第9課
「唯一まことの生ける教会」
目的
預言者ジョセフ・スミスを通して末日聖徒イエス・キリスト教会が回復されたことを教え,教会員に与えられる祝福を理解できるようにし,主の教会の会員であることを主に感謝するよう生徒を励ます。
準備
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以下の聖句とその他の資料を祈りの気持ちで研究する。
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『わたしたちの受け継ぎ』14-16ページ。
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『生徒用学習ガイド』(35686 300)の9課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。
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「導入」にある活動2を行う場合は,生徒の人数分の紙と鉛筆を準備する。
レッスンの展開
話し合いと応用
生徒の必要に最も適した聖句,質問,その他の資料を祈りの気持ちで選ぶ。選んだ聖句が日常生活でどのように当てはめられるかを話し合う。聖句で述べられている原則に関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。
1.末日に教会が組織される
1830年は世界の歴史上重大な年であったことを説明する。古代の預言が成就される時が到来したのだった(イザヤ11:11-12;29:13-14;エレミヤ31:31-33;ダニエル2:44-45)。モルモン書が出版され,神権が回復された後,福音の回復において次の大きな段階は教会を正式に組織することだった。教義と聖約20章には教会を組織することについて主がジョセフ・スミスにお与えになった指示が記されている。
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現在の神権時代に教会が組織されたのはいつですか(教義と聖約20:1;21:3参照)。なぜこの日付が選ばれたのでしょうか(教義と聖約20章の前書き参照)。
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最初の示現から教会の組織まで10年の歳月が流れました。この間,教会を組織するための道を備え,教会を導くジョセフ・スミスを準備させるためにどのような出来事が起きたでしょうか(答えを黒板に書き出すとよい。必要であれば,以下の引用を参考にして答えを導き出す)。
十二使徒定員会で働いていた当時に,ゴードン・B・ヒンクレー長老はこのように述べている。
「組織されたこの日はジョセフにとって実質的な出発の日であり,10年間という驚くべき教育を終える日だった。それは1820年の春,森の中で14歳の少年に御父と御子が訪れられるという比類ない示現に始まった。そして,それはモロナイによる養育へと引き継がれ,幾度となく警告と教えが授けられた。その後に古代の記録の翻訳が行われた。その経験から霊感と知識と啓示が生まれた。さらに神の権能,すなわち古代の神権が再び人に授けられた。正当な継承者であるバプテスマのヨハネからアロン神権が,ペテロ,ヤコブ,ヨハネからメルキゼデク神権が授与された。多くの啓示が与えられ,そこで神の声が再び発せられて,人と創造主の交わりの道が開かれたのである。これらすべては歴史的な4月6日のための準備段階だった。」(“150-Year Drama: A Personal View of Our History,” Ensign,1980年4月号,11-12)
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モルモン書の出現は福音の回復への道をどのように備えたでしょうか(教義と聖約20:6-12参照)。神権の回復はどのように道を備えたでしょうか(教会を導き,救いの儀式を執行するために神権の権能が必要だった)。
1830年4月6日,教会を組織するためにジョセフ・スミスほか50人以上の人々がニューヨーク州フェイエットのピーター・ホイットマー・シニアの家に集まったことを説明する。ニューヨーク州の法律では,教会を正式に組織するために少なくとも6人の会員が在籍することを要求されていた。したがって,すでにバプテスマを受け,金版を見た6人皆が最初の正式な教会員となったのである。すなわち,ジョセフ・スミス,オリバー・カウドリ,ハイラム・スミス,ピーター・ホイットマー・ジュニア,サミュエル・H・スミス,デビッド・ホイットマーである(History of the Church,第1巻,76参照。その他の歴史的背景については『わたしたちの受け継ぎ』14-16ページ参照)。
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組織されたときに教会はどのような名称で呼ばれましたか(教義と聖約20:1参照)。初期の教会は様々な名称で呼ばれていた。しかし,主は1838年4月に主の教会がどのような名称で呼ばれるべきかを明らかにされた。主は御自分の教会にどのような名前を付けられましたか(教義と聖約115:4参照)。なぜ主の教会は主の御名で呼ばれることが大切なのでしょうか(3 ニーファイ27:8参照)。
