初等協会テキストと分かち合いの時間
第29課 ダビデとヨナタン


第29課

ダビデとヨナタン

目 的

子供たちに,ほんとうの友達になるにはどうすればよいかを理解させる。

準 備

  1. 祈りをもって以下の聖句を研究する。

    注意——参照聖句中のサウルが神からの悪霊を受けたという記述は,ジョセフ・スミスの翻訳において神からのものではない悪霊と訂正されている。

  2. レッスンを検討し,聖文の物語を子供たちにどう教えるかを決める(本書「レッスンの準備」ⅵ—ⅶ,「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いと応用のための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  3. 細長い棒を用意して,一方の端に長い糸を結び,糸の先に釣り針として紙クリップ,ヘアピン,または安全ピンを付けて釣り竿ざおを作る。本課の最後のページにある型紙を使って,かにを1匹と魚を数匹作る。釣り針が入るようにかにと魚の紙の両側に穴を開ける。魚の内側には,誠実,親切,理解する,助ける,利己的でない,喜んで分かち合う,慰める,正直,ゆるす,支援する,など,ほんとうの友達が持つ資質を書いておく。かにの内側には何も書かない(「導入」参照)。

  4. 教材

    1. 『聖書』人数分

    2. 教師が作った釣り竿,かに,魚

    3. 視覚資料6-38「ダビデとヨナタン」

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導 入

床に魚とかにを立てる。子供たちに友達と魚釣りに行ったことがあるかどうか尋ねる。この魚釣りの活動では友情について学ぶことを伝える。子供たちに一人ずつ魚釣りをさせる。魚を釣り上げた子供は内側に書かれている友情の資質を読み上げる。「友情とは」という標題を黒板に書いてその下に読み上げた言葉を書く。または「友情とは」という標題の下に友情の資質を模造紙に書いておき,その下に魚をはる。かにを釣り上げたら,かにと友情に関する以下のレッスンを教える。

「島々に住む人々の間で教えられているすばらしい教訓があります。彼らはかにを捕らえると底の浅い小さなかごに入れます。かごの中にかにを1匹だけ入れると,かにはすぐにはい出してしまいます。かごの中に2匹のかにを入れると,1匹が出ようとするともう1匹のかにが引き戻してしまいます。」ほんとうの友達はかにのようなことをするでしょうか。ほんとうの「友達は友達がイエス・キリストの福音に従いやすいように助ける人です。」もし友達によって正しい道から引き離されるとしたら,その友達がどれほど人気があり,楽しく,頭の良い人であったとしても,わたしたちは次のことを考えてみなければなりません。「『その友達によって福音に従いやすくなるでしょうか。かごから出るのを助けてくれるでしょうか。それとも,わたしが落とし穴に落ちたら離れて行くでしょうか。』」(ロバート・D・ヘイルズ,“This Is the Way, and There Is none Other Way,” ブリガム・ヤング大学におけるファイヤサイドと礼拝の講話,1982年,67)

聖文の物語

適切な箇所で視覚資料を用いて,「準備」の項目で挙げられた聖句に基づいてダビデとヨナタンの物語を教える(聖文の物語の教え方については,「聖文に基づいて教える」ⅶ—ⅷ参照)。話し合いを通して子供たちに以下の点を理解させる。

  • ヨナタンの父であるサウルはイスラエルの最初の王であり,預言者サムエルによって王として油を注がれた。

  • サウルは王の位に就いたとき,彼は「若くて麗しく,イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人は」いなかった(サムエル上9:2)。

  • サウルは王になると,神の律法に従うよりも権力を愛した。このため,サムエルはサウルの子供たちが父の王国を継ぐことはないと預言した(サムエル上13:13-1415:26,28参照)。

  • サムエルはダビデをイスラエルの次の王として油を注いだ。

  • もしサウルが主に忠実であったならば,ヨナタンは恐らく父の王位を引き継いだであろう。しかしヨナタンはダビデが次の王になることを知ってもねたまなかった。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問をする。教室で子供たちと一緒に参照聖句を読み,それについて話し合うのは,聖文に対する子供たちの理解を深めるのに役立つ。

