自立
6:学ぶ


「ビジネスの収益性管理:学ぶ」始める,育てる,わたしのビジネス 自立に向けて

「ビジネスの収益性管理:学ぶ」

学ぶ—

所要時間:60分以内

1. 記録を残すことの重要性

読む:

「わたしのビジネスはうまくいっているだろうか?」(本セクションの最後にある台本を参照)

話し合う:

ジャックのビジネス経験からどのようなことを学べますか。

読む:

成功するビジネスオーナーは,事業内容をよく整理しており,財政に関する詳細をきちんと記録しているものです。あなたのビジネスを成功させるためには,しっかりと財務記録を残すことが不可欠です。正確な記録がなければ,自分のビジネスが利益を上げているかどうかを判断することはできません。顧客全員から支払いを受け取ったかどうか,また経費の総額を把握することもできないのです。

本章では,正確な財務記録をつけることの大切さについて学びます。顧客にサービスや製品を販売することでビジネスが得るお金を表す収益,また,サービスや製品を確保するためにビジネスが費やすお金を表す経費といった言葉について学びます。今週,ビジネスの収益と経費を実際に記録し,利益が上がっているかどうかを確認します。

2. 記録を残す週間

読む:

成功するビジネスオーナーは,毎日記録をつけています。新しくビジネスを始めた人にとって,この習慣を身につけることは容易ではないかもしれませんが,非常に大切な事柄です。以下に,記録管理を成功させるための5つの戦略を挙げます。

  • 「理由」を覚えておく:正確な記録を残す,組織立ったビジネス経営からもたらされる長期的な恩恵について考えることで,意欲を保つことができます。

  • 新たなスキルを身につける:記録を残せるようになるうえで,新たなスキルを身につける必要に迫られる場合もあります。今日の話し合いは,こうしたスキルの習得に役立つでしょう。

  • 共謀者ではなく友人を選ぶ:あなたが正しいことを行うよう助けてくれるのが友人です。あなたが誤ったことを行うように仕向けるのが共謀者です。記録を続けられるように,信頼できる友人,メンター,または伴侶に助けを求めましょう。

  • 褒美を与える:日々の記録をつけることに対し,自分にご褒美を用意しましょう。

  • 適切なツールを入手する:仕事を確実にこなすためのツールを備えます。この集会の後半で,効率良く記録をつけるためのツールについて幾つか学びます。

話し合う:

上記の戦略のうち,あなたが毎日財務記録を残す習慣を身につけるうえで最も役立ちそうなものはどれでしょうか。

3.収支記録をつける

読む:

収支記録とは,重要なビジネス帳簿であり,一般に広く用いられています。この記録のおもな目的は,ビジネスにおいてお金の出入りがある度に記録を残すことです。もう一つの目的は,事業費と生活費を分けるうえで役立てることです(7章参照)。この記録を紙でつけるか,それともソフトウェアアプリケーション上で記録するかを決めます。そのどちらかを毎日使用することが非常に重要です。

4.損益計算書をつける

読む:

収支記録を作成したら,今度は損益計算書を作成することができます。損益計算書は,財務諸表またはPLとも呼ばれます。

先ほどの活動で,記憶に頼って利益を計算することがいかに大変だったか覚えていますか。そのようなときに役立つのが損益計算書です。これは,収支記録のすべての項目を合算し,特定の期間,例えば一週間,一か月,四半期,または一年間の収益と経費の情報を記録としてまとめたものです。この損益計算書によって,その期間中にビジネスが利益を上げたかどうかが分かります。

損益計算書には,以下の内容が記載されています。

  • 収益

  • 経費

  • 利益(または損失)

読む:

損益計算書の目的は,すべての収益と経費を各項目別に集計することであることに注目してください。あなたは,数十,数百,あるいは数千に及ぶ収支記録の項目を損益計算書にまとめることになるかもしれません。損益計算書の仕組みが理解できると,それを調べ,分析して得た洞察をビジネスの改善に役立てられるようになるでしょう。

話し合う:

損益計算書を調べることで,あなたはどのような洞察を得られるでしょうか。

5.収支記録と損益計算書を作成する

読む:

ビジネスが利益を上げているかどうかを知るためには,損益計算書を作ることが必要です。損益計算書を作成するためにまず必要となるのが,収支記録です。

話し合う:

成功するビジネスオーナーは,記録の持つ力を信頼しています。グループの中に,現在収支記録や損益計算書を作っている人はいますか。もしいれば,どのように役立っているかについて話してください。

読む:

今や皆さんは,ビジネスのために収支記録をつけることの大切さ,また通常の損益計算書を作成する際の基本事項について学びました。ビジネスが成長するにつれ,損益計算書はさらに複雑になっていくことでしょう。以下に挙げられているような,その他の収益や経費の項目も含める必要が出てくるでしょう。

  • 利子所得

  • 給与以外の,従業員にかかわる経費(健康保険,給与税など)

  • マーケティングおよび広告費

  • 家賃

  • 光熱費

  • 減価償却費

  • 保険料

  • 支払利息

こうした言葉に馴染みがなくても心配しないでください。さらに詳しい情報については,用語集を参照しましょう。ビジネスが成長するにつれ,こうした用語や,それらが損益計算書の中でどのように使われているかに精通したいと思うようになるでしょう。

6.ビジネスの財政に関する詳細の管理ツール

読む:

ビジネスの財政に関する詳細を管理するためには,総括的なツールを使う必要があります。このツールを用い,ビジネスの財政上の動きをすべて記録するのです。理想的には,収益,経費,収益性をまとめるための報告機能があるとよいでしょう。ビジネスの運営状況を記録することを毎日の習慣とできるように,簡単で使いやすいツールを用いるべきです。

ビジネスオーナーの中には,日々の受領を記録するために,ノートやフォルダーを使って始める人もいます。こうしたオーナーは,毎晩ノートと領収書を使ってスプレッドシートに収益と経費を記入します。ほとんどのオーナーはビジネスが成長するにつれて,デジタルアプリケーション(アプリ)やソフトウェアパッケージといった,さらに上級の記録作成ツールを使うようになります。オーナーによっては,財務管理のために会計士を雇う人もいます。

話し合う:

  • ビジネスの財政に関する詳細を管理するのに役立つツールとして,どのようなものを知っていますか。

  • あなたが推奨するツールの,最も便利な機能は何でしょうか。

読む:

ビジネスオーナーであるあなたは,収益と経費を記録するのに最も役立つと思われるツールやリソースを選ぶ必要があります。記録をつけることに関しては,ツールまたは会計士が大いに助けとなるでしょうが,あなたはビジネスの財務記録について理解し,それらを継続的に確認する必要があります。ビジネスが成長するにつれ,財政に関する様々な事項ついても理解を深めたいと思うようになるでしょう。

今日から,毎日収益と経費を記録し始めましょう。週の終わりに,あなたのビジネスの損益計算書を作成してください(役立つようであれば,本セクションの最後にある「リソース」に記載の未記入の用紙を活用する)。ビジネスの財務データがまだない場合は,架空のビジネスデータを作ります。すべての収支を記録する習慣は,あなたのビジネスにとって益となるでしょう。

印刷