対観させて福音書を教える
この手引きを,構成されているとおりに使用して,配列順に四福音書を教えることが推奨されていますが,新約聖書の福音書は「対観」させて教えることもできます。これは,救い主の生涯における出来事を,各福音書からの題材と組み合わせて,時系列で教えることを意味します。対観させて福音書を教えることに関する情報および参考資料については,LDS.org(モバイルデバイスの場合は福音ライブラリー)にある,この手引きのデジタル版の付録を参照してください。
この手引きを,構成されているとおりに使用して,配列順に四福音書を教えることが推奨されていますが,新約聖書の福音書は「対観」させて教えることもできます。これは,救い主の生涯における出来事を,各福音書からの題材と組み合わせて,時系列で教えることを意味します。これは,幾つかの方法で行うことが出来ます。例えば,福音書を配列順に教えることを主軸としながらも,救い主の降誕または贖罪をとりまく出来事などの一部分を対観させて教えることができます。別の方法として,福音書の内容全てを対観させて教えることも可能です。
福音書を配列順に教えたことがない場合は,このアプローチを試してみることに気後れするかもしれません。この手引きは,各福音書を個別に,効果的に教える助けとなるよう準備されたものです。対観させて福音書を教える方法を選択する場合,その決定は,生徒たちの必要を考慮し,御霊の導きに従って,コーディネーターやセミナリー校長と相談したうえで行ってください。
対観させて福音書を教えることは,救い主の生涯からの教えと出来事をより詳しく扱うことを可能にし,福音書を配列順に教えるときに感じることのある反復を最小限にとどめることができます。ただし,この手引き内のレッスンは,各福音書にある独特の内容に焦点を当て,以前教えた内容を要約することによって,すでに配列順に教える時の反復を低減するよう作成されています。
対観させる方法でこのコースを教える選択をする際は,次の事柄を考慮することが大切です。
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福音書を対観させて教えることによって,四福音書に記録された聖句の順序と内容を理解することが難しくなる場合があります。一つの記述から別の記述に移るときは,各節の内容と歴史的な背景を理解できるように生徒たちを助けることが必要となります。
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対観させて福音書を教えることには,各福音書の著者それぞれの独特な意図,テーマ,焦点をあいまいにしてしまう傾向があります。生徒たちがそれらを見いだして理解できるように,これらのテーマについて細心の注意を払うようにしてください。この手引きに含まれている,マタイ,マルコ,ルカ,ヨハネの福音書の「はじめに」は,これらのテーマを認識する助けとなります。
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この手引きに現在記載されている教え方のアイデアは,レッスンのある部分から別の部分にスムーズに移行できるよう作成されており,教え方の,あるアイデアから別のアイデアへの移行を容易にするための説明が提供されています。添付の表を使用してこれらの教え方のアイデアを対観させて教える方法にアレンジするときは,提案されたアイデアの間に独自の説明を含める必要があります。
対観させて教える方法を選択する場合は,Bible appendix,およびLDS.orgの“Harmony of the Gospels”表にある,役に立つヘルプを利用することができます(訳注—『聖句ガイド』「福音書」の項にある「福音書対観表」も参照)。さらに,添付の表には,対観させて教える方法をサポートするために,この手引きにある教え方のアイデアの推奨順序が記載されています。教えやすくするための小さな調整数箇所を除き,この表は2013年版の末日聖徒版聖典(英語)にある「福音書対観表」と一致しています。表の左の列には,学期を16週間に分割する学習進度ガイドが記載されています。各週(第1週を除く)には,救い主の生涯と教導の業における出来事と教えが,5日間で教えることができる経時系列のセグメント(節のまとまり)で表に示されています。この学習進度ガイドには四福音書についての80のレッスンが提供されており,これはこの手引きにある配列順聖文教授法のレッスン回数と同じです。
