第12課
教会の組織
目的 主のまことの教会の目的と組織について理解を深める。
イエス・キリストは教会の頭である
-
視覚資料12-a「イエス・キリスト」,12-b「預言者ジョセフ・スミス」,12-c「歴代大管長」を見せる。
十二使徒定員会のヘンリー・D・モイル長老が,西ドイツのハンブルクで開かれた地方部宣教師大会を管理したときのことです
「宣教師の一人が質問の中で,デビッド・O・マッケイ大管長が教会の頭であるということを口にしました。するとモイル長老は言葉をさえぎり,非常に力強い調子で,教会の頭はデビッド・O・マッケイではなく,イエス・キリストであると断言しました。ここで重要なのは,モイル長老がイエスは神の御子であり,今日も生きておられ,この教会の頭であられることを知っていたということです。」(ドナルド・Q・キャノン,“Who Is Jesus Christ?” New Era,1978年3月号,12)
-
モイル長老が救い主の立場をそのように強調したのはなぜだと思いますか。
イエス・キリストは,この地上で使命を果たされたときと同じように,今日も主の教会の頭であられます。「救い主は幕の彼方におられますが,あたかも肉体を持ってわたしたちの間におられるかのように,教会の諸事を統治し,導かれます。まさしく教会の頭として働かれるのです。」(ハイラム・M・スミス,ジェーン・M・ジョダール,The Doctrine and Covenants Commentary,1972年,113)
主は預言者を通して御心を示される
ハロルド・B・リー大管長は次のように語っています。
「イエス・キリストの福音の原則は神から与えられたものです。主からの啓示がないかぎり,だれも教会の原則と教義を変えることはできません。ただし,その時代に管理の責任を任された人々に霊感による導きが与えられた場合には,変更が加えられます。皆さんは,自分たちを管理する兄弟たちが一生懸命祈っていると確かに思うもしれませんが,自分の行うことが神から承認を受けたものであると,力の限りを尽くして確信するまで,わたしたちは行動には移れないものです。」(“God’s Kingdom–A Kingdom of Order,” Ensign,1971年1月号,10)
次の声明文は,預言者が主の承認を受けて行動した一例です。1978年6月9日,大管長会はこの声明を全世界に発表しました。
「主の業が地の至る所で進展しているのを目にするに当たり,わたしたちは,多くの国の人々が回復された福音のメッセージに応じ,ますます多くの人が教会に加わっていることを感謝してきました。このことからわたしたちは,教会のすべてのふさわしい会員に,福音のもたらす特権と祝福のすべてが授けられるように望む気持ちを抱くよう霊感を与えられました。
神の永遠の計画の中で,すべてのふさわしい兄弟がいつか神権を受けるようになるという約束が,わたしたちよりも前の預言者たち,教会の大管長たちにより与えられたことを知っていたわたしたちは,神権を差し止められていた人々の忠実さを目にして,これらの忠実な兄弟たちのために長い間,熱心に主に懇願しました。そして,わたしたちは神聖な導きを主に嘆願しながら,神殿の階上の部屋で何時間も過ごしました。
主はわたしたちの祈りを聞いてくださいました。そして,預言されて久しい約束の日が訪れたことを,主は啓示によって確認してくださったのです。すなわち,教会の忠実なふさわしい男性が皆,聖なる神権をその神の権能を行使する力とともに受けることができ,またそれからもたらされる,神殿の祝福を含むあらゆる祝福を愛する人々とともに享受することのできる日が訪れたのです。
したがって,教会のすべてのふさわしい男性会員は,人種や肌の色にかかわりなく,神権への聖任を受けることができます。神権指導者は,アロン神権でもメルキゼデク神権でも,神権への聖任に当たっては,すべての候補者と入念に面接するという方針に従って,候補者がふさわしさに関する既定の標準を満たしていることを確認するようにしてください。
主の権能を与えられた僕たちの声に聞き従い,福音のあらゆる祝福を受けようと自らを備える,全地の主の子らすべてに祝福をもたらすために,主は今やその御心を知らせてくださいました。このことを,わたしたちは厳粛に宣言します。」(公式の宣言二)
-
イエス・キリストは教会の頭であられますが,預言者の役割は何でしょうか。
預言者は神権の権能と神からの啓示により,教会の大管長として教会のもろもろの事柄に指示を与えます。教会員は,預言者が啓示により導かれるままに語る言葉に聞き従うように勧告されています。「あなたがたは忍耐と信仰を尽くして,あたかもわたし自身の口から出ているかのように,彼の言葉を受け入れなければならない。」(教義と聖約21:5)
ゴードン・B・ヒンクレー長老は,預言者の必要性を感じたフィリピンの青年デビッド・ラグマンについて次のように語っています。
