「第6課 教師用資料:キリストの贖いの力をさらによく理解するために象徴を用いる」『イエス・キリストとその永遠の福音 教師用資料』(2023年)
「第6課 教師用資料」『イエス・キリストとその永遠の福音 教師用資料』
第6課 教師用資料
キリストの贖いの力をさらによく理解するために象徴を用いる
聖文は,イエス・キリストとその福音についての象徴で満ちています。救い主は,生まれる前から,御自分が何者であり,なぜ御自分が必要なのかを民が理解できるように助けておられました。この課では,イエス・キリストと贖い主としての主の役割を信じる信仰を強める助けとなる,聖文にある象徴について学びます。
教えるための提案
主は御自分の贖いの力について証するために動物の犠牲を定められる
ハート(またはほかの一般的な象徴)の絵をホワイトボードに描くか,ハートの絵を見せます。ハートが象徴するものを生徒に挙げてもらいます。聖文では,イエス・キリストについて証するために象徴を用いていることを指摘します(2ニーファイ11:4参照)。生徒に,キリストについて教えている象徴の例を幾つか挙げてもらうとよいでしょう。
資料に載っているアダムとエバの絵の背景について短く説明するか,一人の生徒に要約してもらいます。生徒にモーセ5:4-8を読み返してもらい,この絵に描かれている象徴を見つけてもらいます。
この絵にある象徴について生徒の理解を深めるために,次の質問をするとよいでしょう:
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「小羊」,「祭壇」,「血を流す」という象徴を通して,イエス・キリストについてどのような重要な真理が教えられていたでしょうか。(準備資料のセクション1にあるジェフリー・R・ホランド長老の言葉を復習するとよいでしょう。生徒が次のような真理を見つけられるように助けます:小羊の初子の犠牲は,イエス・キリストの贖いの犠牲を象徴している。)
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今日では,救い主の贖罪を思い起こすために,どのような象徴を使っていますか。
注:動物の犠牲をささげる慣行に対して生徒が不快感を示す場合は,旧約聖書の人々の多くは牧畜社会に生きており,食用のために育てた動物を殺すことが一般的であったことを思い起こしてもらいます。主は人々の日常的な経験を基に,主の贖いの犠牲について力強い教えを説かれたことを指摘します。
聖文には,イエス・キリストの神聖な使命を証する多くの象徴が含まれている
注:このセクションでは,教え方のオプションが二つあります。どちらのオプションが生徒にとって最善かを決めてください。オプション1では,教師がクラスのディスカッションをリードします。
オプション1:過越の象徴
生徒の知識の度合いによっては,「過越」のきっかけとなった出来事を簡単に復習してから,出エジプト12:3-13を一緒に読むことが重要かもしれません。あるいは,ビデオ「過越」(3:07)を見てもよいでしょう。
過越の象徴の意味について話し合う機会を設けるために,生徒に少人数のグループに分かれてもらい,準備資料のセクション2にある「過越の象徴」の表にある「考えられる意味」の項をすべて埋めてもらうか,象徴の意味について話し合ってもらうとよいでしょう。あるいは,各グループにそれぞれ象徴を一つずつ割り当て,裏付けとなる聖句を読んでもらい,その象徴の意味として考えられることを記録してもらいます。その後,学んだことをクラスで分かち合ってもらうこともできます。
生徒に「過越」の象徴についての自分の考えを分かち合ってもらうときに,象徴の意味を自分の生活に応用する助けとなるフォローアップの質問をするとよいでしょう。フォローアップとして,以下のような質問をすることができます:
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この象徴は……についてどのようなことを教えていますか。
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この象徴の意味を,……にどのように当てはめることができるでしょうか。
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……を見たのはいつでしたか。
話し合いの後,過越の象徴から,救い主について学んだことや感じたこと,または救い主との関係について学んだことや感じたことを,生徒に記録してもらうとよいでしょう。また,自分が書いたことを進んで分かち合ってくれる生徒に分かち合ってもらってもよいでしょう。
教師用参照資料
過越の象徴
節 |
象徴 |
考えられる意味 |
裏付けとなる聖句* |
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節 | 象徴 それぞれの家が小羊を犠牲にささげた | 考えられる意味 イエス・キリストの贖いの力は,すべての人のためにある。 | 裏付けとなる聖句* |
節 | 象徴 傷のない雄の小羊 | 考えられる意味 救い主は神の小羊であり,完全で罪のない御方だった。 | 裏付けとなる聖句* |
節 | 象徴 それぞれの家の戸口の柱に血を塗った | 考えられる意味 聖約により,霊の死を克服するために,キリストの血の効力を及ぼすことができる。キリストの血はわたしたちを贖い,守る。 | 裏付けとなる聖句* |
節 | 象徴 種入れぬパン(パンが腐ったり,かびたりする原因となるイーストを使わないパン) | 考えられる意味 イエスは命のパンであられ,不純なところがない。 | 裏付けとなる聖句* |
節 | 象徴 苦菜 | 考えられる意味 わたしたちは堕落した世に住んでおり,罪の苦しみの影響を受けている。 | 裏付けとなる聖句* |
節 | 象徴 腰に帯を締め,靴を履き,手に杖を取り,急いで食べる | 考えられる意味 キリストの贖いの力は,遅滞なく適用されるべきである。 | 裏付けとなる聖句* |
オプション2:旧約聖書におけるキリストの象徴
生徒の一人に,準備資料のセクション3にあるブルース・R・マッコンキー長老の言葉を声に出して読んでもらいます。それから,以下の質問をします:
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イエス・キリストの象徴を探すことで,主を信じる信仰はどう強められましたか。あるいは,どう強めることができるでしょうか。
イエス・キリストについて証する比喩や予型,象徴を認識できるようになると,イエス・キリストについてさらによく学べることを証します。
準備資料のセクション3に挙げられている旧約聖書の4つの聖句を復習します。自分がいちばん話し合いたいと思っているのと同じ聖句について話し合いたいと思っているほかの生徒と,少人数のグループを組んでもらいます。その後,各グループに,自分たちが選んだ聖句を一緒に読んでもらい,セクション3にある「研究のための質問」について話し合ってもらいます。
有意義な話し合いができるよう十分な時間を取った後,数人の生徒に,少人数のグループでの話し合いの結果,イエス・キリストについて学んだことや感じたことを分かち合ってもらいます。
次回に向けて
次のクラスの前に,生徒にメッセージを送り,次の質問をするとよいでしょう:神の正義と神の愛と憐れみを両立させることは可能なのだろうかと考えたことはないでしょうか。第7課の準備資料を読む際,正義と憐れみと愛という神の特質の関係について考えてください。