「第8課 クラス準備資料:同性にひかれる気持ちを理解しようと努め,LGBTの兄弟姉妹を愛する」『永遠の家族 教師用資料』
「第8課 クラス準備資料」『永遠の家族 教師用資料』
第8課 クラス準備資料
同性にひかれる気持ちを理解しようと努め,LGBTの兄弟姉妹を愛する
わたしたちは皆,天の両親から愛されている子供です。わたしたちはまた,独自の才能や能力,経験を持つ個人でもあります。神の子供たちの中には,同性にひかれる気持ちを感じる人や,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー(LGBTと略されることが多い)を自認する人がいます。(トランスジェンダーのテーマについては第7課で採り上げている。)同性にひかれる気持ちを感じる人々や,LGBTを自認する人に対して,どのように対応してきましたか。同性にひかれる気持ちを感じてきた場合,これまで家族や友人,教会員との間で,どのような経験をしてきましたか。この資料を研究する際,さらに救い主のようになるために,また,天の御父のすべての子供たちに愛と包容と敬意をもって接するために,何ができるかを考えてください。
セクション1
同性にひかれる気持ちを抱いている人々に愛と敬意を示すために,救い主はどのように助けてくださるでしょうか
トーマス・S・モンソン大管長は次のように教えています:「愛はまさに福音の真髄であって,イエス・キリストはわたしたちの模範であられます。」(「愛—福音の真髄」『リアホナ』2014年5月号,91)地上での務めが終わりに近づいたとき,救い主は弟子たちに「新しい戒め」を与えて,真にすべての人を愛することの重要性を強調されました。
ほかの教会員と同様,同性にひかれる気持ちを感じる人にも,友人や家族がおり,希望や夢,長所や弱点があり,最善を尽くして人生の問題を乗り越えようと努力しています。残念ながら,同性にひかれる気持ちを感じる人やLGBTであると自認する人の中には,主の教会に自分の居場所がないと感じている人もいます。多くの人は,愛され,支えられていると感じることなく,むしろ,拒絶や孤立,混乱や恐れを感じています。
キャロル・F・マッコンキー姉妹は,中央若い女性会長会顧問を務めていたときに,次のように教えています:
「〔聖約の〕道を歩めるよう人々を手助けしなければ,わたしたちはキリストの弟子であるはずもなく,ましてや弟子と名乗ることもできません。イエス・キリストの福音が人を軽んじることはありません。人を軽んじるのは人です。……
わたしたちが地上に神の王国を築こうとしているのであれば,すべての人々が来て,個々の役割を果たす必要があります。」(“Lifting Others” [2:49], ChurchofJesusChrist.org)
救い主の生涯について少しの時間考えてください。受け入れられていると感じることが難しい人々に対して,主はどのようなときに愛を示されましたか。同性にひかれる気持ちを感じる人と話し合うときや接する際,以下の提案を実践することが,救い主の愛の模範によりよく従ううえでどのように役立つかを考えてください:
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心から気にかけ,心配し,思いやりをもって話し,行動する。十二使徒定員会のクエンティン・L・クック長老は次のように教えています:「わたしたちは教会として,だれよりも愛と思いやりを持った者であるべきです。……愛と思いやりを表し,手を差し伸べることにおいて,わたしたちが先頭に立ちましょう。」(“Let Us Be at the Forefront” [0:59], ChurchofJesusChrist.org;このビデオを見てさらに学んでください。)
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裁かずに耳を傾けることによって理解を深める。中央扶助協会会長会のジーン・B・ビンガム会長は次のように述べています:「良い関係を築く最善の方法の一つは,思い込みや先入観を持たず,偏見にとらわれない広い心をもって接することです。」(さらに学ぶには次のビデオを見てください。“Focus on the One” [2:32], ChurchofJesusChrist.org)
