初等協会テキストと分かち合いの時間
第16課 オハイオ州カートランドに集合する聖徒たち


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オハイオ州カートランドに集合する聖徒たち

目的

家庭の中や初等協会のクラスの中にある愛と一致の気持ちを強める望みを,子供たちが持てるように助ける。

準備

  1. 教義と聖約37,38:24-42,39:15と本課の歴史記事を祈りの気持ちで研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるか決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  3. 教材

    1. 教義と聖約(人数分)

    2. 子供たちが使う2本のひも(あるいは紙や細い木の棒のように,簡単に破いたり折ったりできるもの)

    3. 「ニューヨーク-オハイオ地域の地図」(第1課の課末)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

子供全員に2本のひもを渡す(必要に応じ,実際に使う物に合わせて,活動の内容を変える)。子供たちにひもを1本切るように言う。

  • 1本のひもを切るのは難しかったですか。

  • 1本のひもの強さはどのくらいですか。

  • ひもを強くするにはどうしたらよいですか。

切っていないひもを集めて束にする。一人の子供にひもの束を1回で切らせる。

  • ひもを1つに束ねると,切るのが難しくなるのはなぜですか。

たくさんのひもを束ねるとひもが強くなるように,教会の会員も一緒に集まると強くなる。この点を説明する。主が,初期の教会員に一か所に集まるように勧告された理由はここにある。

聖文と歴史記事

聖徒たちをオハイオに集合させる主の戒めについて,教義と聖約37章,38:24-42,39:15と以下の歴史記事から教える。

主は聖徒たちにオハイオへ行くように命じられる

教会が組織された1830年の終わりまでに,数百人の人々が教会の会員になった。地図を見せて,その場所やその近くで起きた出来事を簡単に復習しながら,教会の会員が住んでいた以下の場所を探させる。

  • ニューヨーク州パルマイラ-ジョセフ・スミスの最初の示現,金版の入手,モルモン書の出版。

  • ペンシルベニア州ハーモニー-金版の翻訳の開始,神権の回復。

  • ニューヨーク州フェイエット-金版の翻訳の完成,モルモン書の証人のあかし,教会の設立。

  • ニューヨーク州コールズビル-最初の支部の設立,暴徒の発生,ジョセフ・スミスが裁判にかけられ無罪となる。

  • オハイオ州カートランド-宣教師がたくさんの人を改宗する。

1830年の終わりに,主は教会の会員がオハイオに集合するよう,ニューヨークにいるジョセフ・スミスに啓示された(教義と聖約37:3)。

オハイオに集合すれば,教会の会員はニューヨークにおける敵の迫害から逃れ,ジョセフ・スミスと教会指導者から教えを受け,主からさらに勧告を受け,すべての国々に宣教師を派遣する備えをともに行い,義にかなった民になるために働き,助け,支え合うことができるからである。

ジョセフ・スミスは,教会の会員たちに農場や家を売ったり貸したりしてオハイオに移るように勧告した。聖徒たちにとって冬の数か月間に農場,羊,牛などを売るのは困難であった。この命令が主からのものであると信じないで,預言者の勧告に従わない会員もいた。しかし,ほとんどの会員は喜んでオハイオにいる預言者のもとに集まった。

ジョセフとエマ・スミスはオハイオに行く

主は,すぐにオハイオに向けて出発して敵から逃れるようにジョセフに告げられた。カートランドでジョセフを必要とされていたからである。しかしジョセフは,冬にニューヨークからオハイオに旅行するのはエマにとって困難であろうと心配していた。彼らは結婚後の4年間に7回も引っ越ししていたし,その当時エマは身ごもっていたからである。ジョセフはそりを使ってエマが楽に旅行ができるようにした。二人は1月の終わりにオハイオに向けて出発し,数日かけてカートランドへ480キロを旅した。

そりがオハイオにあるカートランドのギルバート・アンド・ホイットニー・ストアーに着いたとき,ジョセフはそりから飛び降り,店の中に入って行った。彼は一度も会っていない男に手を伸ばしてこう言った。「ニューエル・K・ホイットニー!それがあなたの名前ですね!」ニューエル・ホイットニーは非常に驚いた。彼は預言者を知らなかったからである。「失礼ですが,どなた様ですか。あなたはわたしの名前を御存じのようですが,わたしはあなたの名前を知りません」と彼は言った。預言者はこう答えた。「わたしは預言者ジョセフです。あなたはここでわたしを求めて祈っていましたね。さて,何かわたしにできることはありますか。」(History of the Church第1巻,146)ニューエル・ホイットニーとその家族は宣教師から福音を聞き,教会に入った。彼らは主の言葉を受けられるように祈っていた。預言者がニューヨークにいる間,ホイットニー家の人々が預言者にカートランドに来てくれるよう祈っているところを示現で見ていたのである。ホイットニー家は,ジョセフとエマに数週間宿を提供した。

