第4課
「新しい聖約,すなわちモルモン書……を思い起こ〔す〕」
目的
モルモン書の出現に際して主の手があったことを理解できるようにし,モルモン書を研究し,その教えに従い,人々と教えを分かち合うよう生徒を励ます。
準備
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以下の聖句とその他の資料を祈りの気持ちで研究する。
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『生徒用学習ガイド』(35686 300)の4課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。
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一人の生徒に,116ページの原稿を紛失したマーティン・ハリスの物語について概要を発表する準備をしてくるように依頼する。教義と聖約3章と教義と聖約10章の前書き,『わたしたちの受け継ぎ』7-8ページの「翻訳の業」の最初の3つの段落を参照してもらう。
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以下の絵を入手できる場合は,レッスンで利用できるように準備しておく。「天使モロナイの訪れ」(『福音の視覚資料セット』404);「金版を受けるジョセフ」(『福音の視覚資料セット』406)。
レッスンの展開
話し合いと応用
生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。本課は2回に分けて教えてもよい。
1.モルモン書を受け,翻訳するためにジョセフ・スミスが行った準備
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最初の示現を受けてから3年間,ジョセフ・スミスは「容赦のない迫害」を受けましたが,自分の証に忠実であり続けました(ジョセフ・スミス—歴史1:27)。わたしたちがたとえ迫害を受けても証に忠実であり続けるにはどうすればよいでしょうか。
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ジョセフは17歳のときにモロナイの訪れを受けました(必要であれば,モロナイはモルモン書を書き記した最後の預言者であり,紀元約421年に金版を埋めたことを説明する)。ジョセフはモロナイが現れた夜,何について祈っていたでしょうか(ジョセフ・スミス—歴史1:28-29参照)。わたしたちは「自分の弱さと不完全さのゆえにとがめを感じ」るときに,ジョセフの模範から何を学ぶことができるでしょうか(適切であれば,神を失望させるようなことをしたと感じているときに,祈りがどのように助けとなったかについて生徒に話してもらう)。
ジョセフ・スミス—歴史1:30-59を要約して話す。選んだ箇所を生徒に声を出して読んでもらう。適当なときに,ジョセフ・スミスに現れるモロナイの絵と金版を受け取るジョセフ・スミスの絵を見せる。本書の274ページ,『生徒用学習ガイド』の29ページの地図1を参照するとよい。
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ジョセフ・スミスは最初に金版を見せられたとき,金版を受け取って翻訳するための準備ができていませんでした。主はジョセフが金版を受け取って翻訳できるように,ジョセフをどのように備えられたでしょうか(ジョセフ・スミス—歴史1:33-35,42,44-46,53-54参照)。あなたが責任を果たせるように主はどのようにしてあなたを備えてこられましたか(あるいは現在,備えておられますか)。将来の責任のためにあなたはどのような備えができるでしょうか。
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ジョセフがモロナイの訪れについて話したとき,ジョセフの父親はどのような反応を示したでしょうか(ジョセフ・スミス—歴史1:50参照)。この出来事はジョセフが高潔で信頼に足る人物であったことをどのように示しているでしょうか。家族が主に従おうとしているときに,それを支えることはなぜ大切なのでしょうか。家族やほかの人々が主に従おうとしているときに,彼らをよりよく支えるにはどうすればよいでしょうか。
2.モルモン書の保存に見られる奇跡
サタンはモルモン書の出現を阻止しようとしたことを説明する。サタンは人々をそそのかして,金版を盗ませようとした。また,人々はその後もジョセフ・スミスと家族を迫害し続けた(ジョセフ・スミス—歴史1:60-61)。しかし,主はモルモン書を世に出すためにサタンのあらゆる企てをくじかれた。
モルモン書が奇跡的に守られた一つの例として,ジョセフ・スミスの筆記者であったマーティン・ハリスが翻訳済みの原稿116ページを紛失したときの出来事がある。割り当てておいた生徒にこの出来事の概要を発表してもらう(「準備」3参照)。その後に,教義と聖約3章と教義と聖約10章を教えて,それについて話し合う。これらは原稿が失われた後に主が啓示されたものである。
