教師への提案

救い主は戒めに従い，戒めについて教えることの大切さを次のように説いていらっしゃいます。「これをおこないまたそう教える者は，天国で大いなる者と呼ばれるであろう。」（マタイ5：19）教師には，子供たちがバプテスマの聖約を守り証あかしを強める方法を身に付けられるよう助けるという，神聖な責任があります。少女が若い女性になり，少年が若い男性となって神権を受ける備えをするうえで，教師は大きな影響を及ぼすことができます。

教会が組織されて間もない1831年，救い主はこう言われました。教師は，「『聖書』と……『モルモン書』の中にあるわたしの福音の原則を教えなければならない。」（教義と聖約42：12）当時用いることのできた聖典はこの2冊だけでした。しかし，今日こんにちの教師には『教義と聖約』や『高価な真珠』も含むすべての標準聖典から教え，子供たちが天の御父と御子イエス・キリストに対する信仰をはぐくんでいけるよう助ける責任があります。

学習コース

1月1日の時点で8歳から11歳までのすべての子供たちは，初等協会4，5，6，7のいずれかの学習資料を基に学ぶことになっています。この年齢グループの子供たちに，毎年一つの学習コースのみが適用されます。各学習コースは特定の聖典に基づいています。すなわち，初等協会4は『モルモン書』，初等協会5は『教義と聖約』，初等協会6は『旧約聖書』，初等協会7は『新約聖書』に基づいています。こうして子供たちは4年後には標準聖典をすべて学んだことになります。

地元の必要性と8歳から11歳の子供たちの人数によっては，クラスを各年齢別，合同，男女別に設定することもできます。しかし，クラス編成に当たっては，子供たち一人一人が十分な配慮を受けられるようにする必要があります。

子供たちは12歳になると，若い男性または若い女性のクラスに出席し始めます。しかし，日曜学校の時間帯は引き続き初等協会に出席し，1月の第1週以降は日曜学校に出席し始めます。

本書には特別レッスン「神権はわたしたちの生活に祝福をもたらす」が含まれています。このレッスンは少年が執事になり，少女が若い女性に進級する準備をする11歳児を教える教師が使用します。クラスの子供でだれかが最初に12歳の誕生日を迎える前にこのレッスンを実施してください。子供たちが神権とはどのようなもので，わたしたちの生活にどのように祝福をもたらし，神権を尊ぶためにはどのような責任を果たすことができるかを理解できるように，教師であるあなたはレッスンの準備と実施に当たって主の導きを求めてください。

本書を使って教える

本書は『旧約聖書』と『高価な真珠』のモーセ書とアブラハム書からの教えを中心にして書かれています。これらの聖典に記された出来事について話し合うときに，子供たちは主が主の民と交わされた聖約の大切さを理解し，さらにわたしたちが主と交わす聖約の大切さについて理解しなければなりません。また，イエス・キリストが『旧約聖書』の神であられることを理解するでしょう。子供たちは『旧約聖書』の教えを自分の生活で実践し，イエス・キリストの戒めを守りたいと思う気持ちを強めなければなりません。

子供たちに家庭で，各課の最後の読書課題にある『旧約聖書』と『高価な真珠』からの聖句を読むように勧めてください。子供たちはこの読書課題を通して，イエス・キリストがどのようにして世の救い主となるよう予任されたか，イエス・キリストが旧約の預言者たちをどのように導き，霊感を与えられたかを学ぶことでしょう。子供たちはイエス・キリストが降誕される前に地上に住んだ人々の様子を知ることによって，義にかなった模範を示した人々のように生活したいと思うようになることでしょう。これらのレッスンを通して子供たちは，証を強め，一生を通じて教会で奉仕するための備えをし，現代の誘惑に打ち勝つ力を得ることでしょう。

教えるために自分自身を備える

子供たちを教えるという神聖な責任を果たすうえで，教師は精神的，霊的に備えなければなりません。この備えの一部として欠かせないのが，自分の教える原則への理解を深め，証を持つことです。すべての人のうち最も優れた教師である救い主は，人々に福音を教える備えをするのに役立つ事柄をたくさん教えられました。

