初等協会テキストと分かち合いの時間
第4課 アダムとエバの堕落


第4課

アダムとエバの堕落

目 的

子供たちにアダムとエバの堕落について理解させ,天の御父のもとに帰る望みを抱かせる。

準 備

  1. 祈りをもって以下の聖句を研究する。

  2. その他の参考箇所

  3. レッスンを検討し,聖文の物語を子供たちにどう教えるかを決める(本書「レッスンの準備」「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いと応用のための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 教材

    1. 『聖書』と『高価な真珠』人数分

    2. 『モルモン書』と『教義と聖約』

    3. 不要な物を4つ,例えば瓶のふた,小枝,ティッシュペーパーの固まりなどの一つずつにひもを付ける。一つの価値のある物(永遠の命を表す指輪など)にひもを付ける。小さな袋か容器(「導入」参照)。

    4. 視覚資料6-2「エデンの園」;6-3「父なる神とイエス・キリスト」;6-4「アダムとエバ」(『福音の視覚資料セット』101)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導 入

ひもを付けた品物を入れた袋をテーブルの上に置く。袋の中が見えないようにして,各品物のひもの先を同じ長さだけ袋から出しておく。一人の子供にひもを引いて袋から品物を取り出すように言う。取り出したら,また袋の中に戻す。このようにして子供たちに順番にひもを引いて品物を取り出させる。最後にすべての品物をテーブルの上に並べて,袋に入れておいた大切な品物の価値について説明する。

何を選んでいるかが分からなければ,正しい選択をするのは難しいことを説明する。天の御父はわたしたちが善を選ぶことができるように,善と悪の違いを知ることを望んでおられる。本課では,善悪を知る知識と自分のために選ぶ力がどのようにしてわたしたちに与えられたかを学ぶ。

聖文の物語

適切な箇所で視覚資料を用いて,「準備」の項目に挙げられた聖句からアダムとエバの堕落の物語を子供たちに教える(聖文の物語の教え方については,「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。本課で教えるおもな概念は以下の3つの点である。

  1. 天の御父はアダムとエバの堕落を予知しておられた。また「彼らの堕落が救いの計画において欠くことのできない段階であり,同時に全人類にとって大きな祝福であった……。」(『福音の原則』33)わたしたちは霊界において天の御父の計画を支持したときにこの状態が来ることを受け入れていた。

  2. 「この出来事によって,わたしたちに肉体と善悪を選ぶ権利と永遠の命を得る機会が与えられるようになったのである。もしもアダムとエバがエデンの園にとどまっていたとしたら,これらの特権は決して与えられなかったであろう。」(『福音の原則』33)

  3. アダムとエバが神の前から「堕落して」死すべき体になった後,わたしたちは天の御父のもとへ帰ってともに住むためには救い主を必要とすることになった。イエス・キリストは世界が創造される以前にわたしたちの救い主として選ばれていた(本書2課参照)。

以下の点を注意しながら聖文を検討するとよい。

  1. アダムは地上に来る前には,天使長ミカエルと呼ばれた(教義と聖約107:54参照)。

  2. ミカエルはルシフェルとその使いたちとの戦いを指揮した。戦いの結果,ルシフェルとその使いたちは地に投げ落とされた(黙示12:7-9参照)。

  3. 「アダムとエバは,天の御父の霊の子供たちの中でも特に優れていた。」(『福音の原則』31)

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問をする。教室で子供たちと一緒に参照聖句を読み,それについて話し合うのは,聖文に対する子供たちの理解を深めるのに役立つ。

  • アダムとエバは創造された後,どのような戒めを最初に与えられましたか(モーセ2:28)。アダムとエバは堕落するまでこの戒めに従うことができなかったことを説明する。二人の体は死すべき体でなかったため,子供を持つことができなかった。

  • 天の御父はアダムとエバのために美しい場所を用意されましたが,それは何という所ですか(モーセ3:8-9)。園の中はどのような様子だったと思いますか。

  • エデンの園にはどのような木があったと書かれていますか(モーセ3:9)。神はアダムとエバに対して,どの木の実を食べてはならないとおっしゃいましたか(モーセ3:16-17)。神はアダムとエバに,善悪を知る木についてはっきりとした指示をお与えになりましたが,どのようなことを許しておられましたか(「レッスンを豊かにする活動」5参照)。神はアダムに,善悪を知る木の実を食べるとどうなるとおっしゃいましたか。天の御父はわたしたちが自分のために選択することをなぜ許しておられるのですか。わたしたちはどのような選択をすると天の御父に近づくことができますか。

