第20課
系図に関する責任
目的 系図に関する責任を果たす。
死者に対する責任
イエス・キリストの福音に改宗した人がまず心に描くことは,ほかの人々,特に親戚や親しい友人に福音を分かち合いたいという願いかもしれません。だれでも次のように考えることがあるでしょう。「この世を去った愛する人々は,どうなるのだろうか。どのようにして真実の教会に入れるのだろうか。どのようにして福音の儀式,特に神殿の儀式を受けることができるのだろうか。」
神の王国で天父とともに住むためには,生者も死者もバプテスマを受けて教会に入り,神殿でエンダウメントを受け,永遠の結婚を通して結び固められなければなりません(『末日聖徒の女性A』第10課「永遠の結婚」参照)。
わたしたちは,死者が神殿で自分のための儀式が執行されるのを待ちわびていることに思いをはせる必要があります。スペンサー・W・キンボール大管長は次のように語っています。
「わたしたちの中には,1分,1時間,1日,1週間,あるいは1年間,何かを待ちこがれた経験のある人がいることでしょう。皆さんは,わたしたちの先祖がどんな思いでいるか想像できるでしょうか。先祖は,数十年,数百年間,自分たちのために神殿の業が行われるのを心待ちにしているのです。……来世で彼らに会うとき,わたしたちが地上において忠実でなかったために,彼らにとって必要な儀式を行う機会を逸してしまったという事実を知るのは,どんなに恐ろしいことでしょうか。」(「永遠の事柄-危険を冒してはいないだろうか」『聖徒の道』1977年5月号,245参照)
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末日聖徒は死者に対して責任があります。
まず,4代(曾祖父母の代)までの死者がすべて救いの儀式を受けられるように,家族と協力して先祖を調べる義務があります。
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視覚資料20-a「4代系図表」を見せる。
次に,必要であればいつでも,神の子に救いの儀式を行う助けをする義務があります。
わたしたちには,「ほかの人々と協力して,世を去ったすべての人々に神殿の祝福をもたらすという主の御業に携わる」責任が課せられているのです(『あなたからあなたの先祖へ』53)。
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死者が救いの儀式を受けられるようにするために,わたしたちには何ができるでしょうか。
以下を黒板に列記する。
死者を助けるには
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家族の記録を集める
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4代の系図を調べる
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神殿の儀式を受けるために名前を提出する
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神殿で儀式を受ける
家族の系図を調べる
自分の手元にある記録を使って系図を調べることから始めます。死者の身元が証明できなければ,儀式を執行することはできません。死者の身元を証明する資料を集め,氏名,出生地,生年月日,両親の名前を調べてください。これらの作業は系図の探求と呼ばれています。わたしたちは4代にわたる系図を調べるように求められています。4代とは,視覚資料20-aにあるように,自分自身,両親,祖父母,曾祖父母の代を指します。
系図は自分自身の記録から始めます。家族の記録について調べるときに,家族に関する必要な情報をすべて書き留めておきます。
次に,記録が正確かどうか資料をよく確かめてから,その情報を系図表に記入します。
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視覚資料20-b「系図表」を見せる。
記載方法は以下のとおりです。
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氏名
姓を先に,次に名を書く。例:小川三郎
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日付
日付けは,年月日の順に書く。正確な日付けが記入されているかどうか再確認する。
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地名
地名は次の順序で書く。都道府県,市または郡,町,村
例:福島県南会津郡田島町
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資料の種類や出所
資料をどこから入手したか,資料の種類や出所を記載する。
例:(1)高松市役所戸籍謄本,(2)墓碑名
本課の終わりにある4代系図表(視覚資料20-c)を開けるように言う。テキストのない人には系図表を配る。全員に系図表の最初の欄に自分の氏名を正しく記入させる。残りは自宅で,分かるかぎり名前,日付け,地名を系図表に記入するように言う。
家族に関する情報は,家族の記録にも記入する必要があります。
本課の終わりにある家族の記録(視覚資料20-d)を開けるように言う。テキストのない人には家族の記録(視覚資料20-e)を配る。家族の記録の正しいつけ方について話し合う。
既婚者の姉妹には視覚資料20-eの妻の欄に,独身者には子供の欄の該当箇所にそれぞれ名前を書くように言う。この記録は自宅で完成させるようにチャレンジする。4代系図プログラムを行うには,家族の記録(視覚資料20-a)に記された一夫婦に付き1枚の割で独身者7枚,既婚者8枚の記録を完成させなければならないことを説明する。
手元の情報をすべて家族の記録に記入してしまったら,親戚の人などの手を借りて情報を収集します。ほかの人々と協力して資料を集めれば,作業はもっとたやすくなります。また,協力してくれた人々も,自分自身の家族や教会について関心を深めることでしょう。そのほかの資料の入手先としては,役所,図書館,教会,国の記録保管庫などがあります。
記録を調べる際,常に聖霊の導きを求める。
系図を探求するときに御霊の助けを必要とするのはなぜですか。(聖霊は,資料が正しいときに確認を与え,これまで入手できなかった資料の所在を教えてくださる)
信仰と祈りと断食をもって系図探求に励む人は,霊界で儀式の執行を待ち望んでいる人々から直接助けを受けることがよくあります。
ガートルード・トッド姉妹は,そのような経験をしたことのある一人です。彼女は何年もの間,夫の祖父であるアブラハム・トッドの家族について調べていました。祖父の両親の名前と,祖父が1850年に英国ノーフォークのフォーンセットで生まれたことだけは分かりましたが,家族についてそれ以外の情報は何も得られませんでした。
「ある朝,彼女はテーブルの上に手紙と記録をすべて集めました。それから,以前に何度も行ったように,いつものように断食をし,ひざまずいて主に助けを願い求めました。祈り終わって立ち上がると,ファイルのいちばん上の紙に古代英語で黒く印刷された『メソジスト』という言葉が目に留まり,心に驚きと喜びとを感じました。
