初等協会テキストと分かち合いの時間
第20課 聖書やほかの聖文を翻訳するジョセフ・スミス


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聖書やほかの聖文を翻訳するジョセフ・スミス

目的

聖文を世に送り出すうえでジョセフ・スミスが果たした役割を子供たちが理解できるように助け,聖文を研究するように子供たちを励ます。

準備

  1. 教義と聖約26:145:60-61信仰箇条1:8;高価な真珠のモーセの書とアブラハムの書の前書きと本課の歴史記事を祈りの気持ちで研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるか決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. その他の参照箇所-ジョセフ・スミス—歴史1:9,12-13,17-19,36-391 ニーファイ13:26;高価な真珠の序文

  3. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 導入のために次のような伝言を2~3種類用意する(クラスの人数が少なければ,伝言を長くしてもっと詳しく書く)。

    兄と妹が道でスキップしています。兄はちょうちょうを追いかけて行って転びました。妹は兄を起こして家に走って行きました。

  5. 教材

    標準聖典の合本(聖書,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠)(人数分)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

子供たちを1列に並ばせる。1列に並んだ端の子供の耳に2,3文の伝言をささやく。子供たちが順番に次の子供に伝言をささやかせる。伝言を伝えるのは一度だけとする。伝言が最後の子供に届くまで続ける。最後の子供に伝言を声を出して発表させる。伝言がどう変わったかを見るために,最後の子供が受けた伝言と最初の伝言を比較する。

  • 伝言が列の最後に来るまでにどう変わりましたか。何がなくなりましたか。何が増えましたか。

  • 人から人に移るときに,なぜ伝言が変わったと思いますか。

人から人に移るときに子供たちの伝言の内容が変わったように,人々が聖書を翻訳し,手書きで書き写されるにつれて,長い年月を経て聖書の聖文の幾つかが変わった。間違いが起きたのである。正しくない教えが幾つか聖書に加えられ,大切な教えが幾つかなくなった。主は,正しい教えが回復された聖書の翻訳を始めるようジョセフ・スミスに命じられた(信仰箇条1:8参照)。

聖文と歴史記事

聖書とその他の聖文の霊感訳を作成するジョセフ・スミスの役割を以下の歴史記事と「準備」で挙げた聖文から教える(「レッスンを豊かにする活動」の1を参照)。

ジョセフ・スミスは聖書を翻訳するように命じられる

モルモン書を翻訳しているとき,ジョセフ・スミスは聖書の「分かりやすくて大変貴い」多くの部分が何年もの間に取り去られたり,失われたことを知った(1 ニーファイ13:26)。聖書は,神の言葉が書かれた神聖な書物であるが,別の言語に翻訳され書き写されていくときに間違いが発生した。幾つかの言葉は除外され,変えられ,追加され,聖文の幾つかはその意味が変えられた。イエス・キリストの死後の背教時代に,聖文が正しく書き写され翻訳されたのを確かめる預言者や使徒がいなかった。ジョセフ・スミスは,分かりやすくて貴い部分を回復し訂正した聖書の新翻訳を作成するように指示された。

モルモン書の翻訳が完成し教会が組織されたすぐ後に,ジョセフ・スミスは聖書を研究するように啓示を受けた(教義と聖約26:1参照)。彼が創世記を研究していると,多くの疑問が出てきたので,聖書を理解できるように祈って天父に願い求めた。彼の祈りの答えとして,主は地球の創造とイエス・キリストの福音に関する大切な情報を啓示された。この情報は,高価な真珠のモーセの書として出版されている(子供たちに高価な真珠のモーセの書の前書きを見るように言う)。

1830年に,ジョセフ・スミスは聖書の修正翻訳を始めた。シドニー・リグドンが筆記者を務めた。聖書の翻訳をする際,ジョセフはモルモン書で行った古代の言語からの翻訳ではなく,聖書本来の意味を回復した。ジョセフが聖書を研究して祈りの気持ちで考えると,聖霊の力を通して間違いを訂正するよう霊感を受けたのである。

ジョセフ・スミスが聖書の霊感訳を行うと,彼の福音の知識は増し加わり,聖霊の祝福を受けた。教義と聖約の中には,ジョセフ・スミスが理解できない聖書の記述に対して答えとして与えられた啓示が多くある。

