日曜学校―福音の教義
第10課:「主は,御自分のもとに……すべての人を招かれる」


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「主は,御自分のもとに……すべての人を招かれる」

2ニーファイ26-30章

目的

福音の回復とモルモン書の教えを通して,主が悪に対して真理に勝利を得させられることを理解できるようにする。

準備

以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。

  1. 2ニーファイ26章。ニーファイは救い主がニーファイ人を教え導かれることを預言する。またニーファイの民が高慢になり,偽善売教を行い,そして最終的に滅亡することを先見する。

  2. 2ニーファイ27章。ニーファイは福音の回復の一環として,モルモン書が世に現れることについて証する。

  3. 2ニーファイ28章。ニーファイは末日にサタンが偽りの教義を広めることを預言する。

  4. 2ニーファイ29-30章。ニーファイはモルモン書の重要性と,モルモン書を受け入れる人々にもたらされる祝福について教える。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

ジーン・R・クック長老の以下の言葉を読む。

「去年の夏のことですが,砂漠の1本道で車を走らせていたときに,はるかかなたが一面水で覆われたように見えたことがありました。子供たちは,あれは湖だ,貯金を全部かけてもよいと言いました。しかし,しばらくしてそこへ行き着くと,水など一滴もありませんでした。しんろうだったのです。

この人生の中には,確かにこうだと思っていたことが,突然逆転してしまうというようなことが,何とたくさんあることでしょう。サタンがわなを仕掛けるのです。サタンは,錯覚の主です。サタンは,末日聖徒の注意や力を神の純粋な真理からそらせ,わたしたちに遠まわりをさせ,気をくじこうとして,しんろうのような錯覚を起こさせるのです。」(「義なる教師のために」『聖徒の道』1982年7月号,44)

  • 錯覚とは何でしょうか(だましたり,誤った方向に導いたりするもの)。人々を道に迷わせるためにサタンが用いる錯覚にはどのようなものがあるでしょうか。わたしたちはそれらの錯覚と真理をどのように見分けることができるでしょうか。

本課で採り上げる章には末日についての力強い預言が載っていることを説明する。ニーファイはサタンに欺かれて真理から離れてしまう人々について預言した。しかし,ニーファイはまた,福音の回復と,義人に与えられる祝福についても予見した。本課ではこれらの預言について話し合い,サタンのうそに欺かれないで,真理に忠実であり続けるにはどうすればよいかを学ぶ。

聖句を使った話し合いと応用

クラスの生徒の必要に最も適した聖句,質問,そのほかの資料を祈りの気持ちで選ぶ。選んだ聖句を日常生活でどのように応用できるかを話し合う。聖句で述べられている原則に関連した適切な経験を分かち合うよう生徒に勧める。

1.ニーファイは救い主がニーファイ人を教え導かれることを預言する

2ニーファイ26章について話し合う。選んだ箇所を生徒たちに声を出して読んでもらう。ニーファイは,救い主がニーファイ人を訪ねられるまでに,何世代にもわたって大きな戦争と争いがあるのを先見したことを説明する(2ニーファイ26:1-2)。ニーファイはキリストが亡くなられてからニーファイ人を教え導かれるまでの間に,悪人が滅ぼされることを預言した(2ニーファイ26:3-7)。

  • ニーファイは,救い主が来られるときに守られるのはどのような人々であると言っているでしょうか(2ニーファイ26:8参照)。なぜこれらの特質は今日のわたしたちにとっても重要なのでしょうか。義にかなったニーファイ人とその子孫はどのような祝福を受けたでしょうか(2ニーファイ26:9参照)。

  • ニーファイは,4世代にわたる平和と義の時代の後,自分の民に「速やかな滅亡」が下ることを預言しました(2ニーファイ26:10)。なぜこの滅亡が引き起こされたのでしょうか(2ニーファイ26:10-11参照)。高慢はどうしてそれほど重大な罪なのでしょうか。生活の中で主の御霊とともにいるためにわたしたちにはどのようなことができるでしょうか。

  • ニーファイはサタンが人々を滅亡に導く方法についてどのように述べていますか(2ニーファイ26:22参照。麻縄は細くて軽い繊維からできていることを説明するとよい)。サタンは「強い縄」で人々を縛る前に,細い繊維をどのように使うでしょうか。

