2022
神との聖約は永遠の栄光への力,守り,備えとなる
2022年5月


11:59

神との聖約は永遠の栄光への力,守り,備えとなる

聖約を交わしてそれを守ることを選ぶならば,さらなる幸せをこの世で味わい,後の世では輝かしい永遠の命を得ます。

姉妹の皆さん,全世界の姉妹が一堂に会せるとは,何という喜びでしょうか。神と聖約を交わして守っている女性であるわたしたちは,霊的なきずなで結ばれています。そのきずなのおかげで,わたしたちは現代の問題に立ち向かい,イエス・キリストの再臨に備えることができます。そして,それらの聖約を守ると,ほかの人々を救い主のもとに導く影響力のある女性になれるのです。

バプテスマを受けた人は,その忘れることのできない日に,イエス・キリストの御名を受け,イエスを常に覚え,その戒めを守って最後までイエスに仕えると聖約しました。これらのことを行えば,罪が赦され,聖霊を伴侶とすることができるようになると,天の御父は約束しておられます。この祝福を受けて,わたしたちは道を歩み始めます。その道を歩み,最後まで耐え忍ぶならば,天の御父と御子とともに日の栄えの王国に住むことができるようになります。バプテスマを受けたすべての人は,その特別な日に交わした聖約を守るならば,これらの特権を受けられると約束されています。

神殿でさらなる聖約を交わすと,個人の忠実さに応じてすばらしい約束を受けます。わたしたちは,神の戒めを守り,イエス・キリストの福音を実践し,道徳的に清くあり,自分の時間と才能を主にささげることを,厳粛に約束します。その報いとして,この世での祝福と,神のみもとに戻る機会を神は約束してくださいます。1その過程でわたしたちは,紛らわしくて否定的な意見があらゆるところから聞こえてくる中にあっても,真理と誤り,正しいことと間違っていることとを見分ける力を授かります。何と力強い贈り物でしょうか。

初めての神殿への備えをしていたとき,母と,経験を積んだ扶助協会の姉妹たちの助けを受けながら,儀式用の美しい衣装も含めて必要なものを選びました。しかし,いちばん大切な準備をしたのは,どんな衣装を着るのかすら知らなかったころのことです。ふさわしさを確認する面接が済むと,ビショップはわたしが交わすことになる聖約について説明してくれました。丁寧な説明のおかげで,それらの聖約を交わすことについて考え,準備する機会を得ることができました。

その日が来ると,わたしは感謝と平安な気持ちで参入することができました。わたしは交わした聖約の重要性をすべて理解できたわけでもなく,約束された祝福についてもほとんど分かりませんでしたが,その聖約によって自分が神に結ばれて,それを守ることでその祝福が自分に約束されたことは分かりました。その初めての経験以来,神と交わす聖約を守ると救い主の力に頼ることができ,それは避けることのできない試練のときに力となり,サタンの影響から守り,永遠の栄光に備えることができると,常に確信しています。

人生には面白いこともあれば胸が痛むような経験もあり,暗いことも輝かしいこともあります。どの経験も,御父の包み込むような愛を知り,救い主の恵みの賜物によって自分が変わることができることを理解するための糧になります。交わした聖約を守ることで,それが小さな判断の間違いであれ,大きな失敗であれ,わたしたちは経験から学びながら救い主の清めの力を受けることができます。贖い主は,もしわたしたちが頼るならば,失敗してもそこにおられ,受け止めてくださいます。

崖を降下する

皆さんは,断崖絶壁を背にして,高い崖の淵につま先で立ったことがありますか。ラペリング〔訳注:ロープを使った懸垂下降のこと〕では,強靭なロープのついた装備を着けているので何事もなく下りられるにもかかわらず,崖っぷちに立つと心臓がドキドキします。崖を蹴って後ろ向きに降下し,何もない空中に繰り出すには,支点が不動のものにしっかりと固定されているという信頼がなければなりません。また,下降する人のロープを少しずつ送り出していく人を信頼する必要もあります。下降はある程度装備でコントロールできますが,自分が落下しないように守ってくれるという信頼を,このパートナーに対して持たなければなりません。

