日曜学校―福音の教義
第23課:「研究によって,また信仰によって学問を求めなさい」


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「研究によって,また信仰によって学問を求めなさい」

目的

生徒が生涯を通じて「研究によって,また信仰によって」学問を続けるよう奨励する(教義と聖約88:118)。

準備

  1. 本課で採り上げられている聖句を祈りの気持ちで研究する。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の23課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 「導入」にある活動を行う場合は,生徒の中で学問を求めることによって祝福を得た個人的な経験を一つか二つ話す準備をしてくるよう一人の生徒に頼んでおく。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

生活の中で学問を求めることによって祝福を得た経験について一人の生徒に話してもらう(「準備」3参照)。

生徒の話を聞いてから,本課では生涯を通じて学び続けることの大切さについて話し合うことを説明する。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。学問を求めることに関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。

1.預言者の塾は学問に関してわたしたちが従うべき模範を示している

主は現在の神権時代に,霊的な教育とこの世の教育の必要性を強調しておられることを指摘する。

主は預言者ジョセフ・スミスにオハイオ州カートランドにおいて預言者の塾を始めるよう指示された。預言者の塾は1833年1月,カートランドのニューエル・K・ホイットニーの商店の2階にある小さな部屋で最初の会合を開いた(128ページの写真参照)。教会の指導者たちはこの塾において福音の教え,教会の諸業務,そのほかの事柄について指導を受けた。彼らには教会を指導し,伝道活動を展開するための準備が必要だった(教義と聖約88:77-80)。

出席者はこれらの集会において霊的な体験を味わい,福音の原則に関して突っ込んだ話し合いを行った。幾つかの啓示もここで授けられた。教会歴史には以下のように記録されている。「預言者の塾に出席した人々と聖徒たちは,啓示された事柄と……神に関する知識を増し加えられたことで絶えず大きな喜びと満足を満面に浮かべていた。」(History of the Church第1巻,334)

  • わたしたちには教会でどのような学習の機会があるでしょうか。教会の集会で学ぶ準備をさらによくするためにどのようなことができるでしょうか。

  • 教義と聖約88:122-25を生徒とともに読む。主は預言者の塾に出席する兄弟たちに何をするように命じられたでしょうか。主は何をしてはならないと命じられたでしょうか(生徒の意見を黒板に書き出す)。互いに教え合うことについてこれらの聖句からどのようなことを学べるでしょうか。これらの聖句はどのようにしてお互いから学び合うべきであると告げているでしょうか。

Newel K. Whitney and Company Store

ニューエル・K・ホイットニーの店。預言者の塾はオハイオ州カートランドにあったこの店の2階にある小さな部屋で開かれた。知恵の言葉(教義と聖約89章)として知られている啓示をはじめとする数々の啓示をここで与えられた。

2.わたしたちは「研究によって,また信仰によって」学ぶべきである

  • 教義と聖約88:118を生徒とともに読む。学問においてなぜ研究と信仰がともに必要とされるのでしょうか(以下の引用参照)。信仰はどのようにわたしたちの学習能力を高めるでしょうか。神を信じる信仰を持たず,神の戒めに従わずに学ぶことにはどのような危険性が潜んでいるでしょうか(2 テモテ3:72 ニーファイ9:28-29参照)。

    マリオン・G・ロムニー管長は次のように述べている。「わたしは研究することの意義を信じています。わたしは人が研究によって多くのことを学んでいると信じています。……しかしながら,わたしは研究による学問は信仰によって大いに速度を速められることを信じており,またこれを知っています。」(Learning for the Eternitiesジョージ・J・ロムニー編〔1977年〕72)

  • 福音を研究するほかに,わたしたちは歴史や科学,優れた文学の分野で学ぶ必要があります。これらの分野で研究することによってどのようにあなたの生活は豊かになってきたでしょうか。

  • 最も価値があるのはどのような知識でしょうか。福音の学習と,そのほかの価値ある研究との間にはどのような関係がなければならないでしょうか。

    ジョン・テーラー第3代大管長はこのように述べている。「わたしたちはあらゆる種類の教育と英知を養い,文学を味わう力を身に付けるべきであり,文学や科学の才能を持つ人はその才能を伸ばすべきです。そしてすべての人は神から与えられた賜物を尊んで大いなるものとすべきです。……道徳,宗教,科学の分野で良いこと,称賛に値することがあるならば,あるいは人を高め高貴にするものがあるならば,わたしたちはそれを奨励します。しかし,それらのすべてによって,わたしたちは理解を得たいと考えています。それは神から流れ出る理解です。」(The Gospel KingdomG・ホーマー・ダラム選〔1943年〕277)