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116ページの原稿を紛失した後,主は神よりも人を恐れたジョセフをいさめられました(教義と聖約3:7)。ジョセフはしばらくの間翻訳の賜物を失いました(教義と聖約3:14;10:1-2)。ジョセフはどのように神よりも人を恐れたのでしょうか。わたしたちは時々,神よりも人を恐れる行動を取ることがありますが,それはどのようなときでしょうか(教義と聖約30:1-2参照。周囲の圧力に負けて悪事を行ってしまうような場合を例として挙げることができる)。人を恐れることに打ち勝つにはどうすればよいでしょうか(この質問の解答例として,教義と聖約3:8;10:5を参照する)。
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116ページの原稿を紛失した後も主がジョセフ・スミスを愛しておられたことがどのようなことから分かるでしょうか(教義と聖約3:8-10;10:1-3参照)。もし忠実であるならば,神は「苦難のときには,いつもあなたとともに」おられることを知った経験がありますか(教義と聖約3:8)。「神は憐れみ深い」ことを知った経験があるでしょうか(教義と聖約3:10)。
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116ページの原稿を盗んだ人々にはどのような意図があったのでしょうか(教義と聖約10:10-19,29-33参照。もしジョセフが失われた資料を翻訳し直したならば,彼らは原稿の言葉を変えていたであろう。そして変更を加えた翻訳と再翻訳とを比べて,二つの翻訳が矛盾していることを示そうとしたであろう)。
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原稿を盗んだ人々の企てをくじくために主は何世紀も前から準備をしておられました。それはどのようなことでしょうか(教義と聖約10:38-39参照。1 ニーファイ9:2-5;モルモンの言葉1:3-7も参照。主はこれらのページが紛失することを予見しておられた。約2,400年前に主は,ニーファイ人の一般的な生活に関する歴史を書いていたニーファイに霊感を与えて,別の記録を用意させるようになさった。この2番目の記録には,最初の記録と同じ時期におけるニーファイ人の宗教上の記録が書かれていた。したがって,最初の記録よりも教義上の価値が大きかった)。
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原稿を持ち去った人々の企てをくじくために主は預言者に何をするよう命じられたでしょうか(教義と聖約10:40-45参照。ジョセフはニーファイ人の一般的な生活に関する歴史から116ページの原稿を翻訳していた。主はジョセフに,同じ箇所を再翻訳するのでなく,ニーファイの第2の記録を翻訳するよう命じられた)。
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失われた原稿の出来事は主の力についてどのようなことを教えているでしょうか(この質問について話し合うときに,教義と聖約3:1-3;10:14,43と1 ニーファイ9:6を読むように言う)。わたしたちは挫折や失望を経験するときに,この知識をどのように役立てることができるでしょうか。
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教義と聖約3:16,19-20と教義と聖約10:46-52,60-66を生徒に読んでもらう。これらの聖句からモルモン書の目的についてどのようなことを学ぶことができるでしょうか。今日,これらの目的はどのように達成されているでしょうか。
3.モルモン書の証人
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ジョセフはモルモン書を翻訳していたときに,3人の証人とその他少数の人々に版を見せるのを主がお許しなることを知りました(これらの証人について言及されている2 ニーファイ27:12-14とエテル5:1-3を参照)。3人の証人とはだれのことですか(モルモン書「三人の証人の証」参照)。彼らは何をするように命じられましたか(教義と聖約5:11-15,24-25;17:3,5参照)。彼らの証はなぜ大切だったのでしょうか(エテル5:4;教義と聖約5:16-18;17:4参照)。
3人の証人。オリバー・カウドリ,デビッド・ホイットマー,マーティン・ハリス。
3人の証人のほかに,8人の証人が金版を見たことを説明する(モルモン書「八人の証人の証」参照)。3人の証人全員と8人の証人のうち3人は後に教会を去った。彼らのうち教会に戻った人はわずかしかいなかったが,自分が目にしたことの証を否定する人はだれもいなかった。
デビッド・ホイットマーは亡くなる1年前に,誤った非難に対する自分の証を公にしている。
