日曜学校―福音の教義
第21課:「主の大いなる日が来るのを……待ち望む」


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「主の大いなる日が来るのを……待ち望む」

目的

再臨のしるしを理解して,見分け,「主の大いなる日が来る」時のために備えられるようにする(教義と聖約45:39)。

準備

  1. 教義と聖約29:9-2934:5-1245:16-7588:86-99101:22-34133章と本課で採り上げられているそのほかの聖句を祈りの気持ちで研究する。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の21課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 「再臨」の絵(『福音の視覚資料セット』238)を入手できる場合は,レッスンで利用できるように準備しておく。

  4. 「導入」にある活動を行う場合は,以下の準備をしておく。

    1. 上記の絵以外に以下の絵を利用できるように準備しておく-「イエスの生誕」(『福音の視覚資料セット』200);「ゲツセマネで祈られるイエス」(『福音の視覚資料セット』227);「十字架」(『福音の視覚資料セット』230)。

    2. 全員で「いやしく生まれ」(『賛美歌』113番)を歌えるように準備する。あるいは一人の生徒またはグループがこの賛美歌を歌うよう準備をしてもらう。

教師への注意-本課を教えるに当たって,主が啓示された教義と聖約の言葉に焦点を絞る。再臨の時期など憶測に基づいた事柄を話し合うことのないようにする。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

「イエスの生誕」「ゲツセマネで祈られるイエス」「十字架」「再臨」の絵(「準備」3と4a参照)を掲示する。

全員で「いやしく生まれ」を歌うか,割り当てておいた一人の生徒またはグループにこの賛美歌を歌ってもらう。賛美歌の歌詞と掲示している絵との関連について考えるように言う。

賛美歌を歌い終えたら,イエス・キリストの誕生と再臨は世界の歴史上最も栄えある出来事であることを説明する。救い主は最初に地上に来られたとき,つつましやかな環境の中に置かれていたため,一般の人々はメシヤであられることを認めなかった。しかし,再臨の時は力と大いなる栄光とをもっておいでになる。本課では救い主の再臨と地上における福千年の統治について学ぶ。

話し合いと応用

本課に収められている資料のすべてをレッスンの時間内に採り上げることはできない。したがって,生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ必要がある。

1.救い主は力と大いなる栄光とをもっておいでになる

わたしたちは時満ちる神権時代に生きる特権を与えられていることを説明する。この神権時代に,再臨とその前に起きる出来事,救い主の再臨によって始まる平和な千年間に関する偉大な真理を末日の啓示は教えている。教義と聖約にはこれらの大切なテーマに関する多くの情報が収められている。

救い主の誕生に関する預言がことごとく成就されたように,救い主の再臨に関する預言もすべて成就されることであろう。以下の預言から幾つかを選んで生徒とともに読む。それぞれの聖句が救い主の再臨についてどのようなことを教えているかについて話し合う。明らかになった事柄を黒板に書き出す。生徒を小グループに分け,割り当てた聖句について研究して発表してもらう方法を取ってもよい。あるいは個々の生徒に聖句について研究し,発表するよう割り当てておいてもよい。

  1. 教義と聖約29:9-1145:44。(キリストは力と栄光をもって地上においでになる。高ぶる者と悪を行う者は焼き尽くされて,地上に悪がなくなる。)

  2. 教義と聖約34:7,1243:17110:16。(再臨は近づいている。)

  3. 教義と聖約34:8,1163:34。(救い主が来られるときにすべての国民はおののく。忠実であれば,主が来られるときまで主の力と影響力がわたしたちにとどまる。)

  4. 教義と聖約45:45-5488:96-99。(墓の中で眠っていた聖徒たちは復活して,救い主にお会いするために出て来る。生きて地上にいる聖徒たちは救い主に会うために集められる。救い主はオリブ山においでになり,オリブ山は二つに裂ける。ユダヤ人は救い主を認め,自分たちが救い主を迫害したために涙を流す。それから,霊の獄で福音を受け入れた人々が復活する。)

  5. 教義と聖約49:6。(救い主はすべての敵を足の下に置かれる。)