  • アダムとエバは禁断の実を食べたときに,どのようなことが起こりましたか。(二人は善と悪の違いが分かり,死すべき体になった,または肉体の死を受けることになった。二人は子供を持つことができるようになったため,増えて地を満たすという戒めを守ることができるようになった。二人は天の御父とイエス・キリストのもとから遠ざけられた。これを霊の死という〔『福音の原則』31-32参照〕)。(「レッスンを豊かにする活動」3参照)

  • 堕落はアルマが「偉大な幸福の計画」(アルマ42:8)と呼んだ救いの計画とどのように調和していますか。天の御父はわたしたちが幸福になることを望んでおられることを説明する。霊の子供であったわたしたちは,天の御父のような人になるために死すべき体を受けて,天の御父の前に自分たちがふさわしい者であることを証明する道を選びました。2ニーファイ2:25「アダムが堕落したのは人が存在するためであり,人が存在するのは喜びを得るためである」を子供たちと暗唱する。アダムとエバが禁断の実を食べたことによって,わたしたち一人一人にどのような影響が及ぼされていますか。(わたしたちはこの世に生まれ,反対のものを経験し,善悪の区別を知り,神のようになるための選択ができるようになり,死を受ける。)このことからあなたはアダムとエバに対してどのような気持ちを抱きますか(「レッスンを豊かにする活動」3参照)。

  • わたしたちは肉体の死からどのようにして救われますか。(イエス・キリストの復活によって,すべての人は死んだ後によみがえる。)復活するのはだれですか(1コリント15:22)。

  • イエスはわたしたちを霊の死つまり天の御父から離れた状態からどのようにして救ってくださるのですか。(イエスは偉大な贖罪しょくざいを通してわたしたちの罪のために苦しまれた。わたしたちは悔い改めるならば,ゆるしを受けて,天の御父のもとに帰ることができる〔3ニーファイ27:19参照〕。)

  • 神はアダムとエバが命の木の実を食べることがないようにするため,どのようなことをされましたか(アルマ42:2-5)。そのときアダムとエバが命の木の実を食べないようにすることはなぜ大切だったのですか(アルマ42:5)。

  • アダムとエバがエデンの園で暮らした生活と,園を追われた後の生活にはどのような違いがありますか。アダムとエバは生きていくことは大変だったが,天の御父について学ぶことによって,天の御父のようになることができるため,幸福だったことを子供たちに理解させる(モーセ5:10-11参照)。二人は食料,衣類,住まいを自分たちの力で手に入れるために熱心に働きました。また熱心に戒めを守り,主に近く生活しました。わたしたちは人生で困難な状態に陥ったときに,アダムとエバが示した模範にどのように従うことができますか。

  • もしアダムとエバが善悪を知る木の実を食べなかったとしたら,わたしたちはどうなっていたでしょうか。(ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は次のように教えている。「わたしたちは祈るときに,アダムが与えられたことを主に感謝しようではありませんか。もしアダムがいなかったら,わたしはここにいません。皆さんがたもここにいません。わたしたちは天において霊としてずっと待ち続けていることでしょう。」〔Conference Report,1967年10月,122;2ニーファイ2:22も参照〕)

  • アダムとエバは善悪を知る木の実を食べる選択をしたことについて後に何と言っていますか(モーセ5:10-12)。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 「父なる神とイエス・キリスト」の絵の横に「アダムとエバ」の絵を置く。アダムとエバはエデンの園に住んでいたときに天の御父とイエスとともに歩き,話すことができたと説明する。アダムとエバの選択の結果がなぜ堕落と言われるようになったかを子供たちに理解させるために,「アダムとエバ」の絵を「父なる神とイエス・キリスト」の絵の下へ移動させながら,アダムとエバが禁断の実を食べたことを話す。アダムとエバは「堕落した」つまり神の前から遠ざけられた。アダムとエバは天の御父とイエス・キリストと自由に交わることができなくなったため,これが堕落と呼ばれることを説明する。アダムとエバが天の御父とイエスの前から遠ざけられたことにより,地上における死すべき生活が始まった。これは偉大な幸福の計画において大切な段階である。