祈りを通じ，へりくだって御霊みたまの導きを求める。主はこう言われました。「あなたは謙遜けんそんでありなさい。そうすれば，主なるあなたの神は手を引いてあなたを導き，あなたの祈りに答えを与えるであろう。」（教義と聖約112：10）謙遜であれば，わたしたちは主がその子供たちをどのように教えるよう望んでおられるか分かるでしょう。
聖典と末日の預言者たちの言葉（教会機関誌から）を研究する。主の言葉を学び深く思い巡らすなら，大きな力が得られます。主はこう命じられました。「まずわたしの言葉を得るように努めなさい。そうすればその後，あなたの舌は緩められる。それから望むならば，あなたはわたしの御霊とわたしの言葉，すなわち人々を確信に導く神の力を受けるであろう。」（教義と聖約11：21）

末日の預言者エズラ・タフト・ベンソン大管長は主の言葉を学ぶ必要性を改めて強調しています。「ぜひとも熱心に聖文を勉強してください。毎日聖文に親しみ，御霊の力を受けて召しを果たすようにしてください。」（『聖徒の道』1986年7月号，82）
聖約を守る。御霊の導きを受ける力は，天の御父と交わした聖約をどれほど忠実に守るかにかかっています。「聖約……を守って実行」（教義と聖約42：13）することにより，教師は子供たちの良い模範となれます。子供たちは，教師の救い主への愛と福音を実践しようとする熱心な態度を目にするとき，自分たちも主に従いたいと思うようになるでしょう。
どうすれば子供たちが主の愛を感じられるかを考える。機会あるごとに子供たちにどんなに彼らを愛しているか伝え，また彼らの価値と可能性について認めてください。教師の愛と思いやりを通じて，子供たちは天の御父とイエス・キリストの愛を理解するようになり，人を愛することも学んでいくことでしょう。

レッスンの準備

本書ではあなたが聖文を中心にどのようにレッスンを組み立てたらよいかを提案します。レッスンでは『旧約聖書』と『高価な真珠』のモーセ書とアブラハム書に記されている出来事や聖句を使います。また各レッスンは一つの福音の原則に焦点を絞り，その原則を日常生活でどのように応用するかを子供たちに教えます。すべてのレッスンに共通する目的は，父なる神と御子イエス・キリストが神であられること，および末日聖徒イエス・キリスト教会が神聖な使命を帯びていることについて子供たちの証をはぐくむことです。

テキストにあるすべての質問と活動をレッスンで行う必要はありません。子供たちの能力に合わせてレッスンをしてください。一つの課に記されているすべての資料を採り上げることよりも，子供たちの理解力に合わせて教えることの方がはるかに大切です。配慮の行き届いたレッスンを行い，それが子供たちの興味を引くものであれば，彼らは積極的に耳を傾け，学ぶようになるでしょう。教師が御霊によって準備し教えるなら，回復された福音が真実であるという証を，子供たちが伸ばせるように助けることになるのです。

以下の手順は，クラスで子供たちを効果的に教えるための準備に役立つでしょう。

レッスンの1，2週間前からレッスンの目的と「準備」の項に挙げられている聖句を研究しましょう。レッスンの目的と聖句を何度も読み返し，クラスの子供たちにどのように当てはめることができるかを熟慮し，こう自問してみてください。「このレッスンの中で子供たちが学び取らなければならないいちばん大切な概念または真理は何だろうか。子供たちがイエス・キリストへの信仰をはぐくみ，証を強め，立ちはだかる悪の誘惑を退けるうえで，このレッスンはどのように役立つだろうか。」頭に浮かんだアイデアを書き留めてください。

