初等協会テキストと分かち合いの時間
第14課 聖なる賛美歌を選んだエマ・スミス


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聖なる賛美歌を選んだエマ・スミス

目的

天父とイエス・キリストを礼拝するとき,神聖な賛美歌を歌いたいという望みを子供たちが持てるように助ける。

準備

  1. 教義と聖約25章と本課の歴史記事を祈りの気持ちで研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるか決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. その他の参照箇所-『賛美歌』9ページの「大管長会はしがき」と『子供の歌集』の序文

  3. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 次の言葉を大きな紙に書く(または,クラスが始まる前に黒板にその言葉を書いておく)。

    せいさん

    発表

    開会の祈り

    ワード(支部)のビジネス

    聖餐

    話者

    閉会の祈り

    抜けているのは何ですか。

  5. 教材

    1. 教義と聖約(人数分)

    2. 視覚資料5-22「エマ・スミス」(『福音の視覚資料セット』405)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

大きな紙に書いた文字を見せる(または,黒板に書いた文字を見せる)。紙に書いたのは,聖餐会の一部であると説明する。

  • 聖餐会の集会から何が抜けていますか。(開会の賛美歌と閉会の賛美歌,聖餐の賛美歌,前奏と後奏)

  • なぜ教会の集会で音楽を使うと思いますか。なぜ賛美歌を歌うのですか。教会の集会で賛美歌を歌わなかったら,どんな違いがあると思いますか。

音楽,特に賛美歌を歌うことが,いつも天父とイエス・キリストを礼拝するための大切な方法である。音楽は,教会の集会に愛と敬虔けいけんの精神をもたらしてくれる(「レッスンを豊かにする活動」の6を参照)。この点を理解させる。

聖文と歴史記事

教義と聖約25章と以下の歴史記事に基づき,エマ・スミスに対する主の勧告と指示について子供たちと話し合う。

教会が組織された後,ジョセフ・スミスと教会の会員たちは,度々迫害を受けた。暴徒たちは集会を妨害し,新会員に危害を加えると脅し,預言者の命は度々危険な目に会った。この迫害の時期にジョセフ・スミスは,聖徒たちに指示を与え,強め,励ますために多くの啓示を受けた。教義と聖約25章は,エマを慰め,大きな召しを受けている夫を支える方法を理解できるように妻エマのために受けた啓示である。主は,聖徒のために『賛美歌』を編さんするようにエマに指示された。

エマ・スミスは選ばれた女性であった

エマ・ヘイル・スミスは,大変尊敬を受けた聡明な家族から出た学校の先生であった。彼女は背が高く魅力的な女性で,黒い髪と黒い瞳の持ち主であった(エマ・スミスの絵を見せる)。彼女の家族は,ジョセフ・スミスが預言者であるとは信じなかった。後にエマの家族はジョセフと仲良くなったが,エマがジョセフと結婚したとき彼らは動揺した。

預言者の妻は,自分の夫が受けたと同じ迫害,生活苦,心痛の多くを耐え忍ばなければならなかった。ジョセフとエマは貧しかった。ジョセフが教会の責任を果たしている間,生活する場所や食べ物について他人に頼らなければならなかった。エマとジョセフは,迫害を避けるために何回も引っ越ししなければならなかった。エマは,自分たちの家を持ちたいと思っていた。

エマは夫を支持してその仕事を助けた。ジョセフがクモラの丘から金版を受け取った夜に,エマはジョセフに付き添った。またあるとき,男の一団がジョセフが隠した金版を見つけるために森の中を探し回っているのを馬に乗って知らせた(第5課参照)。ジョセフは啓示により金版が無事であると知っていたが,問題が起きたときのために家の近くにいられるよう妻のもとに帰った。

ジョセフがモルモン書の翻訳を始めると,エマはたくさんの家事があるにもかかわらず彼の筆記者として働いた。オリバー・カウドリが来てから,長時間筆記したために彼が疲れたときはオリバーと交代し,預言者が翻訳を継続できるようにした。2年近くもの間家の中に金版を置いていたが,エマがそれを見ることは許されなかった。金版は,度々鏡台の小さなトランクの中やリネン・テーブルクロスで覆ってテーブルの上に保管されていた。

ジョセフの母は,エマについてこう言っている。「わたしは,エマのような女性をほかに知りません。エマはあらゆる種類の疲労や苦労を,何か月も何年も,確固とした勇気と熱意と忍耐をもって耐えてきました。それがエマの生活でした。エマが耐えなければならなかった苦労というのは,……ほとんどの女性を打ち負かしてしまうものだからです。」(ルーシー・マック・スミス,History of Joseph Smith190-191)

