てることです。以下のような方法によって,同僚との勉強会を効果的なものとすることができます。
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個人学習で深められた理解,とりわけ教えている人々にかかわりのある事柄を互いに分かち合う。
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特定のティーチング・アポイントメントや会員の訪問,ファインディングの機会,その他の活動のために準備する。教え,見つけ,いっそう効果的に働くために助けとなる資料を研究する。適切であれば,学んでいる事柄をロールプレイ形式で応用する練習をしてみる。働きかけている人々について話し合う。学んでいることを応用する計画を立てる。
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同僚との勉強会で採り上げた原則や目標,技術,計画についての話し合いを一日を通して行う。
新任宣教師の皆さんへ:追加の同僚学習
追加の同僚学習の目的は,新任の宣教師が宣教師訓練センターで学んだ事柄を土台に学びを積み重ねていけるよう,さらなる時間を取ることです。追加の学習を行う中で,聖文や『わたしの福音を宣べ伝えなさい』に見られる伝道活動の原則をよりよく理解し,応用できるようになるでしょう。
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伝道地に着いて最初の12週間は,同僚との勉強会を毎日約30-60分延長して行う。
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この追加の勉強会の間は,上記の「同僚との勉強会」セクションに挙げられているガイドラインに同じく従いつつ,下記にある『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の章またはセクションから重点的に学ぶ。教えている人々の必要に基づき,あなたとトレーナーは一致して毎日の学習および練習内容を決める。ある原則にどれほどの時間を費やすか(例として,数日もしくは数週間),下記に載っている「応用のためのアイデア」欄で提案されている活動をいつ,どのように応用するかについても計画する。「応用のためのアイデア」欄に記載のあらゆる場面において,自信をもって確実にリードできるようになるまで,各活動を繰り返す。
章およびセクション(情報ボックス含む)
応用のためのアイデア
第3章,レッスン3:イエス・キリストの福音
レッスンにおいて,新任の宣教師はイエス・キリストと主の福音について教える場面,相手に勧める場面でリードする。
第2章:効果的に研究し,教える準備をするにはどうしたらよいでしょうか
第10章:「レッスンを始める方法」「相手の必要を満たせるよう,教え方を調整する」「質問する」「耳を傾ける」の各セクション
教える場面において,新任の宣教師とトレーナーは交代でリードする役割を担う。レッスンを始める方法,相手の必要を満たせるように教えること,霊感に基づく質問をすること,耳を傾けること,聖霊の促しを求め,認識する方法を人々に教えること,こうした各原則を応用する。
モルモン書について人々に教える場面,モルモン書を読み,祈るよう人々を招き,助ける場面,フォローアップの訪問時に一緒にモルモン書を読む場面で,新任の宣教師がリードする。
新任の宣教師とトレーナーは,決意し,それを貫くよう人々を招く場面,フォローアップする場面,次の訪問までの間にコンタクトを取る場面において,交代でリードする役割を担う。
集会所の案内を含め,教会に出席するよう人々を招き,助ける場面で新任の宣教師がリードする。
毎日の計画会および週間計画会を開くに当たり,新任の宣教師とトレーナーは交代で司会を務める。ワード伝道主任にコンタクトを取る,伝道調整集会またはワード評議会の場で伝道活動に関する報告を行うことも含む。
新任の宣教師は,ファインディングの場面においてリードする。
新任の宣教師とトレーナーは交代で,新たに教える人々を見いだすために計画を立て,会員と協力して働く。
新任の宣教師とトレーナーは,少なくとも毎週5日にわたって言語学習を行う。言語学習に関する計画を立て,計画に従ううえで協力して取り組むに当たっては,第7章の原則を応用する。上記に挙げられているアイデアのすべてを,伝道地の言語で実践する能力を伸ばすことに焦点を当てる。
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宣教師ポータルに載っている追加の活動についても行うべきである。
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トレーナーが宣教師ポータル上にあるビデオを活用し,あなたに原則の実践例を示すうえで役立てる場合もある。
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あなたとトレーナーは,伝道部会長への毎週の手紙において,学び,応用している事柄を分かち合うべきである。
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あなたは最初の12週間が終わるまでに,求められた場合,別の宣教師を訓練できる状態を目指すべきである。
ディストリクト評議会
ディストリクト評議会の目的は,「互いに王国の教義を教え合〔う〕」ことです(教義と聖約88:77)。
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ディストリクト評議会は,毎週60-90分開かれる。
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ディストリクト評議会の計画および司会はディストリクトリーダーが務める。ほかの宣教師を招いて,教えるのを助けてもらうこともできる。
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ディストリクト評議会では以下のような内容が行われる:
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個人学習や同僚との勉強会で深められた理解を分かち合う。
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様々な状況を想定してレッスンの教え方を練習する。
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『わたしの福音を宣べ伝えなさい』で採り上げられている原則とスキルを説明し,実演し,練習する。
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人々の進歩と必要について話し合う。