『福音の原則』（31110　300）は基本的な福音の原則と教義に関する個人学習ガイドとして作成されました。本書の幾つかの課の「準備」の項目には，『福音の原則』の中の特定の章が列挙されています。これらの章は，レッスンに含まれるおもな原則や教義を教える準備に役立つでしょう。『福音の原則』は教会付属図書館で借りられますし，資材管理部配送センターを通じて購入することもできます。
各課には聖文の物語をどのように教えるかは記されていません。何をどのように教えればよいか決められるように御霊の導きを求める必要があります。毎週様々な教授法を用いてください（次項「聖文に基づいて教える」参照）。クラスの子供たちをできるかぎり学習活動に参加させてください。
「話し合いと応用のための質問」の項目から，子供たちが聖文を理解し，生活に応用するうえで役立ちそうな質問を選びます。レッスン中，いつその質問をしてもかまいません。また，すべての質問を採用する必要はありません。
「レッスンを豊かにする活動」の項目を読み，クラスの子供たちが聖文の意味やレッスンの目的を理解するのに最も役立つと思われる活動を選んでください。そしてその活動をいつ，どのように行うか計画してください。クラスはそれぞれ異なっているので，あるグループには効果的だった活動がほかのグループには効果がないこともあるでしょう。
レッスンの目的に関連する適切で個人的な経験を話すように計画してください。教師が経験をクラスの子供たちに話すとき，また子供たちが経験を教師やほかの人たちと分かち合うとき，御霊の導きを受けられるようにしてください。家族や個人の経験の中には，とても神聖で私的な内容であるため，公にしない方がよいものもあります。

聖文に基づいて教える

レッスンを準備し，教えるに当たっては常に御霊を求める必要があります（アルマ17：2－4；教義と聖約42：12－14；50：17－22参照）。御霊の助けがあれば，レッスンを子供たちにとって興味深く意義深いものにするにはどうしたらよいのかが分かるでしょう。クラスには，聖文にあまり親しんでいない子供がいるかもしれません。皆で聖文を読むときには，助けの要る子供のことを配慮してください。年度始めのレッスンで時間を割いて，聖句の見つけ方を教える必要があるかもしれません。年少の子供たちを教える場合には特にそうです。

子供たちの関心を持続させるため，教える際に以下のような様々な工夫を凝らしてください。

聖文の物語を自分の言葉で話す。子供たちがそれらの中で語られる出来事や人物を思い浮かべられるように助けてください。話の中で登場する人物が実在の人物であり，その出来事が実際に起きたことを子供たちが理解できるようにしてください。
子供たちに，直接聖文から物語や聖句を読ませる。子供たちのすべてが上手に読めるとは限らないこと，読む能力は年齢からは判断できないことに留意してください。全員が読める場合は，2，3分黙読させ，その後，読んだ内容について話し合わせるとよいでしょう。子供たちが読み終わった後，話し合いの時間を利用して，難しい言葉や節について説明してください。
子供たちが出来事を思い浮かべられるように，提案されている視覚資料を用いる。ほとんどの課には，「教材」の項目の中にレッスンで用いる視覚資料が提案されています。視覚資料には番号が付いており，本書に添付されています。提案された視覚資料の中には，『福音の視覚資料セット』に収められているものもあれば，教会付属図書館で入手できるものもあります。（カタログ番号は「教材」の項目に挙げられています。）これらの視覚資料の裏には，その場面の説明が記されています。このほかにも適切な視覚資料があれば使うとよいでしょう。
聖文の物語を演じさせる。（劇化する際，聖文の神聖さが損なわれないように注意してください。）長いロープ，スカーフなど簡単な小道具を用意するとよいでしょう。そして，子供たちに物語の全部または一部を演じさせてください。子供たちに，自分がもし今演じた人だったらどんな気持ちになると思うか尋ねるとよいでしょう。
聖文の物語を話したり読んだりしながら，黒板に簡単な図や絵を描く。写真や切り抜きを用いるのもよいでしょう。
朗読劇をする。何人かの子供たちに聖文の登場人物の役を演じさせます。適切な箇所では，子供たちに聖文の中から直接聖句を引用して読ませてください。
子供たちの親やワード／支部の会員，あるいはクラスの子供に聖文の物語について話をしてもらう。本人には1，2週間前から準備してもらいます。何分以内で発表するかも必ず伝えてください。
原則や聖文の物語について教える前に，子供たちに○×テストやクイズなど，簡単な予備テストを行う。子供たちに「テストをするのはどれくらい聖文の物語について知識があるか知っておきたいからです」と伝えてください。聖文の物語についてレッスンが終わったら，子供たちが学んだことを自分で確認できるよう，同じテストを行ってください。
聖文の物語の登場人物の名前やキーワードを黒板に書き出すか，カードを作っておく。教師が物語を話す際，これらのキーワードや名前がいつ出てくるか注意して聞くように子供たちに言ってください。子供たちが新しい言葉を覚えて，彼らが聖文の理解を深め，家で楽しく聖文を読めるようにするのも大切なことです。
レッスンを始める前に，その日話す聖文の物語についての質問を黒板に書いておく。物語の途中で子供たちが質問の答えに気づいたら，物語を中断してその答えについて話し合ってください。
物語を話し，終わったら子供たちに物語の中で好きな箇所を自発的にもう一度話させる。一人の子供に物語を始めから途中まで話させ，別の子供に続きを話させるのもよいでしょう。
聖文から何節か選んで録音したテープを聞かせる。
カード合わせゲームをする。関連した言葉を書いたカードか紙（縦12.5センチ，横7.5センチ）を組み合わせて，何組かのカードを準備します。以下の例では，『旧約聖書』に登場する人物の名前を書いたカードと，その人に関係がある言葉や概念を記したカードで一つの組み合わせになります。できたカードの束を交ぜ，テーブルか床に裏返して並べます。子供たちに一人ずつ前に出て来て2枚のカードを引かせます。それぞれのカードに書かれていることを大きな声で読みます。カードが合えば，表向きにして置きます。カードが合わなければ，もう一度裏返しにして戻し，別の子供の順番となります。全部のカードが正しく合わされるまで続けます。