  • ダビデはゴリアテを殺した後,だれのもとで暮らしましたか(サムエル上18:2)。ダビデはサウル王の忠実な友であることをどのようにして示しましたか(サムエル上18:5)。サウルはどのようなことをしてダビデに対する友情と愛を壊しましたか(サムエル上18:6-11)。ほんとうの友達は友達の成功をどのように考えますか。

  • サウルの息子ヨナタンはダビデをどう思っていましたか(サムエル上18:1,3-4)。ヨナタンはなぜダビデに隠れるように言ったのですか(サムエル上19:1-2)。ヨナタンはどのようにして父がダビデに対して抱いている怒りを静めようとしましたか(サムエル上19:4-7)。サウルはダビデに危害を加えないことをヨナタンに約束しました。サウルはヨナタンとの約束をどのようにして破りましたか(サムエル上19:9-10)。

  • ヨナタンとダビデが結んだ友情と平和の聖約は二人の子孫にまで続けられました(サムエル上20:14-17,42参照)。聖約とは何ですか。(二人以上の間で交わされる厳粛な約束。子供たちに,わたしたちが神と交わす大切な聖約を幾つか思い出させる。)ヨナタンとダビデは二人の友情を聖約にするほど大切だと考えたのはなぜだと思いますか。

  • ヨナタンはダビデがサウルの宮廷に戻っても安全であることをどのようにして知らせましたか(サムエル上20:18-22)。サウルはダビデが欠席したこと,ヨナタンが友達を守ろうとしたことに対してどのような態度をとりましたか。(サムエル上20:27,31-33。サウルは大きな罪を犯したため,主からも遠のいていたことを説明する。)

  • ヨナタンは後にダビデがサウルから身を隠すために森の中にいることを知ったとき,ダビデを助けるために何をしましたか(サムエル上23:16-17)。わたしたちはどのようにして友達を力づけ,励ますことができますか。

  • サウル王はダビデをずっと殺そうとしていましたが,ダビデはサウルになお忠実であることをどのようにして証明しましたか(サムエル上24:9-10)。わたしたちは不親切な人たちに対してどうすべきですか。サウルはダビデから命を救われたときにどうしましたか(サムエル上24:16-19)。

  • ダビデはサウルとヨナタンが二人とも死んだことを聞いたとき,どうしましたか(サムエル下1:11-12)。ダビデは王になった後,ヨナタンと交わした友情の聖約を覚えていることを表すためにどのようなことをしましたか(サムエル下9:1,3,6-7,13)。

  • サウルはダビデの友達ではなかったにもかかわらず,ダビデがサウルのほんとうの友達であり続けたのはなぜですか。ダビデとヨナタンは二人がほんとうの友達であることをどのようにして示しましたか。わたしたちはどうすればほんとうの友達になることができますか。ほんとうの友情は愛のきずなを作ることを子供たちに理解させる。ほんとうの友情を持つ人は,自分が望んでいることよりも,ほかの人がどのようなことを望んでいるかに関心を払います。ほんとうの友情をはぐくむためにはどうすればよいですか。友達を得る最も良い方法は友達になることであると説明する。イエス・キリストはほんとうの友達であると子供たちに思い起こさせる。わたしたちはどうすれば,友情に関するイエスの模範に従うことができますか。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 以下の言葉を少なくとも1回は使って空欄を埋める。以下の文章をコピーして子供たちに配って答えを記入させるか,かぎの言葉を黒板に書いて,文章を読みながら空欄に適当な言葉を当てはめる。

    • 合図

    • 聖約

    • 安全

    • 危険

    • 3

    ヨナタンとダビデは友情の(1)を交わしました。ヨナタンはダビデがサウル王の宮廷へ無事に戻ることができるかどうかを調べると言いました。(2)日後,ヨナタンは弓の練習をしに行くようなふりをして野原へ行き,(3)本の(4)を空に向かって放ちました。これはダビデへの(5)でした。サウルはまだダビデに対して怒っていました。また,ヨナタンに対しても怒っていました。ヨナタンはダビデを守ろうとしたため自分の身の(6)(7)になりました。ヨナタンは父が投げたやりをよけると,野原へ行って(8)本の(9)を放ちました。ダビデはヨナタンが示す(10)を待っていました。それは(11)を取りに行くよう子供に与える命令という方法で示すことになっていました。「(12)は手前にある」という命令はダビデが(13)であることを意味し,「(14)は向こうにあるではないか」という命令は(15)であるという意味でした。(16)のしるしを与えた後,子供は町に行かされました。ヨナタンが愛する友達と会って話をするためです。ダビデは隠れていた場所からヨナタンに近づくと,地にひれ伏して(17)度敬礼しました。当時の習慣に従って二人は互いに口づけし,抱き合った後,二人は(18)を新たにしました。これは二人と二人の子孫の間でとこしえに続くものでした。(サムエル上20:12-42参照)