ジョセフ・スミスはほかの聖文を翻訳する

聖書を翻訳している間にジョセフ・スミスに明らかにされた情報の幾つかはモーセの書として高価な真珠に収められている。高価な真珠に収められているもう一つの書物はアブラハムの書で,古代エジプトの文書をジョセフ・スミスが霊感訳したものである。

1820年代の後半に,アントニオ・レボロというイタリアの探検家は,エジプトにある古代墓地から11体のミイラを手に入れた。レボロが死んだとき,ミイラは合衆国に送られた。その後,マイケル・チャンドラーという名の男が1833年にミイラを所有した。彼が棺(ミイラが入っている箱)を開けると宝石や高価な宝物が入っていなかったのでがっかりした。ミイラの体の幾つかに付いていたのは亜麻布で,それには植物から作られた紙の一種であるパピルスの巻き物が入っていた。これらのパピルスの巻き物には,エジプト文字が書いてあった。チャンドラー氏は,その巻き物をペンシルベニアに持って行き,そこでその巻き物について教えてくれそうな教育のある人を探したが,教育のある人のほとんどは巻き物を少ししか理解できなかった。

チャンドラー氏は,国中を回って人々にミイラを見せて歩いた。そして,1835年の夏に彼はオハイオ州カートランドにやって来た。そこでジョセフ・スミスと会うと,ジョセフはその巻き物を翻訳できるかもしれないと言った。その後預言者の何人かの友人は,チャンドラー氏から4体のミイラとパピルスの巻き物を買い取った。ジョセフ・スミスはエジプト語の文字と文法を勉強し,それから聖霊の助けによりパピルスの巻き物の文字を翻訳した。ジョセフ・スミスが翻訳した巻き物は,古代の預言者アブラハムについて語ったもので,現在高価な真珠の中でアブラハム書として出版されている。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 聖書の中の間違いをジョセフ・スミスはどのように知りましたか。これらの間違いはどのように起きましたか。ジョセフは,これらの間違いをどのように修正しましたか。

  • 教義と聖約26:1でジョセフ・スミスは何をするように命じられましたか。聖文研究は,ジョセフが翻訳をするのにどのように役に立ちましたか。彼が聖文を研究すると,どのように祝福されましたか。

  • わたしたちはなぜ聖文を研究すべきなのですか。わたしたちが聖文を研究すると,福音の理解はどのようになりますか。聖文の理解を助けてくれるのはどなたですか。聖文研究は,どのようにわたしたちを天父とイエス・キリストに近づけてくれますか。

  • パピルスの巻き物を翻訳し始める前にジョセフ・スミスは何をしましたか。なぜ彼はエジプト語を勉強したのですか。ジョセフより教育を受けた人が翻訳できなかったのに,なぜジョセフがパピルスの文書を翻訳できたのですか。

  • 預言者ジョセフ・スミスが翻訳し世に出した聖文には何がありますか(すべての標準聖典-聖書,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠)。わたしたちがこれらの書物を使えるようにしてくれたジョセフ・スミスの役割を子供たちと復習する。

  • 皆さんや皆さんの家族でどのように聖文を研究できますか(「レッスンを豊かにする活動」の4と5を参照)。皆さんと皆さんの家族は,聖文からどのような祝福を受けていますか。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. レッスン中使う簡単な巻物を用意する。長い紙(または,紙を数枚テープでつないだもの)に以下の文章を書き,一度に一つだけ見えるように文章の間に十分な空白を開ける。

    • 聖書は,神の言葉の入った神聖な書物です。

    • 聖書を書き写し翻訳する際に,人々は間違いをしました。

    • ジョセフ・スミスは,聖書の間違いを修正するように命じられました。

    • ジョセフが聖文を研究すると,福音に対する理解が増し加わりました。

    • パピルスの巻き物は,エジプトの墓の幾つかのミイラから発見されました。

    • ジョセフ・スミスは,巻物の文字を翻訳しました。

    • 聖文を研究すると,天父とイエス・キリストと福音を知るようになります。

    紙の両端にテープをはるか,鉛筆,定規,ペーパータオルロールの中心にあるような厚紙の心棒などの木の棒に固定する。最初の文章だけ見えるように,棒か心棒に紙を巻き付けておく。

