日曜学校―福音の教義
第43課:「あなたがたはどうして主の道から離れてしまったのか」


第43課

「あなたがたはどうして主の道から離れてしまったのか」

モルモン1-6章モロナイ9章

目的

世の悪事が勢いを増す中で福音の原則に従って生活することの大切さを,理解できるようにする。

準備

  1. 以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。

    1. モルモン1章。モルモンは少年のころ,神聖な記録への責任を受けた。全地に悪事が広がっていったが,モルモンは義にかなった人だった。救い主が彼を訪れ,民に福音を説くことを禁じられた。

    2. モルモン2章3:1-16。モルモンはニーファイ人の軍隊の指導者になり,レーマン人との数多くの戦いの指揮を執る。ニーファイ人は悪事のために戦争で苦しむ。モルモンはニーファイの版を手に入れ,記録を書き続ける。ついに,ニーファイ人の悪事のために,モルモンは彼らの指揮を執ることを断る。

    3. モルモン3:17-225:8-24。モルモンは,自分が短くまとめて書き残した記録の目的を説明し,末日の人々へ語る。

    4. モルモン4章5:1-76章9章。ニーファイ人はレーマン人と戦い続ける。モルモンはもう一度軍隊の指揮を執ることに同意する。彼はシムの丘から記録を取り出してクモラの丘へ隠す。最後の大いなる戦いで,24人のニーファイ人以外は全員殺される。

  2. 『モルモン書ビデオ・プレゼンテーション』(53911 300)がある場合は,「おお,麗しい者たちよ」(5分)を見せる準備をする。ビデオカセットが入手できない場合は,「かつての偉大な国に別れを告げるモルモン」(『福音の視覚資料セット』319)を見せる準備をする。生徒にモルモン6:16-22を声に出して読んでもらう。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

生徒に以下の質問を尋ねる。

  • もしあなたが船で航海するとしたら,どんな装備を備えておきたいですか。

全員の答えを聞いてから,モルモンが自分の民ニーファイ人を,欠かすことのできない装備を備えないまま航海している船にたとえていることを説明する。生徒にモルモン5:17-18を読んでもらう。

  • 帆も錨もない船のように救い主に従わない民とはどのような人のことでしょうか。

ニーファイ人の残された人々とは違い,モロナイは福音を人生の帆や錨として用いたことを指摘する。彼は周りの人々すべてが悪事を行っているように見えたときさえ,義にかなった生き方をした。本課では,モルモンと彼の民に何が起こったのか,またどのようにして福音を生活の帆や錨として用いることができるかについて話し合う。

聖句を使った話し合いと応用

クラスの生徒の必要に最も適した聖句,質問,そのほかの資料を祈りの気持ちで選ぶ。選んだ聖句を日常生活でどのように応用できるかを話し合う。聖句で述べられている原則に関連した適切な経験を分かち合うよう生徒に勧める。

1.モルモンは神聖な記録への責任を受ける

モルモン1章について話し合う。生徒たちに選んだ箇所を読んでもらう。モルモンにはモルモン書として知られている記録に版のすべてを短くまとめる責任があったことを説明する。モルモン1-6章はモルモンの時代の民に関する記録である。

  • モルモンが神聖な記録の責任を受けたとき彼は何歳でしたか(モルモン1:2-3参照。「教えるためのそのほかのアイデア」の項も参照)。アマロンはモルモンに版をどうするよう指示しましたか(モルモン1:3-4参照)。神聖な記録を保管し短くまとめる務めを果たすために,若いモルモンにはどのような特質が備えられていましたか。

  • モルモンが15歳のとき,彼は「主の訪れを受け,イエスの慈しみを味わって知」りました(モルモン1:15)。わたしたちはイエスの慈しみをどのようにして知ることができるでしょうか。

  • 主はなぜモルモンに,ニーファイ人へ教えを説くことを禁じられたのでしょうか(モルモン1:16-17参照)。ニーファイ人は心をかたくなにしたために,どのような損失を被りましたか(モルモン1:13-18参照。よそへ連れ去られた「愛する弟子」とは,主が再び来られるまで地上にとどまることを願った3人のニーファイ人であったことを教える。3ニーファイ28:1-9参照)。もしわたしたちが主とその僕に対して心をかたくなにするとどのような損失を被るでしょうか。

