「6:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』
「6:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』
学ぶ—所要時間:60分以内
1.怒りを理解する
読む:
だれもが怒りを経験します。怒りを抱く理由は数え切れないほどあります。感情を必ずしもコントロールできるわけではありませんし,怒りの中では正当化してしまいがちです。攻撃的な形で怒りを表すことで,一時は気分がよくなるかもしれませんが,長い目で見た場合には,それは気分の改善には役立ちません。怒りを表すことで,緊迫した関係,身体的な病気,財政的な損失,自身あるいは他人を霊的に,あるいは場合によっては身体的に傷つけることにつながる可能性があります。
救い主はニーファイ人に次のように教えられました。「論争が,今後は決してあなたがたの中にあってはならない。……まことに,まことに,あなたがたに言う。争いの心を持つ者はわたしにつく者ではなく,争いの父である悪魔につく者である。悪魔は互いに怒って争うように人々の心をあおり立てる。見よ,互いに怒るように人々の心をあおり立てるのは,わたしの教義ではない。このようなことをやめるようにというのが,わたしの教義である。」(3ニーファイ11:29-30)
深く考える:
あなたが怒りを感じたときのことを思い出し,下の表を完成させましょう。
状況 |
どのように反応しましたか |
どのような結果となりましたか |
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状況 例 息子に新しい靴を買った。昨夜,息子がその靴を外に置いたままにし,盗まれてしまった。 | どのように反応しましたか わたしは息子に腹を立て,無責任さと靴を外に置いたままにしたことについて怒鳴りつけた。 | どのような結果となりましたか 息子はわたしが怖くなり,話をしたがらなかった。息子はその靴がとても気に入っていたので,自分の失敗についてますます暗い気持ちになっている。 |
話し合う:
怒りにうまく対処することは,イエス・キリストのより良い弟子となるうえでどのような助けとなるでしょうか。
2.怒りがどのように増大するかを理解する
読む:
怒りの思いから離れないままでいると,わたしたちの体も反応します。身体的な反応によって,「感情の温度」が上がっていきます。特定の行為によって怒りが強まることもあります。ですから,「冷却する」のに役立つスキルを学ぶことが,怒りにうまく対処するうえで重要です。
話し合う:
これまでにあなたが「冷却する」のに役立ってきたものとして,ほかにどのようなことがありますか。
3.怒りの背後にある感情を理解する
読む:
怒りにうまく対処するには,その根底にある様々な感情を特定するとよいでしょう。根底にあるほんとうの感情に対処するよりも,怒った方が容易であることが多くあります。以下は,怒っているときにその根底にあるかもしれない感情や経験を幾つかリストにしています。
根底にある感情や気持ち |
根底にある感情や気持ち |
根底にある感情や気持ち |
根底にある感情や気持ち | ||||||||||||
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根底にある感情や気持ち
| 根底にある感情や気持ち
| 根底にある感情や気持ち
| 根底にある感情や気持ち
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話し合う:
祈ることは,わたしたちが怒りを冷ますうえでどのように役立つでしょうか。
4.怒りに対して異なった反応を選ぶ
読む:
選択の自由と怒りの関係を理解することは,重要です。生活の中で物事が起こるとき,わたしたちは怒りを覚えることがありますが,この感情にどう反応するかは選ぶことができ,怒ることもできれば,愛を示し,優しく,寛容になることもできます。
リン・G・ロビンズ長老は,運動の才能に恵まれたある若者がスポーツチームの入部テストを受けたときのことについて述べました。練習の初日に,その若者は全選手が見守る中で1対1のプレーをするようにコーチから言われました。「彼は簡単なシュートを外したときに,思わず頭に血が上ってじだんだを踏み,泣き言を言いました。するとコーチがやって来て言ったのです。『今度そんな態度を見せたら,二度とうちのチームではプレーさせないぞ。』それから3年間,彼は自制心を失うようなことは一度もありませんでした。後年,彼はこの出来事を振り返って,その日コーチから,人生を変える原則を教えられたと知りました。それは,怒りはコントロールできるということです。」(「選択の自由と怒り」『聖徒の道』1998年7月号,86)
