初等協会テキストと分かち合いの時間
第18課 モーセの誕生と召し


第18課

モーセの誕生と召し

目 的

子供たちが地上における自分の召しを果たすための準備を始めていることを理解させる。

準 備

  1. 祈りをもって以下の聖句を研究する。

  2. その他の参考箇所

  3. レッスンを検討し,聖文の物語を子供たちにどう教えるかを決める(本書「レッスンの準備」ⅵ—ⅶ,「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いと応用のための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 教材

    1. 『聖書』人数分

    2. 『モルモン書』『教義と聖約』『高価な真珠』

    3. 約2メートルのひもまたは毛糸(「導入」参照)

    4. 視覚資料6-21「かごの中のモーセ」(『福音の視覚資料セット』106);6-22「奴隷の境遇に置かれたイスラエルの民」;6-23「モーセと燃えるしば」(『福音の視覚資料セット』107)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導 入

毛糸の両端を結び合わせる。一人の子供に毛糸を渡して,手だけを使って,毛糸を円の形に持ち上げ,毛糸の円の形を崩さないように言う。その子供ができなかったら,もう一人の子供に手伝わせる。こうして全員が参加して毛糸を円の形にする。(クラスに子供が2,3人しかいない場合は,四角形か六角形にする。)

円を作るのに一人一人が必要とされたように,わたしたちはそれぞれに神の王国で果たすべき使命があることを説明する。今日きょうのレッスンでは,預言者モーセと彼が果たすように命じられた使命について学ぶ。

聖文の物語

「準備」の項目で挙げられた聖句に基づいてイスラエルの民の様子とモーセの誕生,少年期,召しについて教える(聖文の物語の教え方については,「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。適切な箇所で視覚資料を用いる。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問をする。教室で子供たちと一緒に参照聖句を読み,それについて話し合うのは,聖文に対する子供たちの理解を深めるのに役立つ。

  • 主はヤコブに何という名前をお与えになりましたか(創世32:2846:2)。主はヤコブに対して家族をどこへ連れて行くように言われましたか。それはなぜですか(創世46:3-4)。

  • ヤコブ(イスラエル)の12人の息子たちの名前は何と言いますか(出エジプト1:1-5)。

イスラエルの12部族について第14課で学んだ事柄を復習する。そして,ヨセフの兄弟たちと父親がエジプトへ移ったときから,彼らはイスラエル,イスラエルの子らとして知られるようになったことを説明する。彼らはヘブル人とも呼ばれた(黒板にイスラエルの民,ヘブル人と書くとよい)。イスラエルの民は最初パロから手厚い保護を受けて,土地や贈り物を与えられた(創世45:17-2347:5-6参照)。しかし別のパロが権力を持つようになると,彼はイスラエルの民を嫌った。

  • 新しいパロはなぜイスラエルの民を嫌ったのですか。(出エジプト1:7-10。「エジプトの王」と「パロ」はともにエジプトの支配者の名称であることを説明する。)新しいパロはイスラエルの民にどのようなことを命じましたか(出エジプト1:11-14)。エジプト人の奴隷となったイスラエルの民はどのような生活を強いられることになりましたか(出エジプト1:12)。

  • パロはヘブル人の助産婦に何をするように命じましたか(出エジプト1:15-16)。それはなぜですか。助産婦たちはこの問題をどのように処理しましたか(出エジプト1:17-19)。パロは次にだれに命じてヘブル人の赤ん坊を殺させようとしましたか(出エジプト1:22)。わたしたちは悪いと分かっていることをするように言われたら,どうすべきですか。

  • モーセの母はモーセの命を救うためにどうしましたか(出エジプト2:2-4)。赤ん坊のモーセを見守っていたのはだれでしたか(出エジプト2:4。姉のミリアムと天の御父)。パロの娘は赤ん坊のモーセを見つけたとき,どうすることにしましたか(出エジプト2:5-10)。モーセの世話をしたのはだれですか。

  • モーセがヘブル人を守ろうとしたときに何が起こりましたか(出エジプト2:11-12)。モーセはなぜエジプトを去ったのですか(出エジプト2:13-15)。

  • モーセは主が自分に望んでおられることをどのようにして知りましたか(出エジプト3:2-10モーセ1:1-2,25-26)。モーセの使命は何でしたか。これはなぜ難しい使命だったのですか(出エジプト3:19-204:10)。主は時々難しい使命をお与えになるのはなぜだと思いますか。あなたが困難なことをしなければならなかった経験とそれを行うことによってどのように祝福されたかを述べるとよい。