エマ・スミス,『賛美歌』を編さんする

主は,聖徒が教会の集会で歌うための賛美歌集を作るようにエマ・スミスに命じられた(教義と聖約25:11参照)。『賛美歌』は1835年に完成し,それには賛美歌の歌詞が90曲入っていた。その中の34の賛美歌は福音の回復について教会の会員が作ったものであり,残りの賛美歌はすでにほかの教会で使われていたものから選んだ。『賛美歌』には,曲が印刷されていなかった。教会の会員は,その当時良く知られていた旋律で歌詞を歌い,時々同じ賛美歌を別の旋律で歌ったりした。「イスラエルの救い主」「主の御言葉は」「導きたまえよ」など,エマが選んだ賛美歌の幾つかは現在の『賛美歌』にも残っている。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 主はエマについて何と言われましたか(教義と聖約25:3)。預言者の母は,彼女について何と言っていますか。エマ・スミスのどこがすばらしいと思いますか。

  • 見るのを許されずに金版を自分の家に置いておくのは,エマにとって難しかったと思いますか。それはなぜですか。彼女が金版を見ることについて主は何と言われましたか(教義と聖約25:4)。許されないことで何かしたいと思った経験はありませんか。皆さんは自分の経験から何を学びましたか。

  • 主は,夫を助けるためにエマは何をすべきであるとエマに言われましたか(教義と聖約25:5-8。7節の「聖任」は,彼女が召された業を行うために任命されるという意味である。この点を説明してもよい)。エマに与えられた召しから,エマはどのような人物であったと思いますか。エマの模範から,どのように皆さんが教会で奉仕をする備えができますか。

  • 一人の子供に声を出して教義と聖約25:9を読ませる。エマはなぜ恐れたと思いますか。主はどのような勧告を与えられましたか(教義と聖約25:9-10,13-15)。恐れや問題を克服するためにこれらの節から何を学べますか。

  • エマは,なぜ賛美歌の選定をしましたか(教義と聖約25:11)。教義と聖約25:12で天父は賛美歌についてどのように言われましたか。わたしたちは祈りを通して天父に話しかけるように,賛美歌を歌って天父を賛美し,天父に話しかけているのです。この点を子供たちに理解させる。

  • わたしたちが賛美歌を歌って天父を賛美するとき,天父はわたしたちに何を約束してくださっていますか(教義と聖約25:12)。賛美歌を歌うとわたしたちにどのような祝福がありますか。賛美歌は,わたしたちに福音を教え,信仰とあかしを強めてくれる。賛美歌はわたしたちが悔い改めて戒めを守る気持ちを持つように助けてくれる。賛美歌は,わたしたちが悲しいときに楽しく感じるように,また良い思いと清い思いを感じるように助けてくれる(「レッスンを豊かにする活動」の5を参照)。賛美歌は,わたしたちに対する天父とイエス・キリストの愛を思い出させてくれる。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. あなたの好きな賛美歌を選び,それがどのようにあなたを強めたかを話す。『賛美歌』か『子供の歌集』のコピーを何枚か配り,子供たちの好きな賛美歌や歌を探させる。好きなものから1-2曲の1番の歌詞を歌うか,賛美歌や子供の歌の歌詞を子供たちに読ませ,どうしてその曲が好きなのかを子供たちに話させる。賛美歌が数曲入った録音テープを子供たちに聞かせる。

  2. 教会の第3代大管長になったジョン・テーラーの物語を話し,問題を解決するときに彼がどのように賛美歌を利用したか教える。

    ソルトレーク・シティーにいる二人の教会員は,ある仕事に関して大変な口論をしていた。とうとう彼らは,その当時の十二使徒定員会の会長であったジョン・テーラー会長の助言を求め,口論を解決してもらおうとした。この二人の兄弟は,テーラー会長の言葉には何でも従うと互いに約束した。

    彼らはテーラー会長のもとに来て,今までの経緯を聞いて決めてくれますか,と尋ねた。テーラー会長は,話を聞こうと言った。しかし彼は,「兄弟たち,あなたがたの話を聞く前に,ぜひシオンの歌を1曲歌いたいと思います」と言った。

    テーラー会長は歌が上手であった。彼は,二人のために熱心に賛美歌を1曲歌った。歌が終わると,彼は「シオンの歌の中でまだ聴いていない曲が一つあるので,その曲を聴きたいのです。それでもう1曲歌いますから,その間聴いていてください」と言った。テーラー会長は2曲目を歌い,その後に3曲目を歌った。それから彼は,「さて兄弟たち,あなたたちをうんざりさせるつもりはありませんが,もし許していただけるならもう1曲賛美歌を聴いてください。そこでわたしは歌をやめてあなたがたの話を聞きます」と言った。

    テーラー会長が4曲目の歌を終えたとき,兄弟たちは賛美歌に心を打たれて目に涙を浮かべていた。彼らは手を握り合い,テーラー会長の時間を取ってしまったのをわび,彼らの問題が何だったかを話さずにその場を去って行った(ヒーバー・J・グラント,“John Taylor’s Hymns,” in Stories for Mormonsリック・ワルトン,フェン・オビアット編,92参照。“Songs of the Heart,” Improvement Era1940年9月号,522も参照)。

