初等協会テキストと分かち合いの時間
第2課 背教と,イエス・キリスト教会回復の必要性


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背教と,イエス・キリスト教会回復の必要性

目的

イエス・キリストの教会が背教のために地上から取り上げられたこと,教会が地上に回復されなければならないことを,子供たちに理解させる。

準備

  1. イエス・キリストの教会の様々な面を表す以下の引用聖句を,祈りの気持ちで研究する。マタイ16:17(現在も与えられている啓示),ルカ9:1-2ヨハネ15:16(神権の権能),アモス3:7エペソ2:20(生ける預言者と使徒),マタイ3:16使徒2:38(イエスが教えられたとおりに行われる儀式),使徒7:55-56(天父とイエス・キリストと聖霊は別個の御三方である)。以上のほかに教義と聖約1:1-6,15-23,30,本課の歴史記事を研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるかを決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. その他の参照箇所-アモス8:11-122 テサロニケ2:1-32 テモテ4:3-4(背教に関する預言),『福音の原則』(31110 300)16章17章

  3. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 以下の言葉を書いたカードを準備する。

    セット1

    現在も与えられている啓示

    神から与えられた神権の権能

    生ける預言者と使徒

    イエスが教えられたとおりの儀式が行われる

    天父とイエス・キリストと聖霊は別個の御三方である

    セット2

    啓示が与えられない

    神権が取り去られる

    生ける預言者や使徒がいない

    教えと儀式が変えられた

    天父とイエス・キリストと聖霊は一つの大きな霊だと考えられている

  5. 教材

    1. 教義と聖約(人数分)

    2. 聖書

    3. きれいな水の入ったコップ2個,少量の泥かおがくず,かき混ぜるためのスプーンか棒

    4. 視覚資料5-6「最初の示現」(『福音の視覚資料セット』403)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

「最初の示現」の絵を見せる。以下のような質問をして,前回のレッスンの復習をする。

  • ジョセフ・スミスはなぜ森に入ってお祈りをしたのでしょうか。

  • ジョセフは自分の祈りにどのような答えが与えられると思っていたでしょうか。

  • ジョセフはどのような答えを受けたでしょうか。

  • イエス・キリストが地上におられたときに組織した教会には,どのようなことが起こったでしょうか。

子供たちにきれいな水の入ったコップを見せる。これから手を加える水を飲めるかどうかを尋ねる。一人の子供に泥かおがくずを水に入れて全体が薄く濁るまでかき混ぜさせる。この水を今すぐ飲みたいと思うかどうか尋ねる。飲むためにはきれいな水と取り替えなければならないことを指摘する。イエス・キリストが地上で最初に教会を組織されたとき,教会は正しく組織され,教会の指導者は真理を教えていたことを説明する。教会はきれいな水が入ったコップのようだった(きれいな水が入ったコップを見せる)。その後,人々は教会を変えてしまったため,汚れた水が入ったコップのようになってしまった。このため,地上に正しい教会と教えを回復する(取り戻す)必要があった。

聖文と歴史記事

「準備」の項とそれに続く歴史事項で採り上げられている聖文の説明に従って,背教と,イエス・キリストの教会の回復について子供たちに教える。

イエス・キリストは地上におられたとき御自分の福音を教え,十二使徒を召し,御自分の教会を組織された。セット1からカードを取り出してはり,これらがイエスの正しい教会には大切だったことを説明する。カードをはりながら,それぞれの文章について簡単な説明を加えるとよい(その際,「準備」の項に列挙されている聖文を幾つか読んでもよい)。

イエス・キリストの教会に起こった変化を説明する際に,セット1のカードの上にセット2のカードをはる。

イエス・キリストが十字架にかけられ,ペテロを始めとする使徒たちが殺された後に,背教(イエスの真の教会から離れること)が起きた。生ける預言者や使徒がいなくなったため,啓示を受けることもなくなった。正しくない教えが教会に付け加えられ,またイエス・キリストが教えた真理の幾つかが取り去られてしまった。神権(神の名によって行動する権能)は地上から姿を消した。人々が受けたバプテスマは,イエス御自身が受けられたように水に沈められるのでなく,水を振りかける方法で行われた。もうイエス・キリストの教会ではなくなっていた。イエスが組織された教会は地上から姿を消していた。多くの様々な教会が出現した。イエス・キリストの教えに教会を戻そうとした人々もいた。彼らは聖書を読んで,自分たちの教会の教えが間違っていることを確認できたが,イエス・キリストの教会に引き戻すことはできなかった。それをするために必要な神権をイエスから与えられていなかったからである。こうした人々の多くは彼らの主張した信条のために迫害を受け,また殺されもした。

