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ローンを借りる?

役割を選んで次の会話を演じてみます。

カルロス:今日は大事な日なんだ。ビジネスローンを借りるんだよ。

ナオミ:ローンを借りるの?何のために?

カルロス:全部だよ。在庫用の部屋を大きくして,家でも新しいテレビや,いろんな物を買うんだ。すごく楽しみだよ!

ナオミ:あら,それは怖いわね。あなた先週ビジネスを始めたばかりじゃない。カルロス,ローンは借りない方がいいわよ。マリア,あなたのビジネスはどう?

マリア:うまく行ってるわ。卵は飛ぶように売れてるの。だいたい朝の9時までには売り切れてしまうわ。でもそのあとで卵を欲しがるお客さんがいても,売る卵がもうないのよ。

ナオミ:マリア,あなたには本当にもっとたくさんのにわとりが必要よ。もっとにわとりを買うローンの話はどうなってるの?もう借りられた?

マリア:まだなの。ローンを借りるのはちょっと怖いのよ。借りない方がいいのかもしれないわ。あなた今カルロスにローンは借りない方がいいって言ったじゃない。

カルロス:僕はローンを借りるつもりだよ。それで問題はすべて解決さ。

ナオミ:解決どころか,大きな問題の原因になるんじゃない?カルロス,あなたがすぐに借金を山積みにして,押しつぶされてしまうんじゃないかと心配なのよ。

でもマリア,あなたの場合,ローンが実際に役に立つかもしれないわ。

マリア:ローンが役に立つのか,それともローンに押しつぶされてしまうのかはどうすれば分かるの?

ナオミ:成功するビジネスオーナーは「4つの道理」を使って,ビジネスを成長させるためにローンを借りることが賢明かどうか判断するの。

マリア:4つの道理?

ナオミ:そうよ。正しい理由,正しい時期,正しい金額,そして正しい条件が揃った場合にだけ,ローンを借りるの。

カルロス:僕は4つの道理なんて気にしないよ。もう借りるって決めたんだ。

マリア:わたしは気になるわ。ビジネスは成長させたいけれど,借金の山はごめんだわ。その4つの道理についてもう少し詳しく教えてくれる?

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正しい理由?

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ナオミ:ローンを借りる理由はビジネスのためであって,個人的な理由であってはいけないわ。

カルロス:どうして両方はだめなの?新しいテレビを楽しんで,店を大きくするんだよ。

ナオミ:カルロスったら!マリア,聞いてちょうだい。ローンは,ビン詰めの牛乳みたいにすぐに売れるものや,卵を産むにわとりのように成果がすぐに出るものに使うべきなのよ。ローンの返済はすぐに始まることを忘れないでね。

マリア:わかったわ。卵を産むようになったにわとりを買えば,売ることができる卵をすぐに手に入れることができるということね。

ナオミ:そのとおり。ローンを借りるのではなくて,ビジネスから現金でにわとりを買うことは考えてみた?

マリア:ちょっと待って。ローンを借りるべきだって言わなかった?

ナオミ:現金の場合,今貯金して後で買うことになるからビジネスは少ししか成長しないけれど,リスクは少ないわ。ローンの場合は今買って後で払うことになるから,成長は早いけど,リスクは高いわね。

カルロス:そうそう。「後払い」っていいよね!

マリア:お客さんはもっと卵が欲しいっていつも言っているのよ。早くもっと売れるようになりたいわ。

ナオミ:ローンのリスクを抱える価値はある?うまくいかなくなる可能性を考えたことはある?

マリア:あまり!でも,にわとりが卵を産まなくなるかもしれないわね。にわとりが死んでしまうとか,盗まれるとか,お客さんが卵を買ってくれなくなることもあり得るわ。

ナオミ:どうしたらそういうリスクを減らせると思う?

マリア:そうね……。にわとりに質の良い餌をあげて,世話をきちんとすることはできるわ。盗まれないように鍵のかかる所に入れておくこともできる。

ナオミ:マリア,ローンを借りる正しい理由はある?

マリア:あると思うわ。

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正しい時期?