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同性にひかれる気持ちが現実のものであることを認識する。十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老は次のように勧告しています:「常に重要なことの一つは,その人の感情を認め,それが現実のものであり,偽りのないものであることを認め,だれかがある特定の感じ方をすることを否定しないことです。」(さらに学ぶには次のビデオを見てください。“Feelings Are Real and Authentic” [0:47], ChurchofJesusChrist.org)
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永遠の属性に目を向ける。ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように述べています:「商標の価値もそれぞれ異なります。しかし,何らかの肩書が皆さんの最も重要な属性に取って代わるなら,霊的に弱められる結果になるかもしれません。……ほかの称号が,『神の子』『聖約の子供』『イエス・キリストの弟子』という永続する称号に取って代わる,あるいは優先されるべきではない〔のです〕。」(「永遠にわたる決断」〔ヤングアダルト対象のワールドワイド・ディボーショナル,2022年5月15日〕,ChurchofJesusChrist.org)。
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神の戒めと聖約を尊ぶ。救い主がわたしたちを愛してくださるように人々を愛するとは,神の戒めに反する行いに同意したり,是認したり,促したりするという意味ではありません。イエス・キリストはこう教えておられます。「もしあなたがたがわたしを愛するならば,わたしのいましめを守るべきである。」(ヨハネ14:15)D・トッド・クリストファーソン長老は,神を愛せよという第一の戒めが第一であるのには意味があるということを,次のように説明しています:「第一の戒めを第一とすることで,第二の戒め〔隣り人を愛せよ〕を守る力が弱まったり,制限されたりすることはありません。むしろ,その力は増し加わり,強められます。……わたしたちは実質的に,神と力を合わせて神の子供たちの世話をしているため,神を愛することで,ほかの人々をもっと十分に,もっと完全に愛する能力が高まるのです。」(“The First Commandment First” [Brigham Young University devotional, Mar. 22, 2022], 2, speeches.byu.edu)
神の教義と戒めを,配慮をもって明確に伝えるとき,わたしたちは神とほかの人々への愛を示します。教会の「同性にひかれる気持ち」に関するリソースに,次のように述べられています:
「何が道徳的に正しいかに関する教会の見解に変更はありません。変わりつつあるのは,そして変わる必要があるのは,教会員が自分の家族やほかの教会員たちの中で,またはそれ以外のところで同性にひかれる人と出会ったときに,細やかな心配りをもって,思慮深く対応できるように助けるという点です。」(「同性にひかれる気持ち:教会指導者」の中の「愛をもって教義を伝える」の項,ChurchofJesusChrist.org)
セクション2
同性にひかれる気持ちについて知っておくべきことには,どのようなものがあるでしょうか
ゲイ(一般的に同性にひかれる人を指すのに使用されることもあるが,特に男性にひきつけられる男性を指すときに使用される),レズビアン(女性にひかれる女性),バイセクシュアル(両性にひかれる男性または女性)などの用語は,感情やアイデンティティー,ライフスタイルを示すために使用されることもあります。人が性的感情や性的志向を表すうえで使う言葉や用語にかかわらず,わたしたちの最も大切なアイデンティティーは,「天の両親から愛されている霊の息子,娘で〔ある〕」(「家族—世界への宣言」,ChurchofJesusChrist.org)ということを覚えておきましょう。
わたしたちの性的関心の発達は複雑であり,多くの要因によって影響を受けています。同性にひかれる気持ちの強さは変化し,時間の経過とともに変動することがあり,だれにとっても同じではありません。教会は,同性にひかれる原因について公式な見解を持っていません(「同性にひかれる気持ち:個人」,ChurchofJesusChrist.org参照)。
天の御父は,御自分の子供たちに対する深い愛のゆえに,純潔の律法を与え,性的な関係は「法律に基づいて結婚した夫婦である男女の間においてのみ」(「家族—世界への宣言」)持つべきであると命じられました。この律法は,神の計画における性の神聖な目的を守るもので,神のすべての子供たちに適用されます。天の御父は,性的な関係を「子供をもうけ,結婚生活の中で愛を表現するため」(「福音トピックス」「純潔」の項,topics.ChurchofJesusChrist.org)に結婚の聖約の中で男女間で持つものであると定めておられます。
