2022
子供と青少年に自立を教える
2022年5月


10:11

子供と青少年に自立を教える

わたしたちは生涯にわたって自立し,子供と青少年に自立を教えることにより,救い主イエス・キリストと主の福音に従いましょう。

自立と,それを子供と青少年にどう教えるかについてお話しします。自立というと,成人向けの内容に思えるかもしれません。しかし,成人が最も効果的に自立の道に立てるのは,イエス・キリストの福音を学んで,その教義と原則を子供の時期から,そして青少年の時代にも,家庭で実践してきた場合であることを,わたしは知りました。

最高の模範は,実生活の中に見ることができます。ウィルフリード・バニーと彼の7人のきょうだい,そして母親は,コートジボワールのアビジャンで教会に入りました。彼が6歳のときです。彼自身がバプテスマを受けたのは8歳のときでした。一家の大黒柱であった父親は,彼が11歳のときに亡くなりました。

家庭でのつらい事情にもかかわらず,ウィルフリードは母親の励ましと教会の支援を得て,学業を続けました。高校を卒業すると,ガーナ・ケープコースト伝道部で宣教師として働き,そこで英語を学びました。伝道後,彼は大学に進み,会計学と財政学の学位を取得しました。この分野での就職は困難でしたが,彼は観光・接客業の仕事を見つけました。

5つ星ホテルのウェイターとしての仕事から始めましたが,彼の向上意欲は止まず,そこでバイリンガルのフロント係になるまで学び続けたのです。ホテルの新館がオープンすると,今度は夜勤の監査役として雇われました。その後,BYU-パスウェイワールドワイドを受講し,ホスピタリティと観光業の資格を得るためのコースで,現在学んでいます。彼の望みは,いつの日か,高級ホテルの支配人になることです。ウィルフリードは永遠の伴侶と二人の子供を養い,さらに母親と自分のきょうだいたちも助けています。教会では,現在,ステーク高等評議会の一員として働いています。

自立とは,次のように定義されています。「自立とは,自分と家族のために,霊的および物質的に,生活に必要なものを供給する能力であり,決意であり,努力です。」1自立のための努力は,天の御父とその御子イエス・キリストのみもとに戻るようにわたしたちを導く,聖約の道を歩む働きの一部です。それはイエス・キリストを信じる信仰を強め,救いと昇栄の聖約と儀式によって喜びをもって主とつながることができるようにしてくれます。自立はイエス・キリストの福音の教義であって,プログラムではありません。それは生涯にわたって続くプロセスであり,1回限りの出来事ではありません。

わたしたちは生涯を通して,霊的な強さを増し,心身の健康を増進し,教育と職業の向上を目指し,物質的な備えをすることによって,自立できます。2わたしたちが生きている間に,この務めが終わることはあるのでしょうか。いいえ,それは学び,成長し,働くという一生続くプロセスなのです。自立に終わりはありません。それは継続した,日々のプロセスです。

自立の教義と原則を,どのように子供と青少年に教えることができるでしょうか。一つの大切な方法は,「子供と青少年」プログラムにある原則を,定期的に取り入れることです。親と子供たちは,イエス・キリストの福音を学び,奉仕や活動に参加し,それぞれの子供に合った個人の成長の4つの分野で協力し合います。それはもはや,全員のための決まった同じプログラムではないのです。

子供のガイドブック』にはこう記されています。「イエスはあなたと同じくらいの年のときに,学び,成長されました。あなたも学び,成長しています。聖文には次のように書かれています。『イエスはますます知恵が加わり,背たけも伸び,そして神と人から愛された。』(ルカ2:52)」3この聖句は,霊的な面では,神から愛されたことと,成長と学びを,社会的な面では人から愛されたこと,身体的な面では背たけを,そして知的な面では知恵について述べています。こうした成長分野は,年齢にかかわりなく,すべての人に当てはまります。ではいつ,それらを教えるのでしょうか。申命記6章6-7節には,次のようにあります。

