「第26課 クラス用準備資料:虐待に対する認識と癒し」『永遠の家族 教師用資料』
「第26課 クラス用準備資料」『永遠の家族 教師用資料』
第26課 クラス用準備資料
虐待に対する認識と癒し
虐待は重大な罪です。預言者と使徒は次のように警告しています。「伴侶や子供を虐待する人々……は,いつの日か,神の御前に立って報告することになります。」(「家族—世界への宣言」ChurchofJesusChrist.org)本課を研究する際,虐待がいつ起こっているのか,また虐待の影響を受けた人々が主によってどのように癒されるかを認識する方法を見つけてください。
セクション1
虐待とは何でしょうか。
わたしたちの選択は,自分自身にもほかの人にも様々な結果をもたらす可能性があります。悲しいことに,道徳的な選択の自由を不義に使ってほかの人を虐待する人もいます。
「多くの場合,虐待には,あらゆる状況に適用できる単一の定義というものは存在しません。むしろ,虐待行為の深刻さは広範囲に及びます。その範囲は,時折きつい言葉をかけるものから,重大な危害を加えるものまで多岐にわたります。」(『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』38.6.2.4,ChurchofJesusChrist.org)虐待は,ほかの人に対する身体的,性的,情緒的,あるいは経済的なネグレクトや不当な扱いを通して起こり得ます。
ある教会のリソースでは,次のように説明されています。
主はわたしたちに,虐待を防ぎ,虐待の被害者を保護し助けるために全力を尽くすよう求めておられます。虐待行為に耐えるよう求められている人は一人もいません。
加害者がだれであろうと,他者の有害な行為のために,被害者が非難されるようなことは,決してあってはなりません。被害者には一切罪がないのです。(福音トピックス「虐待」topics.ChurchofJesusChrist.org)
十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老は,ほかの人々,特に家族を虐待しないようにすることに関して,イエス・キリストの弟子としてのわたしたちの責任について次のように述べています。
わたしたちは,主イエス・キリストの弟子として……特に気をつける必要があります。いかなる場合であれ,身体的,精神的に,また教会の執務上であろうと,いかなる形の虐待や不義の支配,不道徳な強制が決してあってはなりません。……
忠実な男性や女性,時には子供たちでさえ,主の神殿において聖なる儀式を通して自分たちが結び固めを受けた相手に思いやりのない言葉,時には破壊的な言葉を口にすることがあまりにも多くあります。すべての人が愛され,平安を感じ,家庭に安全な居場所を見つける権利を持っています。どうか,わたしたちがそのような環境を維持するための努力ができますように。平和をつくり出す人となるという約束は,常に聖霊を伴侶とし,祝福が「強いられることなく」,とこしえに,あなたに流れ込むということです〔教義と聖約121:46〕。(「世が与えるようなものとは異なる」『リアホナ』2021年5月号,37。エペソ4:29-32も参照)
セクション2
虐待が起きていることを,どのようにして認識できるでしょうか。
「虐待には,その始まりと継続時にしばしば見られる一般的な兆候があります。」(「虐待のパターンを認識する」abuse.ChurchofJesusChrist.org)これらの兆候を認識し,理解することは,虐待をやめさせたり,虐待につながる状況を防ぐために主が皆さんを通して働かれるよう扉を開くことになります。
自分自身やほかの人に対する虐待の深刻さを決して過小評価しないでください。「あなた自身または知人が虐待を受けているなら,今すぐ公的機関,児童福祉サービス〔訳注—児童相談所など〕,または成人福祉サービス〔訳注—警察やDV被害者相談,女性相談センターなど〕に助けを求めてください。」(「危険な状況にありますか。今すぐ相談してください。」abuse.ChurchofJesusChrist.org)虐待の通報に関するその他の情報については,「ある人が虐待されているのを知っているか,その疑いがある場合はどうしたらよいでしょうか」(abuse.ChurchofJesusChrist.org)を参照してください。
セクション3
虐待を受けた場合,どのように癒しを受けることができるでしょうか。
虐待の被害者は深い傷を負っています。被害者が経験した苦痛やトラウマは,精神的,情緒的,霊的,身体的な問題を引き起こす可能性があります。
十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は次のように警告しています。
もしあなたが虐待を受けているとしたら,サタンは逃れる道はないと諦めさせようとするでしょう。……あなたをどうにかして御父と御子から引き離そうとするのです。助かる方法がないと信じ込ませるサタンの策略に乗せられてはなりません。(「虐待の傷を癒す」『リアホナ』2008年5月号,41)
癒し主であられるイエス・キリストは,神のすべての子供たちに希望と究極の癒しを与えることがおできになります。スコット長老はさらに次のように教えています。
道徳的な選択の自由は,天の御父の幸福の計画において不可欠の要素です。霊の子供たちの中にはその自由を不正に用いて,他人に重大な問題を引き起こす者が出ることを天の御父は御存じでした。父親や家族が罪のない子供を虐待するなどという,神の信頼を裏切る者さえ現れることも分かっておられました。天の御父は完全な正義の御方であるため,選択の自由を悪用することで被害者と本人双方が被る痛ましい結果を克服する方法が用意されているはずです。御父の愛される御子イエス・キリストの贖いの力によって不義が正されると,確かな癒しがもたらされるのです。イエス・キリストと主の贖いの力を信じる信仰は,虐待された人に,他人の不正な行為による忌まわしい結果から立ち直る方法を与えてくれます。……
思慮深いビショップ,ステーク会長あるいは専門のカウンセラーとともに癒しの最初の段階を歩むべき場合もあります。もし足を骨折したとしたら,自分で治そうとはしないでしょう。深刻な虐待も専門家の助けを借りることができます。癒しのきっかけは様々ですが,完全な治癒は,救い主,贖い主である主イエス・キリストを通してもたらされることを忘れてはなりません。あなた自身の努力とともに,主の完全で,永遠の,そして無限の贖いが虐待の傷を癒してくれることに信仰を寄せてください。(「虐待の傷を癒す」40,42)
預言者イザヤは,救い主の使命と癒しの力について述べています。
「灰にかえて」(3節)という言葉をさらによく理解するには,イスラエルの民は,悲しみや絶望の時に灰を頭にかける習慣があったことを知っておくと助けになるかもしれません。主は,この灰を美しさ,あるいは,冠や美しい頭の覆いに換えると約束されました。イエス・キリストを信じる信仰を行使する人は,癒しと愛というこの神聖な賜物を経験することができます。
ビデオ「平和の君」(2:32)を視聴し,虐待の被害者に平安を与えるうえでイエス・キリストがどのように助けてくださるのか考えてください。
中央扶助協会会長のジーン・B・ビンガム会長は次のように明言しています。
わたしたちが耐えているものが何であれ,〔イエス・〕キリストは癒しの源であられます。何らかの虐待……を経験した人も皆,世の贖い主によってすっかり元どおりになるのです。しかし,招かれることなしに主が入られることはありません。わたしたちは主のみもとに行き,主が奇跡を行われるようにする必要があるのです。(「あなたがたの喜びが満ちあふれるためである」『リアホナ』2017年11月号,86)