    巻き物を見せて,古代の文書が度々巻き物に保存されていたことを説明する。レッスンが進んで行く毎に,紙を巻きレッスン内容に相当する文章を見せる。

  2. わたしたちは,ジョセフ・スミス訳聖書を独立した聖文として使いませんが,その一部は末日聖徒の聖文に含まれていることを説明する。ジョセフ・スミス訳の一部が収められている箇所を探すように子供たちに言う。高価な真珠のジョセフ・スミス—マタイ,『聖句ガイド』の後のジョセフ・スミス訳聖書(抜粋)。

    ジョセフ・スミス訳聖書の幾つかの節を聖書本文の節と比較する。一人の子供に聖書の節を読ませ,もう一人の子供にジョセフ・スミス訳聖書の節を読ませる。ジョセフ・スミス訳聖書の節の方がより明確で分かり易いことが分かる。

    例-

    参照聖文

    聖書

    ジョセフ・スミス訳

    出エジプト32:14

    「それで,主はその民に下すと言われた災いについて思い直された。」

    「それで主はモーセに言われた。もし彼らが行った悪を悔い改めるなら,わたしは彼らの命を助け,わたしの激しい怒りを遠ざける。」

    サムエル上16:14

    「さて主の霊はサウルを離れ,主から来る悪霊が彼を悩ました。」

    「さて主の御霊はサウルを離れ,主からのものではない悪霊が彼を悩ました。」

    ヨハネ1:18(ジョセフ・スミス訳,ヨハネ1:19)

    「神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが,神をあらわしたのである。」

    「神が御子を証されるときのほかは,神を見た者はまだだれもいない。なぜなら,御子によらなければ,だれも救われないからである。」

  3. ジョセフ・スミス—歴史1:11-14を子供たちと復習し,ジョセフ・スミスが聖書を研究して神の知恵を求めるように促された後,最初の示現を受けた。この点に注目させる。聖文を研究し,天父の祝福と霊感が得られるように祈りの大切さについて話し合う。

  4. 以下のテーマを黒板に書き,別々の紙に各参照聖句を書く。

    勇気

    申命31:6

    伝道活動

    教義と聖約112:28

    赦し

    マタイ6:14-15

    ヨハネ13:34

    天父の愛

    ヨハネ3:16

    安息日

    モーセ3:3

    従順

    教義と聖約130:21

    祈り

    3 ニーファイ18:21

    バプテスマ

    教義と聖約20:72-74

    聖文を研究すると,特定のテーマに関する勧告を見つけられると説明する。子供全員に紙を選ばせ,参照聖文を探させ,聖文をクラス全員に読んで聞かせ,聖文と黒板に書いたテーマを合わせさせる。

    『聖句ガイド』と聖文の索引を探させ,聖文が特定のテーマに関する説明を学ぶためにこれらの使い方を説明する。

  5. 聖文を研究する様々な方法を子供たちに提案させる。子供たちの考えを黒板に書く。

    考えられる提案

    • 毎日一つかそれ以上の聖文を読む目標を立てる。

    • 家族と声を上げて聖文を読む。

    • 教会機関誌の聖文の物語を読む。

    • 『旧約聖書物語』『新約聖書物語』『モルモン書ものがたり』『教義と聖約物語』『聖典からの物語』から読む。

    • 教会の話で使われた聖文の物語を聞いたら,家で自分の聖文から物語を探して読む。

    • 初等協会レッスンの後,読書課題を読んでレッスンの復習をする。

    • 聖文から読んだ内容を家庭の夕べで家族と分かち合う。

    今週子供たちが聖文を研究する方法を一つ選んで書かせてもよい。

  6. 信仰箇条1:8を覚えさせる。わたしたちがなぜ「正確に翻訳されているかぎり」聖書を信じているか話し合う。

  7. 「いのりながらみ言葉読むとき」(『子供の歌集』66)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

あかし

聖文に対する感謝のあかしを述べる。聖文があなたにとって特に有意義と感じた個人的な経験を分かち合う。

読書課題

本課の復習のため,高価な真珠の内容を説明している高価な真珠の後半の前書きを家で研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。