  • 神がモーセの使命を明らかにされたとき,モーセはどのように感じましたか(出エジプト3:11)。主はモーセに力と勇気を与えるためにどのようなことを言われましたか(モーセ1:6)。責任や試しの大きさに圧倒されている人に対して,あなたはどのような励ましを与えることができますか(1ニーファイ3:7)。

  • ヘブル人の助産婦たちはどのような大切な使命を果たしましたか。ミリアムはどのような使命を果たしましたか。モーセの母はどのような使命を果たしましたか。パロの娘はどのような使命を果たしましたか。これらの人々はモーセが使命を果たすのをどのように助けましたか。

  • 主があなたがたにどのような働きを用意しておられるかを知るにはどうすればよいでしょうか(「レッスンを豊かにする活動」2参照)。あなたがたは将来与えられる召しのためにどのような準備をしたらよいでしょうか(「レッスンを豊かにする活動」3,5参照)。

  • モーセはヘブル人の指導者になるために何を放棄しましたか(ヘブル11:24-26)。もしあなたがイエス・キリストの弟子になるか,金持ちで有名な人になるかのどちらか一つを選ばなければならないとしたら,どちらを選びますか。それはなぜですか。

  • モーセはミデヤンの祭司の娘たちをどのようにして助けましたか(出エジプト2:16-17)。ミデヤンの祭司(リウエルまたはエテロとも呼ばれた)はモーセにメルキゼデク神権を授けたことを説明する(教義と聖約84:6参照)。モーセはエテロの娘の一人と結婚したとき,聖約の下で結婚したことを強調する。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. わたしたちは様々な使命を与えられることを話し合う。子供たちに現在あるいは過去に伝道に出た家族の一員について話させるとよい。天の御父とイエス・キリストがわたしたちに多くの大切な働きを必要としておられることを説明する。どのような使命があるかを子供たちに一人ずつ黒板に書き出させる。両親,教師,教会の指導者,良い模範などが考えられる。すべての人は少なくとも一つは地上で果たすべき使命があり,神は神の王国を築くためにわたしたち一人一人を必要としておられることを強調する。

    以下のブリガム・ヤング大管長の話を紹介する。

    「この教会には男性であれ女性であれ使命のない人はいません。その使命はこの世に生きているかぎり続くものです。それは善いことを行い,義を広め,真理の原則を教え,自分自身と周囲にいるすべての人がこれらの原則に従って生活することにより永遠の命を得るように教えることです。」(ジョン・A・ウイッツォー,Discourses of Brigham Young,322)

    黒板に書き出した事柄の中から,ヤング大管長が述べた使命を成し遂げるものを子供たちに探させる。家族の人たちにも話すことができるように,ブリガム・ヤングの言葉をコピーして子供たちに配るとよい。

  2. 以下のバージニア・H・ピアスの話からの引用文について話し合う。

    • 天の御父とイエス・キリストは生きておられ,この世界を管理しておられます。

    • 御二人はわたしを御存じです。

    • 御二人はわたしを愛しておられます。

    • 御二人はわたしの将来について計画を持っておられます。

    • わたしは戒めを守り,一生懸命に努力し,その計画を信じます。そうすれば何事も結局好都合となります。」(「信仰は解決への道」『聖徒の道』1994年7月号,100)

  3. モーセ1:25-26を子供たちとともに読む。わたしたちはモーセのように天の御父からの啓示によってこの世での使命を知ることができると説明する。祝福師の祝福について話し合う。祝福師は教会員に祝福師の祝福を授けるために聖任されていることを説明する。これらの祝福によって,地上における使命について何らかの理解を得ることができる。祝福師の祝福はわたしたち個人に対する主の言葉である。

    教師自身が祝福師の祝福を受けたときのことについて話すとよい。祝福師の祝福は神聖なものであって,家族以外の人に話すべきものではないことを忘れてはならない。

  4. 70の迷路をコピーして子供たち全員に配るか,本書を使って子供たちに指で追わせる。子供たちが標識を通り過ぎるときに声を出して読ませる。

  5. 子供たちが人生における使命のためにどのような準備をしているかを発表させる。黒板に「わたしは今準備しています」と標題を書き,その下に子供たちが現在行っている事柄を書く。バプテスマを受ける,教会の集会に出席する,聖文を読む,人々に奉仕する,熱心に働く,などの答えが考えられる。次に将来行う事柄を「これから準備します」の下に書く。ここには伝道に出る,神殿で結婚する,自分の子供に福音を教える,祝福師の祝福を受ける,外国語を勉強する,などの答えが考えられる。生涯を通じて主に仕えるために準備する目標を今決めるよう勧める。

