「第12課 クラス準備資料:シオンの大義の確立」回復の礎 教師用資料
「第12課 クラス準備資料」回復の礎 教師用資料
第12課 クラス用準備資料
シオンの大義の確立
預言者ジョセフ・スミスはこう宣言しています。「わたしたちはシオンを築き上げることを最大の目標としなければなりません」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』186)。この資料を研究しながら,シオンとは何か,なぜわたしたちはシオンを築き上げる必要があるのか,その業を助けるために自分には何ができるのかを理解するために助けとなる真理を見つけてください。
セクション 1
シオンを確立するとはどういう意味か
1830年12月,ジョセフ・スミスが聖書の翻訳に取り組んでいると,主は,現在モーセ7章に記録されているように,エノクという旧約聖書の預言者がシオンと呼ばれる都市を築いたことを明らかにされました。
ビデオ「Teachings of Joseph Smith: Preparing for Zion」(1:42)を視聴するか,預言者ジョセフ・スミスの以下の文を研究してください。
預言者ジョセフ・スミスはこう述べています。
シオンを築き上げることは,あらゆる時代の神の民が関心を寄せてきた大義……です。……彼らはわたしたちが生きている時代を,喜びに満ちた期待をもって待ち望み,すばらしい喜びに満ちた期待に胸を高鳴らせながら,このわたしたちの時代について歌い,書き記し,預言しました。……わたしたちは,末日の栄光をもたらすために神に選ばれている恵まれた民です。末日の栄光を見て,それに加わり,その前進に貢献するという務めを任されているのです。
聖徒たちが集まる場所はどこもシオンです。すべての義にかなった人が,その子供たちのための安全の地としてシオンを築き上げるでしょう。……
……だれもシオンとそのステーク以外では平安を得られない時が,すぐに来ようとしています。(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』186)
預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示の中で,主は,シオンとは「心の清いもの」ことでもあると宣言されました(教義と聖約97:21)。
十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老は次のように教えています。
シオンとは,場所と人々の両方を指します。……
シオンがシオンである理由は,その民の性質,特質,忠実さにあります。……家庭,支部,ワード,ステークにシオンを確立しようと願うなら,……(1)心と思いにおいて一つとなる。(2)個人としても,全体としても聖なる民になる。(3)貧困をなくすため,貧しい人と助けを必要としている人を効果的に助ける。これらが必要となります。これらの実現をシオンが築かれるまで待っていることはできません。これらを実現して初めてシオンが築かれるのです。……
わたしたち一人一人が救い主を生活の中心に置き,主がわたしたちを導くために任命された指導者に従うとき,心を一つにし,思いを一つにすることができます。(D・トッド・クリストファーソン「シオンに来たれよ」『リアホナ』2008年11月号,37-38参照)
シオンのような人々の特徴に関するこれ以上の情報は,4ニーファイ1:1-4,15-18を参照してください。
セクション 2
シオンを築き上げようとしたミズーリ州の聖徒たちに何が起こったか
教会が組織されてから1年後,主は,ミズーリ州ジャクソン郡インディペンデンスを,シオンの「中心地」に定められました(教義と聖約57:3)。聖徒たちはその地に集まり,シオンの聖なる町を築き,その地を新たなエルサレムと呼んだのです(教義と聖約45:64-66;57:1-3参照)。
初期の教会員たちは,預言者の下で,ジャクソン郡にシオンを築こうとしましたが,地元の市民と良好な関係を築くのに苦労しました。宗教,奴隷制,政治の問題について意見が異なるだけでなく,聖徒たちの数が膨れ上がる一方だったため,ジャクソン郡の多くのほかの市民たちは,郡から聖徒たちを排斥しようという思いに駆り立てられました。
1833年7月20日,ジャクソン郡の住民の一団は,裁判所で地元の教会の指導者と相対し,印刷所や店をたたんでジャクソン郡を出ていくことを聖徒たちに要求しました。教会の指導者がその要求を拒絶したため,暴徒は教会の印刷所を破壊し,エドワード・パートリッジビショップと教会員のチャールズ・アレンにタールを塗り,羽根を付けました。3日後,暴徒はさらに暴力を振るうと脅してきました。翌春までにジャクソン郡を離れるという合意を,地元の教会指導者らは強制的に交わさせられます。しかしながら,その後1833年の秋に,この地に留まって自分たちの権利のために戦うことを教会指導者や教会員たちが決意したところ,暴徒たちの暴力は収まることなく続きました。
パーリー・P・プラットは次のように述べています。
ならず者たちは,郡のいたるところに広がっていた。ためらいもなく家々に押し入り,……女性や子供を怖がらせ,すぐに撤退しなければ殺すと脅した。……
……女性と子供は方々へ逃げた。150人ほどからなる一団が草原へ逃げ込み,たいていは食糧なしで数日間さまよった。雨露をしのぐ場所もなく,彼らの上には広がる〔空〕しかなかった。そのほかの者たちは,ミズーリ川へ向けて逃げた。女性や子供が追い散らされる中,暴徒は男たちを追い,銃で撃たれる者,縛られる者,鞭で打たれる者もいれば,何マイルも追いかけられる者もいた。……
〔ミズーリ川の〕川岸には,渡し船の両側に,男,女,子供,品物,荷車,箱,食糧などの列ができ,その間も船は絶え間なく往来していた。……数百人があちこちに散らばり,土砂降りの雨の中を,ある者はテントの中に,ある者はたき火の周りに集まっていった。夫は妻の行方を尋ね,妻は夫を捜し,親は子供を,子供は親を捜し歩いた。家族全員で家財道具や食糧を持ち出せたという幸運な者もいれば,友人の消息が分からない者,持ち物を一切失った者もいた。……
……教会員はことごとく郡から追放され,トウモロコシ畑は荒らされて壊滅した。麦の束は燃やされ,家財は略奪され,建物や所有物は破壊された。(Autobiography of Parley P. Pratt,ed. Parley P. Pratt Jr. [1938], 101–3)
1,000人以上の聖徒がジャクソン郡から追い出され,200軒以上の家が焼かれました。
セクション 3
何がジャクソン郡での聖徒たちのシオン建設の妨げになったのか
聖徒たちがジャクソン郡から強制的に退去させられた翌月,主は預言者ジョセフ・スミスに,聖徒たちが彼らの土地や家を追われることをお許しになった理由を啓示されました。教義と聖約101章と105章にある次の聖句を研究して,どんな行動や態度が,聖徒たちがミズーリ州ジャクソン郡にシオンを建設する妨げとなったのか調べましょう。
セクション 4
シオンは将来どうなるか
クリストファーソン長老は,わたしたちはシオンを建設することによって自分自身と世の中を主の再臨に備えていると教えています。
主の再臨に不可欠なことは,主の来臨に際して主を受け入れる備えのできた人々が地上に存在することです。……
古代に,神は義にかなったシオンの町を御自分のもとへ取り上げられました。その一方で,終わりのときの新しいシオンは,主の来臨の際に主を受け入れます。……
主の選民を集める業や死者の贖いの業におけるわたしたちの役割を含め,シオンを築き上げるために熱心に努める一方で,これが主の業であり,主が行っておられるということを,立ち止まって,覚えておく必要があります。……
この大いなる最後の神権時代は,クライマックスに向けて着実に築かれています。クライマックスとは,救い主の輝かしい再臨のときに,天のシオンに加わって地上のシオンが築かれることです。……その日が速まるよう,シオンを確立することに携わりましょう。(D・トッド・クリストファーソン「主の再臨に 備える」 『リアホナ』 2019年5月号,82-84)