  2. 信仰箇条第2条について話し合う。アダムとエバが禁断の実を食べたために,わたしたちは皆罰を受けると信じている人々がいることを説明する。これは間違いであると預言者ジョセフ・スミスに明らかにされた。イエスはアダムとエバの背きの代価を支払われた。わたしたちは自分の間違った選択に対しては責任を問われるが,他人の選択については問われない。子供たちに信仰箇条第2条を覚えさせる。

  3. 模造紙か黒板に「アダムとエバのおかげで」と書いて,これに続く事柄を子供たちに考えさせる。以下のような事柄が考えられる。

    • わたしたちは地上に生まれてくる選択をすることができました。

    • わたしたちは善と悪を知ることができます。

    • わたしたちは天の御父のもとを離れました。

    • わたしたちはいつか死にます。

    わたしたちは地上に来る機会が与えられて幸せだったことを子供たちに理解させる(ヨブ38:7参照)。もしアダムとエバが禁断の実を食べていなければ,わたしたちはこの機会に浴することはなかったであろう。わたしたちは悪よりも善を選べることを証明する機会が必要だった。肉体を得ること,選択する特権にあずかること,神の前を離れること,死ななければならないこと,これらすべてはわたしたちが天の御父のようになるために天の御父が計画されたことだった。

    次に,模造紙か黒板に「イエス・キリストのおかげで」と書いて,以下の祝福を挙げ,説明する。

    • わたしたちは死んだ後に再び生き返ります。

    • わたしたちは悔い改めるならば,天の御父のもとへ帰ることができます。

    • わたしたちが従うべき完全な模範があります。

    子供たちに紙と鉛筆を配り,いちばん上に「アダムとエバのおかげで」と書かせ,中間に「イエス・キリストのおかげで」と書かせる。この紙を家に持ち帰って,アダムとエバとイエス・キリストのおかげでわたしたちが現在受けている祝福と将来受ける祝福について家族とともに話し合うよう奨励する。

  4. 黒板か2枚の紙に「復活」と「天の御父のもとへ帰る」と書く。以下のカードを作って,子供たちに順に1枚ずつ選んで,正しい区分にはらせる。

    復活

    不死不滅——すべての人は永久に生きる

    肉体の死に打ち勝つ

    この世に生まれたすべての人のためにある

    キリストは死に対して勝利を得られた

    天の御父のもとへ帰る

    永遠の命——天の御父とともに住む

    霊の死に打ち勝つ

    悔い改めた人のためにある

    戒めを守る人のためにある

    これらのことを可能にしたのはどなたかを子供たちに尋ねる(天の御父の計画に従ってイエス・キリストが可能にされた)。これらの祝福はわたしたちに対する救い主の偉大な贈り物である。わたしたちは救い主によって堕落した状態に打ち勝ち,天の御父のもとへ帰ることができる。

  5. 子供たちに反対のものを考えさせて,反対のものが存在することの大切さを説明する(2ニーファイ2:11,15参照)。例えば,幸せと悲しみ,熱いと冷たい,固いと柔らかい,なめらかとごつごつ,重いと軽い,高いと低い,早いと遅いなど。子供たちから反対のものについて経験したことを発表させる。発表の仕方を教えるために,以下の例を紹介するとよい。病気にかかった後に,健康の大切さが分かる。暗闇くらやみがないと,光が分からない。昼間に星が見えないのはこのためである。この第2の例を説明するために,懐中電灯を持って来て,十分に明るい教室の中では懐中電灯をつけてもほとんど分からないが,教室を暗くすると懐中電灯の光が明るくなることを示すとよい。

  6. 「主はみ子をつかわし」(『子供の歌集』20)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

一人の子供にモーセ5:10-12からアダムとエバのあかしを読ませる。アダムとエバがわたしたちのためにしてくれたことに対するあなたの感謝の気持ちを述べる。救い主イエス・キリストのおかげで,わたしたちは皆復活し,天の御父のようになるための選択と,天の御父のもとに住むための選択ができると証する。

家族との分かち合いの提案

物語,質問,活動などのレッスンの一部を家族と分かち合ったり,読書課題を家族と一緒に読んだりするよう,子供たちを励ます。

読書課題

本課の復習のため,家庭でモーセ5:9-12を研究するよう,子供たちに提案する。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。