    十二使徒定員会で働いていた時代に,ゴードン・B・ヒンクレー長老は説教の中で「わたしに学びなさい」(マタイ11:29)と命じられた救い主の言葉を引用した後に,このように語っている。「神の御子が与えられた命令に従うようお勧めしたいと思います。あなたが修める学問をすべて使って,救い主について学んでください。あなたの研究するすべてを使って,主に関する知識を求めてください。その知識は世の学問をすばらしい方法で補い,ほかではなし得ない方法であなたの生活と人格を全きものにしてくれます。」(Conference Report,1964年10月,118;またはImprovement Era1964年12月号,1092)

  • 神に関する事柄の知識があらゆる知識の中で最も大切であることをあなたはどのように悟りましたか。

3.わたしたちは生涯を通じて学び続けるべきである

主と主の預言者は学ぶことの大切さを常に強調していることを指摘する。わたしたちは生涯を通じて学び続けるべきである。

十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン長老はこのように述べている。「個々人の中に潜む知性を神聖なものと考えるわたしたちの立場から,教育を受けることは宗教上の義務であると考えなければなりません。……創造主はその子供たちに,どこにあっても教育を受けてほしいと願いを示し……ておられます。」(「知恵はどこにあるのか」『聖徒の道』1993年1月号,5)

以下の質問を黒板に書く。

「なぜ学ぶべきなのだろうか。」

「何を学ぶべきだろうか。」

「どのように学べるだろうか。」

以下の聖句を生徒とともに読む。そして,生徒に黒板の質問の答えを探してもらう。生徒の答えを該当する質問の下に書き出す。

  • わたしたちはなぜ様々な多くの事柄について学ぶよう命じられていると思いますか。

    ゴードン・B・ヒンクレー大管長は教育の価値について若人に教えている。「若い兄弟姉妹の皆さんが可能なかぎり教育を受けることは非常に大切なことです。主は民が教育という過程を通じて,研究と信仰により,国々や王国,世界に関する知識を得るべきであると,実に明解に述べておられます。教育は皆さんにとって,機会という扉を開ける鍵です。犠牲を払ってでも受けてしかるべきもの,取り組む価値のあるものです。皆さんが精神と技術の両方を鍛えるならば,属する社会に大いなる貢献をすることができ,皆さんの模範は属するこの教会にも栄誉を与えることになるでしょう。愛する若い兄弟姉妹の皆さん,受けることのできる教育の機会をすべて活用してください。両親の皆さん,息子や娘たちが教育を受けて人生に祝福をもたらすことができるように励ましてください。」(「霊感を伝える言葉」『リアホナ』1999年6月号,4-5)

  • わたしたちには正規の教育としてどのような機会があるでしょうか(中高等学校,職業訓練校,大学などの答えが考えられる)。正規の教育にはどのような利点があるでしょうか。正規の教育の機会を活用するためにわたしたちはどのようなことができるでしょうか。

  • ブリガム・ヤング大管長はこのように教えています。「わたしたちの教育は,わたしたちの思いを高め,有用な人物にしてくれるものであって,人類家族に対してさらに偉大な奉仕ができるようにしてくれるものでなければなりません。」(Discourses of Brigham Youngジョン・A・ウイッツォー選〔1941年〕255)家族に奉仕するために教育はどのように役立つでしょうか。ほかの人々に奉仕するために教育はどのように役立つでしょうか。神の王国を築くために力を注ぐに当たって,教育はどのように役立つでしょうか。奉仕するときに教育が役立った経験を生徒に話してもらう。

  • 教義と聖約90:15を生徒とともに読む。良い書物を研究することによってあなたの人生はどのように豊かになってきたでしょうか。

  • 子供に教えることに関して両親にはどのような責任があるでしょうか(教義と聖約68:25-28参照。両親には子供が福音を学ぶように助けるという神聖な責任があることを強調する。また両親には,健康を管理する方法,勤勉に働くこと,人々と仲良くする方法,金銭を管理する方法,良い教育を受ける方法など実際的な技術を教える責任がある)。