  6. 教義と聖約49:7。(救い主が来られる時や日はだれも知らず,天使さえも知らない。)

  7. 教義と聖約133:46-53。(救い主は赤い衣を着ておいでになる。救い主の来臨は邪悪な人々にとって報復の日となり,義にかなう人々にとって贖いの日となる。)

2.福千年は喜びと平和のときである

救い主の再臨は福千年と呼ばれる千年間の幕開けとなる。信仰箇条1:10にはこの期間に「キリストが自ら地上を統治されること,そして地球は更新されて楽園の栄光を受けること」が宣言されている。教義と聖約101章には,わたしたちが福千年において待ち望むことができる美と喜びが説明されている。

  • 福千年ではどのような生活をするのでしょうか。

    この質問に答えるために,以下の聖句から幾つかを選んで生徒とともに読む。それぞれの聖句が福千年についてどのようなことを教えているかについて話し合う。明らかにされた事柄を簡潔に黒板に書き出す。生徒を小グループに分け,割り当てた聖句について研究して発表してもらう方法を取ってもよい。あるいは個々の生徒に聖句について研究し,発表するよう割り当ておいてもよい。

    1. 教義と聖約101:23。(すべての人は救い主を見ることができる。)

    2. 教義と聖約101:24。(あらゆる邪悪なものが滅ぼされる。)

    3. 教義と聖約101:25。(地球は新しくなる。)

    4. 教義と聖約101:26。(人と動物は平和に暮らす。)

    5. 教義と聖約101:27。(人々は義にかなって求めるものを与えられる。)

    6. 教義と聖約101:28。教義と聖約45:5588:110も参照。(サタンは縛られて,だれに対しても誘惑する力を持たない。)

    7. 教義と聖約101:29。(死も悲しみもない。)

    8. 教義と聖約101:30-31。(人は年を取るまで成長し,一瞬のうちに死すべき存在から不死不滅の存在に変えられる。)

    9. 教義と聖約101:32-34。(主は天地の創造とその未来を含む,地と天に関するあらゆるものを明らかにされる。)

    10. 教義と聖約45:58。(子供たちは罪のないまま成長する。)

    11. 教義と聖約45:59133:25。(主は全地の王となり,立法者となられる。)

  • 福千年に関するこれらの知識は現在のわたしたちの生活においてどのように祝福となるでしょうか。義が最終的に邪悪に打ち勝つことを知っているのは,あなたにとってどのような助けとなるでしょうか。

3.わたしたちは再臨に備えなければならない

主はわたしたちが再臨に備えなければならないことを繰り返し強調しておられる(教義と聖約133:4,10-11)。ある人々は満足できる備えをするために全力を尽くしていない,あるいは最善を尽くしていないと感じているかもしれない。彼らは落胆し,そのような準備は不可能だと感じているかもしれない。しかしながら,主は教義と聖約の中で助言を与え,わたしたちが日常生活の中でこの大切な出来事のために準備できることを教えておられる。

  • わたしたちは日常生活の中で再臨に備えるために今何ができるでしょうか(以下の情報を使って話し合いを進めるか,生徒の意見に付け加える)。

救い主の降臨のしるしに注意する

教義と聖約の中で,主は主の再臨に先立って起こる多くのしるしを明らかにして,「目を覚まして」いるようにと励ましておられる(教義と聖約61:38)。

  • 主の再臨に先立って起こるしるしを知ることはなぜ大切なのでしょうか。教義と聖約45:36-39を生徒とともに読む。なぜこれらのしるしが与えられるかについて述べたこのたとえから,わたしたちは何を学ぶことができるでしょうか。

  • 主の再臨に先立ってどのようなしるしが現れると預言されているでしょうか。

    この質問に答えるために,以下の聖句から幾つかを選んで生徒とともに読む。各聖句に記されているしるしを見つける。黒板に「肯定的なしるし」と「否定的なしるし」と書いて,その下に生徒の意見を要約して書き出す。生徒を小グループに分け,割り当てた聖句について研究して発表してもらう方法を取ってもよい。あるいは個々の生徒に聖句について研究し,発表するよう割り当てておいてもよい。

