日曜学校―福音の教義
第13課:「この時代の人々は,あなたを通してわたしの言葉を受ける」


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「この時代の人々は,あなたを通してわたしの言葉を受ける」

目的

現在の神権時代に主の言葉をもたらすために預言者ジョセフ・スミスが果たした役割を理解できるようにする。

準備

  1. 本課で採り上げられている聖句とその他の資料を祈りの気持ちで研究する。

    1. 『わたしたちの受け継ぎ』23-254158ページ

    2. 『聖句ガイド』「ジョセフ・スミス訳」の項,133ページ。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の13課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 一人の生徒に『戒めの書』を暴徒から守ったメアリーとキャロラインの物語について概要を発表する準備をしてくるよう依頼する(『わたしたちの受け継ぎ』37-38ページ)。

  4. 「『戒めの書』を暴徒から守ったメアリーとキャロライン」の絵(『福音の視覚資料セット』409)を入手できる場合は,レッスンで利用できるように準備しておく。

  5. 73-74ページの表から選んだ箇所を模造紙に書くか黒板に書くよう準備しておく。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

レッスンが始まる前に以下の事項の全部または一部を黒板に書き出しておく。

神会を構成する御方

神の形にかたどって創造されたわたしたち

使徒と預言者

メルキゼデク神権

アロン神権

バプテスマの様式

聖霊の賜物

前世での存在

死者のためのバプテスマ

復活

3つの栄光の王国

永遠の結婚

天父のようになるためのわたしたちの可能性

一人の生徒に,預言者ジョセフ・スミスを通して明らかにされなかった事項を黒板から消すように言う。黒板から消す事項は一つもないことを確認できるようにする。つまり,これらの真理はすべて預言者ジョセフを通して回復された。本課では現在の神権時代にジョセフ・スミスがどのようにして主の言葉をもたらすための器となったかについて話し合う。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。教えた原則に関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。

1.現在の神権時代の人々はジョセフ・スミスを通して主の言葉を受けると主は宣言された

教義と聖約5:10を生徒とともに読む。この聖句の中の「この時代」とはこの神権時代,すなわちわたしたちが生きている時代を指していることを説明する。続いて,以下のブリガム・ヤング大管長の言葉を読む。

「わたしが主から頂いたものはすべて,ジョセフ・スミスを通して授けられたものです。」(『歴代大管長の教え—ブリガム・ヤング』377)

  • あなたにとってこの言葉はどのように当てはまるでしょうか。すべての末日聖徒にとってはどうでしょうか。

現在の神権時代に明らかにされた数々の真理は預言者ジョセフ・スミスを通して明らかにされたことを指摘する。例えば,末日の聖文,神権の儀式,神権の組織,神殿の建設は預言者ジョセフ・スミスを通して主から与えられている。

2.預言者ジョセフ・スミスを通して古代と末日の聖文が数多くもたらされた

  • モーセ1:40-41を生徒とともに読む。41節の預言はどのように成就しているでしょうか(多くの人が主の言葉を価値のないものと見なしていた時代に,主は預言者ジョセフ・スミスを興こされたことを強調する。主の言葉は現在「人の子ら……の中に再びある」のである)。

  • 預言者ジョセフ・スミスを通してどのような聖文がわたしたちにもたらされているでしょうか(モルモン書,教義と聖約,高価な真珠,聖書のジョセフ・スミス訳。ジョセフ・スミスは古代の聖文を回復するために主の手に使われる者であったこと,またジョセフ・スミスは末日の聖文となった多くの啓示を受けたことを指摘する)。

    十二使徒定員会のリグランド・リチャーズ長老はジョセフ・スミスについてこのように語った。「わたしたちが手にしている記録から見るかぎり,かつて地上に生を受けた預言者でジョセフ・スミスほど啓示された真理を,わたしたちにもたらしてくれた預言者はいません。」(「預言者の召し」『聖徒の道』1981年9月号,55)

モルモン書

2 ニーファイ3:11-15を生徒とともに読む。この聖句にはジョセフ・スミスに関する預言が記されていることを説明する。12節の書き記されたものとは聖書とモルモン書である。