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ナオミ:マリア,ビジネスを始めてどれくらいになるの?

マリア:卵を売り始めてから8週間になるわね。とてもうまく行ってるの。

ナオミ:よかったわ!ビジネスを始めたばかりの人がローンを借りることがあるけど,それはとっても危険なことね。

カルロス:ちょっと,僕のこと言ってるの?僕は自分が何をしているかちゃんと分かっているよ。

ナオミ:マリア,あなたがビジネスを始めてから少したつけど,ローンを組むことはビジネスを成長させるための計画に入っていることなの?

カルロス:僕の場合は,店が大きいほど,もっと売れるっていう計画さ。

マリア:カルロス,それは計画とは言えないわよ。わたしはローンを借りて,もっとたくさんのにわとりを買って,1週間に売る卵の数を増やして,それでローンを完済する計画よ。

ナオミ:マリア,それは計画の良いスタートね。でも,にわとりと卵の具体的な数を知る必要があるわね。売る卵がもっと増えたらお客さんがもっと買ってくれるという自信はどれくらいあるの?

マリア:そうね,卵を全部買ってくれるとは思うけど,はっきりとは分からないわ。

ナオミ:それを先に調べるといいかもしれないわよ!

マリア:わかったわ。お客さんに聞いてみて,買ってくれる人のリストを作ってみるわ。少なくとも10人には聞いてみるつもり。

ナオミ:いい考えね。ローンを借りることにしたら,将来のお客さんのリストが,そのローンの使い道をあなたがちゃんと理解していることを貸し手に証明してくれるわ。

ナオミ:もう一つ聞いてもいい?新しいにわとりを買うためにローンを借りたら,そのローンを完済してもにわとりは卵を産み続けると思う?

マリア:もちろんよ。にわとりは少なくともあと2年は卵を産むでしょうし,6か月のローンを借りるつもりだから。

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正しい条件?

役割を選んで次の会話を演じてみます。

カルロス:聞いて!ローンを借りたよ!月々3の固定金利で1000。

ナオミ:ああ,カルロス。心配だわ。何件の貸し手と話したの?

カルロス:一件にきまってるじゃないか。僕は時間を無駄にしないからね。そのときの僕を君に見てもらいたかったよ。銀行に行って,「ローンが必要なんです,今すぐに!」って言ったら「はい,どうぞ」だって。僕を王様みたいに扱ってくれたよ。僕のことが好きなんだね。

ナオミ:ええ,そうでしょうとも。それ,あなたのローンの書類?見てもいいかしら?

カルロス:どうぞ。きっと感激するよ。すごく得したんだ。

ナオミ:カルロス,これってひどい条件じゃない。最初の手数料が200?支払いは週ごと?この条件ちゃんと見たの?

カルロス:何だって?そんなはずはないよ。そんなの覚えてないし。あーあ,ちゃんと見てなかったみたいだな。

ナオミ:マリア,あなたはどんな条件を見つけてきたの?

マリア:ええ,今のところ3件の貸し手に話を聞いてきたわ。自立グループの貸し手ワークシートを持ってきてくれてありがとう。いい質問をするためにとても役に立ったし,罰則,金利,料金や手数料の可能性について学んでおいて本当によかったわ。

2件の貸し手では固定金利だったけど,もう1件では低下金利だったの。

カルロス:何が違うの?

マリア:わたしも違いはよく分からないの。でも,金利が同じだった場合,固定金利よりも低下金利の方がいいってことだけは知ってるわ。

ナオミ:その通りよ,マリア。正しい条件が見つかり始めているみたいね。

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正しい金額?

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ナオミ:カルロス,だいじょうぶ?元気ないわね。

カルロス:ナオミの言うとおりだったよ。罰金が積み重なって,借金の山が降りかかってきたよ。

ナオミ:それは大変ね,カルロス。

カルロス:貸し手の人が来て,テレビを持っていってしまったよ。もう1度支払いが遅れたら,次はビジネスの備品や機材を持っていくって。

マリア:カルロス,あなたにはキャッシュフローが十分ないみたいね。

カルロス:キャッシュフロー?