福音書を配列順か対観させて教えるかどうかにかかわらず,このコースは,この手引きの第一週目にある最初の5つの導入レッスン(「はじめに(新約聖書の紹介)」,「救いの計画」,「学習者の役割」,「聖文の研究」,「新約聖書の背景と概要」)から始めることが推奨されます。
学習進度ガイド |
出来事と教え |
教師用資料 | |
---|---|---|---|
第1週 |
第1-5日 |
第1-5課 | |
第2週 |
第1日 |
イエス・キリストの前世 | |
イエス・キリストの現世における系図 | |||
第2日 |
天使ガブリエルのザカリヤへの告知;マリヤへの告知;エリザベツへのマリヤの訪問;バプテスマのヨハネの誕生 | ||
第3日 |
ヨセフへの告知 | ||
イエス・キリストの降誕;羊飼いたちへの告知;神殿におけるイエスの奉献 | |||
博士たちの訪問;エジプトへの逃避 | |||
神殿への訪問(12歳) | |||
第4日 |
バプテスマのヨハネの教導の業と証 | ||
第5日 |
イエスのバプテスマ | ||
第3週 |
第1日 |
イエスへの誘惑 | |
第2日 |
イエスに従うバプテスマのヨハネの弟子たち | ||
カナでの婚礼;最初の宮清め | |||
第3日 |
ニコデモの訪問;バプテスマのヨハネの証 | ||
第4日 |
井戸端の女 | ||
第5日 |
ガリラヤに戻られるイエス | ||
役人の息子を癒やされるイエス | |||
ナザレで拒絶される救い主 | |||
第4週 |
第1日 |
召された漁師 | |
第2日 |
カペナウムで教え,けがれた霊を追い出されるイエス | ||
ガリラヤで福音を宣べ伝えられるイエス | |||
重い皮膚病にかかった人とまひ状態の人を癒やされるイエス | |||
第3日 |
取税人と罪人たちとの食事 | ||
断食について尋ねるヨハネの弟子たち:古いものと新しいもの | |||
第4日 |
祭に参列されるイエス;安息日に癒やされるイエス;説教:御父についての証 | ||
第5日 |
安息日に関する論議 | ||
召され,聖任された十二使徒 | |||
第5週 |
第1日 |
山上の垂訓 | |
第2日 |
山上の垂訓 | ||
第3日 |
山上の垂訓 | ||
第4日 |
山上の垂訓 | ||
第5日 |
百卒長の僕を癒やされるイエス;ナインのやもめの息子をよみがえらせるイエス | ||
弟子たちをイエスのもとに送るバプテスマのヨハネ | |||
第6週 |
第1日 |
イエスに香油を注ぐ女 | |
ベルゼブル,冒瀆;しるしについての説教;たとえ話:空の家;イエスの母親と兄弟たち | |||
第2日 |
種まきのたとえ | ||
第3日 |
王国の将来についてのさらなるたとえ話 | ||
第4日 |
嵐を鎮められるイエス;多数の邪悪な霊を追い出されるイエス;長血を患う女を癒やされるイエス;ヤイロの娘を死からよみがえらせられるイエス | ||
第5日 |
より多くの働き手の必要性;十二使徒に対する戒め | ||
バプテスマのヨハネの死 | |||
第7週 |
第1日 |
5千人に食物をお与えになるイエス | |
第2日 |
水の上をお歩きになるイエス | ||
癒やし | |||
第3日 |
説教:命のパン | ||
第4日 |
清さについての説教;カナンの娘と他の人々を癒やされるイエス | ||
第5日 |
デカポリスで耳が聞こえない人を癒やされるイエス;4千人に食物をお与えになるイエス;段階的に癒やされた盲人 | ||
第8週 |
第1日 |
しるしを求めるパリサイ人とサドカイ人;ペテロの証;約束された王国の結び固めの鍵;十字架を負う | |