話し合う:
あなたが怒らないという選びをしたのはどのようなときですか。
読む:
選ぶことのできる反応の仕方の一つは,ユーモアです。ジェフリー・R・ホランド長老は次のように教えました。「イエスは子供たちに特別な喜びを見いだされ,わたしたち皆に,無垢で清く,すぐに笑い,愛し,赦〔す〕……子供たちのようになりなさいと,おっしゃいました。」(「わたしを記念するため,このように行いなさい」『聖徒の道』1996年1月号,74)自分自身に対して笑ったり,ある状況にユーモアを見いだしたりすることができれば,人生における予期せぬ落胆や失望によりよく対処する助けとなります。心を高揚させるユーモアは,あなたの態度,人間関係,健康を向上させる助けとなります。この種のユーモアは,ほかの人の気分を害したり,恥ずかしい思いをさせたりすることはありません。箴言で述べられているように,「心の楽しみは良い薬」です(箴言17:22)。常に笑っているのは適切なことではありませんが,ほとんどの人が,もっと笑うことで恩恵を受けることができます。
話し合う:
適切なユーモアは,わたしたちが怒りにうまく対処するうえでどのように役立つでしょうか。
5.イエス・キリストの弟子として怒りにうまく対処する
読む:
イエス・キリストと一つとなって生活することは,怒りではなく平安を感じる助けとなります。イエス・キリストと一体になることでもたらされる心の「大きな変化」を通して(アルマ5:14),人を赦し,「絶えず善を行〔い〕」(モーサヤ5:2),主を待ち望む」ことを願うようになります(詩篇37:9)。聖霊はわたしたちを「愛,喜び,平和,寛容,慈愛,善意,忠実,柔和,〔そして〕自制」で満たしてくださいます(ガラテヤ5:22-23)。
視聴する:
「赦し—わたしの重荷は軽くされた」はhttps://www.churchofjesuschrist.org/media-library/video/2010-07-14-forgiveness-my-burden-was-made-light?lang=jpnで視聴可能です〔8分24秒〕。
赦し―わたしの重荷は軽くされた
話し合う:
怒りにうまく対処するために救い主を頼るとき,わたしたちはどのように祝福されるでしょうか。
読む:
怒りは,暴力的または虐待的な行為につながることがあります。家庭内暴力は,単なる不和とは違います。だれも虐待や暴力に耐えたり,許容したりすることは期待されていません。危機に対するヘルプライン(英語のみ)については,abuse.ChurchofJesusChrist.org やほかのリソースを参照してください。
もしあなたが家庭内暴力の被害を受けているなら,すぐに適切な機関に連絡し,助けを受けてください。教会はいかなる種類の虐待も容認しません。ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこう述べました。「わたしたちはいかなる形であれ,虐待やそれに類する行為については,強く非難します。伴侶や子供に対する身体的,性的な虐待はおろか,言葉のうえでも情緒的な面でも,虐待はあってはならないとわたしたちは考えています。」(「人々がわたしたちについて尋ねること」『聖徒の道』1999年1月号,78)あなたが虐待の被害者であれ加害者であれ,もし虐待に巻き込まれているなら,今,助けを求めてください。あなたのビショップは,あなたが癒しを受けるよう助けることができます。
自分の怒りに気づくためのエクササイズ
あなたの怒りを誘発する状況を幾つか説明してください(例えば,伴侶や友人との口論,財政的な問題への対処,家が散らかっていること)。 | |
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あなたの怒りを増大させる考えや思いを説明してください(例えば,「彼らは自分のことしか考えていない」,「あの人は無責任極まりない」)。 | |
あなたの怒りの背後にある感情を説明してください(例えば,尊敬されていない,利用された,無視されたと感じる)。 | |
怒りが湧いているサインだと感じる,体の反応を説明してください(例えば,手のひらが汗ばむ,心臓の鼓動が速くなる,緊張する,いらいらする)。 | |
怒りの中であなたがどのように振る舞うか,いちばんひどい行為を含めて説明してください(例えば,怒鳴る,乱暴にドアを閉める,たたく)。 | |
あなたの怒りを冷ますスキルを説明してください(例えば,10数える,呼吸エクササイズをする)。 | |
今度怒りを感じたときにどのように反応するかを説明してください。 |