第33課
「堅固な基」
目的
イエス・キリストの土台の上に証を築くように生徒を励ます。
準備
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以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。
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「導入」にある活動を利用する場合は,以下の中から一つ選ぶ。
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生徒数人のグループに,賛美歌「主のみ言葉は」(『賛美歌』46番)の1,2,3,および7番をクラスで歌うよう準備をしておいてもらう。
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生徒と一緒に「主の御言葉は」の1,2,3,および7番を歌うかまたは歌詞を読む用意をする。
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初等協会の子供たち数人のグループに,クラスに来て「かしこい人とおろか者」(『子供の歌集』132)を歌うよう依頼する。これについて子供たちの親と初等協会の指導者および教師と打ち合わせておく。
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レッスンの展開
導入
適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。
用意しておいた発表の紹介をする(「準備」中項,2参照)。
賛美歌または歌の後,今日のレッスンでは,富や肉体的な強さなどに信頼を置く人々などの弱い土台に基を築く人々と,「堅固な基〔である贖い主の岩〕」(ヒラマン5:12)の上に基を築く人々の違いを見ていくことを説明する。
聖句を使った話し合いと応用
クラスの生徒の必要に最も適した聖句,質問,そのほかの資料を祈りの気持ちで選ぶ。選んだ聖句を日常生活でどのように応用できるかを話し合う。聖句で述べられている原則に関連した適切な経験を分かち合うよう生徒に勧める。
1.ニーファイ人の中で内部の紛争が起こる
ヒラマン1-2章について話し合う。選んだ箇所を生徒に声を出して読んでもらう。大さばきつかさのパホーランが死に,彼の3人の息子たち--パホーラン,パアンカイ,パクメナイ--がさばきつかさの職のために争ったことを説明する(ヒラマン1:1-4)。
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パホーランが大さばきつかさに選ばれたとき,パアンカイとパクメナイはそれぞれどのような反応を示しましたか(ヒラマン1:5-7参照)。パアンカイの謀反により何が起こりましたか(ヒラマン1:8-13参照)。
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パクメナイが大さばきつかさになった後,レーマン人がニーファイ人と戦うためにやって来ました(ヒラマン1:13-17)。なぜニーファイ人はレーマン人による外部からの攻撃に対する防御の備えができていなかったのでしょうか(ヒラマン1:18参照)。争いはどのように国や地域社会を弱めるでしょうか。ワードやステークはどうでしょうか。家族や個人はどうでしょうか。争いを避ける,または克服するために何ができるでしょうか。
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「多くの言葉を非常に巧みに操り,また……悪知恵にも非常にたけていた」ガデアントンがキシクメンの団の首領となりました(ヒラマン2:4)。ガデアントンはキシクメンに従う人々に対し,自分に従ってくるよう説得するために何を約束しましたか(ヒラマン2:5参照。ヒラマン5:8も参照)。人々は時々へつらいや権力への約束にどのように影響されるでしょうか。どうすればこの影響を避けることができるでしょうか。
2.数千人が教会に加わる。教会員の一部が高慢になる
ヒラマン3章から選んだ箇所を読んで話し合う。
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ヒラマン3章には約11年にわたるニーファイ人の歴史が収められています。この11年の間に,ニーファイ人は平和の時期と争いの時期を経験しました。これらの期間にニーファイ人の平和を乱したのは何でしたか(ヒラマン3:1,33-34参照)。ニーファイ人の高慢の原因は何でしたか(ヒラマン3:36参照)。高慢はどのようにわたしたちの生活における平安を乱すでしょうか。高慢から自分を守るために,わたしたちには何ができるでしょうか(ヒラマン3:27-30参照。申命8:11,17-18;アルマ62:48-51も参照)。
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生徒の一人にヒラマン3:29を声に出して読んでもらう。「神の言葉を手に入れる」とはどういう意味でしょうか。「神の言葉を手に入れる」とき,わたしたちはどのような祝福を受けるでしょうか(ヒラマン3:27-30参照。1ニーファイ11:25;15:24参照)。
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第51年に,一部の教会員がほかの人々を迫害し始めました(ヒラマン3:33-34)。教会の高慢な会員たちからの迫害に対し,キリストに謙遜に従う人々はどのような反応を示しましたか(ヒラマン3:35参照)。わたしたちが迫害,批判,または苦難に直面するとき,彼らの模範はどのような助けとなるでしょうか。
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謙遜な教会員は「心を神に従わせた」ので聖めを受けました(ヒラマン3:35)。聖めとは何ですか(イエス・キリストの贖罪を通じて清く,純真で,罪のない状態になる過程。教義と聖約76:41;88:74-75参照)。わたしたちの心を神に従わせるとはどういう意味でしょうか。
3.レーマン人とニーファイ人の離反者たち,ニーファイ人を打ち負かす
ヒラマン4章から選んだ箇所を読んで話し合う。