  • ニーファイは救い主が人々を救いに導かれる方法についてどのように述べていますか(2ニーファイ26:23-27,33参照)。わたしたちはほかの人が「救いにあずか」るのをどのように助けることができるでしょうか(2ニーファイ26:24)。

  • ニーファイは偽善売教について警告しました。偽善売教とは何でしょうか(2ニーファイ26:29アルマ1:16参照)。今日の世の中にはどのような偽善売教が見られるでしょうか。わたしたちはそれらの状態に立ち向かうためにどうすればよいでしょうか(2ニーファイ26:30-313ニーファイ18:24モロナイ7:45-47参照)。

2.ニーファイ,モルモン書の出現について証する

2ニーファイ27章から選んだ箇所を読んで話し合う。

  • 27章には末日についての預言がさらに記されています。2ニーファイ27章に述べられている出来事のうち,どれが現在の神権時代に成就しているでしょうか(数分時間を取り,生徒に2ニーファイ27:6-35を読み返してもらう。生徒を幾つかのグループに分けて読む箇所を分担させてもよい。彼らの答えを黒板にまとめる。以下に挙げられている幾つかの答えと,話し合いを活発にさせるための質問を参考にする)。

    1. 翻訳のために,古代の書物が一人の男に授けられる(2ニーファイ27:9)。この書物は何でしょうか(2ニーファイ27:6参照)。主は,若く,無学な者をモルモン書の翻訳者として選ばれた理由としてどのようなことを挙げておられるでしょうか(2ニーファイ27:19-23参照)。

    2. その書物に載せられている言葉の一部が学者に紹介され,その学者はその書物を見ることを望む(2ニーファイ27:15)。これらの節ではどのような出来事が預言されていますか(ジョセフ・スミス--歴史1:63-65参照)。学者はなぜその書物を見たいと思ったのでしょうか(2ニーファイ27:16参照)。モルモン書は世の誉れを求める者に対してどのように「封じられている」でしょうか。

    3. 証人たちがモルモン書の真実性について証をする(2ニーファイ27:12-14)。証人たちが版を見ることはなぜ重要だったのでしょうか(エテル5:2-42コリント13:1も参照)。

    4. モルモン書の力が人々の生活の中に現れる(2ニーファイ27:26,29-30,35)。モルモン書の力はあなた自身の生活や,またはほかの人々の生活にどのような変化をもたらしてきたでしょうか。

3.ニーファイ,末日にサタンが偽りの教義を広めることを預言する

2ニーファイ28章から選んだ箇所を読んで話し合う。

  • ニーファイは末日に人々は神の力を否定して,偽りの,むなしい,愚かな教義を教えると預言しました(2ニーファイ28:3-9。2ニーファイ26:20-21も参照)。ジョセフ・スミスの時代に,この状態はどれほど広まっていたでしょうか(ジョセフ・スミス--歴史1:5-6,19,21参照)。この状態は今日どのくらい広まっているでしょうか。

  • ニーファイは罪を正当化するために人々が用いる偽りの教えについてどのように述べているでしょうか(2ニーファイ28:7-9参照)。今日人々はどのように罪を正当化しているでしょうか。「少しの罪を犯す」ことを気に留めないことによって,わたしたちはどのような危険に自らをさらしているでしょうか(2ニーファイ28:8)。

  • ニーファイはまた,末日の人々の心が高慢に満ちあふれることも先見しました(2ニーファイ28:12-15)。ニーファイ人は高慢の結果,最終的にどうなりましたか(2ニーファイ26:10-11参照)。高慢はわたしたちの霊的成長においてどのようにつまづきの石となるでしょうか。どうすれば高慢を克服できるでしょうか。

  • ニーファイは,多くの人々が高慢のために「貧しい者から奪」うようになると教えています(2ニーファイ28:13)。「華やかな衣」やそのほかのぜいたくへの願望は,わたしたちが貧しい人々に気を留めるのをどのように妨げるでしょうか。わたしたちは物質的また霊的に恵まれていない人々をどのように助けることができるでしょうか。

  • ニーファイによると,末日の多くの人々は主の言葉に対してどのような態度を執るでしょうか(2ニーファイ28:20,28参照)。神の言葉はどうしてしばしば「〔多くの人々を〕善いことに対して怒らせる」ことになるのでしょうか。