『旧約聖書』の登場人物のカード合わせゲームでは，次のようなカードの組み合わせを用意できます。

組み合わせ1：アダム—エデンの園に住んでいました

組み合わせ2：エノク—シオンの町を築きました

組み合わせ3：ノア—箱舟を造りました

組み合わせ4：アブラハム—息子を犠牲としてささげるよう命じられました

組み合わせ5：リベカ—イサクと結婚するために家を離れました

組み合わせ6：ヨセフ—兄弟たちを赦ゆるしました

組み合わせ7：モーセ—イスラエル人を導いてエジプトを脱出しました

組み合わせ8：ルツ—義理の母親に従いました

組み合わせ9：ダビデ—巨人と戦いました

組み合わせ10：エリヤ—からすから食べ物をもらいました
質問ゲームをする。瓶や箱に，何枚かの質問を書いた紙を入れ，クラスの子供に順番でこれらの質問から1枚ずつ引いて答えさせます。

話し合いを導く

話し合いやほかの学習活動に参加することは，子供たちが福音の原則を学ぶ助けになります。以下の指針は，意義深い質問をし，クラスの話し合いを活気づけるのに役立つでしょう。

子供たちが聖文から答えを見いだせるよう，参照聖句を挙げて質問する。
はい」か「いいえ」だけでは答えられない，熟考と話し合いを要する質問をする。なぜ，どのように，だれが，何を，いつ，どこで，で始まる質問の方がたいていの場合，より効果的です。
普段あまり話し合いに加わらない子供たちに関心を示す。このような子供には，彼らが答えられそうな質問を指名して尋ねる方法によって話し合いに参加させるとよいでしょう。この場合，答える時間を十分に取ってください。必要に応じて助けます。しかしそれは，彼らがよく考えて答えた後だけにします。
子供たちが学んだことに対する気持ちをほかの人と分かち合うように勧める。子供たちの発言には建設的な評価をしてください。
子供たちが質問に答えたら，心から褒める。彼らの考えや気持ちがとても大切であることを分からせます。

子供たちが聖文の教えを実践できるように助ける

子供たちが学んだことを生活の中で実践できるように助けてください。ヤコブは「御言みことばを行う人になり……ただ聞くだけの者となってはいけない」と勧告しています（ヤコブの手紙1：22）。以下の提案は，子供たちに対するこの責任を果たすうえで役立つでしょう。

