「ビジネスの資金調達:学ぶ」始める,育てる,わたしのビジネス 自立に向けて 「ビジネスの資金調達:学ぶ」 学ぶ— 所要時間:60分以内 1. ビジネスを育てるための現金があるか 読む: すでに学んだように,成功するビジネスオーナーは,プラスのキャッシュフローサイクルを生み出すために努力します。綿密な計画と粘り強さによって,ビジネスを維持して育てるのに十分な現金を蓄えるのです。現在の現金持高を把握し,定期的に資金繰り計画を更新します。そして「すべて,賢明に秩序正しく行うように」します(モーサヤ4:27)。 さらに,ビジネスオーナーの多くは,第9章で学んだように,ビジネス拡大のチャンスに向けて資金を調達します。ビジネスのために資金を調達すると決めたら,まずキャッシュフローについて,とりわけ現在消費している現金と,将来消費が予想される現金について詳しく理解する必要があります。事業を運営し,不測の事態に対処し,目標に向かって成長するために,ビジネスに十分な現金があるようにすることが不可欠なのです。 2. お金を借りるのは良いことか,悪いことか 読む: 個人の負債とビジネスの負債は異なります。個人向けローンは,自分の支払い能力を超えた出費のために利用されることが多いものです。ビジネスローンは,自分の生産能力以上のものを生産する目的で利用すべきです。教会指導者は,個人の負債を避けるように勧告しています。ジョセフ・B・ワースリン長老はこう述べました。「質素な家,教育費,あるいは必要とされる1台の車など,一部の負債はやむを得ないと思います。けれども出費をよく考えずに消費者金融などを利用して,経済的に束縛されてはなりません。」(「この世の負債と天の負債」『リアホナ』2004年5月号,41)。 話し合う: 個人的な使用のために借金をした知人について考えてください。それは,その人を助けるものとなったでしょうか,それとも苦しめたでしょうか。 読む: ビジネス資金の融資について検討する際は,慎重を期すべきです。しかし,賢明に用いれば,「健全な事業融資は成長をもたらす要素の一つです」(「歴代大管長の教え-エズラ・タフト・ベンソン」254)。 ほとんどのビジネスは,成長するうえで追加の資本,すなわち資金を必要とします。ビジネスオーナーは一般的に,自分の貯蓄,負債による資金調達,または新株発行によって,追加資本を獲得します。負債による資金調達とは,ビジネスローンを利用し,後に利息をつけて返金することを意味します。新株発行による資金調達とは,会社の所有権の一部と引き換えに資金を受け取ることを意味します。 時に,ビジネスオーナーは政府の補助金やそのほかの機関からの資金を受けることもあります。そうした基金は通常,返済する必要がありません。 3. ビジネスの資金調達方法 読む: 成功するビジネスオーナーは,ビジネスを育てるために必要な資金を調達する際,十分に考慮し,創造力を働かせます。必要な資金を獲得する方法は多くあります。このセクションでは,3つのカテゴリーに分けてその方法を説明します。カテゴリー1では,個人の貯蓄のように,最初に使われることの多い資金について検討します。カテゴリー2では,負債による様々な資金調達の方法について学びます。カテゴリー3では,一部のビジネスオーナーが活用できると思われる,あまり一般的でない資金調達方法をまとめています。 カテゴリー1:一般的な資金調達方法 読む: ほとんどのビジネスオーナーはまず,自身の貯蓄やブートストラッピング(自己資本による起業,外部の支援に頼らないこと)により,あるいは親族や友人から融資や投資を受けることにより,ビジネスの発展に必要な資金を調達します。これらの方法では,ビジネスの成長を管理するうえで,素早く決定を下し,柔軟に対応できるようになります。 カテゴリー2:負債による資金調達方法 読む: 個人の資金を用いる方法に加えて,多くのビジネスオーナーは借入や負債による資金調達を行います。以下の質問は,借入について判断する際の指針として役立ちます。 個人的な理由からではなく,ビジネスを成長させるために借入をするのだろうか 最終的に持続不可能となるビジネスを支えるために,借入をするのだろうか このリスクを負うのに,今は正しい時期だろうか これから受ける融資の条件に不安はないだろうか 借入の額は適切だろうか 負債を返済しながら,またプラスのキャッシュフローへのリスクを最小限に抑えつつ,ビジネスを管理運営できるだろうか 話し合う: 自分のビジネスのために,借金を検討していると想像してください。この決定をするに当たり,前述の各質問がどのように役立つと思うか,グループで話し合います。 読む: クレジットカードは,負債による資金調達の最も一般的な方法ですが,高い金利を伴います。信用供与は柔軟性のある選択肢であり,ビジネスオーナーはそれによりキャッシュフローのニーズの変化に対応することができます。銀行ローンや小規模金融ローン,ピアツーピアレンディングなども利用可能で,多くの利点がありますが,通常は厳しい申請手続きが求められます。 カテゴリー3:利用頻度の低い資金調達方法 読む: ビジネスオーナーは時として,以下の表にあるような資金調達方法を試すことができます。これらの選択肢は,産業やビジネスの種類によって様々です。ほとんどの小規模ビジネスオーナーにとっては,一般的ではありません。 4. 資金調達方法を調べる 読む: 自分のビジネスに最適な資金調達方法を見つけるには,絶えず努力する必要があります。資金調達方法は地域によって大きく異なるので,個人や地域社会のネットワークを活用し,信頼できる人に相談することが大切です。インターネットや政府機関,地域社会のリソースが,調査をするうえで助けとなるでしょう。 話し合う: ビジネスの資金調達のために,助言や援助を提供してくれる地元や国の組織にはどのようなものがありますか ビジネスの資金調達について調べるうえで,どのようなオンラインリソースが助けとなるでしょうか 5. 金銭関係における高潔さ 読む: 信仰箇条第13条には次のように述べられています。「わたしたちは,正直〔で〕あるべきこと……を信じる。」金銭関係は,信頼と個人の高潔さに基づいています。高潔さをもって行動するとは,契約内容を守り,いかなる不正行為も避けることを意味します。 借金をしたら,確実に返済すべきです。教義と聖約において,主はこう言われました。「あなたは隣人から借りたならば,借りたものを返さなければならない。」(教義と聖約136:25) ビジネスのための資金をローンにより,または投資家や機関から獲得したら,その資金は意図された用途に用い,ほかの目的に流用してはなりません。個人や組織がビジネスに資金を提供する場合,わたしたちが契約内容を守るという信頼を抱いてもらうことが不可欠です。 次のような資金調達方法は避けるように勧告されています。すなわち,理解できない契約内容やうますぎる話,利害対立を生むものや,倫理的問題,違法にかかわるものです。 話し合う: 金銭問題において高潔さを保ち,不正行為を避けることに関して,どのようなことを学びましたか。