  • モルモン書はどのように論争を抑え,平和を確立しているでしょうか。モルモン書はどのようにして主の聖約の知識を人々にもたらしているでしょうか。

  • モルモン書はあなたの生活にどのように祝福をもたらしているでしょうか。

  • あなたはモルモン書の中のどの聖句が好きですか。

この話し合いの中で,モルモン書の中からあなたにとって特別な意味を持つ聖句を一つか二つ紹介するとよい。

教義と聖約

ジョセフ・スミスは1823年から1831年までに60以上の啓示を主から受けたことを説明する。これらの啓示は一部が手書きで複写されて宣教師やそのほかの人々に与えられたが,ほとんどの教会員は見ることがなかった。1831年後半にオハイオ州で開かれた大会において,教会の指導者たちは『戒めの書』と呼ばれる書物としてそれらの啓示を出版することにした(教義と聖約67章教義と聖約69章の前書き参照)。オリバー・カウドリとジョン・ホイットマーが約1,609キロ離れたミズーリ州インディペンデンスまで啓示を記した原稿を運び,そこで印刷と製本が行われることになった。

オリバー・カウドリとジョン・ホイットマーは1832年1月にインディペンデンスに到着した。ウィリアム・W・フェルプスは1833年7月までに,『戒めの書』の160ページまでの印刷を終えていた。しかし,1833年7月20日,暴徒がフェルプス兄弟の印刷所を襲撃して,『戒めの書』のまだ製本していないページの多くを破損させた。

割り当てておいた生徒にメアリー・エリザベスとキャロライン・ロリンズの勇気ある行動の物語について話してもらう(『わたしたちの受け継ぎ』37-38ページ)。

守られたページは製本されて何冊かの『戒めの書』として出版されたが,まだ多くの人々に行き渡るまでには至らなかった。1835年に,さらに45の啓示が追加されて『戒めの書』は教義と聖約として出版された。

  • メアリー・エリザベスとキャロライン・ロリンズの物語は,わたしたちが教義と聖約の啓示をどのように大切にすべきだと教えているでしょうか。

  • あなたは今年,教義と聖約を研究してどのような祝福を受けてきたでしょうか。

  • あなたは教義と聖約の中でどの聖句が好きですか。

この話し合いの中で,教義と聖約の中からあなたにとって特別な意味を持つ聖句を一つか二つ紹介するとよい。

The Book of Commandments

『戒めの書』これは預言者ジョセフ・スミスを通じて与えられた啓示をまとめた最初の書物である。これらの啓示は後に,教義と聖約の一部となった。

高価な真珠

高価な真珠は実に適切な書名が付けられていることを指摘する。この聖文は真珠のように小さい(ページ数が少ない)が大きな価値を持っている。わずか82ページの中に永遠の時の広がりを収めている。すなわち,天上の大会議,時満ちる神権時代における福音の回復,救い主の再臨,福千年,永遠の命について記されている。また,天地創造,アダムの堕落,キリストの贖罪,人の選択の自由に関する貴重な教えが収められている。この聖文は5つの部分に分けられる。

  1. モーセ書からの抜粋

  2. アブラハム書

  3. ジョセフ・スミス—マタイ

  4. ジョセフ・スミス—歴史

  5. 信仰箇条

生徒に高価な真珠の序文を開いてもらう。5段落目から最後までに目を通す(「モーセ書……」から)。この聖文の各書の背景がここで説明されている。

  • 高価な真珠の教えはあなたの生活の中でどのように役立っているでしょうか。高価な真珠の中であなたにとって特別な意味のある聖句にはどのようなものがあるでしょうか。

この話し合いの中で,高価な真珠の中からあなたが特に好きな聖句を一つか二つ紹介するとよい。

聖書のジョセフ・スミス訳

  • 信仰箇条1:8を生徒とともに読む。「正確に翻訳されているかぎり」という語句にはどのような意味があるでしょうか。

1 ニーファイ13:24-28を生徒とともに読む(「ユダヤ人の口から出て来た〔書物〕」とは聖書を指していることを説明する。「大きな忌まわしい教会」とは神に対して戦いを挑む人々を指しているのであって,特定の教会を指しているのではない)。大背教のために,主は地上から完全な福音を取り上げられたことを生徒に思い起こしてもらう。その後の十数世紀の間に,聖書の多くの部分が変えられ,分かりやすくて貴い多くの真理が失われた。

教会が回復されてから間もなくして,主は預言者ジョセフに欽定訳聖書を霊感によって訂正する作業を始めるよう指示された。教義と聖約にはこの指示について述べられた箇所が数多くある(例として,教義と聖約35:2037:145:60-6173:3-493:53を参照)。今日,わたしたちは預言者の記したこの書物を「聖書のジョセフ・スミス訳」と呼んでいる。

聖書のジョセフ・スミス訳はわたしたちが普通に考える翻訳とは異なる。預言者は聖書をある言語から別の言語に翻訳したわけではない。預言者が手にした唯一の原典は欽定訳聖書であり,御霊の導きによって訂正を行い,完全に失われていた聖句を回復した。