「きょう,わたしがあなたに命じるこれらの言葉をあなたの心に留め,

努めてこれをあなたの子らに教え,あなたが家に座している時も,道を歩く時も,寝る時も,起きる時も,これについて語らなければならない。」

わたしたちは,良い模範を示し,彼らとともに働き仕え,聖文を研究し,預言者の教えたとおりにイエス・キリストの教えに従うことによって,それらを子供たちに教えます。

「子供と青少年」プログラムでは,子供たちは成長の4つの分野でそれぞれに異なった目標を立てることを述べました。それぞれの分野で子供たちが自分の目標を立てることが大切です。親や指導者は,教え,助言し,支えることができます。

例えば,我が家の孫娘のミランダは,毎日早朝セミナリーに出席することで,霊的に成長する意欲を高められています。彼女は同じワードのセミナリーの生徒たちから前向きな話を聞くことで,関心を寄せるようになりました。クラスに出るために母親が起こす必要はありません。彼女は自分で起きて,始まる時間の6時20分にはビデオ会議に参加しています。そのようにするために役立つ習慣を,彼女は身につけてきたからです。わたしの両親の最近の話では,ミランダは自分に自信を持つようになり,彼らを訪問すると以前よりも話をするようになったといいます。こうした事柄は生活と成長の教訓となる,目に見える成果です。

両親,祖父母,指導者,そして友人たちは,子供たちの成長と発達を助けていきます。熱心で献身的なミニスタリングブラザーやシスターたちに加え,ワードの神権指導者と組織の指導者たちからも助けが得られます。「家族—世界への宣言」では,次のように述べられています。「神の計画により,父親は愛と義をもって自分の家族を管理しなければなりません。また,生活必需品を提供し,家族を守るという責任を負っています。また母親には,子供を養い育てるという主要な責任があります。これらの神聖な責任において,父親と母親は対等のパートナーとして互いに助け合うという義務を負っています。……また,必要なときに,親族が援助しなければなりません。」4最後の一文には,ほかの親族や祖父母も含まれます。

わたしたちは西アフリカで働いていますが,妻のヌリアはすばらしいミニスタリングの働きをしています。海を越えて子供たちや孫たちと連絡を取り合っているのです。そのために,彼女はテクノロジーを駆使しています。幼い孫たちに本の読み聞かせをしています。大きい孫娘たちには,家族の話からの教訓や科学,プエルトリコの歴史,信仰箇条,イエス・キリストの福音といったテーマを教えています。現代において,わたしたちの家族の若い世代と連絡を取り,つながりを感じ,ミニスタリングを行い,教えるのに,距離は関係ありません。わたしも,大切な孫たちを教え,愛し,甘やかし,笑わせることができるときには,ヌリアと一緒に参加しています。

「子供と青少年」プログラムと,自立心を築くことの間には,霊感に満ちた共通点があることに皆さんも気づくでしょう。4つの成長分野はそれぞれとても似ています。自立における霊的な強さは,子供や青少年の霊的な側面にかかわっています。自立における心身の健康は,子供と青少年の身体的,社会的な側面と結びついています。自立における教育,職業,物質的な備えは,「子供と青少年」プログラムの知的な部分と同じ側面を持っています。

最後に,わたしたちは生涯にわたって自立し,子供と青少年に自立を教えることにより,救い主イエス・キリストと主の福音に従いましょう。以下はその最善の方法です。

  1. 人々に仕える良い模範となる。

  2. 自立の教義と原則を実践し,教える。

  3. イエス・キリストの福音の一部として,自立するという戒めに従う。

教義と聖約104章15-16節には,次のようにあります。

「万物はわたしのものであるから,わたしが意図しているのは,聖徒たちに必要なものを与えることである。

しかしそれは,わたし自身の方法で行われなければならない。見よ,富んでいる者を低くすることによって貧しい者を高くすること,これこそ,主なるわたしが聖徒たちに必要なものを与えるために定めた方法である。」

これはイエス・キリストの教会です。この福音は地上においても,永遠にわたっても,家族を祝福します。永遠の家族となるように努めるとき,福音は生活に導きを与えます。これが真実であることを知っています。イエス・キリストの御名により,アーメン。