御霊の促しを感じたら，今教えている真理に対する証を述べる。誠実な態度で確信をもって教えるなら，レッスンはより力強いものとなるでしょう。
子供たちに自分の聖典をクラスに持って来るように励ます。子供たちが自分専用の聖典を持っていないか，持って来るのを忘れた場合に，彼らが教室で使用できるよう，余分に聖典を用意してください。ワードまたは支部に教会付属図書館がある場合は，そこで聖典を入手できるでしょう。自分の生活に意味のある聖句が見つかれば，（付属図書館の聖典は別として）自分の聖典に，印を付けるように，年間を通じて生徒を励ましてください。
子供たちに学んだことについて話させる。またレッスンで習った福音の原則を，どうすれば生活に応用できるかを話させる。
教師がレポーター役を務め，子供たちにレッスンで聖文から学んだ人物になったつもりでインタビューに答えさせる。聖文の物語の詳細や，そこで起こった事柄に対する感想を述べさせます。
クラスを二つ以上のグループに分ける。聖文の物語を紹介した後，そこに含まれる重要な原則を各グループに書き留めさせます。次に，各グループにこれらの原則を生活に応用するにはどうしたらよいかを順番に発表させます。
聖句探しをする。クラスの子供たちに，出来事，状況，問題などのヒントを与え，それに当てはまる聖句を探させます。早く聖句を探し出した子供たちには，ほかの子供たちが探すのを手伝わせてください。そして，その聖句がヒントと結びつく理由を話させます。
採り上げた原則に子供たちが従っているのを目にした経験を具体的に紹介する。例えば，親切についてレッスンで教えているのであれば，子供たちが人に親切にしているのを見た，幾つかの具体例を挙げることができるでしょう。
学んだ事柄を家族に話すように子供たちを励ます。レッスンのどの箇所を選んで，子供たちに家で話すように勧めるかを考えるときに，御霊の導きを求めてください。子供たちは家族と一緒に，物語を話したり，質問について話し合ったり，レッスンで行った活動をしたりすることができます。特殊な家庭環境にある子供たちや，子供の生活環境の中で（養父母などの）特別な人に学んだ事柄を話す必要がある子供たちに配慮してください。
宿題をしてきたかどうかを確認する。宿題を出したときは，子供たちがそれを行った経験について，翌週の日曜日のレッスンの始めに必ず尋ねてください。

子供たちが家庭で聖文を読むように励ます

聖文に対する教師自身の態度が，クラスの子供たちに大きな影響を与えます。自分自身で，また家族と一緒に聖文を読むよう，子供たちを励ます方法を祈りを込めて考えてください。神の言葉を自分の心に植え付け，それを養い育てる経験を子供たちが持てるように助けます。すると心の中で成長して，子供たちに良い気持ちを与えるようになります（アルマ32：28参照）。それぞれのレッスンの最後に「読書課題」があります。読書範囲を記した紙を毎週子供たちに渡してもよいし，しおりを子供たちに渡しておいて，そこに毎週の読書課題を子供たちが記入できるようにしてもよいでしょう。建設的で，創造的な方法を用いて，子供たちを力づけてください。

子供たちが聖句を覚えるのを助ける

聖句を覚えるのは，福音の真理を教えるうえで効果的な方法です。楽しく独創的な方法を用いるならば，たいていの子供たちは喜んで覚えるようになります。以下の提案は，子供たちが楽しみながら覚えるのに役立つでしょう。

