日曜学校―福音の教義
第2課:「見よ,わたしは世の救い主イエス・キリストである」


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「見よ,わたしは世の救い主イエス・キリストである」

目的

教義と聖約を通してもたらされる救い主に対する力強い証を感じ,救い主の贖罪に対する証を強められるようにする。

準備

  1. 本課の聖句を祈りの気持ちで研究する。8-9ページの聖句を研究する際にどの聖句が生徒にとって最も助けになるかを判断する。選んだ聖句に親しんで,レッスンで使う準備をする。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の2課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 以下の絵を入手できる場合は,レッスンで利用できるように準備しておく。「イエス・キリスト」(『福音の視覚資料セット』240);「ゲツセマネで祈られるイエス」(『福音の視覚資料セット』227);「十字架」(『福音の視覚資料セット』230)。レッスンの間,「イエス・キリスト」の絵を掲示しておくとよい。

  4. 「導入」にある活動を行う場合は,木の枝を準備する。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

木の枝を見せる。この枝は生き続けるために必要とする栄養をもはや吸収できないことを指摘する。

  • この枝はなぜ必要な栄養を取ることができないのでしょうか(根から切り離されているから)。

十二使徒定員会のボイド・K・パッカー長老の以下の話を紹介する。

「〔イエス・キリストの贖罪〕は,キリスト教の教義の根本です。あなたは枝が茂った木のように福音に対する知識は豊富かもしれませんが,もし枝葉の部分しか知らず,しかも,それが根に関係のない,真理から離れたものであるならば,そこには生命も実体も贖いもありません。」(「仲保者」『聖徒の道』1977年10月号,488参照)

枯れた枝と強く健康な木とを対比させる。イエス・キリストの贖罪はわたしたちに命を与え,福音のほかのすべての教義に意味を与えることを強調する。今年度の学習課程全体を通じてほかの原則を研究するときにも,わたしたちは常にキリストの贖罪を心に留めておくべきである。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。

1.教義と聖約はイエス・キリストを証する

すべての聖文はイエス・キリストを証し,キリストのもとへ来て,救いを得ることを人々に勧めるという一つの目的のために存在することを強調する。聖書,高価な真珠のモーセ書とアブラハム書,モルモン書はイエス・キリストに関する古代の聖約すなわち証である。教義と聖約は現在の神権時代にイエス・キリストがお与えになった聖約である。この聖文はイエスがキリストであられること,キリストが生きておられること,主が今日も預言者に語り,民を導いておられることを証する。

生徒に教義と聖約の序文を開いて,第8段落から最後の一文を読むように言う(「最後に,イエス・キリストについて」で始まる)。

教義と聖約には救い主と主の業に関する力強い証が記されていることを指摘する。これらの証のほとんどは救い主御自身が語られたものである。その例として以下の聖句を生徒に読んでもらう。教義と聖約50:41-44教義と聖約76:22-24

本課では教義と聖約に記されている救い主に関する教えについて話し合うことを説明する。

2.イエス・キリストは「すべての人が悔い改めて自分のもとに来ることができるように,……すべての人の苦を引き受け」られた

ゲツセマネのイエスの絵と十字架上のイエスの絵を見せる。教義と聖約にはイエス・キリストの贖罪について理解を深めることができる多くの啓示が記されていることを説明する。わたしたちはこれらの啓示によって,救い主が受けられた苦しみの深さ,救い主と天父がわたしたちに抱いておられる愛の大きさを感じ取ることができる。

救い主は御自身の贖いの犠牲について説明しておられる

  • 教義と聖約19:16-19を生徒とともに読む。これは救い主が御自身の贖いの犠牲において受けた苦しみを描写しておられる唯一の聖句であることを説明する。この聖句はわたしたちのために受けられた救い主の苦しみについてどのようなことを教えているでしょうか。イエスはなぜわたしたちのためにそれほど大きな苦しみを進んで受けられたのでしょうか(教義と聖約18:10-1119:19,2434:3参照)。

贖罪によりわたしたちは皆復活する

わたしたちは贖罪によって自分の罪を赦され,日の栄えの栄光を受け継ぐことができる

  • 次の聖句を生徒とともに読む。教義と聖約18:11-1219:16-17,2058:4276:62-70。これらの聖句はわたしたちが救い主の贖罪によって受けることのできる祝福についてどのようなことを教えているでしょうか(以下のような答えが考えられる)。