2.モルモンはニーファイ人の軍隊の指揮を執る。ニーファイ人は悪事のために戦争で苦しむ

モルモン2章3:1-16から選んだ箇所を読んで話し合う。

  • モルモンの存命中ニーファイ人の社会はどのような状況でしたか(モルモン1:192:1,8,10,18参照)。その状況は初期の預言者の言葉をどのように成就したでしょうか(モルモン1:19モーサヤ12:4-8ヒラマン13:5-10参照)。わたしたちはモルモンのように多くの悪が満ちる時代に生活していますが,わたしたちの信仰と個人の義を保つために何ができるでしょうか(答えとして,アルマ17:2-3ヒラマン3:35教義と聖約121:45-46を参照)。

  • モルモンはなぜ民の悲嘆ぶりを見て喜んだのでしょうか(モルモン2:10-12参照)。なぜモルモンの喜びは無駄だったのでしょうか(モルモン2:13-14参照)。「悲しんで悔い改める」ことと「罰の定めを受ける者の悲しみ」との違いは何でしょうか(2コリント7:9-10も参照)。

  • 「打ち砕かれた心と悔いる霊をもってイエスのもとに来る」とはどのような意味でしょうか(モルモン2:143ニーファイ9:20教義と聖約59:8も参照)。

  • モルモンが民の悪事を見たときでさえ希望と平和を抱いたのはなぜでしょうか(モルモン2:19参照)。わたしたちは今の世の悪事の中で,希望と平和を持ち続けるためにどうすればよいのでしょうか。

  • モルモンは民がレーマン人と戦って勝ったとき,「これまで彼らの命を助け……てこられたのが主であることを,彼らは悟っていなかった」と言いました(モルモン3:3)。自分たちの受けている祝福が主によるものであると知ることはなぜ重要なのでしょうか(モルモン3:9参照)。

  • 30年以上にわたってニーファイ人の軍隊を指揮した後,モルモンは彼らの悪事と復讐心のために指揮を執ることを断りました(モルモン3:9-13)。主は彼らに復讐することを禁じ,「わたしが報復する」と言われました(モルモン3:14-15)。民が復讐を望むと,どんな結果が生じるでしょうか。復讐心がわいてきたとき,それを克服するために何ができるでしょうか。

  • わたしたちは心をかたくなにした人と接するために,モルモンから何を学ぶことができるでしょうか(モルモン3:12参照)。どうすればそのような人にも大きな愛をはぐくむことができるでしょうか。心をかたくなにした人のために祈り続けることはなぜ大切なのでしょうか。

3.モルモンは自分が短くまとめて書き記した記録の目的を説明する。

モルモン3:17-225:8-24から選んだ箇所を読んで話し合う。モルモンはニーファイ人の軍隊の指揮を断った後ニーファイ人の間に起きた出来事を記録し,「証人にな」るであろうと言ったことを指摘する(モルモン3:16)。これらの聖句の中で,モルモンは記録がだれのために用意されているのかについて明確に伝えている。

  • モルモンの記録はだれのために用意されていたのでしょうか(モルモン3:17-195:9-10,14参照。黒板に生徒たちの答えを書く)。

  • 記録が残され保存された目的は何でしょうか(モルモン3:20-225:14-15参照。以下の答えが考えられる)。あなたの人生でそれらの目的を成就するために,モルモンが書き記したことがどのように役立っていますか。

    1. 「キリストの裁きの座の前に……自分の行いについて裁かれるために立たなければならないことを,あなたがたに知らせるため」(モルモン3:20

    2. 「イエス・キリストの福音を,あなたがたに信じさせるため」(モルモン3:21モルモン5:15も参照)

    3. 「イエスがまことのキリストであり,まことの神であられること」の証人を与えるため(モルモン3:21モルモン5:14も参照)