覚える言葉の最初の文字を黒板に書き出すか大きな紙に書いておく。例えば信仰箇条第1節の言葉を覚える場合，次のように書きます。

わえちかそおイせし

教師は，文字を指しながら対応する言葉を繰り返します。2，3度繰り返し，子供たちが覚えたら，反復させます。子供たちはすぐに文字の列を必要としなくなるでしょう。
聖句を短いフレーズに分ける。最後のフレーズから最初のフレーズに向けて，声を出して繰り返しながら読んでいきます。こうすると，最も耳慣れない部分を最初に繰り返し読むことによって全体を覚えやすくなります。例えば，創世1：27「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち，神のかたちに創造し，男と女とに創造された」を暗記する場合，子供たちは「男と女とに創造された」を何度か繰り返すことになります。そして次のフレーズ「神のかたちに創造し」を付け加えます。こうして聖句全体を繰り返していくのです。
子供たちが文字をよく読める場合，子供たちの人数分，聖句を書き写したものを用意する。これを単語やフレーズごとに切り離してください。元の聖句を全員で2，3度読んだ後，切り離した言葉の束をばらばらにさせ，個人でまたはクラス全員で言葉の紙を正しい順に並べ替えさせます。
聖句を何度か繰り返して読んだ後，途中で読むのをやめ，一人の子供にその次の言葉やフレーズを言わせます。次に別の子供にさらにその後に続く2，3のフレーズを付け加えさせます。こうして子供たち全員が少なくとも1度は指名されるまで続けます。
子供たちが覚えやすいように音楽を用いる。
子供たち一人一人（またはグループごとに）聖句から一つの言葉またはフレーズを割り当てる。その際，聖句のすべての言葉を割り当てるようにしてください。そして，子供たちにそれぞれの言葉を順に発表させます。（最初の子供は最初の言葉またはフレーズを，2番目の子供は2番目の言葉またはフレーズを発表し，聖句の最後まで続けます。）何度か繰り返してください。
聖句を黒板か模造紙に書く。何度かその聖句を繰り返し読んで，少しずつ言葉を消したり，覆ったりしながら，子供たちが聖句全体を覚えるまで続けます。

余った時間を有効に使う

準備したレッスンを，クラスの終わる時刻の前に終えた場合，残りの時間を利用して，即興の活動をするとよいでしょう。以下の提案は，この時間を有効に活用するうえで役立つでしょう。

何人かの子供に好きな聖文に関する物語を話させる。
聖句探しをする。子供たちがすでに印を付けている重要な聖句を，ヒントを出して探させます。また，子供たちを二人一組またはグループに分けて探させるとよいでしょう。
その日のレッスンに出てきた聖句や，レッスンに関連する信仰箇条の節を暗記させる。
レッスンで学んだ原則を，家庭や学校で，そして友達に対してどのように応用していけるか，子供たちの意見を聞く。
クラスをグループに分け，その日のレッスンに関する質問を子供たち同士で順番に尋ねさせる。
その日のレッスンに関連する絵を描かせるか，引用文を書き写させ，家に持ち帰って目立つ所にはり，レッスンの目的を思い起こせるようにする。
今後の学習のため，聖句に印を付けるよう子供たちに勧める。レッスンの中で子供たちが特に好んだ聖句，あるいは，レッスンの目的を子供たちが思い起こすのに役立つと思われる聖句でもよいでしょう。それらに印を付けるように言います。
『聖徒の道』や『リアホナ』に掲載された適切な物語，記事，活動を紹介する。
前回のレッスンで学んだ原則や聖文の物語について復習する。

教室での音楽

福音の学習は，音楽を活用することによってさらに豊かで楽しいものとなります。子供たちは音楽を通じて，よりよく学習し，記憶することができます。

子供たちが御霊を感じ，福音を学ぶうえで，教師は音楽家である必要はありません。クラスで用いる音楽としては，教える原則を強調するため，レッスンの始めや途中に『賛美歌』または『子供の歌集』から音楽テープをかけたり，人を招いて演奏してもらったりすることができます。またレッスンの中で子供たちとともに歌ったり，歌詞を読んだりするとよいでしょう。できるだけ頻繁に初等協会の歌を歌うようにしてください。『子供の歌集』カセットテープ（52538　300），CD（50177　300）を使って，歌の練習をしてもよいでしょう。

分かち合いの時間

初等協会では分かち合いの時間を使って，福音に関する簡単な発表を時々行うことになっています。これらの発表はレッスンに基づく内容で，ほとんど練習なしで行えるものにしてください。またそれまでに教えた原則への理解を深めるのに役立つものがよいでしょう。分かち合いの時間に役立つ幾つかの提案を以下に挙げます。

聖文の物語を劇化する。
覚えた聖句を一緒に暗唱する。
信仰箇条のいずれかの節を暗唱し，その意味を説明する。
福音の原則を日常生活に当てはめてロールプレーイングを行う。
レッスンを豊かにする活動を地元の状況に合わせて行う。