イエス・キリストの真の教会が背教に陥った後,天父とイエス・キリストは真の教会を回復するための準備をされたことを説明する。以下の3人の宗教改革者についての説明を読む。これらの宗教改革者は自分たちが属していた教会がイエスの教会からどれほど変えられていたかに気づいていた正直な人々であったことを説明する。彼らは自分たちの教会を改革して,イエスの元の教会に近づけようとした。ここで採り上げる3人の改革者は真の教会の回復のために,世の中を備えさせた人々である(「レッスンを豊かにする活動」の2を参照)。

ジョン・ウィクリフ

ジョン・ウィクリフは1320年にイングランドで生まれた。ウィクリフは教会の教師となり指導者となった。しかし,教会で行われていることの一部は聖書に記されていることと違うことに気づいた。ウィクリフが属していた教会は人々に聖書を読ませようとはしなかった。司祭が人々のために聖書を読んで,解説をしていた。ウィクリフはもっと多くの人に聖書を読んでもらうために,聖書を英語に翻訳する仕事に携わった。彼は自分に従う者たちを人々の間へ送って聖書の教えを人々に理解させようとした。教会の指導者はそのような活動を止めさせようとしたが,ウィクリフはイエスがどのような教会を望んでおられるかを人々に理解させる運動をやめようとはしなかった。

マルチン・ルター

マルチン・ルターは1483年にドイツで生まれた。ルターはカトリック教会の司祭となり,そして宗教学の教師を務めた。ルターは聖文を研究していて,教会が聖文が教えるとおりには教えていないことに気づいた。そして,彼の教会がイエス・キリストの教会からどのように変えられているかを記した95箇条の声明文を書き上げた。教会の指導者はルターに対して怒ったが,ルターは自分の説が正しいと主張し続けた。教会の指導者は法廷を開いて,教会の偽りの教えについてルターが述べたことを撤回するように言った。しかし,ルターはこう言った。「わたしは聖文により確信を得,きわめて論理的に理解したので,……いかなる点も撤回することはできません。良心に逆らうことは正しいことではありません。かえって,また自分を危険にさらすことになるのです。神の加護がありますように。アーメン。」(ローランド・H・ベイントン,Here I Stand: A Life of Martin Luther185から引用)ルターはカトリック教会から追放され,さらに犯罪者のらく印を押された。しかしルターは友人たちに守られて,聖書をドイツ語に翻訳する作業を続けた。新しく発明された印刷機により,ルターが翻訳した聖書は多くの人々の手に渡ることになった。

ロジャー・ウィリアムズ

1620年に,自分で選んだ宗教を礼拝する自由を求める人々は巡礼者または清教徒と呼ばれていた。彼らはアメリカへ渡って,プリマスと名付けた町を築き,家屋と教会を建設した。こうしてついに彼らが望んだように神を礼拝する自由を得た。ロジャー・ウィリアムズは1631年に,自由に神を礼拝できる地を求めてアメリカへ移住した。ウィリアムズはすべての人は自分の望むように神を礼拝できなければならないと唱えたため,清教徒から町を追放されてしまった。こうしてロジャー・ウィリアムズと彼に従った人々は新しい定住地を築いた。ウィリアムズは最終的に,イエス・キリストの教会はもはや地上に存在しないこと,イエス・キリストの名によって行動する権能は失われてしまっているという結論に達した。そして,イエス・キリストが新しい使徒たちを召して,彼らにバプテスマやせいさんの祝福などの儀式を行う権能を授けないかぎり,この状態は改善されないと信じていた。

ウィクリフ,ルター,ウィリアムズは自分たちの教会の中にあった問題を解決するための権能をイエス・キリストから授けられていなかったことを子供たちに理解させる。けれども,彼らはこれらの問題に人々の注意を向けさせることによって,イエスの教会が回復されるときのために世の人々を準備させるという貢献を果たしている。