  • ニーファイは,サタンは人々をなだめ「欺いて現世での安全を確信させる」と預言しています(2ニーファイ28:21)。現世での安全とは何でしょうか(「現世」という言葉は肉を指している。現世での安全を得るとは,肉の欲に従うことに安全を見いだす,つまりこの世の物質または考えに頼るということである)。現世での安全に満足することは,どのようにわたしたちを悔い改めから遠ざけるでしょうか。「巧みに……誘い落とす」という言葉から,サタンの策略についてどのようなことが分かるでしょうか(2ニーファイ28:21)。

    ジェームズ・E・ファウスト長老は,次のようなたとえ話を紹介している。「トーマス・R・ローワンは……述べています。『作家で評論家のマルコム・マガリッジ氏が次のような話をしました。生きたかえるが何の抵抗もせずにゆでられてしまった話です。なぜ無抵抗だったのでしょうか。なべに入れられたときは,ぬるま湯だったからです。ところが,水温はほんの少しずつ上がっていきました。少しずつ,少しずつ,温かくなっていきました。変化があまりに緩やかだったので,かえるはほとんど気づかずに,上がっていく温度に順応していきました。そこでついに手遅れになったのです。マガリッジ氏の言わんとすることはかえるではなく,わたしたちについてです。わたしたちには,突然ショックを与えるようなものでないかぎり,悪を受け入れてしまう傾向があります。そして,すでに容認している悪よりもほんの少し悪いことであれば,道徳的に低いものであっても受け入れてしまいがちなのです。』」(National Press Club Forum

    この話を紹介した後,ファウスト長老はこのように述べている。「このような緩やかな過程については,すでに古代の預言者たちが預言しています。」(「聖霊の賜物--正しい羅針盤」『聖徒の道』1989年7月号,34)

  • ニーファイはサタンが人々に「へつら〔う〕」方法についてどのように述べているでしょうか(2ニーファイ28:22参照)。どうしてサタンはわたしたちに悪魔や地獄はないと信じさせようとするのだと思いますか。モルモン書を学ぶことは,わたしたちが霊的に注意深く「シオンでのんきに暮らす」ことのないようにするうえでどのような助けになるでしょうか(2ニーファイ28:24)。

    エズラ・タフト・ベンソン大管長は次のように述べている。「〔モルモン書は〕キリストの敵をあばく……モルモン書は偽りの教義を打ち破り,論争を鎮めるものである(2ニーファイ3:12参照)。またそれは,謙遜にキリストに従う者たちが,今日の悪魔の企てや戦略,その教えに頑強に対応できるよう力を与えるものである。モルモン書の背教者のタイプは,今日のそれによく似ている。わたしたちが誤りを見抜き,今日の誤った教育や政治,宗教,哲学などの概念といかに闘ったらよいかその方法を知ることができるように,神は実に無限の先見の明をもってモルモン書を備えられたのである。」(「モルモン書は神の御言葉」『聖徒の道』1975年8月号,366-367)

4.ニーファイはモルモン書の重要性について教える

2ニーファイ29-30章から選んだ箇所を読んで話し合う。

結び

モルモン書を研究し,福音に添った生活をすることによって,わたしたちはサタンの欺きを退ける力を得,細くて狭い道にとどまろうと努力するときの導きを受ける力を得られることを説明する。主が義人に約束しておられる祝福を受けることができるように,個人としてまた家族でモルモン書を研究するように生徒に勧める。

本課で話し合われた事柄が真実であることを,御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.「民の中〔の〕甚だしい分離」(2ニーファイ30:10

  • ニーファイは,福千年の前に主が「民の中に甚だしい分離を引き起こされる」と預言しました(2ニーファイ30:10)。この分離について,ニーファイはどのように述べていますか(2ニーファイ30:10参照)。義人が福千年に受ける祝福にはどのようなものがあるでしょうか(2ニーファイ30:12-18参照)。

2.青少年のための活動

このページにある3つの錯視絵を生徒に見せる(可能であれば,これらの絵をコピーして生徒一人一人に配ってもよい)。絵の下にある質問について生徒と話し合う。(図1では,線Aと線Bは同じ長さである。図2および図3では,中央のとがった部分はほかの二つのとがった部分に接していない。)これらの錯覚について2,3分話し合った後,以下の質問をする。

illusion
  • これらの絵が錯覚を起こさせるのはどうしてでしょうか。サタンがわたしたちを欺くために用いる錯覚にはどのようなものがあるでしょうか。真理を見る,つまり理解するために,わたしたちはどのようなことができるでしょうか。