第2日 |
変貌:委ねられた結び固めの鍵;魚から得た納入金のための銀貨 | ||
第3日 |
けがれた霊につかれた少年を癒やされるイエス | ||
第4日 |
誰が王国で一番偉いのか;侮辱 | ||
第5日 |
赦し;たとえ話:思いやりのない僕 | ||
第9週 |
第1日 |
イエスに従うために必要な犠牲;損なうためでなく,救うために送られたイエス | |
第2日 |
召され,送り出された七十人;仮庵の祭に参列されるイエス | ||
第3日 |
姦淫した女;世の光 | ||
第4日 |
罪から自由になることをお教えになり,御自分の神性を証されるイエス | ||
第5日 |
安息日に盲人を癒やされるイエス | ||
第10週 |
第1日 |
たとえ話:良い羊飼い;イエスの安息の約束 | |
第2日 |
たとえ話:良いサマリヤ人 | ||
第3日 |
マリヤとマルタ;祈り;パリサイ人に気をつけなさい;たとえ話:富んだ愚か者 | ||
第4日 |
安息日における癒やし;たとえ話:晩餐会 | ||
第5日 |
たとえ話:いなくなった羊,なくした銀貨,放蕩息子 | ||
第11週 |
第1日 |
たとえ話:不正な家令,ラザロと金持ち | |
第2日 |
侮辱と信仰についての説教;10人の重い皮膚病にかかった人を癒やされるイエス | ||
第3日 |
ラザロをよみがえらされるイエス | ||
第4日 |
離婚について尋ねるパリサイ人 | ||
第5日 |
幼な子らをそのままにしておきなさい;金持ちの若い役人 | ||
第12週 |
第1日 |
全てを捨てることに対する報い;たとえ話:ぶどう園の労働者 | |
最もすばらしい者が教え導く | |||
第2日 |
たとえ話:不義な裁判官,パリサイ人と取税人;バルテマイを癒やされるイエス;ザアカイを訪問されるイエス | ||
第3日 |
イエスに香油を注ぐマリヤ | ||
勝利の入場;二度目の宮清め | |||
第4日 |
のろわれたいちじくの木;たとえ話:二人の息子,邪悪な農夫たち,王の息子の婚宴 | ||
第5日 |
税金についての質問;婚姻と復活;一番大切な戒め | ||
第13週 |
第1日 |
偽善の非難 | |
やもめのレプタ | |||
エルサレムについてのイエスの嘆き | |||
第2日 |
ラザロに対する陰謀;説教:御父によって送られ,信じる者への光であるイエス | ||
第3日 |
エルサレムの崩壊;再臨のしるし | ||
第4日 |
たとえ話:10人のおとめ | ||
第5日 |
たとえ話:タラント,羊とやぎ | ||
第14週 |
第1日 |
イエスを裏切るユダの陰謀;最後の晩餐が始まる | |
弟子たちの足をお洗いになるイエス | |||
「主よ,それはわたしですか」 | |||
第2日 |
新しい戒め | ||
聖餐が設けられる | |||
第3日 |
慰め主についての説教 | ||
第4日 |
予告されたペテロの否定 | ||
まことのぶどうの木;互いに愛し合いなさい;証する真理の御霊 | |||
第5日 |
使徒たちへの警告;慰め主;反対のもの:喜びと悲しみ | ||
第15週 |
第1日 |
イエスの執り成しの祈り | |
第2日 |
ゲツセマネにおけるイエスの苦しみと祈り | ||
第3日 |
捕らえられたイエス;ペテロの否定;カヤパの前でのイエスへの審問 | ||
第4日 |
ピラトとヘロデの前での審問;解放されたバラバ | ||
ピラトの前での二回目の審問 | |||
鞭打たれ,嘲弄されたイエス | |||
第5日 |
十字架へのはりつけ | ||
第16週 |
第1日 |
イエス・キリストの死;イエスの埋葬;墓を封印する祭司長とパリサイ人 | |
第2日 |
復活 | ||
第3日 |
エマオへの道で二人の弟子たちに御姿を現されるイエス | ||
第4日 |
夜:弟子たちとトマスに御姿を現されるイエス | ||
第5日 |
ペテロ「わたしは漁にいく」,イエス「私の羊を養いなさい」 | ||
十二使徒託された偉大なる業;昇天 |