「デビッド・ラグマンは少年のときに,ごみ箱の中にばらばらになりかけた古い『リーダーズダイジェスト』が捨ててあるのを見つけました。そこには,モルモンの民の物語に関する本の要約が載っていました。そして,ジョセフ・スミスのことが書いてあり,預言者と説明されていました。『預言者』という言葉は,少年の心に強く響きました。世の中にほんとうに預言者がいるのでしょうか。彼は知りたいと思いました。その雑誌はなくしましたが,生ける預言者がいるという話は,フィリピンが占領されていた暗く長い戦争と圧制の間も,彼の心を去ることがありませんでした。ついに戦争は終わり,合衆国政府はクラーク空軍基地を再開しました。デビッド・ラグマンは基地に就職し,彼を監督する空軍将校がモルモンであることを知りました。彼は将校に預言者を信じているかどうか聞きたかったのですが,こわくてできませんでした。しかしようやく……尋ねる勇気が出ました。
青年が『あなたはモルモンですか』と聞くと,『はい,そうです』という答えがすぐに返ってきました。真剣な質問が続きました。『あなたは預言者を信じていますか。あなたの教会には預言者がいるのですか。』
『はい,預言者がいます。生きた預言者です。わたしたちの教会を管理して,主の御心を教える人ですよ。』
デビッドは将校にさらに詳しく話してもらい,その教えによってバプテスマを受けました。彼はフィリピン人で最初に長老に聖任されました。」(「感謝を神にささげん」『聖徒の道』1974年4月号,182-83参照)
救い主がこの世におられたときに設立された教会は,使徒からのメッセージや手紙,訪問によって一致が保たれていました。それと同じように今日の教会も,神からの導きのもとに,預言者と使徒によって導かれ,統一が図られています。この中心となる導きと組織が,まことのイエス・キリスト教会のしるしなのです。
教会の組織
-
信仰箇条第6節を書いたポスターを見せ,声を出して読む。
-
エペソ4:11-14を読む。パウロは教会を組織する理由を3つ挙げています。それは何でしょうか。(1.聖徒たち,すなわち教会員をととのえる。2.奉仕のわざ,すなわち儀式を執行し,教会の仕事を行う。3.キリストのからだを建てる。キリストのからだとは教会員のことで,教会の組織を通して教化され,高められる人々のことである)
割り当てを与えておいた姉妹に,『福音の原則』第17章の中から「再び組織されたキリストの教会」について報告してもらう。
-
教義と聖約20章の前書きを読む。
-
報告の後で,ステークとワードの組織について話し合う。最初に次の質問をする。ステークとは何ですか。ステークはだれが管理しますか。ワードとは何ですか。ワードはだれが管理しますか。
次に挙げる教会のユニットについて話し合う。これらのユニットは教会が発展している地域に組織されている。
家族:
家族は教会の基本単位です。父親には家族を管理し,導く責任があります。父親のいない家庭では,母親がその責任を負います。父親(または母親)は主と教会の指導者に報告する責任があります(『家族ガイドブック』「はじめに」参照)。
-
視覚資料12-d「ある支部の集会」を見せる。
支部:
支部は特定の地域に住む教会員によって組織される単位です。支部が成長するにつれて,活発な神権者の数が増加していきます。支部はステーク会長会,伝道部長会または地方部長会によって組織され,管理されます。
-
支部は,ある地域に複数の教会員の家族または個人が住んでいる場合に組織されます(『支部ガイドブック』1参照)。
地方部:
地方部は伝道部の一部です。地域の中に十分な数の支部が組織され,地方部の集会を開くのに交通の便がよく,支部間の連絡にも問題のない場合,伝道部長会により地方部が組織されます。そして,地方部長会が召されて管理に当たります。地方部はステークになる前の単位です。
伝道部:
伝道部は教会の一単位であり,その管轄区域は通常,ステークと比較してかなり広範囲に及んでいます。大管長会は伝道部の区域を定め,管理者として伝道部長を召します。ただし伝道部の区域内にステークが組織されている所では,ステーク会長が管理します。伝道部はステークと同様,中央幹部に対して直接報告をする義務を負っています。伝道部の主要な職務は,専任宣教師に指示を与え,管轄内の地方部や支部,家族の教会活動を援助することです。
教会の各ユニットは,自分が所属するさらに大きなユニットに報告する義務を負っています。
神権定員会は,青少年および成人の男性の必要を満たし,神権の儀式や神権者の活動を計画準備するために組織されます。
扶助協会は,主が女性のために備えられた組織です。預言者ジョセフ・スミスは,この女性の組織がなければ,教会として完全な組織になり得ないと語っています。女性は扶助協会を通して,神権者の良き伴侶となり助け手となるのです。
支部やワードが組織されると,教会員の必要を満たすためにほかにも補助組織が組織されます。これには,子供を教えるための初等協会,12歳から18歳の青少年を対象にした若い男性と若い女性の組織,すべての年代層に福音の原則を教える日曜学校が含まれます。
-
各ユニットがその管轄ユニットの指示の下に活動を行うのはなぜですか。(正当な権威者に対して報告をする義務を負っているため。教会内の統一を維持するため。預言者の勧告に従うため)
-
教会が,これまで述べてきたようなユニットを組織する必要があるのはなぜですか。(全教会員に速やかに指示が及ぶようにするため。聖徒たちをととのえるため。教会員に奉仕を通して神の方法を学ぶ機会を与えるため)