  3. 自分の言葉で以下の物語を話す。

    末日聖徒の開拓者の一団が,ブリガム・ヤングに導かれ,ロッキー山脈の近くに来た。ある夜,彼らは小さな谷で野宿をしていた。夕食の後,大きなたき火をたいた。彼らは,たき火の周りで歌を歌い踊りを踊って恐れや心配事を忘れようとした。

    荷車の中のベッドに入る前に,彼らは一人の見張りを置き,「恐れず来たれ,聖徒」を歌った。その歌はお互いを励まし,主に対する献身を表す曲であった。

    その夜,そのキャンプの周りには約1,000の敵意あるインディアンが隠れていて,開拓者を襲おうとしていた。しかし,インディアンが,開拓者たちの歌う「恐れず来たれ,聖徒」を聞いた後,襲えなくなった。彼らは「大霊」(インディンは天父をそのように呼ぶ)が開拓者たちを見守っているのを感じたので,彼らは馬に乗ってそこを離れ,開拓者たちをそのままにして行った。

    それからしばらくして,インディアン一団のしゅうちょうであった男が,何人かの末日聖徒の宣教師にその話をした。彼は話を終えると,バイオリンを取り出して「恐れず来たれ,聖徒」を弾き始めた。彼は宣教師にこう説明した。「これは,あなたがたの歌ですが,わたしの歌でもあるのです。わたしは,寝る前に毎晩この曲を弾いています。この曲は,大霊をここにお招きし,わたしとわたしの民を穏やかに,そして幸せにしてくれるのです。」(ルシール・C・リーディング,Children’s Friend1965年7月号,37)

    教会の賛美歌や歌により,穏やかで幸せな気持ちになったときの話をさせる。

  4. 最初の賛美歌集がどのように使われたかを理解するために,同じ旋律に別々の賛美歌の歌詞が使われたことを説明する。子供たちに「主の御言葉は」『賛美歌』46番)を歌わせる。その後,「主の御言葉は」と同じ旋律で「天を降りし神の御子」(『賛美歌』120番)の歌詞を歌う(最後の段の歌詞を繰り返す)。「天を降りし神の御子」の旋律で「主の御言葉は」の歌詞で歌い,その逆もできる。

    「山の上に」(『賛美歌』2番)と「喜べ,主を」(『賛美歌』32番)も,旋律と歌詞を入れ替えられる。

  5. 賛美歌や義にかなった歌を歌うと,わたしたちの心に入る正しくない思いを追い出せる。十二使徒定員会会長代理のボイド・K・パッカー長老の話の引用を読むか,子供たちに読ませる。

    「教会の聖なる賛美歌から好きな曲を1曲選んでください。気持ちを高める歌詞と敬虔な旋律を持つ曲,霊感に近いものを感じる曲を選んでください。……その歌を心の中でかみ締めながら何度も歌い,覚えてください。……こうして,自分の思いを導く道しるべができました。……音楽によって心が高められ,清められるため,卑しい思いはこそこそと逃げ出して行くのです。」(“Inspiring Music-Worthy Thoughts,” Ensign1974年1月号,28)

    わたしたちに正しくない思いや怒りの気持ちがあるとき,賛美歌の歌詞を歌ったり,考えたりすると良い思いに変えられることを説明する。

  6. 二人の子供に下記の教会の指導者の言葉を一つずつ読ませる。

    「音楽は,礼拝行事の中で非常に重要な役割を果たします。音楽を選曲し,指揮し,伴奏する人は,話をする人よりも集会の敬虔さを大きく左右すると思います。」(ボイド・K・パッカー「啓示をもたらす敬虔さ」『聖徒の道』1992年1月号)

    「兄弟姉妹の皆さん,賛美歌を歌い,主のたまをわたしたちの集いに,家庭に,個人の生活に招き入れましょう。賛美歌を覚え,歌詞について深く考えましょう。また,暗唱して歌いましょう。そして賛美歌の持つ霊的な糧にあずかろうではありませんか。正しき者の歌は,父なる神に対する祈りであって,「〔わたしたち〕の頭に祝福を与えてその答えとなされることを心に留めてください。」(『賛美歌』大管長会はしがき,9)

    なぜ敬虔な音楽がわたしたちの生活に大切なのか,また天父とイエス・キリストに近づくために賛美歌をどのように使えるかを話し合う。

  7. 子供たちに教義と聖約25:12を覚えさせる。

まとめ

あかし

賛美歌を歌う大切さについて証し,賛美歌の歌から得られる祝福についてあなたの考えを述べる。天父はわたしたちが歌うのを喜んで聞いてくださるので,教会の集会や一人で歌うときも,喜んで賛美歌を歌うように励ます。

読書課題

本課の復習のため,家庭で教義と聖約25章を研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。