    肯定的なしるし

    1. 教義と聖約45:9133:57-58。(完全な福音が回復される。)

    2. 教義と聖約45:66-71。(新エルサレムが建設される。そこは終わりの時に義人にとって平和と安全の地となる。)

    3. 教義と聖約65:2-6。(神の王国が地上に確立される。)

    4. 教義と聖約110:11-16。(神権の鍵が回復される。)

    5. 教義と聖約133:8-9,36-39。(福音が全世界に宣べ伝えられる。)

    否定的なしるし

    1. 教義と聖約29:1588:91。(人々は大いに涙を流し,気落ちし,恐れる。それらによって人々の心がくじかれる。)

    2. 教義と聖約29:1645:31112:24。(飢饉,苦しみ,病気,荒廃が起こる。)

    3. 教義と聖約34:945:40-4288:87。(天と地にしるしと不思議が見られる。)

    4. 教義と聖約45:2663:33。(戦争と戦争のうわさが聞かれ,全地が混乱する。)

    5. 教義と聖約45:27。(人々の愛が冷え,不法がはびこる。)

    6. 教義と聖約45:3388:89-90。(地震,暴風雨,高波が起こる。人々は神に対して心をかたくなにし,人が人に対して戦いを挑む。)

    これらの預言の一部はすでに成就しており,また成就しつつあるものがあり,成就のときを待っているものがあることを指摘する。

  • 主は終わりの時の混乱にあっても「心配することはない」と勧告しておられます(教義と聖約45:35)。終わりの時に邪悪や混乱の中に置かれるときに,わたしたちはどうすれば希望を持ち続け,落胆する気持ちを抑えることができるでしょうか(教義と聖約38:30参照)。

聖なる場所に立つ

主は再臨のしるしに注意するようにとの勧告に加えて,義を行うことによって備えるようにとも勧告しておられる。以下の聖句から幾つかを選んで生徒とともに読む。各聖句が救い主の再臨の備えに関して教えている事柄について話し合う。明らかになった事柄をまとめて黒板に書き出す。

  1. 教義と聖約27:1533:17。(義を貫く。)

  2. 教義と聖約34:639:19-2043:20-23。(悔い改めを叫び,悔い改める)。再臨に備えるためになぜ悔い改めることが大切なのでしょうか。

  3. 教義と聖約45:3287:8101:22-23。(聖なる場所に立つ)。「聖なる場所に立〔つ〕」とはどのような意味でしょうか。これらの聖なる場所にはどのような所があるでしょうか(神殿,礼拝堂,家庭,シオンのステークなどが含まれる)。わたしたちはこの世的な環境に置かれているにもかかわらず,自分をふさわしく,聖く保つにはどうすればよいでしょうか。

  4. 教義と聖約45:56-57。(わたしたちの導き手として聖なる御霊を受ける。)

ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこのように教えている。「再臨のためにどのように準備すればよいのでしょうか。あれこれ思い悩む必要はありません。もし再臨が明日来るとしたら,準備ができているような生活を送ればよいのです。再臨がいつ行われるかはだれも知りません。……わたしたちの責任は自分を備え,救い主と交わるにふさわしく生活し,もし救い主がわたしたちの間においでになっても,恥ずかしくないように自分を律することです。これが現代のわたしたちに課せられているチャレンジです。」(Church News1999年1月2日付け,2)

十二使徒定員会のボイド・K・パッカー長老は次のような勧告を与えている。

「10代の人たちはよく,地球はやがては爆発して最後を迎えるのだから,何をしても同じではないかと考えます。そのような考えは,信仰ではなく,恐れから来るものです。正確な日時はだれにも分かりませんが(教義と聖約49:7参照),世の終わりは,主の目的がすべて成就されて初めて来るのです。啓示や,わたし自身の人生経験から学んだことから言えるのは,皆さんが慎重に備えをする時間は,まだ十分に残されているということです。