    正解-合図-5,10;聖約-1,18;安全-6,13;危険-7,15,16;-4,9,11,12,14;3-2,3,8,17

  2. ほんとうの友達はあなたがより善い人になるのを助ける人であって,決して悪い行いをさせようとはしない人であると子供たちに理解させる。ほんとうの友達に出会った経験を分かち合うように子供たちに勧める。そのときにどのような気持ちがしたかを尋ねる。あなた自身の経験も分かち合うとよい。

  3. 子供たち全員が見えるような場所にそれぞれ色が異なる5,6枚の色紙を広げる。子供たちにいちばんよい色といちばん悪い色を尋ねる。全員が答えたら,色にはよしあしがないことを説明する。単に異なるだけであって,ある色をわたしたちが好んでもそれがよい色ということにはならない。様々な色が世界を美しくするように,様々な人々によってより良い世界が築かれる。世界にはどのように異なった人々がいるかを尋ねる。髪の色,目の色,年齢,体格,個性など一般的な事柄にとどめ,そのほかの事柄を話題にする場合には注意する。

    子供たちにあらゆることが違う外国へ行ったつもりになって,どのような気持ちがするかを実演させるとよい。周りの人々は子供たちが親しんでいる食物とは異なった食べ物を食べ,異なった服装をし,異なった言葉を話す。外国語を使って子供たちにその指示に従うように言う。以下の例を使うとよい。

    • 日本語—席を立って,あなたの名前を言ってください。

      Please stand up and tell us your name.

    • 英 語—プリーズ スタンド アップ アンド テル アス ユア ネイム。

    • ドイツ語—ピッテ ステーエン ジー アウフ ウント ゼーゲン ウンス ヴイー ジー ハイセン。

      Bitte stehen Sie auf. und sagen Sie uns wie Sie heissen.

    • わたしたちはだれを友達に選ぶべきですか。自分のような人だけを友達にすると,多くの良い経験ができなくなることを子供たちに理解させる。わたしたちと異なった人を避けるのでなく,彼らを理解するように努力すべきであると説明する。わたしたちは同じ価値と理想を持つ人々といつでも友達になれなければならない。

  4. 友情を深める一つの方法はお互いをよく知ることである。クラスの子供たちがお互いをよく知るために,以下のゲームを行う。

    小さなキャンデーか乾燥した豆が入った容器を子供たちの間に回す。子供たちは自分の前に容器が来たら自分がしたいことを言って,キャンデーか豆を一つ取る。そして容器を隣に渡す。全員に少なくとも1回は順番が回るまでゲームを続ける。

    別のゲーム—子供たちを円形に座らせる。細目の瓶を横にして置いて回転させる。まず教師が自分について何かを言ってから,瓶を回転させる。止まった瓶の口が指している所に座っている子供が次に自分について何かを言い,さらにクラスのだれかについて知っているよいことを一つ言う。(ゲームの中で知ったことでも,すでに知っていることでもよい。)そして瓶を回転させて次の人を決める。

  5. 信仰箇条第13条を読み,ほんとうの友達についてどういうことを教えているかを話し合う。

  6. 「イエス様のように」(『子供の歌集』40)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

わたしたちはほんとうの友達の資質を伸ばすことによって,永遠に続く友情を得るという祝福が与えられることを強調する。主の戒めを守り,主をいつも覚えることによって,キリストとの友情を強めるよう子供たちにチャレンジする。

家族との分かち合いの提案

物語,質問,活動などのレッスンの一部を家族と分かち合ったり,読書課題を家族と一緒に読んだりするよう,子供たちを励ます。

読書課題

本課の復習のため,家庭でサムエル上18:1-420:35-42を研究するよう,子供たちに提案する。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。