  • 両親はどのようにして生涯にわたって続く,学問を愛する気持ちを子供に植え付けることができるでしょうか。

    十二使徒定員会で働いていた時代に,ゴードン・B・ヒンクレー長老は子供に読書を奨励することの大切さを強調している。「あなたがたは,子供たちがいろいろ読書をすることを知っているであろう。子供たちは本を読み,雑誌を読み,新聞を読む。子供たちの心の中に,最善のものを好む性質を育てていただきたい。子供たちがまだ小さいうちに,有益な物語をたくさん読んであげていただきたい。そのような物語は,その内容の高徳さのゆえに,決して子供たちの心から消えることはないであろう。子供たちを良い本に親しませていただきたい。家のどこか片隅に,どんなに小さくとも特別なコーナーを設けて,そこに偉大な精神を培うように意図された本を最低2,3冊はそろえておいていただきたい。」(「邪悪に対抗する」『聖徒の道』1976年2月号,66)

    トーマス・S・モンソン大管長は幼い子供が聖文の教えを理解できることを確認している。「幸福な家庭の……しるしは,家庭が学びの場であることです。……主はこう勧告しておられます。『まことに,最良の書物から知恵の言葉を探し求め,研究によって,また信仰によって学問を求めなさい。』(教義と聖約88:118)教会の標準聖典は,この学びの場を与えてくれます。時として子供たちは,大人が想像している以上に神の言葉を読み,理解することができるものです。」(「幸福な家庭のしるし」『聖徒の道』1989年2月号,72)

    子供を教えるテーマについて掘り下げた話し合いを展開したければ,1999年版『教師,その大いなる召し』(36123 300)の127-143ページを参照するとよい。本書の45課でも子供を教える両親の責任について話し合う。

  • わたしたちはどのような書物を遠ざけるべきでしょうか。

    十二使徒定員会時代にエズラ・タフト・ベンソン会長はこのように教えている。「様々な書物が豊富に手に入る今日,何を読んではならないかを知っていることがほんとうの教育を受けた人のしるしとなります。……最良の書物だけを読んでください。ジョン・ウエスレーは母親からこのような勧告を受けました。『あなたの理性を弱め,良心を傷つけ,神に対する思いをあいまいにし,霊的な事柄への熱意を弱め,……思いよりも肉体が支配力を持つようなものは何であろうと避けなさい。』」(“In His Steps,” in 1979 Devotional Speeches of the Year〔1980年〕61)

  • 正規の教育を受け,良書を読むことに加えて,生涯を通じて学習を続けるためにわたしたちはどのようなことができるでしょうか。

4.わたしたちは神殿において永遠のために教育を受ける

1833年6月下旬に預言者ジョセフ・スミスはシオンの町の計画図をミズーリ州インディペンデンスの聖徒たちに送ったことを説明する。

以下のシオンの町の計画図を見せる。聖徒たちは町の中心部に神殿を建てることになっていたことを説明する。彼らはシオンの町を築くことはできなかったが,この概念に基づいてソルトレーク・シティーを築いた。

City of Zion

シオンの町の計画図。神殿用地は中心部にある。

  • シオンの町の中心部に神殿を建てる計画から,何を学ぶことができるでしょうか(神殿は教会員にとって学びの中心である,わたしたちは神殿を中心にして生活すべきである,などの答えが考えられる)。

  • 教義と聖約88:119を生徒とともに読む。神殿は「学びの家」であることを強調する。わたしたちが神殿に参入するときに,主はどのような方法によって教えておられるでしょうか。神殿で得られる知識を受けるにはどうすればよいでしょうか。

    十二使徒定員会のジョン・A・ウイッツォー長老はこのように教えた。「神殿は指導を受ける場です。ここでは福音の原則が見直され,神の王国の深遠な真理が明らかにされます。わたしたちが正しい霊を持って神殿に入り,神経を研ぎ澄ましているならば,福音の知識と知恵を豊かに受けて神殿を後にすることでしょう。」(“Looking toward the Temple,” Ensign1972年1月号,56-57)

    十二使徒定員会のボイド・K・パッカー長老はこのように述べている。

    「神殿は,偉大な学校です。学問の家なのです。神殿の中には,霊的に深い事柄を学ぶにふさわしい理想的な雰囲気があります。 ……

    最初の神殿参入のときには,神殿の儀式を十分に理解できないでしょう。ほんの一部しか理解できないかもしれません。何度も,繰り返し参入してください。何度も学んでください。悩んでいたこと,混乱していたこと,不可解に思われていたことが,徐々に分かってくるでしょう。神殿で与えられる答えの多くは,ひっそりと与えられる個人的なもので,実際,自分以外のだれに対しても説明し得ないでしょう。しかし,皆さんには分かるのです。 ……