いつの日か皆さん自身も,自分の子供といろいろな問題に取り組まなくてはならない日がやって来ます。それでこそ,公平というものです。また,孫を甘やかす日もやって来ます。そして,孫もまた同じことを自分の孫にするでしょう。さらに,若くしてこの世の人生の終わりを迎える人もあるでしょう。そのような場合にはなおさら,何をしてもいいとは決して言えないでしょう。」(「若い男性,女性の方々へ」『聖徒の道』1989年7月号,60)

結び

主は再臨と福千年について,世の歴史を通じていかなる人々に対して与えられた情報よりも多くの情報をわたしたちに啓示しておられることを指摘する。わたしたちはこの情報を基にして,周囲で預言が次々と成就されていく中で,それらを受け止め,義を貫くことができる。わたしたちは,救い主が再臨され,平和と義による福千年の支配を始められるときを喜びをもって待ち望むべきである。

本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中のどちらか,あるいは両方をレッスンに取り入れてもよい。

1.麦と毒麦のたとえ

教義と聖約86章は再臨に関してさらに理解を深める情報を提供している。この章には,麦と毒麦のたとえの意味をさらに明確にするためにジョセフ・スミスに与えられた啓示が記録されている。救い主は地上で教導の業に携わっていときに,このたとえを話された(マタイ13:24-30)。

  • 教義と聖約86章のたとえを生徒とともに読む。このたとえに登場するものはそれぞれ何を表しているでしょうか。

    主の僕は良い種をまく者であり,サタンとサタンの僕は毒麦の種をまく者である。良い種はイエスに従う人々を表し,毒麦は悪に負ける人々を表す。小麦と毒麦はともに,世の終わりまで生長することを許された。世の終わりを迎えるとき,義人は邪悪な人々の中から集められ,邪悪な人々は焼かれる。

  • このたとえは再臨に関して起きる出来事についてどのようなことを教えているでしょうか。

2.ビデオ・プレゼンテーション

もし,ビデオカセット『教義と聖約および教会歴史からの教え』(53933 300)を利用できるならば,以下のうちの一つまたは両方を見せることを考える。

「心配することはない」(5分)。このプレゼンテーションは終わりの時に起きる災いにおびえたり,心配したりする必要がないことを生徒が理解する助けとなる。これを見せる場合は,レッスンの3の部分で行う。

「思慮深い者」(6分)。このプレゼンテーションは10人のおとめに関する救い主のたとえを描いている(マタイ25:1-13教義と聖約45:56-59も参照)。これを見せる場合は,レッスンの3の部分で行う。

「思慮深い者」を見せる前に,10人のおとめのたとえは古代ユダヤ人の結婚式の慣習に基づいていることを説明する。イエスの時代に,花婿とその友人たちは花嫁を自宅から花婿の家まで送り届ける風習があった。花嫁の友人たちは道の途中で彼らを待ち受けて,一行に加わるのだった。花婿の家に到着すると全員が結婚式に参列するために家に入る。結婚式は通常,夜行われた。このため花嫁を待つ人々は油を燃料とする小さな明かりを持っていた。たとえの中で,花婿は救い主を表している。おとめは教会員を表している。婚宴は救い主の再臨を表している。明かりの油は再臨の備えを表している。

ビデオを見たら,教義と聖約45:56-59を生徒に読んでもらう。そして以下の質問をする。

  • これらの聖句は救い主の再臨に備えることについてどのようなことを教えているでしょうか。

スペンサー・W・キンボール大管長が語った以下の解釈を紹介するとよい。

「たとえの中では,油は商店で買うことができました。わたしたちの生活の中で,準備という油は義にかなった生活によって一滴ずつ蓄えられます。聖餐会に出席することによって油をわたしたちの明かりに加え,また一滴ずつ何年にもわたって加え続けるのです。断食,家族の祈り,家庭の夕べ,ホームティーチング,肉欲を抑えること,福音を宣べ伝えること,聖文を研究すること,献身と従順の一つ一つの行いがわたしたちの蓄えに一滴ずつ加えられていくのです。親切な行い,献金と什分の一を納めること,清い思いを抱き,行うこと,永遠の聖約の下で結婚すること,これらも,真夜中に油が切れた明かりに油を補給するための大切な手段です。」(Faith Precedes the Miracle〔1972年〕256)