真の教会はもはや地上に存在しなかったため,イエス・キリストは真の教会を再び地上に取り戻す必要があったことを説明する。これが回復と呼ばれる。イエス・キリストの教会を回復する時期が到来したときに,天父はイエス・キリストの教会を再び地上に設立する権能を授けるためにジョセフ・スミスを選ばれた。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読み話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 「背教」とはどのような意味ですか。イエスがはりつけにされ,イエスが選ばれた使徒たちが殺された後,イエス・キリストの教会には何が起こりましたか。

  • なぜ回復の必要があったのですか(教義と聖約1:15-16)。イエス・キリストはなぜ,ジョセフ・スミスに語りかけられたのですか(教義と聖約1:17)。ジョセフ・スミスは回復の預言者であったことを説明しなさい。

  • ジョン・ウィクリフ,マルチン・ルター,ロジャー・ウィリアムズは自分たちが属していた教会にどのような間違いを見つけましたか。彼らは問題を解決するためにどのようなことをしようとしましたか。彼らはなぜ,イエス・キリストの教会を地上に回復することができなかったのでしょうか。

  • イエス・キリストは真の教会についてどのようなことをジョセフ・スミスに明らかにされましたか。子供たちが答えを見つけるにしたがって,セット2の言葉のカードを取り去り,セット1のカードを残しなさい。

  • イエス・キリストは回復された福音をだれに伝えたいと望んでおられるのでしょうか(教義と聖約1:2,4)。わたしたちはどのようにしたら回復されたイエス・キリストの福音を人々と分かち合うことができますか。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 「主の言葉」と書いた紙を1枚用意しておき,レッスンが始まる前に,あなたのポケットの中や靴の中など子供たちに見つからない場所に隠しておく。教室の中のどこかに何かが書かれた一枚の紙が隠してあるので,子供たちに探すように言う。この活動は静かに行わせる子供たちが教室の中をくまなく探したら,紙を取り出しなさい。

    • 探しても見つけられなかったものは何でしたか。

    子供たちに紙に書かれている言葉を声を出して読ませる。

    • 背教の間,主の御言葉はどこにありましたか(一部は聖書の中にあったが,多くの教えは地上から失われていた)。皆さんは主の御言葉をどこで見つけることができますか(聖書,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠,末日の預言者と使徒のメッセージから)。言葉は啓示であることを説明する。

    一人の子供にアモスアモス8:11-12を声を出して読ませる。

    • アモスはどのようなことが起きると言っていますか。

    • 「ききん」とはどんなことですか。

    • アモスが言った「主の言葉を聞くことのききん」とはどのような意味ですか。

    イエス・キリストが預言者ジョセフ・スミスを通して教会を回復する以前に,多くの人々は正しい主の御言葉を探したが,見つけることができなかったことを説明する。主から啓示を受ける権能を持つ指導者が教会にはなかった。しかし,教会が回復されると,主は再び主が選ばれた指導者たちに啓示を与え始められた。

  2. レッスンの1週間前に,3人の子供にジョン・ウィクリフ,マルチン・ルター,ロジャー・ウィリアムズについて発表する割り当てを与える。テキストからそれぞれ該当する記事をコピーして渡すようにする。

  3. 子供たちが信仰箇条第9条を暗唱できるように助ける。

  4. 預言者ジョセフ・スミスが生まれる前に,ジョセフの祖父アサエル・スミスは自分の子孫の一人が「人類に対して大きな益となる」であろうということを強く感じていたことを子供たちに説明する(『時満ちる時代の教会歴史』17から引用。History of the Church第2巻,443も参照)。アサエルの孫であるジョセフ・スミスは,イエス・キリストが御自分の教会を地上に回復する助け手となることによってどのように世界の人々の大きな益となったかを話し合う。

  5. 「感謝を神に捧げん」(『賛美歌』11番)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

あかし

イエス・キリストの教会から背教が実際に起きたこと,キリストの教会が末日に回復されたことについて証を述べる。預言者ジョセフ・スミスを通してイエス・キリストの真の教会が地上に回復されたことを証しなさい。イエス・キリストがわたしたちを助けるために教会を回復してくださったことに対する感謝の気持ちを述べなさい。

読書課題

本課の復習のため,家庭で教義と聖約1:17-23を研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。