    神殿に心を向けてください。子供たちの心をも神殿に向けさせてください。幼児期から彼らの注意を神殿に向け,聖なる神殿に参入するその日のための準備を始めるよう教えてください。

    ……どうぞ,素直な心を持ってください。敬虔になってください。神殿でしか受けることのできない教え,すなわち象徴的な教え,霊に深くかかわる教えの井戸から,教えの水をたっぷりと飲んでください。」(『聖なる神殿』〔パンフレット〕5,7)

神殿の儀式は神聖なものであることを生徒に思い起こしてもらう。これらの儀式の具体的な事柄について,神殿の外で話し合うべきではない。この原則を心に留めながら,以下の質問に答えてもらう。

  • 神殿に参入することによってどのような真理を学びましたか。

できるだけ頻繁に神殿に参入するよう勧める。エズラ・タフト・ベンソン大管長はこのように尋ねている。「定期的に神殿に参入することにより,そこで得られる個人的な祝福を得ているでしょうか。主の聖なる宮は,祈りがこたえられ,啓示が与えられ,御霊による指示が与えられる所です。」(「キリストのみもとに来てキリストによって全くなれ」『聖徒の道』1988年6月号,90)

結び

生活が豊かになり,よりよく人々に奉仕できるように,生涯を通じて学び続けるよう勧める。主は「研究によって,また信仰によって学問を求め」るよう命じておられることを思い起こしてもらう(教義と聖約88:118)。

本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。学ぶ機会が与えられていることについて感謝を表すとよい。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.教義と聖約88:121-26の勧告を実行する

  • 教義と聖約88:121-26を生徒とともに読む。この聖句で教えられている原則は生活のあらゆる場面で助けとなることを指摘する。これらの原則が大切であることを示すような経験には,どのようなものがあるでしょうか。

2.知るべきことが多すぎるために圧倒されることのないようにして,学ぶ

  • 知るべきことが多すぎるために圧倒されることのないようにして,学び続けるにはどうすればよいでしょうか

    ウィルフォード・ウッドラフ大管長はこのように勧告している。「すべてを一度に学べないからといって落胆してはなりません。一度に一つのことを十分に学び,それを大切にしてください。それから,ほかの真理を学び,それを大切にするのです。数年のうちにあなたは多くの役に立つ知識を蓄えることでしょう。それはあなたとあなたの子供たちにとって大いなる祝福となるだけでなく,隣人にとっても祝福となります。」(The Discourses of Wilford WoodruffG・ホーマー・ダラム選〔1946年〕269)

    この話し合いの途中で,教義と聖約78:17-18を生徒とともに読むとよい。

3.セミナリーとインスティテュートのクラスで福音を学ぶ

ゴードン・B・ヒンクレー大管長が語った以下の話を紹介する。「偉大な教会教育プログラムは進展を続けています。セミナリー・インスティテュートプログラムを通じて生徒を訓練する業は絶えず拡大しています。……わたしたちは,すべての人がこのプログラムを活用されるように勧めるものです。わたしたちは,何らためらうことなく,皆さんの福音の知識が増し加えられ,信仰が強められていくと約束いたします。そしてともに学ぶ仲間というすばらしい友情を築くことができるでしょう。」(「信仰がもたらす奇跡」『聖徒の道』1984年7月号,88)

あなたの地域でセミナリーとインスティテュートのクラスが開かれていれば,この話し合いの中で青少年とヤングアダルトに登録を勧めるための時間を取るとよい。以下のような質問をすることを検討する。

  • セミナリー(またはインスティテュート)を通して役に立った経験があるでしょうか。ほかの人たちにセミナリー(またはインスティテュート)に出席するよう勧めるために,わたしたちにはどのようなことができるでしょうか。

4.教育を通して才能を伸ばす

タラントのたとえを復習する(マタイ25:14-30教義と聖約82:18も参照)。生徒に自分の才能と関心を持っている事柄を紙に書き出してもらう。この世の教育と宗教教育が才能を伸ばし,関心のある事柄を追求するうえでどのように役立つかについて話し合う。