    ゴードン・B・ヒンクレー大管長の以下の言葉を紹介する。

    「だれもが,この世で優れた働きをするために,大きな力を天の御父から授かっているのです。皆さんが社会の一員としてよく奉仕できるように,皆さんの頭脳と技能を訓練してください。親切で思いやり深く,人々を助けられるような力を培ってください。皆さんが受け継いでいる神聖な特質の一部である,あわれみの心を養ってください。」(「内なる光」『聖徒の道』1995年7月号,108)

  6. 以前に大管長会の副管長を務めたヒュー・B・ブラウン長老の話を引用する。

    ブラウン長老の農場には1本のすぐりの木がありましたが,手入れをしなかったために花も実もつけずに大きく生長してしまいました。ブラウン長老は大きな枝のほとんどを切り落としたときの様子を,まるですぐりの木が話をするように説明しています。「あなたはどうしてこのようなことをなさるのですか。わたしは十分生長してきたではありませんか。垣根の内側にある日よけの木や果樹と同じくらいに大きくなっていたのに,あなたはわたしを切ってしまいました。庭の木はみんなわたしを見下すでしょう。わたしはもっと大きくなろうとしていたのに,それができなくなってしまいました。」ブラウン長老はこう考えました。「わたしはここの庭師だ。わたしは目的をもっておまえを植えた。それはおまえを果樹や木陰を作る木にするためではない。わたしがおまえを植えた目的は,おまえをすぐりの木にするためだ。」何年かが過ぎてすぐりの木は花を咲かせ実をつけました。

    それから何年か後,ブラウン長老はイギリス軍で将軍になるために努力していました。すべての試験に合格し,必ず昇進すると自信を持っていました。けれどもブラウン長老はあまり大切でない地位に任命されました。それは彼が末日聖徒イエス・キリスト教会の会員だったからです。ブラウン長老はひどくがっかりしました。神はなぜこのようなことをお許しになるのだろうかと考えました。昇進に必要なことはすべて成し遂げてきたのに。すると何年か前に,自分が話した言葉を思い出しました。「わたしはここの庭師だ。わたしは目的をもっておまえを植えた。」ブラウン長老はゆるしを求めるためにひざまずいて祈りました。そして,主は地上における彼の使命を御存じであり,彼が義にかなった生活を続けるならばその使命を成し遂げることができるよう祝福してくださることを知ったのでした。(「すぐりの木」『聖徒の道』1973年7月号,326-327参照)

    ブラウン副管長は陸軍の将校として生涯を過ごすのではなく,イエス・キリストの使徒に召され,教会の大管長会で働くようになったことを子供たちに話す。わたしたちは時々,自分の生涯の使命に使うための時間や注意力を浪費するようなことを望む場合があることを説明する。わたしたちは正しい選択を行い,与えられた使命を喜んで受け入れるために,主の導きに頼る必要がある。

  7. 「主の計画にしたがう」(『子供の歌集』86),「ニーファイの勇気」(『子供の歌集』64)または「神の子です」(『子供の歌集』2)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

わたしたち一人一人にこの世で果たすべき使命があることをあかしするとよい。ふさわしい状態で奉仕の業に携わるためには,義にかなった生活を送る必要があることを強調する。わたしたちが自分の使命を知り,果たすために努力するときに天の御父の助けと祝福があることを子供たちに確認する。

家族との分かち合いの提案

物語,質問,活動などのレッスンの一部を家族と分かち合ったり,読書課題を家族と一緒に読んだりするよう,子供たちを励ます。

読書課題

本課の復習のため,家庭で出エジプト3:1-10を研究するよう,子供たちに提案する。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。

わたしの人生の使命を果たす

わたしの人生の使命

スタート

聖霊せいれいに耳をかたむける

うそをつく

いのりをわすれる

人々に奉仕ほうしする

聖文を読む

知恵の言葉をやぶ

教会へ行かない

いましめをまも

不親切な行いをする

みちびきをもとめていの

わたしの人生の使命しめい