    1. わたしたちは自分の罪を悔い改めて,キリストのもとへ行くことができる(教義と聖約18:11-12

    2. もしわたしたちが悔い改めるならば,キリストはわたしたちの罪の苦しみを御自身に引き受けてくださっている(教義と聖約19:16-17,20)。

    3. もしわたしたちが悔い改めるならば,主はわたしたちを赦し,もはやその罪を思い起こされない(教義と聖約58:42)。

    4. わたしたちは第一の復活にあずかり,キリストを通して完全な者とされ,日の栄えの栄光を受け継ぐことができる(教義と聖約76:62-70)。

救い主は贖罪を通してわたしたちのあらゆる悲しみ,苦痛,苦難に対する完全な共感を得られた

救い主は御自身の生涯を通じ,また贖罪という御業の頂点を極められる中で,わたしたちのあらゆる苦痛と苦難に対する完全な理解を得られるほどの苦しみを経験された。

生徒に教義と聖約122章を開いてもらう。122章は預言者ジョセフ・スミスがミズーリ州リバティーの監獄において囚われの身であったときに与えられた啓示である。最初の7節で主は預言者ジョセフの受けている試練について述べておられることを指摘する。そして8節で主は御自身について語っておられる。

  • 教義と聖約122:8を生徒とともに読む。救い主はどのようにしてすべてのものの「下に身を落と」されたのでしょうか(アルマ7:11-12教義と聖約62:1133:53参照。救い主はわたしたちの悲しみ,苦痛,苦難をすべて経験されたので,わたしたちがどのような気持ちでいるかを理解しておられる。救い主はわたしたちを助ける方法を御存じである)。この知識はわたしたちが試練を経験するときにどのような助けとなるでしょうか。

    十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老はこのように述べている。「イエスは至高の座に着かれる前に,すべてのものの下にまで身を落とされました。また,心を憐れみで満たし,民を彼らの弱さに応じて救う方法を知るために,あらゆる苦痛と苦難と試練を受けられました。わたしたちは困難な状況に直面するとき,この事実を思い起こすことができます(教義と聖約88:6アルマ7:11-12参照)。」(「わたしを記念するため,このように行いなさい」『聖徒の道』1996年1月号,74)

  • あなたはどのようなときに贖罪の力を感じましたか。この力をより完全に感じ取るにはどうすればよいでしょうか。

  • わたしたちは贖罪について救い主にどのような方法で感謝を表すことができるでしょうか。贖罪への理解は日常生活にどのように反映されるべきでしょうか。

3.教義と聖約は救い主の役割と属性を理解する助けとなる

神を信じる信仰を表すには,「神の性格,完全,属性について正しい理解」を持っていなければならないことを指摘する(ジョセフ・スミス編,Lectures on Faith〔1985年〕38)。教義と聖約はわたしたちがこの理解を得るための助けとなる。

  • 今日読んだ聖句から,救い主がどのような属性を持っておられることが分かるでしょうか(生徒の答えを黒板に書き出す。慈愛,従順,謙遜,服従などの答えが考えられる)。

以下の聖句から幾つかを選んで,生徒とともに読む。それぞれの聖句は救い主の役割と属性についてどのようなことを教えているかを話し合う。見いだした事柄をまとめて黒板に書き出す。

  1. 教義と聖約6:20-21。(もしわたしたちが忠実かつ熱心であるならば,主は愛の腕の中に抱いてくださる。主は暗闇の中に輝いている光であられる。)

  2. 教義と聖約6:32-37。(わたしたちが主を覚えて,戒めを守るならば,主は守りと慰めを与え,祝福してくださる。)

  3. 教義と聖約19:1-3。(主は御父の御心を成し終えた後,万物を従わせ,あらゆる力を得られた。主はサタンと彼の業を滅ぼされる。主はすべての人をその行いに応じて裁かれる。)

  4. 教義と聖約29:1-2。(わたしたちの罪は主の憐れみの腕によって贖われる。もしわたしたちが主の声を聴いて,へりくだるならば,めんどりが羽の下にひなを集めるように主はわたしたちを集めてくださる。)

  5. 教義と聖約38:1-3。(主は世界の創造主であり,万物を知っておられる。)

  6. 教義と聖約43:34。(主は世の救い主であられる。)

  7. 教義と聖約45:3-5。(主は御父に対する弁護者であられる。)

  8. 教義と聖約50:44。(主は良い羊飼いであり,イスラエルの石であられる。すなわちわたしたちが築き上げることのできる確かな基であられる。)

  9. 教義と聖約76:5。(主は主を畏れる者に憐れみ深く,恵み深い。また,最後まで義と真理にかなって主に仕える者に誉れを与えるのを喜びとされる。)

  10. 教義と聖約93:5-19。(主は御父の独り子であられる。主は「恵みに恵みを受け続け」ついに御父の完全な栄光と力を受けられた。)