    4. 「地の果てに至るすべての人に,悔い改め……をするように説き勧める」ため(モルモン3:22

4.最後の大いなる戦いで,24人以外のニーファイ人は全員殺される

モルモン4章5:1-76章モロナイ9章から選んだ箇所を読んで話し合う。

  • レーマン人と戦ってニーファイ人が失ったものについてモルモンは「悪人によって悪人が罰せられる」と言いました(モルモン4:5)。これはどのような意味でしょうか。今の世の中でこの現象が起こっている様子をどのように耳にしていますか。

  • なぜモルモンは再び軍隊の指揮を執ろうと思ったのでしょうか(モルモン5:2参照)。戦争でニーファイ人へ勝利をもたらすことができるのはだれかということについて,モルモンは何を知っていたのでしょうか。このことは,自分たちが勝利を収めることのできる方法についてニーファイ人の信じていた事柄と,どのように異なっていたでしょうか(モルモン5:1参照)。

  • なぜモルモンはシムの丘から版を取り出したのでしょうか(モルモン4:23参照。モルモン4:23;参照。モルモン1:3-4も参照)。なぜ彼はそれをクモラの丘に隠したのでしょうか(モルモン6:6参照)。版を守ることはなぜ重要だったのでしょうか。

  • クモラでの最後の戦いの結果はどうだったでしょうか(モルモン6:7-15参照)。

『モルモン書ビデオ・プレゼンテーション』を使用する場合は,「おお,麗しい者たちよ」をここで見せる。「かつての偉大な国に別れを告げるモルモン」の絵を見せる。クラスの生徒にモルモン6:16-22を声に出して読んでもらう。

  • クモラの戦いの後レーマン人は生き残っていた24人のニーファイ人を捕え,モロナイを除いて全員殺しました(モルモン8:2-3)。そのようにしてニーファイの国は完全に滅ぼされました。なぜそのような「大きな災い」がニーファイ人へもたらされたのでしょうか(モルモン1:13,162:26-273:2-34:125:2,16-19モロナイ9:3-5,18-20参照)。

  • わたしたちもまた大いなる悪事の中で生活しています。どうすれば悪の世の中で個人の義を保ちながら生活できるでしょうか。

    ニール・A・マックスウェル長老は次のように警告している。「個人と社会のいずれの場合も,改革と規制を尊ぶことが最終的に社会を救いに導きます。罪を拒む人の数が十分多くなってはじめて,社会を変えることができるのです。教会員としてわたしたちはそうした罪の文化を拒む者とならなくてはなりません。」(「敵する者は皆一つに集められたり」『聖徒の道』1993年7月号,80)

結び

ニーファイ人の社会は大きな悪事によって滅んでいったことを強調する。わたしたちもまた大きな悪事の時代に生活しているが,それに染まってはならない。わたしたちもモルモンの確固とした信仰の模範に倣って,また彼が大切に保管した記録を学んで,現代の悪の力を排除し,人々へ勇気と希望の模範を示すことができる。

本課で話し合われた事柄が真実であることを,御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.義にかなった青少年

  • アマロンがモルモンに記録を託したとき,彼は何歳だったでしょうか(モルモン1:2-4参照)。モルモンがイエス・キリストの訪れを受けたのは何歳のときだったでしょうか(モルモン1:15参照)。ジョセフ・スミスが父なる神とその御子に最初に会ったのは14歳のときであり,天使モロナイから金版を受けたのは21歳のときだったことを指摘する。

義にかなったことや知恵は年齢や環境によって制約されないことを強調する。主は年齢に関係なく,主に仕える人を祝福されるであろう。

2.青少年の話し合い

モルモンは周りの人々が悪事に染まったときでさえ,義にかなって忠実に生活したことを思い起こす。

  • わたしたちは悪の圧力の中で,どのように信仰を保つことができるでしょうか。そのように生活することにより,どのような益がありますか。

  • わたしたちはどのようにして,福音に従って生活していない周囲の人々を助けることができるでしょうか。モルモンは自分の周囲にいる不義な人々と,どのように接しましたか(例としてモルモン3:12参照)。わたしたちは,自分たちの標準を損なうことなく,どのように愛と友情をもって手を差し伸べることができるでしょうか。