「『アメリカ百科事典』(American Encyclopaedia)ならびに『ブリタニカ百科事典』(Encyclopaedia Britannica)には,わたしことデビッド・ホイットマーがモルモン書の神性に関する3人の証人として行った証言を否定し,ほかの二人の証人すなわちオリバー・カウドリおよびマーティン・ハリスがこの書物の証言を否定していると記録されている。わたしは今一度,全人類に対して宣言する。すなわち,わたしはいかなるときにもその証言もしくは証言の一部を否定したことはない。さらに,オリバー・カウドリおよびマーティン・ハリスはいずれも彼らの証言を否定したことが決してなかったと世界に証言する。彼らはともにモルモン書が神聖な書物であることが紛れもない事実であると再び断言して世を去った。」(Address to All Believers in Christ〔1887年〕8;B・ H・ロバーツによる引用,A Comprehensive History of the Church,第1巻,145)
救い主もモルモン書の証人であられることを指摘する。教義と聖約17:6と教義と聖約19:26を生徒とともに読む。
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わたしたちはどのような方法でモルモン書の証人となることができるでしょうか(モロナイ10:3-5参照。生徒にモルモン書の証を分かち合ってもらうとよい)。
3人の証人と8人の証人は自分が見聞きした事柄について証言したことを強調する。今日,何百万もの教会員がモルモン書について証しているのは,彼らが聖霊による証を受けているためである。十二使徒定員会会員として働いていた当時,ゴードン・ B・ヒンクレー長老はこのように述べている。
「教会の強さは……全世界に建てられた数千に及ぶ礼拝の家にあるのでも,教会の大学にあるのでもありません。……この教会の強さはその民の心の中にあるのであり,この業が真実であることについて個人が持つ証と確信にあるのです。」(Conference Report,1973年4月,73-74;Ensign,1973年7月,49)
4.「新しい聖約,すなわちモルモン書……を思い起こ」す義務
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1832年9月,預言者ジョセフ・スミスは一つの啓示を受けました。その中で主は「全教会〔は〕罪の宣告〔下にある〕」と言われました(教義と聖約84:55)。なぜ教会が罪の宣告下に置かれたのでしょうか(教義と聖約84:54-56参照)。教会員は罪の宣告の取り消しを受けるために何をしなければならなかったでしょうか(教義と聖約84:57-58,60-62参照)。
以下のエズラ・タフト・ベンソン大管長の言葉を読む。
初期の聖徒たちがモルモン書を軽んじたために叱責されたとしたならば,同じようなことをするわたしたちも同様ののろいを受けるのではないでしょうか。」(「モルモン書-わたしたちの宗教のかなめ石」『聖徒の道』1987年1月号,5)
「わたしたちが現在,キリストについての新しい証であるモルモン書に対して向けている関心の程度を主は喜んでおられません。わたしたちは家庭で,家族の中でモルモン書に関心を向ける必要があります。モルモン書は今日のわたしたちのために書かれています。」(Church News,1986年11月9日付け,10)
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わたしたちは個人の生活の中で,家族の中で,教会の責任を果たす際に,モルモン書に対してもっと関心を向けるにはどうすればよいでしょうか。モルモン書に対して適切な関心を向けることによってどのような祝福を受けるでしょうか。あなたはモルモン書を研究することによってどんな祝福を受けてきたでしょうか(生徒から意見を求めるとともに,以下の引用とモルモン書の序文の第6段落を読むように言う。「教えるためのそのほかのアイデア」3も参照する)。
エズラ・タフト・ベンソン大管長はこのように宣言している。
「モルモン書には力があって,真剣に読み始めるやいなやその力は読む者の人生に流れ込み,誘惑に打ち勝つ力となります。またそれは欺きを避ける力となり,まっすぐで狭い道にとどまる力となります。聖文は『命の言葉』(教義と聖約84:85)と呼ばれていますが,モルモン書ほどその言葉にふさわしいものはありません。神の言葉に飢え渇く者はモルモン書を通して豊かに得られるようになるのです。……〔皆さんは〕家庭においては愛と一致が増し,親と子の間には尊敬が生まれ,霊性と義の面で高められること〔でしょう。〕」
「これらのことはむなしい約束ではありません」とベンソン大管長は断言している。「それは預言者ジョセフ・スミスがモルモン書は人を神に近づけるものであると言ったとおりのものです。」(「モルモン書-わたしたちの宗教のかなめ石」『聖徒の道』1987年1月号,6)
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救い主は,世界の果てまでモルモン書について証するようわたしたちに命じておられます(教義と聖約84:62。以下の引用も参照)。この働きをさらに大きく展開するためにわたしたち一人一人にどのようなことができるでしょうか。