教会組織の目的
-
教会が組織された目的は何ですか。
教会は,主が御心を明らかにされる組織であり,主の子供たちに救いに関する原則と儀式を授け,永遠の命を得るために必要な様々の機会を提供します。わたしたちは教会を通して,以下の事柄を行います。
1.救いの計画を学ぶ。
わたしたちは,集会や指導者を通して,完全な福音について学ぶ機会を得ます。また聖文学習の助けを受け,聖文の理解を深めることができます。わたしたちは福音の原則に従うように教えられ,永遠の命という祝福にどう備えたらよいか示されます。
2.救いに関する儀式を受け,執行する。
わたしたちは,神権すなわち神の御名によって行動する権能を受けた男性からバプテスマを受けて教会に入ります。そして神殿のエンダウメントや神殿結婚に備えるように指導を受けます。また死者のために神殿の儀式を執行するように奨励されています。
3.聖約を新たにする。
わたしたちは聖餐会において聖餐にあずかり,バプテスマのときに主と交わした聖約を新たにする機会があります。
4.才能や能力を伸ばす。
わたしたちは,教える責任や指導する責任が与えられます。このような責任は,わたしたちの才能や能力を伸ばすのに役立ちます。
5.互いに仕え合う。
教会の奉仕や福祉プログラムを通して,わたしたちは利己心を抑え,与える喜びを味わうことができます。ホームティーチングや家庭訪問により,家庭の中で互いに何を必要としているかを知る機会が与えられます。
6.愛と友情の中でともに成長する。
教会の奉仕や活動を通して互いに知り合い,悲しんでいるときには慰め合い,幸せなときには喜びを分かち合うことができます。こうして愛と友情の中で互いに成長することができるのです。
-
一人の生徒に,エペソ2:19を読んでもらう。
7.霊的,情緒的な必要を満たす。
-
水差しと一切れのパンを見せる。
ほとんどの人は,飢えや渇きがどのようなものか知っています。また,食物や水では満たすことのできない飢えや渇きを感じることもあります。
イエスが言われたのは,肉体の飢えや渇きのことではありません。主は,だれでも自身の霊を養う必要があると言っておられるのです。主の教えに聞き従おうとする人は,主の教える真理によって霊の糧を心ゆくまで味わうことができます。
七十人第一定員会のハートマン・レクター・ジュニア長老は,宣教師から教会について教えを受けて,ようやく自分自身の霊的な飢えが満たされるのを感じました。
「そのレッスンは,飢えと渇きに苦しむ人に飲食物を与えるようなものでした。わたしは長い間これらの答えを捜し求め,あちこち尋ね歩いてきました。そしてついに,それまで抱いていたすべての疑問を完全に解くことができたのです。わたしは,天父から偉大な憐れみを受けたので,喜びと感謝で天にも昇るような気持ちでした。」(ハートマン・レクター,コニー・レクター,No More Strangers,第4巻 1971–90年,1:9)
-
宣教師から回復された教会のメッセージを聞いたときの気持ちを姉妹たちに話してもらう。
ハワード・W・ハンター長老は,伝道活動における教会組織の発展について次のように要約しています。
「140年余りを経た現在,神権によって回復された福音が宣べ伝えられる間に,一つの奇跡が現実のものとなりました。神殿がこの大陸をはじめ世界の各地に建てられ,礼拝の家は多くの国々のここかしこに建設されています。……宣教師が多くの国で福音を宣べ伝えています。……世界各地にある小学校,高等学校,セミナリー,インスティテュート,大学では,25万人以上の学生が世の学問だけでなく,福音の永遠の真理も学んでいます。」(「霊のききん」『大会報告1970-72』382,1972年10月参照)
まとめ
イエス・キリストは,主の預言者に御心を明らかにすることにより,主の教会を導かれます。救い主は御自身のなすすべてのことにおいて,全人類の福利に関心を寄せておられます。神の子供一人一人が霊的,情緒的,知的,社会的,肉体的な面で必要を満たせるように,主は教会を組織されました。
チャレンジ
聖餐会をはじめとする教会の集会に積極的に参加し,指導者から与えられる責任を引き受けることによって,教会組織の祝福を受けられるように努める。教会の活動に積極的に参加するならば,教会の組織とその目的について理解と感謝を深め,人生の歩むべき方向を明確にすることができる。
教会の中央役員や地元の役員教師を支持し,助ける。
参照聖句
-
エペソ4章(互いに愛し合う聖徒)
-
教義と聖約20:1-4,37-79(末日の教会組織)
-
教義と聖約21:9(主のぶどう園で働くすべての人は祝福される)
-
教義と聖約133:57-61(主の業を行うために弱い者を備える福音)
教師の準備
レッスンの前に,以下の事柄を行う。
-
『福音の原則』第17章「現在のイエス・キリストの教会」を読む。
-
黒板とチョークを用意する。
-
信仰箇条第6節を書いたポスターを作成する。
-
教義と聖約20章の前書きを読む準備をしておく。
-
一人の姉妹に,『福音の原則』第17章から「再び組織されたキリストの教会」について報告する割り当てを与える。
-
水差しとパンを一切れ用意する。
-
生徒に本課の引用文と聖句の発表を割り当てる。