信仰箇条

信仰箇条をレッスンに取り入れ，子供たちに初等協会を修了するまでに信仰箇条を覚えるように励ましてください。あらゆる機会を活用して，子供たちが信仰箇条を覚え，理解できるように助けてください。

8歳から11歳までの子供を理解する

子供たちが学び，また自信を持てるように，子供たちの必要や特徴をよく理解し，適切な活動やレッスンを計画する必要があります。この年齢の子供たちの特徴に関する詳しい情報は，『教師，その大いなる召し』（36123　300）「B5子供の年齢別特徴」を参照してください。この本は，教会付属図書館で借りるか，教会管理本部配送センターを通じて購入できます。

障害を持つ子供たちを交えて教えるための特別な指針

救い主は，障害を持つ人々に対して哀れみの心を持つよう，模範を示してくださいました。復活後ニーファイ人を訪れた救い主はこう言われました。

「あなたがたの中に病気の者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。足の不自由な者，目の見えない者，足の悪い者，手の不自由な者，らい病にかかっている者，体のまひしている者，耳の聞こえない者，あるいはどんなことでも苦しんでいる者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。癒いやしてあげよう。わたしはあなたがたのことを哀れに思〔う〕。」（3ニーファイ17：7）

あなたは初等協会の教師として，哀れみの心を示せるすばらしい立場にあります。専門的な介助のための訓練は受けていないかもしれませんが，教師として障害を持つ子供たちを理解し，慈いつくしみ育てることができるのです。関心を寄せ，理解し，クラスの一人一人をレッスンに参加させようという熱意をもって当たることが大切です。

障害を持つ子供たちは，理解する能力の程度にかかわらず，御霊を感じることができます。中には初等協会のすべての時間には参加できない子供がいるかもしれませんが，たとえ短い時間であっても御霊を感じるために出席することが必要です。その場合に，子供がほかの子供たちから離れて休まなければならないときに備えて，子供の必要に対して敏感に対応することのできる人が付き添う必要があるかもしれません。

障害の中には，学習能力障害，知的障害，言語障害，視覚障害，聴覚障害，行動や他人と接するうえでの問題，精神的障害，運動障害，慢性的な病気など様々あります。そのほかに，言葉や文化の違いになじめない子供もいるでしょう。子供たち一人一人の状況は異なっても，どの子も同じように愛され，受け入れられなければなりませんし，福音を学び，御霊を感じ，クラスの一員として立派に参加し，周りの人々に奉仕する必要があります。

以下の指針は障害を持つ子供たちを教えるうえで助けとなるでしょう。

障害だけに目を向けず，その子供自身について知るように努める。自然で，親しみやすく，愛情を込めて接する。
その子供の長所や問題などについて知る。
様々な機会を捕らえて，クラスの子供たちにクラス全員を尊重する責任があることを教え，気づかせる。クラスの障害を持つ子供を助けることは，クラス全員にとってキリストのようになることがどんなことかを学ぶ良い経験となる。
両親や家族，また適当であれば本人とよく話し合い，その子供を教えるのに最適な方法を見つける。
障害を持つ子供に朗読や祈りを頼んだり，活動に参加させたりする前に，クラスに参加することについてどのように感じているかを尋ねる。一人一人の子供の持つ能力や才能をよく認めて強調し，子供が気持ちよく上手に参加できるような方法を探す。
障害を持つ子供の必要に合わせてレッスンで使うものやクラスの環境を整える。

障害を持つ子供たちを教えるための資料については，教会管理本部配送センターに問い合わせてください。

虐待の問題への対処の仕方

教師は，情緒的または肉体的に虐待を受けて苦しんでいる子供がクラスの中にいることに気づく場合があります。万一，クラスの子供にそのような懸念を感じたら，監督に相談してください。レッスンを準備し，教えるときには，主の導きと指示を祈り求めてください。クラスの子供一人一人が，「自分は天の御父の大切な子供であり，天の御父とイエス・キリストはわたしたち一人一人を愛し，わたしたちに幸せで安全な生活を送ってほしいと望んでおられる」と感じられるようにしてください。