純潔の律法に関する教えを改めるようにという社会的圧力にこたえて,D・トッド・クリストファーソン長老は次のように述べています:
「純潔の律法は初めから適用されてきました。……性的な関係は主の目から見て,法律上結婚した男女の間でのみ適切であり合法であるというわたしたちの教義は,単なる信条ではなく,教義であり,その教義は不変であり,決して変わることはありません。」(In Sarah Jane Weaver, “Church’s Doctrine on Chastity Will Never Change, Says Elder Christofferson,” Church News, Feb. 5, 2015, ChurchofJesusChrist.org)
感情と行動を区別することが大切です。同性にひかれる気持ちを感じたり,ゲイ,レズビアン,バイセクシュアルであったりしても,その人が罪深いとか,悪いとか,欠陥があるということにはなりません。しかし,そうした感情に従って行動して純潔の律法を破ることは,天の御父の戒めに反する行為です。
同性にひかれる気持ちに関する教会の立場について,十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード会長は次のように教えています:
「末日聖徒イエス・キリスト教会の考えを明確に伝えましょう。『同性にひかれる気持ちを感じることは,多くの人にとって複雑に入り組んだ現実です。心をひかれる気持ち自体は罪ではなく,その気持ちに従って行動を起こすことが罪なのです。だれにひかれるかを選択することができないとしても,その気持ちにどう対応するかは選択できます。』〔「同性にひかれる気持ち:個人」,「同性にひかれる気持ちは罪でしょうか?」の項,ChurchofJesusChrist.org参照〕」(「主は今あなたを必要としておられます!」『リアホナ』2015年9月号,15参照)
主の憐れみは,純潔の律法を破ったどのような人にも及びます。その人々が主のもとに来て悔い改めることを選ぶならば,主は彼らを赦してくださいます。
同性にひかれる気持ちを感じていたり,LGBTであると自認したりしていたとしても,戒めを守っている教会員は,教会に完全に参加し,召しを受け,神殿で礼拝することができます(see D. Todd Christofferson, “LGBT People Who Live God’s Laws Can Fully Participate in the Church” [0:48], ;教義と聖約97:8も参照)。
同性にひかれる気持ちを抱いているならば,「さらに深く知る」のセクションで紹介されているリソースが,自分の生活にどのように祝福をもたらすかを考えてみましょう。また,抵抗がなければ,信頼できる家族や友人,教会の指導者に自分の経験を話してみることを考えてみましょう。自分の永遠の目標からそれてしまうような方法で,公に自分自身にレッテルを貼ることのないよう注意してください。
セクション3
同性にひかれる気持ちに関する相反する意見のすべてを理解するには,どうすればよいでしょうか
現在,結婚,家族,同性にひかれる気持ち,LGBTのテーマについて,様々な見方があります。これらのテーマについて学ぶとき,天の御父の永遠の観点をよりよく理解するよう努めることは大切です。
ビンガム会長は次のように教えています:
「すべてのことを明確にする観点は永遠の観点です。すなわち,天の御父の完全で,あらゆるものを網羅する視点です。……
神は御自分の視点から,わたしたちやわたしたちを取り巻くすべてのものを『現在のことをありのままに……未来のこともまた,ありのままに』〔モルモン書ヤコブ4:13〕御覧になっておられます。神の視点は,今現在に限定されるのではなく,長期的な視点であり,わたしたちの現在や過去の状態だけでなく,わたしたちの神聖な可能性を御覧になっておられます。そして,神は愛というレンズを通して御自分のすべての創造物を見ておられるのです。」(“How to Be Happy Now—and Forever” [Brigham Young University devotional, Dec. 10, 2019], 2, speeches.byu.edu)