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ニーファイ人の離反者たちは,ニーファイ人に対して戦いに出て行くようレーマン人を説得しました。レーマン人はニーファイ人を打ち負かし,彼らの地の多くを得ました(ヒラマン4:5)。ヒラマン書をまとめたモルモンは,何がニーファイ人の弱さの原因であったと述べましたか(ヒラマン4:11-13参照)。ニーファイ人の行動と,今日の一部の人々の行動との間には,どのような共通点があるでしょうか。自分が主に頼っているのを認めることにより,自分自身はどのように強められるでしょうか。
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モロナイハ,リーハイ,およびニーファイは「彼らの罪深い状態と,罪を悔い改めなければ彼らに起こることについて,多くのこと」を預言しました(ヒラマン4:14)。人々が悔い改め始めたとき何が起こりましたか(ヒラマン4:15-16参照。4:21-26節も参照)。
4.ニーファイとリーハイは父の勧告を思い起こす。彼らが教えを説くに当たって奇跡が起きる
ヒラマン5章から選んだ箇所を読んで話し合う。
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なぜニーファイは神の言葉を教え,説くためにさばきつかさの職を譲ったのですか(ヒラマン5:1-4参照)。ニーファイとリーハイは,自分の名前について父が語ったことによって,何を思い出しましたか(ヒラマン5:5-7参照)。預言者,ほかの教会指導者,およびそのほかの義にかなった人々の模範は,あなたにとってどのような助けとなってきたでしょうか。ヒラマンは,イエス・キリストの贖罪について息子たちに何を教えましたか(ヒラマン5:9-11参照)。
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生徒の一人にヒラマン5:12を声に出して読んでもらう。キリストの岩の上に築くとはどのような意味でしょうか(3ニーファイ14:24-27も参照)。サタンがわたしたちに送る大風や大嵐にはどのようなものがあるでしょうか。キリストはわたしたちがそれらの大風や大嵐に耐えるのをどのように助けてくださるでしょうか。
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なぜわたしたちはキリストをわたしたちの岩と呼ぶのでしょうか。キリスト以外に,しばしば人々が人生を築く土台にはどのようなものがあるでしょうか。キリストの岩の上に人生を築くことにより,あなたはどのような祝福を受けてきたでしょうか。
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ニーファイとリーハイが福音を教え説いたとき,ゼラヘムラでどのような偉大な奇跡が起こりましたか(ヒラマン5:17-19参照)。レーマン人が正しくない「先祖の言い伝え」を拒絶することはなぜ大切だったのでしょうか(ヒラマン5:19,51参照。モーサヤ1:5参照)。
リチャード・G・スコット長老は次のように述べている。「わたしは証します。皆さんが優先順位の筆頭にイエス・キリスト教会の会員であるという事実を置き,その教えを人生の基盤とするならば,幸福に至る障壁を取り除き,大いなる平安を見いだすことができるのです。家族や国家の伝統や習慣が神の教えに反するときには,どうぞ,そのような伝統や習慣を捨ててください。伝統や習慣が神の教えと一致しているなら,どうぞ,それを大切にし,その文化や伝統を守り続けてください。皆さんが決して変える必要のない大切な文化的伝統が一つあります。それは,皆さんが天の御父の娘であり息子であることで受け継いでいる文化です。」(「幸福に至る障壁を取り除く」『聖徒の道』1998年7月号,95)
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生徒の一人にヒラマン5:21-32を声に出して読んでもらう。人々が悔い改め始めた後,何が起こりましたか(ヒラマン5:43-45参照)。聖霊はどのように人々に証されましたか(ヒラマン5:45-47参照)。聖霊はあなたの人生においてどのように真理を証されてきましたか。
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救い主の証を受けた後,人々は何をしましたか(ヒラマン5:49-52参照)。イエス・キリストの神性と救いの力についての証を得た後,わたしたちにはどのような責任があるでしょうか(教義と聖約33:9;88:81参照)。
結び
生徒にヒラマンヒラマン5:12をもう一度声に出して読んでもらう。わたしたちはイエス・キリストの岩の上に基を築くことにより,高慢,争い,サタンの「大嵐」から自分たちを守れることを強調する。
本課で話し合われた事柄が真実であることを,御霊に導かれるままに証する。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。これをレッスンに取り入れてもよい。
1.「おお,覚えておきなさい。わが子らよ」(ヒラマン5:5-14)
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モルモン書の中で,「覚える」またはそれに類する語(「思い起こす」「思い出させる」「忘れない」など)は240回以上用いられている。そのうちの15例がヒラマン5章にある。わたしたちは何を覚えておかなければならないのでしょうか(ヒラマン5:9参照。モーサヤ3:17も参照)。なぜ覚えていることは大切なのでしょう。
スペンサー・W・キンボール長老は次のように述べている。
「辞書で最も大切な単語を調べるとしたら,どの単語か分かりますか。恐らく『覚える』という言葉でしょう。わたしたちは皆聖約を交わしているわけですから,……最も重要なことは,覚えていることなのです。このような理由から,わたしたちは皆毎週安息日に聖餐会に出席し,聖餐を受け,祭司が『……いつも御子を覚え,御子が与えてくださった戒めを守ることを』と祈る言葉に耳を傾けます。『覚える』という言葉は,ほんとうに大切なのです。」(Circles of Exaltation〔address to religious educators, Brigham Young University,1968年6月28日〕8)
2.「心を神に従わせた」(ヒラマン3:35)
ヒラマン3:35について話し合いながら,ニール・A・マックスウェル長老の以下の言葉を分かち合う。
「わたしたちは,神に身をゆだねてこそ初めてわたしたちへの御心を少しずつ知ることができるのです。心から神を信頼し,その全能の力に頼ろうではありませんか。主はわたしたち以上にわたしたちを御存じであり,わたしたちの可能性を知っておられるのです。」(「喜んで服従する」『聖徒の道』1985年7月号,73)