「モルモン」という名称は,モルモン書に由来するニックネームであることを説明するとよい。わたしたちは救い主イエス・キリストを信仰していることを強調するために,自分たちの教会を完全な名称で呼びたいと考えている。
「導入」の活動2を選んだ場合は,質問の答えを簡単に復習する(ここまでの話し合いですべての答えが明らかにされている)。
ピーター・ホイットマー・シニアの家。この家は1830年4月6日ニューヨーク州フェイエットで教会が組織された敷地に復元された。
2.主は教会員に対して預言者に従うよう命じておられる
教会が組織された集会で,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリは教会の管理役員として支持された(History of the Church,第1巻,77)。主はまた啓示を与えて,預言者であるジョセフ・スミスに従うよう教会員に指示された。この啓示は教義と聖約21章に記録されている。
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教義と聖約1:38と21:4-5を生徒とともに読む。これらの聖句はわたしたちが預言者の言葉をどのように考えるべきであると教えているでしょうか(教義と聖約21章ではジョセフ・スミスについて語られているが,この指示は彼を後継した預言者たちにも適用されることを指摘する)。生ける預言者の言葉はどこで見つけることができるでしょうか(公式の書簡,総大会,教会の機関誌などの答えが考えられる)。あなたにとって特に意義の深い末日の預言者の勧告や教えにはどのようなものがあるでしょうか。
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教義と聖約21:5で,主はわたしたちが預言者の言葉に「忍耐と信仰を尽くして」聞き従わなければならないと言われました。預言者の勧告に聞き従うために,忍耐と信仰が要求されることが時々あるのはなぜでしょうか。預言者の勧告に従うために忍耐や信仰を必要とした経験を生徒に話してもらう。
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教義と聖約21:6を生徒とともに読む。預言者に従う人々に対して主はどのような祝福を約束しておられるでしょうか(これらの祝福を黒板に書き出すとよい)。これらの約束は今日教会員の生活の中でどのように成就されているでしょうか。あなたは預言者に従ったために,どのように祝福されてきたでしょうか。
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教義と聖約21:9で,主の奉仕の業で働く人々に主は「力強い祝福」を約束しておられます。あなたは主に仕えることによってどのような祝福を受けてきたでしょうか(主に仕えることによってもたらされる祝福の一つは,預言者の言葉に対する証が強められることであるのを指摘するとよい)。
3.主は教会員が聖餐を受けるためにしばしば集まることを奨励しておられる
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教会が組織された集会で会員たちが聖餐を受けたことを説明する(History of the Church,第1巻,78)。回復された教会の最初の集会で聖餐の儀式を執行することがなぜ大切だったと思いますか。
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教義と聖約20章で,主は聖餐をどのように執行すべきかを明らかにされました(75-79節)。教義と聖約20:75を生徒とともに読む。しばしば聖餐にあずかることはなぜ大切なのでしょうか。
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一人の生徒に聖餐の祈りを読んでもらう(教義と聖約20:77,79)。わたしたちは聖餐を受けるときにどのような約束をするのでしょうか(ルカ22:19-20;3 ニーファイ18:7,10-11も参照)。二つの祈りはともにイエスを覚えることを強調していると指摘するとよい。いつも御子を覚えるとはどのような意味でしょうか。聖餐を受けることは御子を覚えるうえでどのように助けとなるでしょうか。
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ふさわしい状態で聖餐を受ける人々に対して,どのような約束が聖餐の祈りの中で与えられているでしょうか(教義と聖約20:77,79参照)。適切であれば,聖餐を受けることによってどのような祝福を受けてきたかを生徒に話してもらう。
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教義と聖約27章で,主はジョセフ・スミスに対して聖餐に関する指示をさらにお与えになりました。ジョセフはこの啓示を受けたとき,何をしていたでしょうか(教義と聖約27章の前書き参照)。ジョセフはこの啓示で聖餐についてどのようなことを学んだでしょうか(教義と聖約27:2参照)。「〔キリストの〕栄光にひたすら目を向けて」聖餐を受けるにはどうすればよいでしょうか。