ベンソン大管長はこのように述べている。「……地をモルモン書で洪水のごとく満たすべき業があまりにも遅れすぎています。エレクトロニクス機器が発達し,印刷物が氾濫しているこの時代に,何か画期的な方法でモルモン書を広めないとしたら,わたしたちは神にその責任を問われます。教会にはモルモン書が与えられ,教会員や宣教師もいます。様々な力や手段も授けられています。そして世の人々は神の教えを必要としているのです。今こそ,モルモン書で地を満たすべき時です。」(「モルモン書で洪水のごとく地を満たす」1989年2月号,5)
つつましい環境の下で若き預言者が翻訳したモルモン書は現在,実際に洪水のように地を満たしていることを指摘する。モルモン書またはモルモン書からの抜粋は90か国語以上に出版されている。これまでに1億冊以上が印刷されている。
結び
モルモン書に対する感謝の気持ちを表し,この書物の出現に当たって主の助けがあったことを確認する。生活の中でモルモン書に対していっそうの関心を向けるよう生徒に奨励する。
モルモン書があなたの生活に与えてきた影響について証を述べる。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。
1.モロナイがジョセフ・スミスに引用した聖書の預言
ジョセフ・スミス—歴史1:36-49に記録されているように,モロナイは以下の聖書の預言を4回にわたってジョセフ・スミスに引用している。生徒とともにそれぞれの預言を読んでから,その意味と成就について話し合う。
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マラキ3章(モロナイはこの章の一部だけを引用したことに注目する)
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イザヤ11章(教義と聖約113:1-6も参照)
2.教義と聖約-モルモン書の外部からの証
エズラ・タフト・ベンソン大管長はこのように教えている。「モルモン書の証人を別にすれば,教義と聖約はモルモン書が真実であることを述べた,最も偉大な外部からの証であり証拠です。わたしたちはこれを主から与えられました。」(「モルモン書と教義と聖約」『聖徒の道』1987年7月号,94)
ベンソン大管長は教義と聖約中の13の章がモルモン書について証していると述べた。すなわち,教義と聖約1章,3章,5章,8章,10-11章,17-18章,20章,27章,42章,84章,135章である。レッスンを準備する際にこれらの章を研究するとよい。
3.モルモン書を通じて神に近づく
預言者ジョセフ・スミスはこのように述べた。「わたしは兄弟たちに言った。モルモン書はこの世で最も正確な書物であり,わたしたちの宗教のかなめ石である。そして,人がその教えを守ることにより,ほかのどの書物にも増して神に近づくことができる。」(History of the Church,第4巻,461)
エズラ・タフト・ベンソン大管長はこの言葉を引用してから,こう尋ねた。「わたしたちには,神に近づきたい,日々の行いの中で神のようになりたい,絶えず神の存在を感じたいと願う気持ちがどこか心の奥深くにあるのではないでしょうか。そうだとするならば,モルモン書はほかのどの書物よりもその助けとなるものです。」(「モルモン書-わたしたちの宗教のかなめ石」『聖徒の道』1987年1月号,6)
4.「神の賜物と力によって翻訳し」(教義と聖約135:3)
ジョセフ・スミスはモルモン書の翻訳を労働日数に換算するならば,65日で完成した(“I Have a Question,” Ensign,1988年1月号,46-47)。十二使徒定員会のニール・A・マックスウェル長老はこの作業速度についてこのように解説している。
「参考書や言語の辞書,助けが必要であればいつでも待機している翻訳者の同僚に囲まれた日本の末日聖徒で,ある有能な翻訳者は,翻訳を入念に仕上げるのに1日に1ページが限度だと考えていると語っていました。しかも彼は昔の日本語を現代の日本語に再翻訳しているだけでした。英国の有能な50人以上の学者たちは以前の翻訳を使って,聖書の欽定訳を完成するのに7年間を要しました。平均して1日に1ページの翻訳でした。これに対して預言者ジョセフ・スミスは時々,1日に10ページの翻訳を完成させていました(会報 Insights: An Ancient Window [Provo, Utah: Foundation for Ancient Research and Mormon Studies (F.A.R.M.S.) 1986年2月〕1参照)。
モルモン書の翻訳作業について二つ目の驚くべきことは,わたしたちの知るかぎり,ジョセフはすでに翻訳した箇所に戻ったり,再検討したり,改定したりしたことがほとんどなかったことです。翻訳作業はよどみなく進行しました。 ……