  11. 教義と聖約133:42-52。(主が再臨に当たって力を持っておいでになるとき,贖われる人々は主の慈しみと愛にあふれた優しさについて語るであろう。)

  12. 教義と聖約136:22。(主の腕は主の民を救うために伸ばされる。)

  • 救い主のこれらの役割と属性を知ることはあなたにとってなぜ大切なのでしょうか。あなたは教義と聖約の啓示を通して救い主に対する証がどのように強められたでしょうか。

結び

  • 教義と聖約19:23を生徒とともに読む。今日話し合ってきた真理はあなたが平安を得るうえでどのような助けとなるでしょうか。

イエス・キリストについて御霊に導かれるままに証する。わたしたちが皆復活するのは主の贖罪のおかげであることを強調する。主は贖罪を通して,わたしたちに悔い改めて,主のもとへ来て,「この世において平和を,また来るべき世において永遠の命を受ける」よう招いておられる(教義と聖約59:23)。イエス・キリストを信じる信仰を行使し,悔い改め,戒めを守り,終わりまで堪え忍ぶことによって,贖罪のもたらすあらゆる祝福を受けるよう生徒を励ます。

イエス・キリストについてどのようなことが教えられているかに絶えず目を向けながら,今年,教義と聖約を研究していくよう提案する。主はこの書物の中心人物であられる。これらの啓示で与えられている力強い証と真理は,主に対する一人一人の証を豊かなものにしてくれる。

教えるためのそのほかのアイデア

1.「主イエスの愛に」

前もって,賛美歌「主イエスの愛に」(109番)の歌詞をよく調べて,教義と聖約の聖句によって意味を明確にされている部分を探しておく。以下の例を参考にするとよい。

賛美歌の歌詞

意味を明確にして

「主イエスの愛にただ驚く」

教義と聖約34:3

「罪人のため十字架にて流されたる血に身は震う」

教義と聖約19:16-19

「御座を降りし主に驚く」

教義と聖約88:6122:8

「突き刺されし主の手を思い」

教義と聖約6:36-37

「その愛と恵み忘れ得ず」

教義と聖約20:77

クラスでは,賛美歌の歌詞を声に出して読む。該当する歌詞を読んだら,中断して,その意味を明確にしている聖句を生徒に読んでもらうという方法を取る。

2.「父に対する弁護者」(教義と聖約45:3

黒板に「弁護者」と書く。主は教義と聖約の中で何度か,御自身をわたしたちの弁護者であると述べておられることを説明する(教義と聖約29:545:362:1110:4)。

  • 弁護者とはどのような意味でしょうか(他人の主張を訴えてくれる人)。

  • 教義と聖約45:3-5を生徒とともに読む。わたしたちにはなぜ「父に対する弁護者」が必要なのでしょうか。4節と5節で,わたしたちが永遠の命を受けるべきであることを御父に示すために,救い主はどのような証拠を差し出されるでしょうか(まず,救い主は贖罪,すなわち御自身が受けられた苦しみ,死,血について語られる。次に救い主は主を信じるわたしたちの信仰について語られる)。

3.主の称号によってイエス・キリストを証する

教義と聖約には60以上のイエス・キリストの称号が記されており,一つ一つに特別な尊敬の念が込められていることを説明する。例えば,主は御自身を指して「贖い主」「救い主」「世の光であり命である」と述べておられる。

末日聖典合本の『聖句ガイド』25ページを生徒たちに開いてもらい,イエス・キリストのほかの称号を探す。見つけたものを黒板に書き出す。

  • イエスの称号はイエスの属性と使命についてどのようなことを教えているでしょうか。

4.キリストの光

キリストの光はわたしたちの良心を指していると言われることがあるが,実際にはそれ以上の意味があることを説明する。キリストの光について生徒の理解を広げるために,『聖句ガイド』の212-213ページにある「光;キリストの光」の項を読むように言う。その後に,教義と聖約88:6-1393:2モロナイ7:13,16-19を読むように言う。

  • 『聖句ガイド』とこれらの聖句からキリストの光についてどのようなことを学ぶことができるでしょうか(以下の答えが考えられる)。

    1. キリストの光は「広大な空間を満た」し,「万物に命を与える……。」(教義と聖約88:12-13

    2. キリストの光は人を高める影響力であって,この世に生まれるすべての人に与えられる(教義と聖約93:2)。

    3. キリストの光はわたしたちに善悪を区別するように助け,善を行い,キリストを信じるように勧める(モロナイ7:13,16-19)。

  • わたしたちの生活の中でキリストの光からさらに多くの影響を受けるにはどうしたらよいでしょうか。