カートランドに着いて数か月たってから,エマは双子を生んだが,赤ん坊は数時間後に亡くなった。エマとジョセフの最初の赤ちゃんはペンシルベニアで亡くなっていたので,最初の3人の子供はほんの少ししか生存しなかった。双子が生まれた次の日,ジュリア・マードックも男の子と女の子の双子を生んだ。マードック姉妹が亡くなったとき,夫のジョンはジョセフとエマが彼の双子の赤ん坊を養子にできるようにした。

ニューヨークの聖徒たちがオハイオへ旅する

ニューヨークからオハイオに旅した聖徒たちは幾つかのグループに別れた。天候は寒く,旅行は困難であった。1つのグループは,預言者の母ルーシー・マック・スミスに導かれた。ルーシーは,これが主の命令であるので,もし忠実なら祝福を受けると聖徒たちに伝えた。旅行中彼女は,歌を歌い,祈って彼らを元気づけた。ルーシーのグループは,ニューヨーク州バッファローに行き,エリー湖を渡ってオハイオ州カートランドの近くまで行く予定であった。このグループがバッファローに着いたとき,大きな氷が港を覆っているので船が湖を航行できないようであった。ルーシーは,主が助けてくださるという信仰を持っていた。次の日の朝,聖徒たちが船に乗り込んだとき,彼女はグループ全員が信仰を一つにし,主が氷を砕いてくださるように祈りましょうと話した。彼女はこう説明している。「炸裂さくれつする雷のような音が聞こえました。船長が,全員配置に着け,と叫びました。氷が割れてかろうじて船が通れる道ができたのです。大量の水の動きがすさまじい音を立てて氷を引き裂き,船がやっと通れるほどの狭い水路ができました。……わたしたちがその道をどうにかして通って行くと,氷は再び水路を覆ってしまいました。」(ルーシー・マック・スミス,History of Joseph Smith204-205)

最終的にすべてのグループがカートランドに着いた。カナダやアメリカの他地域の人々も教会に入ったが,その人達もカートランドにやって来た。教会員は互いに近くに住み,預言者の勧告と導きを受けられるので感謝したのである。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 主は,なぜ聖徒たちにオハイオに行くように命じたのでしょうか(教義と聖約38:31-33)そのようにすると,どのような約束がありましたか(教義と聖約38:3239:15)。彼らがカートランドに集合して神殿を建てるとき,さらに律法と祝福が与えられるという約束を聖徒が受けたことを説明する。

  • オハイオに移動するために聖徒たちはどのような犠牲を払いましたか。教会と教会員に奉仕するために人々は現在どのような犠牲を払っていますか。

  • 聖徒たちは,なぜオハイオに行くために喜んで困難をその身に受けたと思いますか。初期の聖徒たちが1か所に集まると,どのように互いを強め合いましたか。

  • なぜ教会の指導者は,現在すべての教会員に教会の本部に移るように励まさないのでしょうか。初期の教会員は教会を確立し,聖徒たちの強力な中心地を作るために1か所に集まるように命じられたことを子供たちに理解させる。現在わたしたちは,わたしたちが住んでいる場所で教会を確立し,自分たちのワード,支部,ステークを強めるように勧められている。

  • わたしたちは,いつ教会に集まりますか。わたしたちがともに集まるとき,どのような祝福を受けますか。わたしたちがともに集まるとき,わたしたちはどのように互いを強めますか。

  • 一人の子供に声を出して教義と聖約38:24を読ませる。「各人がそれぞれ自分の兄弟を自分自身のように尊び」とはどのような意味だと思いますか。どのようにしたらそれができますか。これは教会と教会員をどのように強めますか。

  • 「一つとなる」とは,どのような意味ですか(教義と聖約38:27)。一つとなるのはなぜ大切なのですか。わたしたちの家族にもっと愛と一致をもたらすために何ができますか。わたしたちのプライマリーのクラスではどうですか。わたしたちが互いを愛さず気遣わなければ一つになるのはなぜ難しいのでしょうか。最終的にすべてのグループがカートランドに着いた。カナダやアメリカの他地域の人々も教会に入ったが,その人達もカートランドにやって来た。教会員は互いに近くに住み,預言者の勧告と導きを受けられるので感謝したのである。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 教会ではだれもが心地よく感じるように協力し合う必要があることを理解させる。ワード(支部)やクラスの中で一致を高める方法を提案するように子供たちに質問する。子供たちの提案を黒板に書く。一つか二つのアイデアを選んで今週実行させる。