エマ・スミスはその霊感あふれる作業について述べています。『食事の後や中断した後,〔ジョセフは〕原稿を見直したり,原稿を読んでもらったりすることもなく,中断したところからすぐに始めました。』(“Last Testimony of Sister Emma,” Saints’ Herald,1879年10月1日,290)口述を行っていて,中断されると,通常は,『さて,どこで終わったのかな』と尋ねてから作業に取りかかるものです。しかし,預言者はそのようなことをしませんでした。
もし教科書を作るとしたら,その執筆者は事項や用語を確認し,編集し,一貫性を維持するために改訂を加えるといった作業を常に繰り返すことでしょう。もし預言者が口述した後,広範囲にわたって改訂を加えていたとしたら,その痕跡が随所に残っているはずです。しかし,神より本文が与えられている場合は,改訂する必要がありません。翻訳作業のあらゆる詳細な部分を採り上げみても,それは実に驚くべき作業が行われていたことに気づくのです。」(“By the Gift and Power of God,” Ensign,1997年1月号,39-40)
モルモン書が多くの言語に翻訳されている現在,奇跡は続いている。ガーナの教会員であるプリシラ・サンプソン-デービスの以下の物語を紹介する。
「バプテスマを受けてから約2年後に,わたしは示現を受けました。……わたしは自分が聖餐会に出席しているのを見ました。そこへ白い服を着た人が入って来て,壇の前に立つと,わたしを呼びました。わたしは進み出て,その人の横に立ちました。すると彼は周囲を見渡し,人々の顔を見て,彼らが集会に出席して喜んでいるかどうかを確かめなさいと言いました。わたしは人々の顔を見ましたが,何の変化も見いだせませんでした。するとその人はよく注意して見るようにと言いました。そこで注意して見ると,一部の会衆が頭を垂れていました。その人はなぜ彼らが一緒に歌っていないのかと尋ねました。わたしは彼らが英語を読むことができないから,歌うことができず,そのため頭を下げているのですと答えました。彼はわたしに……その兄弟姉妹も一緒に歌って天父を賛美できるように助けてあげたいと思うかと尋ねました。わたしはファンテ(人々が話す方言)を話すことはできましたが,それをうまく文字に表すことはできませんでした。けれども,助けたくないとは言いませんでした。やってみます,全力を尽くしますと言いました。そこで示現は終わりました。わたしはすぐに起き上がって,紙と鉛筆を取り,『イスラエルの救い主』をファンテに翻訳し始めました。」
サンプソン-デービス姉妹は賛美歌や,幾つかの伝道用パンフレット,『福音の原則』を翻訳しました。それから,要請を受けて,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠の翻訳を手伝いました。彼女はこのように述べています。「聖文の中で,末日に人々は自分〔自身の〕言葉で福音を聞くと言われています。主がわたしに望んでおられたことがそれでした。わたしは主の恵みによってそれを行いました。」(“An Instrument in His Hands,” in “All Are Alike unto God,” E ・デール・レバロン編〔1990年〕40-42で引用)
5.「与えられた力と手段以上に急いだり,それ以上に働いたりすることのないようにしなさい」(教義と聖約10:4)
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ジョセフがモルモン書の翻訳という非常に大きな仕事を前にしていたとき,主はジョセフにどのような勧告をお与えになったでしょうか(教義と聖約10:4-5参照)。この勧告はわたしたちが難しい課題や責任を前にしたときにどのように助けとなるでしょうか。
6.ビデオ・プレゼンテーション
もし,ビデオカセット『教義と聖約および教会歴史からの教え』(53933 300)を利用できるならば,「神の業と目的」(13分)を見せるとよい。このビデオは失われた116ページの原稿の物語を紹介している。「神の業と計画と目的がくじかれることはあり得ず,またそれらが無に帰することもあり得ない」ことを強調するためにプレゼンテーションを使う(教義と聖約3:1)。この原則について話し合う際には,本課の2に挙げられている質問を活用する。
もし,ビデオカセット『教義と聖約・教会歴史ビデオ・プレゼンテーション』(53912 300)を利用できるならば,「パーリー・P・プラットとモルモン書の出会い」(11分)を見せるとよい。ビデオを見せた後に,以下の質問をする。
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わたしたちはパーリー・P・プラットが最初にモルモン書を読んだときに経験したと同じような喜びを,モルモン書を読むときに感じているでしょうか。モルモン書を中心にして生活するにはどうすればよいでしょうか(これらの質問について生徒に心の中で考えてもらうとよい)。
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ベンソン大管長の約束はどのように成就されているでしょうか。