ジョセフ・スミス訳からの二つの抜粋が高価な真珠に含められている(モーセ書とジョセフ・スミス—マタイ)。さらにジョセフ・スミス訳の一部が末日聖徒版欽定訳聖書(英語)の脚注に含まれている。長文の抜粋は『聖句ガイド』の最後に掲載されている。

生徒がジョセフ・スミス訳について認識を深められるように,幾つかの節を欽定訳と対比させるとよい。例として,以下の二つの節を挙げる。

  1. エノクの物語と教えはジョセフ・スミス訳において長い節が回復された一つの例である。聖書でエノクについて引用されている箇所は,創世5:18-24ルカ3:37ヘブル11:5ユダ1:14-15だけである。エノクに関するジョセフ・スミス訳はモーセ6:21-68モーセ7:1-69に記録されているように,エノクの教え,示現,預言に至るまで大幅に広げられている。この中から何節かを選んで読み,その価値について話し合う。

  2. マタイ4章の改訂は聖書の特定の節を霊感によって訂正した例である。『聖句ガイド』のマタイ4章のジョセフ・スミス訳を生徒に検討してもらう。これらの訂正によって欽定訳聖書の節がどれほど明確になっているかについて話し合う。

聖書を翻訳する過程で生まれたものは,聖書の教えの訂正と回復だけではなかった。教義と聖約を通しての教義の回復ももたらされた。教義と聖約中の多くの啓示は預言者が聖書の翻訳について深く思い巡らしていたときに主にお尋ねした質問の答えである。ジョセフ・スミス訳を長年にわたって研究してきたある教会員はこのように述べている。「ジョセフ・スミス訳は聖書の改良にとどまるだけではない。それはこの教会の揺籃期において教義を回復するための経路であり,手段であった。」(ロバート・J・マシューズ,The Capstone of Our Religion: Insights into the Doctrine and Covenants〔1989年〕64)

ジョセフ・スミス訳がどのように「教義の回復」と結びついているかを示すために,『わたしたちの受け継ぎ』「聖書のジョセフ・スミス訳」の第2段落22-23ページ)を読む。さらに,教義と聖約76章の前書きと教義と聖約76章の15-19節を読むとよい。

生徒が聖文を研究する際にジョセフ・スミス訳を活用することを奨励する。

3.分かりやすくて貴い福音の教えがジョセフ・スミスを通して回復された

73-74ページの表は預言者ジョセフ・スミスを通して回復された福音の教え,または明確にされた福音の教えを列挙したものである。表の左にある主題は「導入」の活動で採り上げた事項と同じであることに注目する。

表の真中の欄には,聖書の中で教義や原則が不明確,不正確あるいは不完全な節が挙げられている。右の欄にはジョセフ・スミスを通して与えられた聖文で説明または明確にされている教義を示している。

表から幾つかの主題を選んで,関連する聖句を検討する。預言者を通して与えられた啓示がどのようにこれらの主題を明確にしているかについて話し合う。

主題

聖書中の聖句

ジョセフ・スミスを通して与えられた聖文

神会を構成する御方

マタイ3:16-17ヨハネ4:24使徒7:55

ジョセフ・スミス—歴史1:17教義と聖約130:1,22

神の形にかたどって創造されたわたしたち

創世1:27

モーセ6:8-9

使徒と預言者

エペソ2:204:11-16

教義と聖約107:23,33,35,39,58112:30-32

メルキゼデク神権

ヘブル6:207:17

教義と聖約84:19-25107:1-8,18-19

アロン神権

ヘブル7:11

教義と聖約1384:18,26-27,30107:1,13-14,20

バプテスマの様式

マタイ3:16

3 ニーファイ11:22-26モロナイ8:8-12教義と聖約20:71-74

聖霊の賜物

使徒8:17

教義と聖約20:41,4335:6121:46

前世での存在

エレミヤ1:4-5

教義と聖約93:29アブラハム3:22-26

死者のためのバプテスマ

1 コリント15:29

教義と聖約128:16-18

復活

ヨブ19:25-26ヨハネ5:28-291 コリント15:22

アルマ11:42-45

3つの栄光の王国

1 コリント15:40-42

教義と聖約76:50-112131:1

永遠の結婚

創世2:241 コリント11:11

教義と聖約131:1-4132:19

天父のようになるためのわたしたちの可能性

ローマ8:17

教義と聖約88:10793:20132:20-24

結び

主の言葉をわたしたちにもたらすためにジョセフ・スミスが果たした役割に対して自分が感じている感謝の気持ちを表す。本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。