ラぺリングの錨
崖を下降する若い女性

わたしは,若い女性のグループと一緒にラペリングをしたときのことを鮮明に覚えています。順番はわたしが最初でした。後ろ向きに崖を蹴って下降すると,制御無しに落下し始めたのです。ありがたいことに,ロープがストッパーになってくれたので落下は止まりました。ゴツゴツした岩肌を半分ほど下ったところで宙づりになりながら,わたしが岩まで落ちないようにしてくれている人か何かのために熱烈に祈りました。

後で分かったことですが,アンカーボルトがしっかりと固定されておらず,わたしが崖を蹴ったときわたしに装備したロープを持っていた人は突然引っ張られて仰向けに倒れ,崖の淵の方に引きずられたそうです。その人はどうにか足を岩に固定して踏ん張りました。彼はそのまま自分の体を固定してロープを操作し,大変な労力でわたしをゆっくりと下ろしてくれました。彼の様子はわたしからは見えなかったのですが,わたしを助けるために全力で働いてくれていることが分かりました。もう一人の友達が崖の下にいて,ロープが切れた場合にわたしを受け止める準備をしていました。そして,わたしが手の届く所まで来ると,ハーネスをつかんで地面まで下ろしてくれたのです。

イエス・キリストを自分の錨とし,完全なパートナーにしていれば,試練にあって必ずイエスの愛から力を受け,最終的には救っていただけます。M・ラッセル・バラード会長が教えているように,「神と御子,主イエス・キリストに対する信仰こそ,……錨です。社会的な混乱や邪悪が蔓延していると思われる今日の世界で,この錨はわたしたちをしっかりとつなぎ止めてくれるのです。わたしたちの信仰は,イエス・キリストとその生涯,贖い,そして……主の福音の回復に基を置〔かなければなりません〕。」2

逆境の岩に打ち砕かれないようにする霊的な装備とは,イエス・キリストについての証と,わたしたちが交わす聖約です。この支えに頼り,これを指針にして安全に進むことができます。協力的なパートナーである救い主は,わたしたちが御手の届かない所まで落ちることを許されません。わたしたちが苦しいときや悲しいときでさえ,そばにいて元気づけ,励ましてくださいます。主の力は,ほかの人の選択の結果による,しばしば深く傷つく衝撃から立ち直る助けとなります。しかし,わたしたちは皆,ハーネスを着けてロープがしっかりと結ばれているか確認しなければなりません。救い主に錨を下ろすことを選ばなければならず,聖約を交わして救い主と結びついていなければならないのです。3

その錨を強めるには,どうすればよいでしょうか。謙遜な心で祈り,聖文を研究し深く考え,悔い改めて敬虔な気持ちで聖餐を受け,戒めを守るよう努め,預言者の勧告に従います。そして,わたしたちが「より高く,より聖い」4方法で日々の仕事を果たすならば,救い主とさらにつながれると同時に,救い主のもとへ来るよう人を助けるようになります。

その「より高く,より聖い」方法とはどんな方法なのでしょうか。あらゆる交流の中で福音を実践する努力をします。心を込めてミニスタリングを行い,ささやかな奉仕で愛を示すことによって,困っている人に思いやりを示します。平安と力を必要としていながらも「見いだす場所を知らない」5人たちに福音の良きおとずれを知らせます。幕の両側で家族を結ぶために働きます。そして,主の宮で聖約を交わした人に対しては,ラッセル・М・ネルソン大管長が説明したように,「成人の神殿参入者は各々,……聖なる神権のガーメントを着用するものとされています。これは,……より高くより神聖な方法で毎日聖約の道を歩むこと〔を〕思い起こさせます。」6以上の行いはたまに気まぐれでやることではなく,日々の幸せと,永遠の喜びになくてはならないものです。

