高慢の克服

モルモン書の中で強調されている霊的な危険の一つは，高慢という罪です。この記録の中には，高慢によってどのようにリーハイの家族の一致が乱され，主の教会が分裂し，無数の戦争を引き起こし，ついにはニーファイ人の文明の崩壊にまで至ったことが記されています。エズラ・タフト・ベンソン大管長は次のように警告しています。「高慢は至る所に見受けられる罪であり，大きな悪です。」（「高ぶりを心せよ」『聖徒の道』1989年7月号，6 ）予習にあたって，自分の生活における高慢の兆しを見分けるのに役立つ教えを探してください。それと同時に，イエス・キリストの模範と教えが高慢の克服にどのように役立つのかも考えてみましょう。

セクション1

自分の生活をむしばむ高慢の否定的な影響をよく見分けるにはどうすればいいだろうか

ニーファイの死後，ヤコブはニーファイの民の中に広がる邪悪に悩まされていました。主はヤコブに指示を与えて，民の罪について話すようにされました（モルモン書ヤコブ1：15－2：4，11参照）。ヤコブは従順に民を神殿に集め，彼らの罪について語りました。その中には，彼らが富によってどのように主から離れるようになったかというものもありました。

ヤコブ，高慢について教える | ヤコブ2：3－19
ヤコブ2：3－19 | モルモン書の預言者ヤコブは，高慢に気をつけ，互いに等しく扱うよう民に教える。また，まず神の王国を求めるよう民に教える。

モルモン書の最後の箇所でモルモンとモロナイは，ニーファイ人が高慢を悔い改めなかったことによって完全な滅亡にまで至った経緯を目撃することになりました。自分たちの滅亡を目撃した後，モロナイは示現によって高慢がわたしたちの時代の人々にとっても問題となることを見ました。

クラスに備えて学ぶ

モルモン8：35－37を読み，高慢がどのような罪につながるか考えてください。

1989年，ベンソン大管長は高慢について重要な説教を残しました。その話の抜粋を読みながら，高慢について本質的な意味を示す，鍵となる語句にしるしを付けてください。

ほとんどの人は，高慢を「自己中心」「うぬぼれ」「自慢」「尊大」「傲慢」のことだと思います。確かにこれらはそれぞれ高慢の罪の要素ではありますが，核となるものが抜けています。

高慢の中心を成すのは敵意，つまり，神と同胞に対する敵意です。「敵意」は「憎悪，敵対心，反抗」を意味します。サタンは，この力によってわたしたちを支配しようとします。

基本的に，高慢の本質は競争心です。自分の思いを神の御心と競わせるのです。……

高慢な人は，自分の生活を律する神の権能を認めることができません。（ヒラマン12：6参照）……

高慢な人は，自分の知性，意見，仕事，財産，才能など，この世的な尺度をもって張り合い，すべての人を敵に回します。C・S・ルイスはこう書いています。「高慢な者は何かを所有しただけでは喜ばない。人より多く持って初めて喜ぶのである。……人を高慢にするのは比較である。すなわち，自分は他の人たちよりも優れているという優越感である。競争心という要素がなくなれば，高慢もその姿を消すのである。」（『キリスト教精神』，ニューヨーク：マクミラン社，1952年，109－110）……

人にどう思われているかを恐れる人は，人の賞賛を求めて争うようになります。……

……多くの人は高慢の罪を犯すのは，金持ちや学者のように社会的地位や権力があって，ほかの人を見下す人だと考えています（2ニーファイ9：42参照）。しかし，それ以上にわたしたちの間に広がっている病があります。それは……見上げる高慢さです。これは，あら探し，うわさ話，中傷，不平，収入以上の生活，そねみ，うらやみ，人を高める感謝の念や賞賛の言葉の欠如，人の過ちを赦さない不寛容さ，嫉妬など様々な形で現れます。（「高ぶりを心せよ」5，6）

自分の考えを記録する

ベンソン大管長は次のように述べています。「人の高慢はよく目につきますが，自分自身の高慢の罪を認めるのは非常にむずかしいことです。」（「高ぶりを心せよ」6）自分の生活と一番かかわりがありそうだと思う質問を以下の中から選び，日記やノートにあなたの答えを書き留めてください。

神あるいはほかの人に対して，わたしは心の中に敵意（怒り，敵対心，反感）を抱いているでしょうか。もしそうだとすると，それらの感情は自分の心や周囲との関係にどのような影響を与えているでしょうか。
どのようなときに，わたしは自分と他人を一番比較しがちになるでしょうか。自分と他人を比較すると，わたしはどのような気持ちになるでしょうか。

セクション2

高慢の罪はどのように克服できるだろうか

ヤコブは高慢の罪を民に警告してから，それを克服する方法について重要な真理を教えました。

クラスに備えて学ぶ

モルモン書ヤコブ2：17－21を読み，高慢の克服に役立つ助言を見つけてください。

ニーファイ人は度々高慢に陥ったことがモルモン書に記されています。例えば，ガデアントン強盗団との長期にわたる争いに勝利した後，ニーファイ人は栄え，やがて富や学問の有無に従って階級に分かれ，高慢になりました。中には自分たちよりも恵まれない人々を，迫害し始める者も出てきました。（3ニーファイ6：4－12参照）。

クラスに備えて学ぶ

3ニーファイ6：12－14を読むときに，高慢な人々と，そうでない人々との違いに注目してください。二つのグループは互いに，どのように異なった特徴を示していたでしょうか。

ベンソン大管長は高慢の克服方法について，次のように教えました。

高慢の治療薬は謙遜です。柔和と従順です。（アルマ7：23参照）……

自分からへりくだる道を選びましょう。

わたしたちは，兄弟姉妹に対する憎しみを克服し，彼らを自分自身のように尊び，また自分以上に尊重することによって，進んでへりくだることができます。〔教義と聖約38：24参照〕。

勧告と懲らしめを受け入れる人は，自分の意思で謙遜になる道を選べます。〔モルモン書ヤコブ4：10参照〕

わたしたちは，自分を傷つけた人を赦すことにより，進んでへりくだる方を選ぶことができます。〔 3ニーファイ13：11，14；教義と聖約64：10参照〕

また，無私の奉仕を行うことによっても，進んでへりくだることができます。〔モーサヤ2：16－17参照〕

伝道に出て，人を謙遜にする神の御言葉を宣べ伝えるなら，自分からへりくだる道を選ぶことができます。〔アルマ4：19参照〕

もっと頻繁に神殿に参入することにより，自らへりくだることができます。

罪を告白して，悪を捨て，神によって生まれる人は，自分の選びによって謙遜になることができます。〔教義と聖約58：43参照〕

そして，神を愛し，自分の思いを神の御心に服従させ，神を第一にした生活を築きあげることによって，わたしたちは進んでへりくだることができるのです。〔3ニーファイ11：11参照〕（「高ぶりを心せよ」7）

クラスに備えて深く考える

救い主の生涯について深く考えましょう。主の模範から，謙遜について何を学ぶことができますか。見つかった例をクラスで発表できるよう準備してください。