4.主は教会員の義務を説明しておられる
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教義と聖約20:68-69を生徒とともに読む。主はこれらの節で「バプテスマによって受け入れられた後の会員の義務」について説明しておられます。主は教会員としてのわたしたちにどのようなことを期待しておられるのかについて,69節から何がわかるでしょうか。わたしたちはどのようにして主の教会の会員であることの感謝の気持ちを主に示すことができるでしょうか。
結び
1830年にイエス・キリストの教会が組織されたことは末日に行われた偉大な奇跡の一つであることを強調する。ニューヨーク州フェイエットで開かれた小さな集会はほとんどだれからの注目も受けなかったが,その日の出来事は世界を変えることになった。つつましやかな出発から教会が全世界に発展してきた奇跡について生徒に考えてもらう。以下の話を紹介するとよい。
ウィルフォード・ウッドラフ大管長は預言者ジョセフ・スミスが教会の発展について預言した集会について述べている。その集会は「4.3メートル四方ほどの小さな家で開かれていました。しかし,そのときカートランドの町にいて,シオンの陣営に出発するために集まっていた末日聖徒イエス・キリスト教会の全神権者がそこに出席していました。」何人かの神権者が御業について証を述べた後,預言者はこう語った。
「兄弟の皆さん,わたしは今晩聞いた皆さんの証によってとても高められ,教えられましたが,主の御前で申し上げたいことは,皆さんがこの教会の行く末について,母親のひざの上にいる赤ん坊と同様,何も知らないということです。皆さんは理解していません。……今晩この場にいる神権者の数はわずかですが,この教会は南北アメリカ大陸に広がり,全世界を満たす……でしょう。」(ジェームズ・E・ファウストによる引用,「永遠,わたしたちの行く末」『聖徒の道』1997年7月号,22)
本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。
1.教会の発展
本書の50ページにあるピーター・ホイットマー・シニアの家の写真に注目してもらう。写真の家は末日聖徒イエス・キリスト教会が正式に組織された家を復元したものであることを説明する。今日,全世界に発展している教会の姿とを対比させる。
2.神とわたしたちの関係
教義と聖約20:8-31を読んで,神に関する真理と,神と地上における神の息子娘たちの関係に関する真理を生徒に見つけてもらう。もしこれらの真理を知らなかったとしたら,自分たちの生活がどのようになっているかを考えてもらう。以下の真理について話し合うとよい。
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教義と聖約20:11。(神は今なお人々に霊感を与えて,神の業に携わるよう人々を召しておられる。)
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教義と聖約20:12。(神は昨日も,今日も,とこしえに変わることのない御方であられる。)
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教義と聖約20:17。(神は無限かつ永遠で,変わることのない御方であられる。)
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教義と聖約20:17。(神は天地とその中にある万物を形作られた。)
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教義と聖約20:18。(神は御自身の形にわたしたちを創造された。)
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教義と聖約20:21-25。(神はわたしたちの罪を贖うために独り子を与えられた。)
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教義と聖約20:29-31。(もし信じて悔い改め,神を愛して仕え,最後まで堪え忍ぶならば,わたしたちはイエス・キリストの恵みにより義と認められ,聖められて,神の王国に救われる。)
3.「ぶどうの実から造ったものを,わたしが地上であなたとともに飲む」(教義と聖約27:5)
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教義と聖約27:5を読む。主はここで聖餐についてどのような約束を与えておられるでしょうか(主は将来,地上で弟子たちとともに聖餐をお取りになる)。主はそのときだれと一緒におられると言われたでしょうか(教義と聖約27:5-14参照。14節で主は「父が世からわたしに与えてくださったすべての者」が出席すると言われたことを指摘する)。
4.「教会の組織」ビデオ・プレゼンテーション
もし,ビデオカセット『教義と聖約・教会歴史ビデオ・プレゼンテーション』(53912 300)を利用できるならば,「教会の組織」(7分35秒)を見せるとよい。