永遠に進歩するためには,神と交わした聖約を守ることほど大切なことはありません。神殿で交わした聖約が有効であれば,幕のかなたにいる愛する人たちと喜びの再会を果たすことができると信じてよいのです。現世を去った子供や親や伴侶は,皆さんが交わした聖約を守ることを心の底から望んでいます。それは皆さんと彼らを結ぶからです。神と交わした聖約をないがしろにしたり,軽視したりすると,この永遠のきずなが危うくなります。今こそ悔い改めて修復し,やり直す時です。

永遠の喜びという祝福と引き換えにその場限りの安楽を得たとしても,その幸せは空虚です。年齢に関係なく,絶対的な真理はこれです。「永遠に続く幸せを得る鍵は,イエス・キリストの福音を実践し,交わした聖約を守ることです。」わたしたちの預言者であるネルソン大管長はこう断言しています。「究極的な安全と唯一の永遠に続く幸せは,聖約と儀式により完成される回復されたイエス・キリストの福音という鉄の棒にしっかりとつかまることにあるのです。これを行うならば,神の力を受けるので,荒波を無事乗り越えることができます。」7

多くの人が荒波を経験しています。逆境の波にもてあそばれ,時にはその困難の中で滝のような涙を流して先が見えなくなり,人生の船をどの方向に進めたらよいか分からないことがあるかもしれません。岸にたどり着く力がないと思うかもしれません。自分が何者であるか,つまり自分は愛されている神の子であること,自分がなぜこの世にいるのか,そして神と愛する人たちと一緒に生きるという目標を覚えているならば,視界が開けて,正しい目標に照準を定めることができるようになります。嵐の真っただ中にいても,明るい光があって,道を照らしてくれます。「わたし​は​暗闇​の​中​に​輝いて​いる​光​で​ある」8と主は宣言されました。主の光に目を向け,聖約の高潔さを維持するならば安全が保証されています。

非常に様々な環境の中で交わした聖約を守る,あらゆる年齢の女性たちにお会いできるのは特権です。日々,人気のメディアではなく,主と主の預言者に指針を求めています。個人的な問題があっても,聖約を守らないように仕向けようとする世の中の有害な考え方にさらされても,聖約の道を断固として歩んでいます。「父が持っておられるすべて」9が約束されていると信じているのです。そして,年齢に関係なく,神と聖約を交わした女性はだれでも,主の光を掲げてほかの人々を導く能力があります。10皆さんが交わした聖約を守ることで,神は皆さんを神権の力で祝福し,交流するすべての人に深い影響を与えることができるようにしてくださいます。ネルソン大管長が宣言したとおり,皆さんは,かつての預言を成就する女性たちです。11

愛する姉妹の皆さん,ほかの何をさておいても,イエス・キリストに至る聖約の道を歩み続けてください。わたしたちは祝福されて,世界中に神殿のある地上に生まれてきました。すべてのふさわしい教会員は神殿の聖約を交わして,それを守ることができます。ヤングアダルトの皆さん,結婚や伝道までこの神聖な聖約を交わすのを待つ必要はありません。若い女性のころから準備して,神殿の聖約が与えてくれる守りと力を18歳になったらすぐに受けられるようにしましょう。そのときまでには備えができていて,神殿の聖約を尊びたいと感じるようになっているようにするのです。12すでに神殿の祝福を受けている人は,中傷されたり,気をそらされそうになったりしても,この永遠の真理から離れないでください。自分の交わした聖約の神聖な意味がさらによく理解できるように,信頼できる情報源から学び,尋ねてください。可能な限りよく神殿に足を運んで,御霊の声に耳を傾けてください。主の道を歩んでいるという心地よい安心感を覚え,ほかの人にも同じ道を歩んでもらえるようこれからも努めようという勇気が湧いてくるようになります。

天の御父と聖約を交わしてそれを守る力を救い主から頂くことを選ぶならば,今は想像もできないようなさらなる幸せをこの世で味わい,後の世では輝かしい永遠の命を得ることを証します。13イエス・キリストの御名により,アーメン。