    考えられる提案-

    • 教会の建物の手入れをする。

    • 人に親切にする。

    • 話をよく聞く。

    • 互いのために祈る。

    • 親切な言葉を使う。

    • 初等協会のクラスに出席し,レッスンを聞く。

    • ワード(支部)の活動に参加する。

    • 教会の集会や活動でみんなを歓迎する。

    • 明るく振る舞う。

    • 教会の指導者と教師に感謝する。

    • 話,祈り,歌などを頼まれたとき,喜んで行う。

  2. 家庭のタベ,家族の祈り,家族による聖文研究,食事の時間,休日のお祝い,誕生会,お互いに親切にする,わがままを言わないなど家族の一致を高めるのに役立つ活動,伝統行事,行いの幾つかをそれぞれ別の紙に書く。

    一致の意味について考え,家族の中でどのようにしたら一致を深められるか話し合う。家族が愛と一致の気持ちを深める方法を見いだせるように,子供たち全員に1枚の紙を選ばせ,ほかの子供が持っている紙に書いてある活動や行いについての手がかりを言わせる。その後,その活動や行いが自分の家族をどのように祝福し強めるかを話させる。

  3. 家族やワード/支部の会員から助けを受けたり愛を感じたときの経験を分かち合わせる。そのような助けを受けたときにどう感じたか質問する。あなたが自分の経験を分かち合ってもよい。

  4. 熟練を用いて使う物を子供たちに見せる(編み棒のセットや楽器など)。その物を一人の子供に与え,その技能を披露するようにその子供に言う。あなたが特定の技能を持っていれば,子供がそれを使おうとしてやってみた後に,どうしたらその物を正しく使えるかを実演して見せる。教師の指導や指示がなければ,初めて物事を行うのはどんなに難しいかを話し合う。

    これを1830年に新しく組織された教会に結びつける。会員たちは,教会を導き教会の教えを理解できるように教える指導者が近くにいない状態で様々な場所に住んでいた。預言者からの便りを受け取るには時々長い時間がかかった。教会員たちはオハイオに行き,預言者や教会の指導者から教えを受けることを強く望んでいた。

  5. 中央初等協会第9代会長のパトリシア・P・ピネガー姉妹が,教会員がどのように互いを必要とし助け合っているかについて話した以下の引用をあなたが読むか,一人の子供に読ませる。

    「北カリフォルニアで育った巨大なアメリカ杉もまた,わりに浅い根を張ります。しかし何本ものアメリカ杉が密生している場合は,どんな強風にさらされても決して倒れません。アメリカ杉の根は地中で互いに絡み合い,強め合っています。嵐が吹くと,根が互いに支え合うのです。」(パトリシア・P・ピネガー「子供たちを教えなさい」『聖徒の道』1995年1月号,85)

    根が絡み合った何本かの木を黒板に描く(挿し絵参照)。子供たちに,クラスの子供たちの強いところや良いところを質問する。子供たちのアイデアを紙に書いて何本かの根に張らせ,各個人の強さがグループ全体を強めるのにどのように役立つか話し合う。

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  6. 子供たちを立たせる。あなたが一人の子供を簡単に動かせるのを実際にやって見せる。その後,子供たちの肩を組ませる。すべての子供たちを一度に動かすのがいかに難しいかを示す。わたしたちが,家族としてまた教会員として,一緒に立って支え合ったとき,信仰を固く保ち正しい行いをするのは,一人でするより簡単であることを子供たちに理解させる。

  7. 以下の活動を行って一緒に働く大切さを実演する

    ある強いひもかコードを2メートルの長さに切り,クラスの子供一人ずつに持たせる。約1.5メートルのほうき,モップ,物差しのような棒の中央より少し上のところに各子供たちのひもを結ばせる。

    棒を教室のまん中に置き,子供たちは輪になって棒の回りに座らせる。一人の子供を指名して,その子が自分が結んだひもを引かせて棒を垂直に立てさせる。もう一人の子供が加わり,二本のひもで棒を立てられるかどうかやってみる。その後,子供たち全員で自分のひもを引き,棒を垂直に維持させる(ひもを結ぶ位置を少し調整する必要があるかもしれない)。

    • 一人が棒を引っ張ったとき,どうなりましたか。ほかの人が協力したときどうなりましたか。

    • 棒を垂直に立てるには何が必要でしたか。

    棒をまっすぐに立てるためにみんなが一緒に働く必要があったように,天父は教会の初期の会員が互いに助け強め合うために一緒に集まる必要を御存じであった。わたしたちのワード(支部)でも同じ強さと助けを経験できます。

まとめ

あかし

オハイオ州カートランドに集まって,教会と会員を強めた初期の聖徒たちの信仰と模範に感謝する。家族や初等協会のクラスで愛と一致を高める努力をするように子供たちを励ます。

読書課題

本課の復習のため,家庭で教義と聖約38:24,31-32を研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。