ナオミ:ビジネスに出入りするお金のことよ。今,ローンの返済を賄うために十分なお金が入ってきていないのね。

カルロス:思ってたより売れなかったんだよ。支払いにも何度か遅れたし。罰金がどんどん増えてしまって,返済をするのがもっと大変になってるんだ。

ナオミ:カルロス,だからローンを借りる前に6か月分のキャッシュフロー計算書が必要なのよ。キャッシュフロー計算書を作ったことはある?

カルロス:ないよ。

ナオミ:キャッシュフロー計算書は,毎月ローンの返済をすることができるかどうかを理解するために役立つの。過去2か月の損益計算書はある?

カルロス:それもないよ。

マリア:わたしのを持ってくるわ。今作っているキャッシュフロー計算書もあるし。やり方を見せてあげる。

ナオミ:いいわね。わたしたちがキャッシュフロー計算書を作るのを手伝ってあげる。それで正しい金額を借りているかどうかが分かるわ。

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4つの道理チェックリスト

次の質問について考えてください。「はい」と答えられるものにはチェックマークを付けてください。

4つの道理

正しい理由?

  • ビジネスの生産性を上げる理由として(個人的なものではなく)ローンを借りている。

  • 自分のビジネスを拡大するには現金払いよりローンの方が良い。

  • ローンで購入するものはすぐに利益を生む。

  • 起こり得る問題をすべて理解している。

正しい時期?

  • 自分のビジネスをよく理解するために十分な期間ビジネスを運営している。

  • これはビジネスを成長させるための計画の一部である。

  • 売れるものが増えれば顧客が買ってくれる量も増えることを証明できる。

  • ビジネス用に何かを購入する場合(にわとりやトラックなど),それをローン期間よりも長く使うことができる。

正しい条件?

  • 良い貸し手を3-5件ほど挙げることができる。

  • ローンの実際のコストを理解している。

  • ローンの条件をすべて説明できる。

  • ある貸し手が他より優れている理由を説明できる。

正しい金額?

  • 6か月のキャッシュフロー計算書を作成した。

  • 返済をしながら利益を上げることができる。

  • 売上げが伸びなくても返済することができる。

ローン条件ワークシート

貸し手を訪問するときには,このローン条件ワークシートを持参します。

  • 貸し手には次の1-4の質問をします。

  • 自分には5-6の質問をします。

貸し手1

貸し手2

貸し手3

貸し手4

1.資格:ローンを組むためにあなた(貸し手)に提出または提示しなければならないものは何か。

2.返済の頻度:最初の支払い期限はいつか。どれくらいの頻度で返済する必要があるか。返済スケジュールのコピーをもらうことができるか。

3.罰金:期限までに支払わない場合の手数料や罰金はあるか。

4.直接費:100,1000,または10000(現地の通貨に応じて値を一つ選んで,貸し手に対して使用する)を借りた場合,ローン返済を終えたときに金利や手数料などすべてを含めていくら払うことになるのか。一つの資産(例えば,にわとり1羽)を買うのために足りる金額を借りた場合,ローンを借りることによって余分に払う金額はいくらか。先払い手数料はいくらか。返済はそれぞれいくらになるのか。金利は固定金利か低下金利か。

5.間接費:返済するためにかかる時間はどのくらいか。貸し手に赴いて返済支払いを行うためにはいくらかかるか。

6.ローンの真のコスト:直接費と間接費の合計はいくらか。(質問4と質問5を足す。)

6か月キャッシュフロー計算書

このキャッシュフローワークシートをビジネスノートに書き写してください。貸し手それぞれに対して1枚のワークシートを使い,今週あなたが学ぶローンの条件に対して支払いができるか調べます。

キャッシュフロー

貸し手の名前:

2か月前

先月

今月

来月

3ヵ月後

4ヵ月後

5ヵ月後

6ヵ月後

合計収入

固定費

 ローン返済額

変動出費

利益/損失の合計

開始時の現金

使用可能な現金

メモ

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