そこで早速,英国フォーンセットのメソジスト教会の責任者に手紙を書きました。
間もなく返事がきて,同じ日に別にもう1通の手紙が届きました。それは年老いて退職した牧師からのもので,彼は教会の責任者から知らされたのです。その老人は,アブラハム・トッドの甥にほかなりませんでした。」
手紙や調査,探求を重ねることによって,必要な情報はすべて収集できました。この後,神殿でこの家族のために結び固めの儀式が執り行われました。「不思議なことに,『メソジスト』という言葉はやがて色あせて消えてしまいました。しかし完全に消えてしまう前に,フォーンセットで見つかった家族の記録の中のある『メソジスト』という文字と完全に一致することが確認されたのでした。」(ホイト・パーマー「待ち望んでいる先祖のために」『聖徒の道』1975年12月号,35-36参照)
わたしたちは熱心に系図の探求に励むとき,主から助けを受けて他の方法では得られない資料を見つけることができるでしょう。
自分の4代系図を調べ終わった人は,世を去った他の人々の名前を探し出す業を助けるように依頼されるかもしれません。教会は現在「膨大な記録を収集し,神殿の業に必要な名前を準備するために抄出プログラムを行っています。」(ジョージ・H・ファッジ「新しい系図プログラム」『聖徒の道』1978年12月号,40参照)
この新しいプログラムについて,キンボール大管長は次のように語っています。
「教会員は今や,地元の神権指導者によって管理されるこの人名抄出プログラムに参加し,2マイル行く精神で奉仕することができます。詳細については,地元の神権指導者に尋ねてください。」(「生命と救いに至るまことの道」『聖徒の道』1978年10月号,2参照)
神殿の儀式を執行する
死者の名前が確認できたら,次は神殿でバプテスマ,エンダウメント,結び固めの儀式が執行されるように手配してください。そのためには,死者の名前を神権指導者を通して系図サービスセンターに送ってもらうか,または送り先を尋ねて個人的に送付します。
8歳未満で死亡した子供の場合は,両親に結び固められますが,それ以外の神殿の儀式は行われません。したがって,神殿に名前を提出した死者が8歳以上で死亡したかどうかを知ることは大切です。神殿に参入する資格があれば,先祖やそのほかの死者のために神殿の儀式を受けることができます。すべての死者のために儀式を執行するのは,多くの人手を要する膨大な仕事です。わたしたちは,神殿に参入して死者のための業を助けられるように準備しなければなりません。自分自身の先祖のための務めを終えた人に与えられる主な責任は,その他の死者のために神殿で儀式を執行することです。
まとめ
主は,8歳以上でこの世を去ったすべての人がバプテスマ,エンダウメント,結び固めの儀式を受ける特権にあずかるように望んでおられます。そこで主は,生きている人がこれらの儀式を執行できるように方法を備えられました。わたしたちの責任は,家族の記録を作成し,系図を探求し,死者の名前を系図サービスセンターに提出し,可能であれば,神殿に参入して儀式を執行することです。
わたしたちはこれらをすべて行うときに,「主の聖なる神殿が完成するとき,わたしたちの死者の記録を載せた,そのまま受け入れるに値する書をそこにささげましょう」(教義と聖約128:24)という勧告に従ったことになるのです。
チャレンジ
以下の評価表を使って,自分の家族の系図探求の進度を評価する。
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個人と家族の記録類を集め,整理しましたか。
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覚えの書の作成に取りかかりましたか。
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先祖の名前を神殿の儀式のために提出しましたか。
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提出する資料が正確,完全であることを証明するために,資料の出所を記しましたか。
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4代にわたる先祖が神殿の祝福にあずかれるように,欠けている情報を入手するよう努力していますか。
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系図探求をしている親族と協力していますか。
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親族の所在を確かめて,その人がどのような情報を持っているか尋ねるようにしていますか。
参照聖句
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マラキ4:5-6(エリヤの務め)
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1コリント15:29(死者のためのバプテスマ)
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1ペテロ3:18-20(死者に福音を宣べ伝えるキリスト)
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1ペテロ4:6(福音が死者に宣べ伝えられる)
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教義と聖約124:26-39(死者のための儀式は主のために建てられた宮の中で行われる)
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教義と聖約128章(正確な記録記載と死者のためのバプテスマに関する指示)
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ジョセフ・スミス-歴史1:38-39(エリヤの使命)
教師の準備
レッスンの前に,以下の事柄を行う。
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『福音の原則』第40章「神殿活動と家族の歴史」を学ぶ。
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鉛筆を人数分用意する。
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黒板とチョークを用意する。
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本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。
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テキストのない人のために,本課で扱う系図用紙を用意する。