以下の真理と,その真理を裏付ける預言者と使徒たちの言葉を読みながら,それらの言葉が同性にひかれる気持ちに関してさらに永遠の観点で捉えるうえでどのように助けとなるかを考えてください。
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天の御父は御自分のすべての子供たちを愛しておられる(1ニーファイ11:17;1ヨハネ4:9-10,16参照)。
モンソン大管長は次のように教えています:
「天の御父は皆さんを,皆さん一人一人を愛しておられます。その愛は不変です。……皆さんが悲しんでいるとき,喜んでいるとき,落胆しているとき,希望に満ちているとき,皆さんのために存在しています。神の愛は,皆さんがその愛にふさわしいと感じているかどうかにかかわらず,皆さんのために存在しています。」(「決して独りで歩いているのではない」『リアホナ』2013年11月号,123-124)
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救い主はわたしたちが経験していることを完全に理解しておられ,わたしたち一人一人を助け,強める方法を御存じです(アルマ7:11-12参照)。
オークス管長は次のように述べています:
「救い主は,……死すべき状態に含まれるあらゆる試練を……受けられました。ですから主は,人の苦闘,心痛,試練,苦痛を御存じなのです。それは,主が贖罪の本質的な部分として,それらをすべて進んで経験されたからです。それゆえに,主の贖罪を通して,主は人を救うことがおできになります。すなわち,すべてに耐える強さを人にお授けになれるのです。」(「イエス・キリストの贖罪により強められる」『リアホナ』2015年11月号,61-62)
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わたしたちには皆,救い主の教会と天の御父の永遠の幸福の計画の中で居場所があります(詩篇84:11-12;1コリント12:12-26;モーサヤ2:41参照)。
バラード会長は次のように説明しています:
「教会員であってゲイまたはレズビアンである方にはだれであれ,知っていただきたいことがあります。皆さんには王国において居場所があるとわたしは信じています。また,皆さんにとって,時に主の教会のどこに自分の居場所があるのか見つけるのが難しいことがあるのも承知しています。それでも,皆さんには居場所があるのです。」” [Brigham Young University devotional, Nov. 14, 2017], 3, (“Questions and Answersspeeches.byu.edu)
同性にひかれる気持ちを感じている人の中には,天の御父の幸福の計画において次の世での自分たちの居場所はどうなるのか疑問に思う人もいます。愛にあふれた天の御父は,御父に頼り,忠実であり続けるすべての人を祝福してくださると,預言者たちはわたしたちに保証しています。ウリセス・ソアレス長老は次のように勧告しています:
「同性にひかれる思いを持ち,落胆し無力感を抱いている皆さんにも,同じ原則が当てはまります。中にはそれを理由に,イエス・キリストの福音はもう自分のためにあるのではないと感じている人もいるかもしれません。もしそうなら,確信をもって皆さんにお伝えします。どんなときも,父なる神と神の幸福の計画,イエス・キリストとその贖い,また愛に満ちた戒めに従って生きることには希望があります。確固として動かずに神の戒めを守り〔アルマ1:25参照〕,いつも多くの善い行いをするなら〔モーサヤ5:15参照〕,主は,その完全な知恵と力,正義と憐れみによって,わたしたちを御自分のものとして結び固め,主の御前に導き,永遠の救いにあずからせてくださるでしょう。」(「自分の十字架を負う」『リアホナ』2019年11月号,114)
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天の御父とイエス・キリストに心を向け,御二方と交わした聖約を守るならば,希望によって支えられます(2ニーファイ31:20参照)。
当時大管長会の一員であったディーター・F・ウークトドルフ管長は,次のように証しています:
「わたしたちはキリストであるイエスに希望を持っています。神の慈しみに,聖なる御霊の現れに,そして祈りが聞かれ,こたえられるという知識に希望を持っています。……このような希望を……持つなら,難しい状況の中で勇気を得,気持ちを新たにし,迫り来る恐れ,疑い,絶望に対して力を得ることができます。」(「希望という無限の力」『リアホナ』2008年11月号,23)