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ディストリクトの抱えている課題について話し合い,取り組む。
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伝道活動で得た経験や証を分かち合う。
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会員と協力して働いた経験を分かち合う。
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ディストリクトリーダーはディストリクト評議会の場を活用し,ディストリクト内の宣教師の働きに関する報告を受けることができる。ディストリクトリーダーは,担当外の宣教師のために目標や割り当てを設定してはならない。
ゾーン大会および伝道部リーダーシップ評議会
ゾーン大会および伝道部リーダーシップ評議会は,伝道部会長の指示の下に開かれます。
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の特徴
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の各章には幾つかの特徴があります。それらを学習することによって,多くのものを得られるはずです。あなたの必要に基づいて,こうした特徴を柔軟に活用してください。
学習帳
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』では,しばしば,学習していることを理解し,明確にし,覚えるために学習帳を使うよう求められます。リチャード・G・スコット長老は次のように教えています。「しっかりと記録された知識は必要なときに活用できます。扱いに注意を要する霊的な情報は,それを大切にしていることを主に理解していただけるよう神聖な場所に保管しておかなければなりません。このように記録する習慣を身に付けるならば,あなたはさらに光を受けるようになるでしょう。」(「霊的な知識を得る」『聖徒の道』1994年1月号,99参照)霊的な経験を思い起こし,新たに理解したことを確かめ,自分の成長を知るために,定期的に学習帳を振り返ってみましょう。
学習帳としてあなたは市販の日記帳やノート,あるいはルーズリーフバインダーを使うかもしれません。自分の学習方法に合ったやり方で考えや印象を記録し,整理してください。将来,大切な情報を簡単に見つけられるように,自分なりのシステムを考えましょう。学んだ事柄を思い返し,見つけ,応用するために頻繁に活用してください。個人学習や同僚との勉強会,ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会,また伝道部会長との面接で,メモを取ったり,感じたことを記録したりする際に学習帳を役立てるのです。
情報ボックス
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』に設けられている情報ボックスはあなたの学習を助けてくれます。あるボックスは要点を予習し,まとめるためのものです。またほかのボックスは,学習の中心となる事柄を明確にし,聖文から学び,学んだことを応用し,能力を高め,教える人々の必要を満たすために助けとなります。ほとんどの場合,これらのボックスは導入としての役割を果たすにすぎません。新しい学習活動を開発し,ほかの聖文を探すことによって,祈りの気持ちでボックスの活動を充実させてください。
「深く考えましょう」—ほとんどの章は「深く考えましょう」のボックスにある質問で始まります。これらの質問は章の要点に焦点を当てており,学習する際の大筋を教えてくれます。学習事項を整理し,理解し,深く考え,応用するに当たり,これらの質問を活用し,役立ててください。
「記憶にとどめましょう」—ほとんどの章は「記憶にとどめましょう」のボックスで終わります。これは章の中で最も大切な事柄をまとめたものです。章の研究を終えるときに,これらの項目を検討して,要点を理解しているかどうか確かめます。これらの要点を現在どれほど応用しているかを評価し,学んだことを続けて応用する計画を立ててください。
「聖文研究」—このボックスにはあなたの理解と証を築くための参照聖句が記されています。ほかにも聖句を調べて,参照聖句をさらに充実させてください。学んだことを深く理解し応用する助けとなる同様の質問をほかに考えて,自分に問いかけてください。
「活動」—ほとんどの章には個人学習と同僚との勉強会のための活動が用意されています。これらは学習効果と応用力を高めることをねらいとしています。伝道期間中,これらの活動を繰り返し行ってください。あなたの必要もあなたが教えている人々の必要も変化するため,活動を行う度に新しい理解を得ることができます。
「赤のボックス」—このボックスには,多くの教える場面において重要となる情報や提案が記されています。
物語
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』に記されている物語はすべて実話です。ほとんどの場合,登場人物の名前は変えられています。それぞれの物語では伝道活動に関連する幾つかの原則が説明されています。物語を読むときに,そこで説明されている原則を見つけてください。
研究と応用のためのアイデア
各章は,個人学習や同僚との勉強会,ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会で活用できるその他のアイデアで締めくくられています。学習活動が豊富に提案されているこの項では,資料を効果的に学習する例が示されています。想像力を発揮し,また霊感を求めながら,この部分を研究したり教えたりする度に新しい活動を作り出してください。伝道期間中に,これらの活動を何度か行ってください。
支部や地方部で働いている宣教師
多くの宣教師は支部や地方部で働いています。本書では「ワード」と「ステーク」を対象としていますが,同じ原則と方法が「支部」と「地方部」にも当てはまります。支部と地方部の指導者とともに働くときに何か調整が必要な場合は,伝道部会長があなたに指示を与えます。
教会員による本書の活用
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』は,教会の専任宣教師だけでなく,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員たちに向けて作成されたものです。このガイドで教えられている原則や教義は,主の王国を築こうと努めるすべての会員に当てはまるものです。本書をしばしば研究することにより,会員たちは福音の質問によりよく答えられるようになり,キリストの福音の教義を学び,教え,会員宣教師としての責任を果たし,専任宣教師との一致を深めることができるようになります。